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2013WBC、中国代表を振り返って①

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強化試合
vsオリックス ●1-8
vs巨人 ●1-8

・1次ラウンド・プールA
vs日本 ●2-5
ツーシームピッチャーの羅夏(四川)が好投し、4年前同様大差が開かなかった日本戦。日本代表の動く球への弱さが露呈したと同時に、前田健太の完璧なまでの投球に封じられ、三振の山を築いた。
後続は日本帰りの朱大衛(上海)が集中打を浴びたものの、終盤にさらにツーシームピッチャーの楊海帆(北京)を送り込む徹底ぶりで大炎上を回避。
最終回に山口から連打でチャンスを作るも、得点は暴投とゴロの間。反撃そこまでで、前回に続き健闘するものの、得点差以上の敗戦となった。

vsキューバ ●0-12(7回コールド)
キューバ戦では凡ミスを連発。もともと勝つつもりではなかった試合だとはいえ、悔しいコールド。(投手の消費を防ぐコールドとも言えるが)
強打のキューバ相手に打たれるのは仕方ないとしても、失策・走塁ミス・ルールの不理解が次々重なったのは非常にいただけない。
先発の李鑫(天津)は強化試合巨人戦でも1回途中KO。この試合では少し改善したものの、非常に緊張しているように見え、コントロールを乱し球速も上がらず、本来の投球ができていなかった。
リリーフした劉宇(北京)も満塁弾を浴びるなど精彩を欠いた。

vsブラジル ○5-2
次回本戦出場権獲得のために、なんとしても勝利を目指すことが至上命題であったブラジル戦。この日のために温存しておいた主戦・卜濤が、球数制限がありながら5回1失点という素晴らしいピッチングを見せるも、7回まで2点ビハインドという苦しい試合。
しかし8回、ブラジル投手陣の突然の乱調からレイ・チャンの逆転適時二塁打に押し出しを絡め一挙5得点。
最後は呂建剛(天津)が本業のロングリリーフで締め、両チーム涙涙の感動的な勝利。




WBCからだいぶ時間がたってしまいました。
強化試合含めて5試合の現地観戦は非常に充実したものでありました。

多くの人が目にしたであろう日本戦の戦いぶり、そして殆どの人が目にしない中ひっそりと行われたブラジル戦の激闘、どのように映ったのだろうか。
まとまりのない論調にはなるが、まず1つめの記事として、WBCの戦いについて昨年のアジアシリーズ・アジア選手権も絡めて、現状のチームの課題と明るい点についてざっくりと振り返りたいと思う。



・中国代表の課題

これまで記してきた通り、ここ2年で経験の少ない若手を大幅に代表に組み込み、「新世代の代表」を大々的にし進めてきた中国代表。
WBC代表と8割方同じメンバーで臨んだ昨年のアジアシリーズにおけるチャイナスターズ、そしてその後に行われたアジア野球選手権では、深刻な貧打に苦しんだ。
アベレージヒッターの侯鳳連(天津)、バッティングの良い張洪波(元広東)、馮飛(四川)ら、代表を引っ張ってきたベテラン野手が代表を退き、主将の二塁手李磊・正捕手王偉(ともに北京)という現代表では最も計算できる野手2人に大きな重圧がかかってしまうようになった。

確かにこれまでの中国代表がバッティングに優れていたかというと、決してそんなことはない。国内にはなかなかいない、レベルの高い投手と対戦する機会の多い国際大会で非強豪国が得点を奪うことの難しさは中国以外でも様々な国が証明している。
だが、顕著に現れていたのは、「球威のある直球に差し込まれる場面よりも、変化球への対応が良くない場面が非常に目立った」という点だ。
アジアシリーズはサムソン戦で15三振、2試合で選んだ四死球はわずか1つ。アジア選手権では韓国戦で12三振、選んだ四死球は0。台湾戦で10三振、選んだ四死球は1つであった。
外のスライダーだけではなく、高めの釣り球、低めに落ちる球、変化球にことごとく対応できず、最後はストライクゾーンの直球で勝負ありという場面が何度も見られた。
特にアジア選手権はスコア的には大きく離されておらず、結果以上の差を感じた試合でもあった。相手投手のレベル如何の前に、打者としての変化球への対応が、中国代表のキーワードであり最大の弱点としてピックアップされた。

本戦でも、日本戦・ブラジル戦は好投を続ける投手陣を援護できない状況が続いた。3試合のうち、ヒットで奪った得点はブラジル戦レイ・チャンの逆転タイムリーだけであり、ほかは押し出し、暴投、ゴロの間であった。
昨年の李磊・王偉頼みから、王偉のバッティングの調子が上がらなかったこともあり、李磊・レイチャンの3・4番頼みになってしまった。レイ・チャンが調子を上げ、ブラジル戦で当たったから良かったものの、特定の選手に負担が大きくかかる打線はかなり苦しい。この点は日本代表ですら苦しんだことだ。

確かに経験不足、実戦不足は否めない。いわゆる「90后」(90年代生まれ)の選手の割合が増えるにつれ、どうしてもその問題はついてくる。急速な若手切り替えの弊害でもある。
しかしそこだけに原因を収束させてはならないのも事実だ。
若手選手の打撃面での成長は、国内における投手陣全体の成長とも直結しているといえる。レベルの高い打者を育てるだけのピッチングができる投手層の充実、アスリートタイプだけではないパワーヒッターの育成、若手にも出場機会が十分あるだけの実戦。
慢性的な資金難がいわれるなか、こういった複合的な要素を解決するのは簡単ではない。しかし、一つ一つ解決しなけれは進歩もないのもまた事実である。
「ベテラン」「若手」というくくりをしなければ語れないことが最も苦しいのだ。



・中国代表の明るい話題

これまで新世代代表について否定的なことばかり書いたが、そもそもこれだけ若い選手が多いということは、裏を返せば明るい話題なのだとも言える、というかこれほど明るいこともない。
「ある程度の期間を捨て、4年後にピークを持っていく」という明確なプランがあるか否かだ。

打撃陣が振るわない中、投手陣の働きは素晴らしかった。
大黒柱の呂建剛(天津)と、強化試合・ブラジル戦と文句なしのピッチングを見せた卜濤(河南)はブラジル戦勝利の立役者であり、求められた役割を存分に果たした。
実は私は大会が始まる前、野手陣よりも投手陣に心配をしていた。いくらアジアシリーズで先発したとはいえ、羅夏(四川)を日本にぶつけるとは考えていなかったし、キューバ戦は2投手が打たれたとはいえ、大会を通して投手がこれだけの力を発揮できるとは思っていなかった。

動く球を苦手とする日本代表キラーとしてぶつけられ、その役割を見事に果たした羅夏。強化試合から安定した投球を見せ、課題であったコントロールを改善、140超のストレートをガンガン投げ込んだ孟慶遠(北京)など新世代の代表からも面白い戦力が発掘された。

確かに投手陣も呂建剛・陳坤(四川)・李帥(河南)という経験どころに頼らざるを得なかった感は否めない。
最近少し調子を落としているように見えるが、中継ぎの中心として活躍してきた陳坤や呂建剛あたりはそろそろ代表を退く可能性が高い。今年30歳を迎える卜濤ですら、4年後は不透明だ。

これまで中国投手の代名詞といえば、130台前半の直球と、スライダー、たまに緩いカーブという投手であった。
しかし、ツーシームを効果的に使う羅夏や楊海帆(北京)、ナックルを投げる李文明(天津)、今回名前を連ねなかったものの、怪我からの代表復帰を目指す李梓踉(天津)はシュートやフォークボールなど多彩な変化球を持つなど、単に変則投法や遅球を武器とするだけではない、多彩なタイプのピッチャーが若手にいることは明るい話題だ。
李梓踉も含め、20台前半の投手から「試合を作れる」投手が出てくるようになったことも収穫だといえる。
この点において、若手打撃陣とは対照的に希望が持てるのではないか。


また、元来課題とされてきた守備力も、新世代でかなり改善されていると感じる。
そもそもこのブログでも何度か言及してきたが、現代表は「守備力」「機動力」に重点を置いて編成されてきた。
4年前のWBC日本戦では、村田の本塁打以外をすべてミスで点を失った。特に外野守備を中心に、中国の守備力は投手の足を引っ張っていると言わざるを得ない場面がこれまで数多く見受けられたのだ。
そのような中、現代表の若手では失策こそあるものの、その守備にセンスを感じさせる選手が何人か現れた。

安旭(北京)はWBCでは本職ではないサードを守り、正面の強い打球に苦戦したが、スローイングが安定しており、本職の遊撃手としてはアジアシリーズ・アジア選手権を通じてそつのない守備を披露した。レイ・チャン不在の通常代表では、賈徳龍に代わる正遊撃手として固定できるだろう。
外野では最年少選出の楊燕勇(上海)の動きが印象に残った。強豪国レベルに当てはめれば特に上手いとはいえないのだろうが、これまで苦手とする選手が多かった後方ライナー性の打球処理がしっかりしており、突っ込むか突っ込まないかのギリギリの打球を待って落とし、後逸のリスクを避けシングルヒットに留めた場面などは高評価に値した。
今大会控えに回った頼競峰(広東)も守備面で期待できる。

いずれの選手にも共通するのは、明らかなミスこそあるものの、基礎的な部分で「今までできていなかったことができている」というセンスがあること。そしてそれを活かすだけのバッティングがまだないことだ。




選手たちが必死にプレーしているのは紛れもない、現地にいて彼らの涙を見た私達が一番理解している。
しかし一方で、某スポーツ専門チャンネルでアキ猪瀬氏が語っていた「中国がブラジルに勝ったのは、過去2大会の経験があったから」「現状のような数少ないベテランに頼りっきりは厳しい」
言ってしまえばこれが全てということもできる。

5試合(+昨年の大会)を通して、単純な選手の実力・若手の底上げだけではなく今後の中国棒球界全体に求められるもののあり方も深く考えさせられた。

その点については②の記事で触れたいと思います。



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