2003年10月31日
先日、ある人にこういう質問をされた。
「お前(セッター)自身の”売り”って何?」
…今まであまり聞いたことなかった質問にビックリしたが、自分の答えは、
「自分は、一度失敗しても成功するまで、何回でも同じ攻撃をします、これが自分の”売り”ですね」。
これ以外でも、今シーズン、自分が常にやろうとしていること…トスを上げることはもちろんのこと、相手(敵)の顔をジ~ッと見ること―。
野球で、
「キャッチャーは、バッターボックスに入ってくるバッターの表情・姿勢・雰囲気を感じ取って、最終的にサインをピッチャーに送る―。」
と聞いたことがある。ひとつの”心理的作戦”だろう。
キャッチャーは、バレーで例えれば「セッター」と同じポジションだから、この作戦をやってみる価値はあるんじゃないかな…と思って始めてみた。
結果はすぐには出ないけど、自分からしてみれば、攻撃パターンを組むために必要な「幅」が広がった。
セッターは試合中、味方のすべてのアタッカーにサインを出している。だからセッターは好きな攻撃を展開できる。
言い換えれば、どういう”局面”で”誰に””どういうトスを上げたか”によって、勝敗にまで影響を及ぼす…自分が思うには、セッターは「身体的」というより、むしろ「精神的」に働かなくてはいけない選手だと思う。
(おかげで疲れることも多いけど…)
いろんな作戦もあるけど、やっぱり「打ちやすい」トスを上げることが、セッターの大きな仕事!
相手を常に警戒しながら、味方の攻撃パターンを組み立てる―。
セッターをやっている選手にしかわからない楽しさ、苦労がある。
失敗して、試合に負けた時は当然悔しい…!
でも成功して勝った時は、「表面には出てこない、自分だけがわかる喜び」がある。
この「出てこない自分だけの喜び」を求めて、これからもセッターとしてプレーしていきたいと思っている。
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2003年10月30日
今のままではいけない―!
最近、考えることはこの言葉から始まっている。
試合でも先発でフル出場、ケガもなく、結果もそれなりに残っている。
でもこれだけでは、はっきりいって満足できない!元々の自分の目標は「プロリーグ」だったから…。今のリーグは、その下のナショナルリーグ…自分の目標はもっと上にある。「経験」として考えれば、昨シーズン、今シーズンと申し分ない。でも、自分自身の目標は達成していない!
「何とかしなきゃ…」
そう思っているだけでは前には進めない!
誰かを頼る前に自分で何とか行動を起こして…。
かといって行動する「術(すべ)」がない…というかわからない。
海外でやるようになって2年目―。
移籍のときも自分で動いて、自分でチームと契約してきた。トライアウトを受けるための移動費は当然自分持ち…さすがに限度はある。
それでも、諦めず続けていく…自分には”これ”しかない!
やめたって何も残らないし、その先には何も待っていない。
それだけバレーに賭けて、バレーにすべてを注いでいる―。
自分にとってバレーボールは今後の「人生」そのものにしていきたい。そのために、現在もこうやって挑戦している。
将来的には、海外で「指導者」という立場でもやっていきたいと考えている。
自分には、もはや「バレーボール」しかない!(他は一切考えていない!)
だから、迷っても何があっても「バレーボール」からは絶対に離れない!
自分の人生の糧として、考えていきたい。
人はいろんな「悩み」を抱えている。でも、自分の好きなこと、望んでいることについての「悩み」は、はっきりいって「悩み」じゃない―。いつの日か、必ず「希望」へと変わっていく!
こういう考えと共に、試行錯誤をくり返して、常に前向きに、これからの自分のバレーに対する人生設計を立てていきたい。
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2003年10月29日
自分の部屋から徒歩1分のところにある中華料理店―。
ここで食事することも多い。
ここのママさんは、自分にとても親切に面倒を見てくれる。
「バレーしに来てるんだ!」
と言うと、
「パイチュウ?」
と…。最初は全くわからなかったけど、聞いたら「バレーボール」を中国語でそう呼ぶらしい。
いろいろ中国語も教えてくれる。
なにしろ、会話のコミュニケーションはフランス語はもちろんのこと!でも、全部はまだ自分はわからない…そこで、最高のコミュニケーションは「漢字」だった。
「漢字」は日本も中国も同じものが多く、語意さえわかれば、いくらでも話がすすむ。もともと漢字は大好きだったから、それで話のきっかけを作っていた。
ママさんはそのほかにも、いろんなサービスをしてくれる。食後は決まってデザート(もちろん中華)を出してくれる。これが食べたことない味で、さらに美味い!
ママさんはいつも会う度に、こう呼ぶ!
「ニイハオ、ションタ~!」―。
雄大(ゆうた)を中国語では「ションター」と呼ぶらしい。最初は「誰のこと呼んでんだ?」と思っていたが、最近はそれが定着して、
「ションタ~、元気?」
「ションタ~、今日は練習あんの?」
「ションタ~、何食べる?」
…いつもこんな調子で会話する。
でも自分自身、何故かすごく嬉しい。
やっぱりいろんな国の人といろんな形でコミュニケーションが取れるって素晴らしいことだと思う。
しかも最後は、
「サイチェン!(さようなら)」
で店を出る。
自分の大学時代からの後輩の一人は中国人だった(もちろんバレー選手)。彼は最初に仲良くなったのは自分だった。彼は現在、Vリーグのチームのコーチ、アナリストをやっているけど、日本語もかなり上達していた。
彼の影響もあって、中国の人とはよく話をする。しかも楽しい!
このママさんもすごく良くしてくれる。
同じアジアの人間として、考えることも似ている。
いろんな話題で、長居することも多いけど、そこでもフランス語を聞けるし、勉強できる。漢字をきっかけに覚えることもできるなんて…。
どこで、どんな人と出会うかわからない。これからもいろんな人といろんな形で出会うだろうけど、積極的に話せるように努力していきたい。
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2003年10月28日
久々のオフ―。
冬を待つパリの街に、一人散歩にでかけた。
パリとはいえ、日曜日は静かで人も少ない。厚着してパリの街を歩いていた。
すごく新鮮に思えた。街自体が静かなせいか、いろいろ冷静に物事を考えることができた。
いつも散歩に行くときは、決まって家から歩いてオペラまで。それからルーブル美術館までの直線道路…この往復。
日本人観光客もほとんどいなく、「やっぱりここはフランスなんだなぁ…」と思うこともできた。
バレー(練習)がない日が少ないから、こういう日は自分には貴重な時間だ―。今の自分には散歩でもして気分を換えてみることも大切だった。もともと大勢でワァ~ッ!とすることがあんまり好きではない性格だから、こういう散歩のような感じの方が落ち着ける。
フランス人は、結構大勢で食事や会話をする。話によると、フランス人は一人でいると寂しくなる傾向があるらしい…。
自分は日本にいる頃から、一人になりたい時がたまにある。完全にスイッチが切れて充電して落ち着きたい時は、決まって一人になる…ドライブしたり、音楽(歌詞のない曲)を聞いたり…。
フランス人と自分はそういう意味では真逆なので、自分にとって一人でいたいときでも誘われたりして…大勢で騒ぐ場所に行ったり…そういうときに限って、いろんな友人ができる場所だったりもする(嬉しいような悲しいような…)。
でも今回は一人で散歩して、パリを眺めながら落ち着くことができた。
明日からも頑張ろう!って冷静に考えることもできた。
日本では決まって、ジムに通って汗を流す―。
でもフランスは日曜日はほとんどの店が休みだから、ジムも当然休み!せめて動くことを考えると散歩ぐらいしか…。
たしかにリーグでの疲れも多少ある。
2シーズン目で、昨シーズンからフルで出場しているし、他人にはわからない疲れもある。自分には手にとるようにわかる。
そんな時は、このゆっくり時間が流れるフランス・パリで散歩するのも、自分には良い治療法なのかもしれない―。
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2003年10月27日
11月から日本でワールドカップが開催される―。
残念ながら自分は観にいくことはできない…リーグ中だから。
出場国はとにかくすごい国だらけ!
特にヨーロッパからはイタリア、フランス、セルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)といったメダル候補の顔ぶれ!
このワールドカップの出場を賭けて行われた「ヨーロッパ選手権」の決勝戦は度肝を抜かれた…。
『イタリア×フランス』―。
フランスでもテレビで放送された。
優勝したイタリアは若手を起用して、以前のイメージとは少し違っていたが、それでも強かった。
準優勝のフランスも昨年の世界選手権で銅メダルを獲得して以来、着実に力をつけている。これまた「強い」!
この2国の戦いはフルセットまで続いた。見ていて飽きることなく、時間が過ぎるのを忘れるぐらいに見入っていた。
特に2セット目は「42-40」という見たこともない、また内容のぎっしりつまった長い戦いになった。
彼らの戦いを見ていて、
「ここと日本が戦ったときにはどうなるんだろう…」
と第三者的に考えてしまった。
11月には日本はこの国々と戦わなければならない。
自分の友人(全日本)にも頑張ってほしいが、それ以上に何かを得てほしい。
日本のファンにも是非、日本戦以外にも足を運んでもらいたい。バレー自体を好きになってもらいたい。
「世界ってすごい!」
「ヨーロッパのレベルって日本にいたら考えられない!」
と、素直に思う。ナショナルチームに入っていないヨーロッパのクラブでプレーしている選手も、一言では言い表わせないほどすごい選手が溢れている。
全日本チームにも、日本らしさで活躍してほしい。
自分は全日本には入るような選手じゃないけど、ヨーロッパでプレーしていることを誇りに思う。それだけでも価値のある経験をしているし…。
最後に、全日本の友人へ―。
「青山さん(No.1)、小林さん(No.6)、阿部(No.17)、宇佐美(No.2)…頑張ってね!」
帰国したら、いろんな話を聞こうと思う。
"Allez!L'Equipe de JAPON!(行け!全日本!)"
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