w's lab. in sponavi◆加油!中国棒球

2013全国運動会終了、中国野球の4年間を考える

このエントリーをはてなブックマークに追加

北京の16年4大会ぶりの優勝で幕を閉じた、第12回の全国運動会(以下全運会)。決勝は北京天津の伝統の一戦、息詰まる投手戦でありました。

中国代表では、昨年頃から現在の主力を担う若手世代に切り替わって以降、3月のWBCでも打撃力の低下が叫ばれていたわけですが、今回大会では国内においてもその影響が如実に現れていることを感じさせました。
特に決勝では、代表でもおなじみのベテラン捕手・王偉(北京)が放った試合を決定づけるタイムリー三塁打以外の得点は全てミスによるチャンスからや、犠牲フライによるもので、その王偉のタイムリーも天津の右翼手・劉志成の無理なスライディングによって長打になってしまったように見えました。
北京では国濤や楊洋が送るなど、中軸でも躊躇せずバントをさせる場面も目立ちましたね。

決勝では北京・劉宇、天津・李梓踉の両若手右腕が熱い投手戦を繰り広げるなど、五輪世代以降の実力ある若手投手がチームの中心を担い始めている一方、打撃陣は中軸を担うベテラン頼みで、守備力の全体的な底上げは見られるものの、打撃力のある若手があまり育っておらず、打線としても積極的な策を取りづらい原因になっていると感じます。

4年ごとの全運会をひとつのスパンとして世代交代が行われる中国では、全運会後にこれまでチームを支えたベテランが数多く引退するケースが多く見受けられ、今回も代表経験豊富な陳坤(四川)や劉広標(広東)らが今大会限りでの引退を事前に表明しています。
これにともなう若手打者の育成は今後の中国球界・中国代表にとって非常に重要な課題となるでしょう。投手のレベルアップが好打者を育てるとも言われますが、バッティングに期待ができる10代のプロスペクトが現れるにはまだまだ時間がかかりそうで、打者に関しては丁度谷間の世代に差し掛かっていると思いますね。


今回の全運会は大会運営にも批判が集まりました。決勝こそスタンドの大部分を埋め尽くす観客が入ったものの、野球などのマイナースポーツにおけるチケットを売り切るための組織的買い占めにより、総当たり戦では本当に見たいファンがチケットを手に入れられないにも関わらず、スタンドはガラガラという状態。さらには鳴り物を使った応援を行った応援団が禁止され、その影響からか途中からは荷物の完全チェックと過剰なまでの持ち込み禁止、そのうえ球場の周囲を武装警察が取り巻くという超厳重な警備体制が敷かれたそうです。
あくまでも推測ですが、北京五輪のテニスなどで観客の観戦マナーがなっていないと国際社会から批判を受けた一件以降、非常に敏感になっていて、(当局側は野球を理解していないであろうこともあって)他の競技も同様に規制するという感覚なのではないかと思いますね。
こういった運営を行っている限り、野球のようなマイナースポーツが新規ファンを獲得する機会はどんどん減少していくような気がしてなりません。

運営面でいえば、審判の問題も挙げられます。一発勝負の運命を分ける大会である全運会本戦と予選には、ここ数大会米マイナーリーグから審判の派遣を受け、外国人審判が中国人審判と混合で試合を裁いているのですが、毎度なにかと審判問題が絶えません。ボークやストライクゾーンの基準の違いに加え、今大会は3位決定戦の四川江蘇戦で本塁クロスプレーの判定に四川監督が激高。その後も四川の投手・冉松が一塁牽制を繰り返して抗議し、中国棒球協会の副会長が声明を発表する事態に発展しました。
国内におけるこれまでの誤審などがあるとはいえ、審判の権威自体が低く見られていることは否めません。自前で裁ける審判の育成が必要なのはもちろんですが、 選手レベルの向上と同じく、実戦機会の増加は不可欠ではないかと思います。
2011年を最後にリーグ戦が休止して以降、トップレベルの国内公式戦は選手権形式の試合が年に2-3回ある程度に。試合を取り巻く環境や運営面からも、早期のリーグ戦再開が待たれるところであります。


国際的には、五輪項目削除からの野球未復活決定(まだ可能性があるとはいわれますが)が話題となりましたが、その影響は中国国内にも如実に現れています。
全運会においても、野球が今後も実施競技として残っていけるかは不透明で、五輪種目ではない競技に各体育局側からどれだけの支援が得られるかも未知数です。また、予選時に河南が今年限りで解散する可能性をお伝えしましたが、前回全運会優勝で、近年強豪となった広東も今回の全運会を最後に現在の活動形態をやめ、事実上の解散となることが分かりました。

詳細は分かりませんが、五輪種目からの削除が絡んでいることは確実でしょうし、広東は近年比較的資金が潤沢な球団だと見られていただけに非常に衝撃的なニュースとなりました。
広東は昨年から、それまでコーチや監督代行を務めた台湾人の何信宜氏に代わり(このあと何氏は北京のコーチに就任、広東北京で2大会連続の指導チーム優勝)かつて城西大やインドネシア代表で監督を務めた原田勝美氏を監督に迎え、これまで投手兼任監督であった頼国鈞が投手に専念。海外遠征を積極的に行うなど強化に力を入れてきました。それだけにこの全運会本戦がチームとして最後の大会となったことはちょっと納得し難い話ですよね。
主力にベテラン選手が多い球団ということもあって、40歳を迎える頼国鈞をはじめ多くの主力は引退を選択するようですが、若手の選手にもこの先プレーする場があるかどうかは未確定で、転職を考えている選手もいるようです。

広東は投手に代表経験者を多く抱えるだけでなく、野手にも代表の主力も務めた賈徳龍(内野手)や孟偉強(捕手)、若手の有望選手として期待がかかっていた那闖や頼競峰らも所属しています。
来月天津で行われる東アジア大会には、広東の選手や引退表明している一部ベテランも含めて代表編成がされているようですが、今後の動向次第では代表にもかなり影響が及ぶでしょう。

地位も名誉も大きく左右される全運会は、中国のスポーツ選手たちに目標を与え、強化普及のきっかけとなる一方、重要な大会であるが故にまた大会の絶対的な存在が障壁になることも多いのです。
さて、幸か不幸か4年おきに行われる全運会はWBCと同じ年。五輪復活の望み薄となった野球が今後の中国国内で生き残る手段は、全運競技残留とWBCの地位向上。前半に掲げた中国球界の課題も絡んでくる問題。2017、中国球界の4年後やいかに。



1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
中国球界事情
タグ:
中国野球
全国運動会
広東レオパーズ
全運会

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

この記事にはまだコメントがありません

こんな記事も読みたい

☆『第2回ちびマッチ選手権大会』予選トーナメントの試合予定(平成25年9月13日(金)13時00分現在確定分)【☆ちびマッチHP】

チームの適正人数 【倉俣監督BLOG】

☆10月13日(日)開催!!『ちびマッチin太宰府』ご参加チーム募集開始!!【☆ちびマッチHP】

ブロガープロフィール

profile-iconzhongguodui_jiayou

生まれも育ちも日本。中国渡航経験なし。
大陸の野球がただ好きなだけ。国際野球全般に興味アリ。
最近は中国版ツイッター"weibo"で情報収集しています。
最新の情報はTwitterでつぶやいていますので、こちらはまとめのような形になることが多いですが、悪しからず。
■ホームページ:http://www.geocities.jp/west1ine/
■お気軽にどうぞ→weilian1526@gmail.com
  • 昨日のページビュー:2
  • 累計のページビュー:117865

(09月28日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 【アジア野球選手権2012】第2日 中国-韓国
  2. WBC中国暫定メンバー 戦力分析①
  3. WBC中国暫定メンバー 戦力分析②
  4. 【アジアシリーズ】チャイナスターズロースター発表
  5. チャイナスターズ展望・予想
  6. 中国と台湾の対抗戦「2012海峡杯」、24日開幕
  7. 【アジア野球選手権2012】第5日 中国-日本
  8. 【アジア野球選手権2012】初日 中国-パキスタン
  9. 【アジア野球選手権2012】第4日 中国-フィリピン
  10. 2013中国野球選手権(棒球錦標賽)結果と考察

月別アーカイブ

2015
06
2013
10
09
08
06
05
04
03
02
01
2012
12
11
10
06
05
04
02
2011
12
11
07
06
05
04
03
2010
11
09
08
07
06
05
04
03
01
2009
12

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2016年09月28日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss