2008年05月22日

『典型的な10番』の思い出 【後編】

先日の「前編」にコメント頂いた方々、ありがとうございました。

それでは後編です。第5位以降から順番に。
※あくまで私の好みの順であって、選手の優劣の順位ではありません。


⑤ ズボニミール・ボバン(クロアチア)

クロアチアの10番、そしてACミランでも10番を背負ったクロアチアの英雄。的確なタイミングで正確に放つパスセンス、コーナーすれすれに放つコントロールされたシュートなどが印象的で、そういった状況判断に優れたMFであった。

またクレバーなディフェンスも光る点であった。そう、ボバンはトップ下というよりはレジスタであり、今回のリストの趣旨とは若干異なる。が、ポジションは違えどタイプは似ている、ということでご容赦いただきたい(だったらグァルディオラやレドンドも入れたかったと勝手に後悔し始めている…。)。

ボバンという選手には、プレー面以外でもその生き様に魅了された。1990年5月13日、ディナモ・キエフ対レッドスター・ベオグラード戦において暴動が発生した。暴動制圧のため、子供も含むクロアチア人に容赦の無い暴力を振るう警官隊。そのうちの一人の警官に対して、ボバンは少年を守るために跳び蹴りを食らわしてしまう。それによりボバンは9ヶ月の出場停止処分を受け、1990年イタリアワールドカップへの出場を棒に振ってしまう。しかし、その行為に対してボバンはこう言ったのだ。

「私はまずサッカー選手である前に人間である。人生の中で自分として一番大切なことをやったまでで、そのためにサッカー選手としてワールドカップに出場出来なかったことは全く後悔していない。」


④ イバン・デ・ラ・ペーニャ(スペイン)

スペインの司令塔というと、最近ではファブレガスやイニエスタら『現代サッカーの申し子』とでも言うべき素晴らしいセントラルMFが思い浮かぶが、今回の趣旨から言うと間違いなくこのデ・ラ・ペーニャである。

30-40メートル先の味方目掛けて正確に放たれるグラウンダーのスルーパスは、正にデ・ラ・ペーニャ(とバルデラマ)にしか出来ない芸当、いや芸術品である。そんなデ・ラ・ペーニャの代表デビューは何と28歳、しかもほとんど出場できていないことを考えると、クラシックタイプのパサーの終わりが真に感じられる。

蛇足だが、何故背番号が9番なのか。一番似合わないと思うのだが…。


③ アレクサンドル・モストボイ(ロシア)

『ロシアの皇帝』たる10番。まさに天才である。

個人的にはロベルト・バッジョに継ぐファンタジスタだと思っている。想像性溢れるプレーを一試合の中で何度も連発できる高い技術と発想力を誇っていた。ボールキープ、巧みなパス、判断のいいドリブル、広い視野、正確なFK、強烈なミドルシュート…。全ての基本技術を持った上で、それをファンタジーに転換できる希有な司令塔である。

ちなみに私の理想像であるプレイヤーでもある。かっこいい顔も含めて。


② マヌエル・ルイ・コスタ(ポルトガル)

ポルトガル黄金世代の10番、通称『マエストロ』。背筋を伸ばした柔らかいドリブル、絶妙のタイミングで放たれるスルーパス、舞うようなボールタッチ。特に浮き球のロングパスは素晴らしいアートであった。

※ 詳しくは先日のエントリー「ルイ・コスタ、引退に寄せて」をご覧ください。


① カルロス・バルデラマ(コロンビア)

パサーのある一種の完成形といえる。私は彼のスルーパスを見て、サッカーは本当に美しいと感じた。

1メートル先だろうと40メートル先だろうと、バルデラマはインサイドキックで、それもグラウンダーで正確無比なパスを通す。ピッチ上を完全に把握する広大な視野を持ち、味方へのパスの通り道を見つけ出すのだ。
バルデラマはいつも大概歩いている。だが走らなくともボールは司令塔の足元に集まり、バルデラマはいつものパスでいつものようにアシストを記録する。まさに現代サッカーではありえない『典型的な10番』の最たる典型であるが、それがバルデラマの職人的魅力なのだ。

W杯(90年・94年・98年)に三度出場したコロンビア史上最高の10番である。リンコン、アスプリージャといった世界レベルの仲間と共に、コロンビアは90年代のサッカー界に旋風を巻き起こした。

蛇足だが、私が必死でバイト代を貯めて初めて購入したユニフォームが、バルデラマ(コロンビア代表モデル)であった。


以上

いかがだったでしょうか。つたない文章力ではありますが、頑張って書いてみました。この投稿で初めて知った選手などがいましたら、是非映像を見てみることをお勧めいたします。それではこのへんで。

ご意見、ご感想、ご批判、間違い指摘、等何でもお待ちしております。

posted by zeppelin |02:10 | 海外 | コメント(7) | トラックバック(0)
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『典型的な10番』の思い出 【後編】

ハジ、シーフォ、バルデラマ、ルイ・コスタ、ボバン・・・が居て、文中にも「チラ出(笑)」してるR・バッジョは居ないんですか!?

・・・たしかにかの将軍・プラティニー(彼も入れたって!w)
がロビーを「9・5番だ!」と称したように、チョイ前目でスコアラーの仕事もこなしてましたし、ドリブルも巧かった。

・・・けど「10番」にこだわってたし、トラップ1つを芸術品にするとこや、なんせ「ファンタジスタへの迫害(苦笑)」を受け続けたストーリーが美しすぎません?(笑)

あ、あと俺なら木村和司を推しますw

ハジ、シーフォ、バルデラマ(・・・は、評判より悪かったけど・・・)とロビーが輝いた94に和司師匠やラモスらも連れてってあげたかった・・・。

posted by 上段青天 | 2008-05-22 08:13

Re:『典型的な10番』の思い出 【後編】

ツァーリ・モスト様最高でしたね。
ビクトル・フェルナンデス率いる外人傭兵部隊セルタ。90年代で1番美しいサッカーだったと思います。

posted by lemg | 2008-05-22 08:55

『典型的な10番』の思い出 【後編】

はじめまして
気になるエントリーなので参加させて下さい。
自身も90年代サッカーが青春時代。
90年代後期、00年代前期に股がる選手は駄目なんでしょうか?
ジズーとリケルメは、クラシカルな司令塔ではないのでしょうか?如何でしょう(^_^)v

posted by すがりとおる | 2008-05-22 11:46

『典型的な10番』の思い出 【後編】

私より下の世代かな・・・?
82W杯のジーコ、84ユーロのプラチィニ、86W杯のシーフォ
90年W杯のピクシー・・・。

ユーベ時代のプラティニが、印象深いなぁ・・・。

posted by とうりすがり・・・。 | 2008-05-22 13:30

『典型的な10番』の思い出 【後編】

>上段青天さん
バッジョは私もかなり好きなんです…が。前編のコメントのところでも書いたのですが、今回の投稿では『1.5列目のファンタジスタ』と今回でいう『2トップ下にセンターの司令塔』は別物と考えて、今回は外させていただきました。…ほんと勝手にリスト作ってるだけにも関わらず、少し偉そうな回答ですいません!(あと木村和司やプラティニは年代的に断続的な映像しかみたことがないので、なんとも言えないのが正直なところです。)
いつか機会があれば「ファンタジスタ十傑」のような投稿もさせていただきたいと思いますので、その際はバッジョについて語らせていただきたいと思います。

>lemgさん
わかります。同じ気持ちですね。モストボイ、カルピンを筆頭とするセルタが奏でたパス・サッカーは美しさでは間違いなく一番でした。

>すがりとおるさん
いえ、90年代後期、00年代前期に股がる選手が駄目ということはありません(そもそも私が勝手に作ってるだけですので…)。
リケルメは確かに非常にクラシカルな司令塔なのですが…フィジカルが強いのが少し私のイメージと異なっていただけだと思います。そのせいか全く思いつきませんでした。
ジダンはセンターだけでなくサイドや2.5列目でも問題なく機能していましたし、今までの司令塔が持っていたパスセンスやテクニックに加えて、フィジカルと運動量をプラスしたプレースタイルは正に私の中では『新時代の司令塔』というイメージでした。…ので今回は外さていただきました。

>とうりすがり…。さん
そうですね。少し下の世代だと思われます。挙げられた80年代のプレーは是非今後見てきたいと思います。

posted by 管理人 | 2008-05-23 12:07

『典型的な10番』の思い出 【後編】

比較はするだけ無駄なので好きな司令塔を
ボバンのようなタイプでよいなら、バッジョとストイコビッチははずせませんね。
また、ジーコとプラティニとマラドーナは得点力ももった典型的な10番タイプです。しかもこのランキングの最上位にきていい選手です。小学生のとき夜更かししてスペインのワールドカップを見ていました。あの時の衝撃は忘れません(ジーコとプラティニ)。
また、レドンドも10番タイプといってよい選手なんじゃないですか?(5番だけど、マラドーナがいちゃ10番はつけれないからね)
とりあえず思い入れですが、長短のパスが決まった瞬間にゾクゾクしますね、しかし彼らのプレーは、すばらしいストライカー(受けて)がいてこそ輝きますね。

posted by TAKE | 2008-05-25 22:27

『典型的な10番』の思い出 【後編】

>TAKEさん
返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
ジーコとプラティニとマラドーナはリアルタイムで観れなかった世代なのですよね・・・。残念でなりません。
レドンドもそうですよね!ボバンがいてレドンドがいないという矛盾には自分で霹靂してしまいます・・・。

posted by 管理人 | 2008-06-11 01:42

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