2007年09月16日
論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
雑誌でとあるジャーナリストが書いていたことだが、オシムがインタビュー等ではっきり断定しないものの言い方をするのを「複眼的な見方」、すなわちものごとの一面だけでなく他の面も見るように促しているのだととらえていた。
逆に「オシムはもっと分かりやすく喋るべきだ」などと書いている評論家もいた。これはまったくもって笑止千万である。
思い出すのは中田英寿だ。彼は質問をせずに「◯◯でしたが・・・?」と、選手から自発的にコメントがでてくるはずだと思い込んだ質問をするインタビュアーを嫌った。「で、質問は何なの?」と返していた。その聞き手に似ている。
相手に喋らせろ、というのが論理性に欠けた日本ジャーナリズムらしい伝統的やり方なのだろう。
このタイプの質問は試合後のインタビューをする若いアナウンサーに多い。若い記者を教育できないことはテレビ局のデスクの無能さを物語っている。
(スポーツジャーナリズムとは関係ないが、省庁の記者クラブが非難されているのも、役所から簡単に得られる情報をそのまま報じるだけ、つまり役所のスポークスマンのように情報を垂れ流しているだけという点である。)
インタビューする相手に「記事にしやすい様に喋ってください。」などというのでははっきりいってジャーナリスト失格である。理由はあえてここでは述べないが、なぜかわからないようではもはや言うべき言葉は無いだろう。
それに比べれば複眼的見方というアイデアにたどり着いたのはオシムを理解する努力をきちんとしているという点で評価できるものだ。
ただ、惜しむらくはやや表面的な分析にとどまっている。
オシムは「複眼的たれ」と言っているのではない。
「語り得ぬものについては沈黙しなければならない。」
これが数学者の、あるいは自然科学社の未知なものにたいする一般的な態度であろう。
オシムが断定しないのは、「断定しようとすればできるのだが、それでもいろんな面から検討すべきだ」と言っているのではない。断定できないから断定しない、と言っているのだ。
ヴィトゲンシュタインはたしかオーストリアの出身で、オシムが知らないはずは無い。(ただしオシムが数学のどの分野を勉強したかは知らない。)
ジャーナリスト諸子も、数学者のインタビューをするならブルーバックスの数冊は必ず読んでいなければなるまい。
欧米ではオシムのインタビューをするジャーナリストは少なくとも3冊の数学書を読む、という根拠の無い噂もあるのではないかと私は想像している。
いまからでもかの一冊は読んでおくべきだ。
posted by ぜつあつし |21:00 |
サッカー日本代表 |
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Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
またも引っかかってしまった。
>ブルーバックスの数冊は必ず読んでいなければなるまい
嗤い。 ―
まじめに言うと、数学書もウィトゲンシュタインもホフマンスタールもアルバン・ベルクも、まったく知らなくてよい。
ドイツ語もセルボ・クロアート語もイタリア語も喋れる必要はない。
ただひとつ、サッカーの試合について自身の定見を持った者だけが質問をすべき。
サッカーとはどうあって欲しいものだと考えたことがなければ、単に喋られたことを聞いたまま枉げずに伝えるのみに留めることだ。
posted by 惜しむ | 2007-09-16 21:24
Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
おっしゃるように、試合後の選手へのインタビューは、質問がひどすぎると常々感じていました。もう少しサッカーを知っているレポーターが質問すべきでしょう。
ただ、野球のヒーローインタビューは、質問するレポーターも、選手も、エンターテイメントと割り切ってやっているようで、それはそれで個人的にはおもしろいと感じています。
また、オシム監督を知るには、やはり、数学や、ヴィトゲンシュタインを知っていた方が、いいのでしょうか?
posted by うさこの彼 | 2007-09-16 21:45
Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
数学書はネタでしょうが、意味不明な質問をするサッカー記者多すぎますね。自分の質問を選手にしゃべらせるきっかけくらいに思ってるんでしょう。
posted by 山人 | 2007-09-16 23:27
Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
記者クラブは情報をそのまま流してもらわないと困ります。情報の発信場所から変な主観で曲げられると非常に困るし、各紙ある程度統一性を持たせる意味で記者クラブがあるのですから。省庁も記者クラブを使って情報発表している部分もあるのですから。
サッカーについては私もそう思います。数学書はどうでもいいし、あまり関係ないけど質問が「幼稚だなあ」と感じることは多々ありますね。
posted by 見学者 | 2007-09-17 21:27
Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
> 欧米ではオシムのインタビューをするジャーナリストは少なくとも3冊の数学書を読む、という根拠の無い噂もあるのではないかと私は想像している。
ぜつあつしは「数学書」とやらをただの一度も読んだことがないのだろうね
恥ずかしい
posted by 噂を想像w | 2007-09-18 21:07
Re:論理哲学論考とオシムのことば(物足りないジャーナリストたち)
>欧米ではオシムのインタビューをするジャーナリストは少なくとも3冊の数学書を読む、という根拠の無い噂もあるのではないかと私は想像している。
この主張が、まさに
>「語り得ぬものについては沈黙しなければならない。」
ですね。
posted by 解読不能 | 2007-09-25 03:55


