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2013WBC、中国代表を振り返って②

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私は耳を疑った。
ブラジル戦の8回、相手投手の乱調に乗じて一挙同点、逆転のチャンスで中国ベンチから「加油!○○!○○!加油!」のコールが沸き起こったのだ。

リーグの単独チームの試合だと、国内だけでなく海外における試合でもこうしたコールがベンチから起こることはよくある。中継などで見ていても耳にすることができる。
しかし、私は代表でこうしたコールがベンチから自然に沸き起こったのに驚きを隠せなかった。中国棒球を長い間見られてきた方も、代表でやってるのを見たのはほとんどないと。

今回のWBCには我々日本人と中国人留学生に加えて、中国大陸からやってきた熱狂的なファンを加えて応援団が結成された。
今まで海外で行われる代表戦に、選手の家族などが帯同してスタンドで応援することはあったが、こうした一般のファンの観戦が実現したのは初めてのことだった。
決して数は多くはないが、チャンスを迎えてスタンドからの一段と大きい声援が響き、ベンチからのコールはそれに呼応するかのように沸き起こった。

全試合終了後、ある選手の話を聞く機会があった。
その話の中に出てきた言葉にはやはり「自分たちを見に来る観客がいるのといないのでは全然違う」との話があった。
当たり前のことながら、いいプレーをしたところでそれに沸く観客がいるのといないのでは全く違う。観客はプレーの質の大きな要因だ。

一部の地域を除けば、中国国内のリーグ戦や大会における観客はまばらだ。「ハングリー精神がない」「プロ意識に欠ける」ともなどと厳しい評価がされてきた中国の野球選手たち。
もちろんその批判は真摯に受け止めなければならないが、いくら良いプレーをしても「観客の評価という見返り」がほとんどない現状の中プレーしていることを考えると、そのように評価されてしまうのも納得できる。

野球途上国の選手たちが試合で実力を発揮しきれないといわれる。
もちろん実戦経験が足りないことのほかに、「どんなプレーをしても大して誰も注目してないじゃん」という意識があるのは確かだ。
これを変えるのは何だろうか。

それは見るスポーツとしての野球ではないか?


選手たちに練習環境を与え、実戦を与え、レベルアップの場所を与え、海外にステップアップの場所を与え、国際大会の経験を与える。
確かに必要なことだ。
けれども次の段階として、国内の野球というスポーツ全体の発展に目を向けた時、プレーする人間と同様に、プレーしなくとも競技を愛し、見守るファンも育っていかなくてはならない。

中国代表が大会を終え、北京の空港に到着した時、空港には大学野球に携わる若い野球ファンを中心に、ブラジル戦の勝利を祝い多くの人が出迎えたという。
今大会は中国のスポーツチャンネルでも中継があり、野球に少しでも関心のある人々が代表の勇姿をテレビを通して見ることが出来たというのが、今回中国国内でも関心が集まった大きな要因だろう。

中国における大学野球のプレーヤーは、そのほとんどが何らかのきっかけで大学の野球クラブに入り、大学から野球に触れた人たちで構成されている。
今大会で日本に観戦にやってきたメンバーも、中心になっているのはが大学で野球に触れ、野球の魅力にのめり込んだファンたちだ。
大学野球が中国国内における新たな野球発展のモデルとなっている一方、大陸にいる数少ない野球ファンの中でも、さらにそのほとんどは「自分もプレーしている」あるいは「何らかの形で野球に関わったことがある」という人たちだということが分かる。

そういった人たちが中国の「見るスポーツとしての野球」を牽引していくと期待される一方、純粋に「野球を見る」というファン層の拡大も必要不可欠だ。

ある程度の競技人口を有しても国内のリーグ戦への関心が薄く、海外のリーグのファンが多くを占める日本のバスケットボールと同じ状態が起こってはならない。
将来的な究極は、国内のリーグ戦や全国選手権などを見て、野球を見るファンになる層を増やしていかなければならないともいえる。
そのためにはやはり、野球を見るスポーツとして関心を持ってもらうための環境づくりが必要だ。
野球に関心のあるパイが増えれば、国内における野球の地位は向上し、最大の懸念事項であるスポンサー問題の解決にも繋がる。
言うまでもないが、最終的に選手のプレー環境の整備にも貢献できるという相乗効果が生まれるのだ。

現在中国ではMLBの協力のもと、少年野球の大会の主催や野球に触れ合えるイベントスペースの設置などに取り組んでいる。
大学野球も含め、裾野を広げる取り組みは成功しつつある。
問題は広げた裾野をいかに国内リーグや各省市のトップチーム、あるいは代表への関心とつなげていくか。ここが大きなポイントだ。

何度も言うが、今後の中国野球界全体に課せられた課題は、見るスポーツとしての野球を発展させること。
勝利に涙する大陸から来たファンを見て、それは確信した。

ふとYahoo!ドームの外野席で上を見上げると、中国の大手企業Huaweiの大きな広告看板があった。
なぜ国内では野球界に何も関わりのないにも関わらず看板を出しているのか。

その答えが最大の裏付けに違いない。




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