2008年07月08日

Jリーグの不平等度と降格制度

まずはジニ係数の説明からします。途上国経済を分析するときや,
所得分配を議論する時に使われます。
社会の所得格差を示す指標として途上国のみならず先進国においても
よく使われています。このジニ係数を使ってクラブの存続と言う視点から
考えてみたいと思います。

Jリーグでは,J1とJ2の昇格・降格制度を導入していますが,
今後はJFLとJ2との昇格・降格制度が,J2のチーム数が22となった時点で
導入されることが決まったようです。
世界のプロリーグはおおよそ2部か3部くらいまでがプロで
それ以下のカテゴリーではアマチュアクラブがほとんどです。
チーム数はトップリーグで20チーム前後がほとんどですし,
世界の潮流から見て,多くはないチーム数となります。
つまり,J2が22チームになったとしても,日本サッカーのシステムは,
世界的に見ても標準的なチーム数なのです。

さて,欧州のようなサッカーが根付いている土地柄であっても,
クラブの存続は容易いものではありません。特に小さな町のクラブは
厳しい現実が待ち受けています。ましてや,
日本のようなこれから根付かせようかと言う国では,
なおさら小さな町のクラブが存続していくことは難しい問題だと考えられます。

これまでの日本サッカー界はクラブの消滅を経験しました。
また,メインスポンサーが撤退したため,クラブの存続が困難となり,
J1での輝かしい歴史を持つクラブがJ2に甘んじている姿も経験しています。
このため,経営の指南をリーグ側が各クラブに対して行なうと言うのも
当然なことなのかもしれません。

サッカークラブは,確固たる経営基盤とゲームに対するビジョンが必要です。
経営基盤はクラブの存続に直結します。小さなクラブはまず,
スポンサーを募り,入場者数の増加のために営業をすることなどで
経営基盤を作り,クラブの存続のために立ち向かわなければなりません。

経営基盤に関するデータは,Jリーグが公表しています。
このデータの「経常利益」を使ってジニ係数を求めます。ジニ係数の求め方は,
累積の世帯数比と累積の所得比で求めるのが通常のやり方ですが,
ここでは,累積のクラブ数比と累積の経常利益比から求めます。
営業利益でなく,経常利益を選んだのは,クラブの存続を考えるのならば,
クラブ全体の経済活動を見たほうが良いと思ったからです。

2001年から2006年までのカテゴリー別に示したジニ係数を見ながら,
クラブ存続を考えて見ましょう。ジニ係数の見方は0から1までの数値になり,
0は平等な状態,1に近づけば不平等な状態となり,0.5を超えると
社会的な不平等さは顕著なものとなり,何か政策を行なわなければならない状態
となります。市場経済諸国ではおよそ0.3くらいで,
0.3くらいが現実的な数値となります。

経常利益によるのジニ係数の推移


さて,Jリーグのジニ係数は,総じて高いことが確認できます。
つまり,経営基盤が潤沢なところと,脆弱なところの差が大きいと
言うことになります。

2001年以降,ジニ係数は不平等度の改善を示しています。
しかし,2005年に一気に悪化しています。2005年のJリーグは,
1シーズン制の導入,J1クラブ数の増加(川崎,大宮)がありました。
クラブ数の増加がジニ係数に影響を与えている可能性があります。

J1,J2のカテゴリー別に見ると,J2のほうが,格差が大きいことが分かります。
この格差は0.65から0.7ですから,途上国でたとえると独裁者がいて
国民が貧困にあえいでいるような国となります。経営基盤の小さなクラブは,
存続が難しいレベルでの経営を強いられることになります。

さて,ジニ係数の時系列を見るとクラブ数が変化しなければジニ係数は
改善していきます。しかし,J1からとJ2からの昇格・降格の大きな違いは,
降格してもプロリーグに所属しているかにあります。J2から降格すれば
JFLに加盟することになりますがJFLはアマチュアの最高峰と言う位置づけであり,
プロサッカークラブが経営基盤を確立できるリーグではありません。

現状では,経営基盤の規模が大きく異なるクラブが,J2に所属しています。
経営基盤が貧弱なクラブが降格すると,昇格のための補強は資金的に難しく
なり,簡単に昇格を達成できない可能性があります。そうなれば,より経営基盤が
弱体化することが考えられます。

22チームにすることには,反対ではありませんが,
降格制度の導入はより慎重に考えなければ,経営基盤の弱いクラブは,
消滅する可能性があります。また,リーグからの配当金の配分ルールも
見直す必要があるでしょう。


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posted by zion |14:23 | コメント(0) | トラックバック(0)
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