2008年08月08日

若手選手育成について

北京五輪サッカー第1戦、日本はアメリカに敗れました。
今回のメンバーでは、得点の匂いを感じないなと感じていた不安がやはり的中してしまいました。
ゴールの枠の中へシュートを打てなければ、得点が入るわけがありません。
日本がここ数年間ずっと言われ続けていた問題をまた露呈してしまう結果に終わりました。

なんで日本は、得点力不足を解消することができないのでしょうか?

得点できない理由について、もっと追求する必要があるのではないかと思います。
「なぜ?」「どうして?」の原因を考えて検証する必要があるでしょう。

私はこの時期、欧州サッカーがオフシーズンということもあり、見る試合が少ないので、
よく本を読んだりしています。

いくつかの「なぜ?」「どうして?」ということを頭の片隅に置きつつ、いろいろな本を読んでいると
思いがけないところから、そのヒントを発見することがあります。

原因には様々な要素が含まれているもので、決して答えは1つではないものですが、
私がこの夏発見した、その要因ではないかと思われる点をいくつかご紹介します。

サッカーにおいての攻撃の際、相手ゴールに向かってプレーをするということはとても重要なことです。
カカにせよメッシにせよ、ボールを受けたら常に相手ゴールに向かうプレーが目につきます。
日本人はどうでしょうか?
なぜ、カカやメッシはゴールに向かったプレーができるのでしょうか?

欧州のサッカー練習場には、ゴールがたくさん置いてあるそうです。
レギュラーサイズだけではなく大きいもの小さいものなど様々なサイズのものが30台ぐらいあるのだそうです。
そして、シュート練習に限らず、ボール回しの練習でも練習の際は必ずゴールを使って練習するそうです。
ボールを受けた際、自分がどこにいるのか、どこに向かうべきなのか、ゴールがあることによって位置関係がわかりやすくなり、ゴールを意識する習慣がつきます。
子供の頃から、この習慣を繰り返しているのです。
カカやメッシは南米出身なので、南米もそうなのかはわかりません。
ただこれは一つのヒントではないでしょうか。
日本のグラウンドには、ゴールはそんなに置いてないんじゃないでしょうか。


南米と言えば、ストリートサッカーで子供たちが遊びながらサッカーをしていると聞きます。
私は子供のころ、野球が好きで、学校から帰ると、日が暮れて真っ暗になるまで友達と野球をしたものです。
そして、子供ながらにもっと上手くなりたくて、ひとりで練習したりしました。
壁に向かってボールを投げて取る遊びをよくしました。私の家の壁は平らなコンクリートではなくゴツゴツした石でした。
だから、投げるとどっちに弾むかまるでわからない。それに反応できるようになっていく自分を楽しんでいたように思います。
かといって、私が野球選手になったわけではありませんが。

今の子供達はどうなんでしょうか?そういう遊びをしているのだろうか?
サッカースクールやジュニアのチームなどサッカーに触れる環境は増えたと思いますが、
遊びの中でサッカーをしているのだろうか?
遊びは子供の想像力を育みます。
ロナウジーニョなどはそうした中からサッカーを覚えてきた典型でしょうね。

誰が言ったかは忘れましたが、
失敗することは、トライした証しだ。

スクールやチームでは、失敗を恐れてしまっているのではないでしょうか。


こんな記事も見かけました。

現代のハイスピード化・ハイプレッシャー化の中でも発揮できる個人技術の基礎は、15歳ぐらいまでに完成させておかないと、成人してからでは、世界レベルで戦える選手にはなれないのだそうです。

この記事を読んだとき、私は背筋が寒くなりました。

パス&ゴー(パスを出したら動く)
ミート・ザ・ボール(ボールを迎えに行って受ける)
ルックアラウンド(周囲をよく見回す)
など、サッカーの基本中の基本はもちろんのこと、
トラップ、ドリブル、キックなどの個人能力を、今、目の前でプレーしている選手たちは
15歳までに完成できているのだろうかと不安になりました。
もちろん、代表に選ばれるぐらいですから、それらが完成されているから選ばれているんだと信じたいですが。。。
もし選ぶ対象が「どんぐりの背比べ」だったら、悲しいことです。


サッカーマガジン(8/19号)の日本サッカー協会新会長・犬飼基昭氏のインタビューの中で
こんな記事もありました。

メキシコの育成担当が来日した際、U-13年代のチームを見せたら、すばらしいタレントがたくさんいると絶賛したのに、
U-14年代のチームを見たら、「何だこの選手たちは。U-13年代のすばらしさはどこへいってしまったんだ!」と言われたそうです。

だいじょうぶなのか、日本!
私はまた背筋が寒くなりました。

U-13年代はまだ、日本の指導者の指導を受けておらず、伸び伸びプレーしていたのに、U-14世代は良さが消えてしまっていたのだそうです。
当然そのU-14世代がその指導のもと成人していくわけです。

日本の教育の基本は、平均的なことを目指します。
劣っている部分を矯正して、そのことにより良い部分が消えてしまう。
良い部分を生かしながら、劣っている部分を是正できないものなのだろうか。
むずかしい問題ですね。


このブログの中で、『考えて走るサッカー』について取り上げてきましたが、
論理的に物事を考える言語力・コミュニケーション能力も重要な要素でしょう。

言語力・コミュニケーション能力は、生まれてから12歳ぐらいまでに基礎が確立されるそうです。
育った環境に最も左右されてしまい、その基礎を確立できないと一生それがついて回ります。
論理的な思考が賢さを生み、それにより学習能力を高めるものだと思います。

このことは、
「ジョゼ・モウリーニョ」の時に取り上げた、選手の頭脳の必要性に共通します。
試合中にフルに頭脳を使うために集中力を高める。
集中力を高めれば、判断能力も早くなるのではないでしょうか。

フランスには30年以上も前から国立のサッカー学院があるそうです。
アンリやトレゼゲを輩出したことでも有名です。
フランスでは、サッカーがうまい子供は山のようにいるそうですが、そのスクールへの入学の選考基準は
最終的には賢さだそうです。賢い子供は学習能力が高いため、サッカーの上達も早いのだそうです。

日本では、勉強ができないからスポーツでがんばるというような発想が強いように思います。
世界のトップアスリートを見渡すと、その言動から、確かに賢いひとが多いと感じませんか。

「何をするために、この練習をする」
「どんなプレーのために何をする」

そのことを常に頭の中に入れてプレーしていないと、応用は利かないものです。
そういった論理的な思考が応用力を生むのだと思います。
マニュアル通りにやれば、誰でも同じことはできますが、マニュアルに書いてないことはできません。

日本人は、参考書や虎の巻、解説書などが大好きです。
なぜなら、わからないことの答えがそこに書いてあるからです。
参考書はあくまでも参考であって、答えは自分で導き出さなくてはなりません。


「日本という国は、規律やルールがあるからこそ、すべてがうまく機能している。
つまり、自分の頭をあまり使うことなく、規律やルールを重視しているからこそ「アナーキー」な状態とは程遠い国になっているのだ。
それは、尊重すべきことであるが、サッカーは別である。
選手たちも見る側も、自分たちで考えなくてはならない。
選手たちも見る側も、ロボットではいけないのである。」
イビチャ・オシム氏「日本人よ!」より


これは、私の中での推測でしかありませが、
私たちが生活している環境の中にはサッカーの得点力不足を促す要因がたくさん潜んでいるように思います。


現実を受け止めなければなりません。
日本のサッカーに足りないものは何なのか?
「考える力」と「指導能力」なのではないでしょうか。
若手選手の育成には切っても切り離せないことではないでしょうか。

代表に限らず、日本中でサッカーを教えている方、サッカーをしている子供を持つ親御さん、そして将来親になるであろう方、更には、サッカーを伝えるメディアの方。サッカーにかかわるすべての方に、そうした現状を知り、何をするべきか考えて欲しいものであります。
サッカーを見ているすべての人それぞれが考えて、身近なところでの意見交換するなどすることによって、レベルは底上げされていくのではないでしょうか。

参考文献
『実況席のサッカー論』 山本浩x倉敷保雄
『「言語技術」がサッカーを変える』 田嶋幸三
『論理的に考える力を引き出す』 三森ゆりか
『サッカー批評(39)』
『週刊サッカーマガジン(8/19号)』
『日本人よ!』 イビチャ・オシム

posted by yuspo |18:21 | コラム | コメント(9) | トラックバック(0)
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若手選手育成について

コメント投稿者ID :

Jリーグを見ずに、欧州サッカーばかり見てる人にTVや本を見て日本の若手育成を語らないでほしい。

posted by SAZaN | 2008-08-08 20:32

Re:若手選手育成について

コメント投稿者ID :

日本のサッカーって欧州に比べたら、まだまだ歴史が浅いです。
またサッカーは文化ではないし、多種多様なスポーツが好まれてます。なので、みんなが協力的になることは不可能です。
島国であるが故の事だと思うので、早急な改善は無理でしょう。
海外に出るのが手っ取り早いでしょうね。

posted by footballshow | 2008-08-08 20:35

若手選手育成について

コメント投稿者ID :

初めてですがちょっとだけ失礼します。サッカーの指導を受けるときは自分で考え判断することが推奨されても、私生活では「空気読め」とか言われちゃう日本ですからねぇ、サッカーの時だけ都合よくいくんでしょうか?
期待はしてるんですけどね。

posted by たわいもない感想 | 2008-08-08 20:41

若手選手育成について

コメント投稿者ID :

日本サッカーは着実にのびてますよ。
テレビばかりではなく、スタジアムに足を運んでみてください。
Jリーグはシーズン真っただ中ですので。
ユースも頻繁に試合やっていますし。参考になるんじゃないですか。

posted by k | 2008-08-08 21:42

若手選手育成について

コメント投稿者ID :

「ハイスピード化」・「ハイプレッシャー化」っていう記事ってどこにありました?

実際、過去と比べて何が変わっているのかっていうのに興味があるんですが・・・。もしそういう流れにあるなら、確かに基本技術の早期習得が重要になってくるでしょうね。

加えて判断力。より早く判断することが求められることになるんでしょう。

逆を言えば、過去に比べて特に劣っているように思われるのは、この判断力だったのではないかと思っていますが。

日本のサッカーに足りない部分を管理人さんの言うように「ストリートサッカー」の重要性っていう視点で見ている観客は思ったより少ないんじゃないっしょうか。やっぱりパズルのように選手をとっかえひっかえすれば済むかのような言説が多いですね。

メディアや観客が選手選考・選手交代、フォーメーションに執着するようなレベルであれば、日本のサッカーのレベルってのも推して知るべし。

選ばれなかったメンバーの可能性を考えるよりも、今いるメンバーで何が出来て、何ができなかったっていうように見ている観客って少ないのだなと色々なブログを見て、改めて思いました。

posted by ブランク | 2008-08-09 00:04

Re:若手選手育成について

コメント投稿者ID :

若いうちしか技術はつかないなんて自分が二十年前に少年サッカーやってた時から当たり前な話ですし主さんが話してる事は随分前から言われてたり記事になってる話ですね。今更な話やと思いますが

posted by modsking | 2008-08-09 00:38

若手選手育成について

コメント投稿者ID :

うん、、、、仰ってることはほぼ同意できるのですが、modskingさんのご意見に賛成です。
才能では小野にも俊輔にも全く見劣りがする中田英があそこまでやれたのは、ひとえに頭の良さと考える力があったからです。
もちろん、中田英の考えたことががいつも正しかった、とは思わないですけど、でも常に自分で考えていましたよね。

posted by ジダ | 2008-08-09 03:02

若手選手育成について

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例えばfwの育成にしても、過去日本に世界レベルで実績のあるfwは皆無ですよね、そんな国がfwを育てられるのだろうか?やはり指導者は実績のある外国人をつれてくるのが早いのでは?

posted by せぱ | 2008-08-09 12:37

若手選手育成について

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GK専門のコーチがいるようにFW専門のコーチがいてもいいように思いますがどうでしょう?
育成段階では(ミニを含めて)ゲーム数を増やすのが手っ取り早いのではないでしょうか。


posted by jus | 2008-08-10 07:42

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