2010年11月15日
17日間に及ぶ戦いが閉幕しました。
優勝はロシア、準優勝がブラジル、そして、3位に日本。
メダルを賭けて準決勝でブラジルと対し、3位決定戦でアメリカと対戦するなど、大会前は思ってもいませんでした。
ただ、もしかしたらもしかするかも、と思ったのが、大会前に木村選手を取材したときです。
発する言葉や、顔つきが今までとは違い、風格を感じました。
あれだけの負担とプレッシャーを背負いながら、この成績を残した最大の功労者である彼女は、間違いなく日本のエースだと改めて思いました。
ただ、コラムにも書きましたが、頼もしいエースがいることは心強いことでもあり、脆さでもあります。
今日の決勝後の記者会見でロシアチームの監督はガモワ選手の評価を問われ、こう答えました。
「ガモワは素晴らしい選手だが、たくさんいるリーダーの1人に過ぎない。すべてのセットでみんながいいプレーをし、悪いプレーをした選手はいなかった。ガモワが勝ったのではなく、これは全員の勝利。ガモワで勝ったとは思わないでほしい」
仰る通りです。
ガモワ選手の高さをいかんなく発揮できるようなトスを提供できるセッターのスタルツェア選手、うまさと抜群の安定感を誇るシャチコワ選手、そして何より、センターのボロダコワ選手の二段トスがまぁうまいこと。
ロシアに脆さはありませんでした。
勝つべきチームとはこうなんだな、と納得させられました。
3位という結果を得たからこそ、もっともっと強い日本になるために。
課題もたくさん見つかった大会でした。
前向きに消化され、来年のワールドカップをもっともっと実りあるものにするために。
Vリーグの戦いに期待して下さい。
明日はVリーグの会見があります。
この盛り上がりをどうつなげるのか。
きちんと取材してこようと思います。
posted by tanaka yuko |03:50 |
バレーボール |
コメント(1) |
2010年11月04日
個人的にペルー、セルビアのセッターがとても好きです。
ハンドリングもいいし、トスを出すときのタメ、使い方、いろんな観点で見ても、うまい選手だなぁあと見るたび思いました。
とりわけセルビアのセッターは素晴らしい。
今日の日本戦でも、1、2セットはセンター線とサイドの平行でブロックを散らし、3セット目以降にうまくバックアタックを絡めてきました。
4年前に東レの体育館で練習試合をしたという中道選手も、「当時と比べ物にならないぐらいうまかった」と驚いていました。
北京五輪以降、セルビアも速さを追求している過程だそうです。
セッターの選手曰く、「日本はディフェンス型の速いバレー。セルビアが目指す形とは根本が違う」。
2次ラウンドもセルビアが見られるのが楽しみでなりません。
posted by tanaka yuko |02:56 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年11月01日
録画がたまった龍馬伝を見ました。
いろは丸です。
幕府の象徴として紀州藩が描かれ、反幕府の対象として土佐藩が描かれています。
坂本龍馬さんを描く上で、欠かすことのできない史実です。
小学生の頃、図書館で見つけたマンガ日本の歴史「坂本竜馬」から、坂本竜馬さんが大好きで、「竜馬がゆく」も熟読。
いろは丸事件は、暗殺にも関わる、大きな、いや大きすぎる分岐点になる事件です。
(龍と竜は見解でわけています)
ドラマを否定する気はありません。
何しろ、龍馬役の方が大好きなもので。
いや、それだけではなく。1話から録画しているものとしては、確実な変化も感じていますので、役者さんとしての変化も感じる日々。
それを否定する人がいるのは、まぁそういうものなのだろうと。
ただ1つ思うのは、このドラマを見ている人が「いろは丸」事件が、なぜ大きな事件なのかはわからないのではないかと疑問でなりません。
たぶんそれは私が好きすぎて、細かく知りすぎようとして、実際これが大河になるなんてことを関係なく愛してしまうからこそのことであって、自分の100と世間の100が一致しないのは否めない。
たとえば、龍馬伝を見ただけであれば、いろは丸衝突事件にまつわる「なぜ」は説明できませんよね。きっと。というか私が興味がなければ、できないでしょう。
バレーも同様です。
なぜあの場面であのプレーをしたか。
常に理由があります。
それが伝えられずに、単にサーブがよかったとか、スパイクがよかったとか、理由があります。
たまたま自分が抱いた「なぜ」を解明しようと思った機会を阻まれてしまったせいか、今日はそんなことを考える機会になりました。
なぜぶつかったか。
なぜ、それに対してあれほどまでの反論を試みたか。
史実とはまた違うかもしれませんが、なぜ、を問いかけるには答えを持っていなくてはならないんだな、と自分が見ていたのとはまた違う角度で感じた一日でした。
posted by tanaka yuko |02:05 |
バレーボール |
コメント(1) |
2010年10月21日
午前中の予選で、萩原智子選手は小学生以来の失敗をしました。
「飛び込んだ瞬間、ゴーグルに水が入っちゃった」
20年ぶり近い失敗を豪快に笑い飛ばし、
「アップから調子がいいから、24秒台が出ると思ったし、出したかったなぁ」
そう言って、ミックスゾーンを後にしました。
それから7時間後。
電光掲示板に刻まれた「24秒91」。
1コースで泳ぎ終えた直後は、角度が悪く、障害物が邪魔して自分でタイムを確認できず、記録員の方に「何秒ですか?」と聞いたそうです。
答えが返ってくるとほぼ同時に、「日本新記録達成」のアナウンスが場内に流れ、12年ぶりの日本新記録を達成したこと、25秒の壁を破ったことを知りました。
満面の笑みとガッツポーズ。
2004年のアテネ五輪予選を兼ねた日本選手権の50m自由形で1位になりながらも、派遣標準が破れず五輪の道を閉ざされながらも「やりきった」と言って笑ったときもいい顔をしていましたが、それ以上に輝いていました。
約1年前の国体で復帰を果たし、一回りも年下の後輩たちと母校で一緒にトレーニングを積み、4月の日本選手権で代表復帰。
競技の第一線で戦う体をつくるための基礎トレーニングから始め、
徐々に距離を増やした泳ぎ込み。もともと扁桃腺が弱く、何度も体調を崩しながらも、着実に築き上げてきたその成果が、今日の記録につながったのだと思います。
24秒台のタイムを出したとはいえ、決勝では6位。
「まだまだ速い人たちがいっぱいいるから」
あくまで通過点。
そして1つの目標を達成すれば、また新しい目標が生まれる。
さっそく大会2日目の21日には、100mのレースが待っています。
これからへ向けた一歩ではあるけれど。
おめでとう。
posted by tanaka yuko |00:09 |
水泳 |
コメント(0) |
2010年10月19日
高校時代、一番嫌いな練習がサーブレシーブでした。
理由は簡単。
とにかく長い。
セッターのAパス位置にネットを置いて、そこに10本連続で入れるまで延々と同じ練習が続く。
もともと単調な作業の繰り返しが好きではないので、サーブレシーブの練習が始まると、すぐ時計を見て、またすぐ時計を見て、「あーまた2分しか経ってない」とガッカリする。毎日その繰り返しでした。
そんな理由だけではありませんが、昨日、ある選手の取材に行き、レシーブ練習が好きだったと聞き、改めて尊敬の念を抱いてしまいました。
構えのポイント、力を入れる場所と抜く場所、手の面を「板」にたとえてボールに対して合わせるだけという感覚と体の使い方。
選手しか持ちえない感覚の話というのは、本当に深いし面白い。
どれが正解ではなく、十人十色、選手の数だけ感じ方やポイントがあります。
なんであの場面であの攻撃を選択したの?と疑問を抱くことも1つの見方ですが、なんであんな攻撃ができるの?と、技術や感覚に着目するのも1つの見方。
そんなことをまた改めて感じた日帰り出張でした。
posted by tanaka yuko |13:06 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年10月17日
サッカーワールドカップ南アフリカ大会で高地対策を担当した杉田正明先生の取材を「論スポ」の企画でしました。
チームに帯同する前、大会直前合宿からの帯同後にどんなことをしてきたのか、改めていろいろとお話をうかがう中には、サッカーに疎い私でも興味深いことがたくさんありました。
杉田先生を初めて取材させていただいたのは、私がトレーニングジャーナル編集部にいた頃の「陸上競技学会」でした。
4×100mリレーのバトンパスの方法をどう行うのが効率的か、研究者としての立場から見解を発表した杉田先生の話を聞いたことが、初めての取材。
そのときの言葉のなかで、とても印象的だったことがあります。
「100mを4人が走るだけだったら、日本は世界レベルにはなれないかもしれない。でも100人×4の走りならば、世界レベルになれる要素はある。その最たるものが、バトンパスです」
世界選手権やオリンピックで、日本のバトンパス技術の高さに触れられることは多々あります。
埋まらない差を埋めるための技術であるのは確かかもしれませんが、杉田先生が言ったように「ただ走ったら勝てないけど、掛け算にすれば勝てる」というのは、陸上に限ったことではありません。
たとえばバレーボールでもそう。
ドラゴンボールのスカウターではありませんが、単にその人が持つ力を数値化して、足し算して、その合計数で争うだけであれば、最初から勝利チームは決まってしまいます。
でもその足し算が簡単に成り立たず、戦力値が掛け算になると、どちらが勝つかはまったくわからない。
陸上のバトンパスのように、つなぎのプレーであったり、数字や技術では示せないものであったり。
掛け算にして何倍もの力をつけさせることができるか。
足し算が引き算になってしまうこともありますから、それこそが指導者の方々の手腕が試される部分かもしれません。
1人1人が走ったタイムを合計したポイントで争う箱根駅伝の予選会も、個人戦ではなく、チーム戦。
足し算から掛け算にするための綿密なプランがあり、それに対応できるための技術を磨いた選手たちがいて、それらすべてがうまく掛け合って、9位以内という目標を達成できる。
異なる競技にもいくつもの共通点がある。
そんなことを、改めて感じる、予選会での母校の結果をドキドキしながら見ていた土曜日でした。
posted by tanaka yuko |00:00 |
日々のたわごと |
コメント(0) |
2010年10月15日
今日の取材で、ある監督から、興味深いことを聞きました。
「ガツガツ攻めているように見えても、そのチームが試合の支配し、主導権を握っているかと言うと、そうとは限らない」
力の差がある両者の対決は別として、レベルが拮抗したチーム同士の対決では、特にこれが当てはまるのではないでしょうか。
以前取材した柔道選手はこう言っていました。
「最初の段階はただ自分の得意なことだけを前面に出す。次の段階にステップアップしたら、相手がどうくるかを考えて、自分の出方を決めるようになる。でも最終的にたどり着くのは、相手もこう来るかな、その中で自分のいいところは何かなと考えながら、『俺はこうするけど、どうする?』みたいな余裕が生まれて、そうなったら絶対に負けない」
一見すると面白いように攻撃が決まっているように見えても、もしかしたら次への布石のために、やられていると見えるほうが、その攻撃を展開させているだけかもしれない。
攻められているようで、実はそれも想定内。
力のあるチームに生じる余裕は、こんなところから出てくるのかもしれないな、と考えさせられた1日でした。
posted by tanaka yuko |23:37 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年10月14日
何カ月も更新せずにいたブログを、最近になってマメに更新するようになった理由があります。
先日取材した、あるアーティストの方が発した一言がきっかけでした。
「続けることは一番難しいことだけれど、それが一番の財産になる」
昔、バレーの師匠に何気なく言われたことがありました。
「セッターのトスが5mmずれても、バレーなら次のプレーにつなげられるし、アタッカーがフォローできる。でも、それがピアニストならその5mmのずれは致命的だよ」
アスリートもアーティストもミスが許されない世界です。
どちらが大変、というくくりはありませんが、ずっとスポーツ畑で育ってきた身としては、ガツンとくるひと言でした。
アスリートの方々の話を聞いて、いつも感心するばかりで、自分が何をしているかと言えば、何もしていない。
アーティストやアスリートが日々トレーニングを行うように、自分は何ができるか。
考えた結果、ブログの更新ではないかと。
昨日は更新しませんでしたが、何とか3日坊主にはならずに続いています。
千里の道も一歩から。
ちょっと遅い気づきと実行ですが、力を蓄えるべく、継続していこうと思う夜です。
posted by tanaka yuko |18:33 |
日々のたわごと |
コメント(0) |
2010年10月12日
サッカーには非常に疎いのですが、先日、前橋育英高校サッカー部の山田監督を取材する機会がありました。
同校OBの松田直樹選手や、細貝萌選手の高校時代の話を例に、山田監督の「指導論」をうかがう中、一番興味深かったのはこの一言です。
「指導者の仕事は、その選手が持っている才能や長所に気付いて適材適所に導くこと。そこから伸びるかは選手次第。でも一流になれる選手は必ずそこで努力している」
サッカーに限らず、指導者のひと言というのは実に重みがあります。
「なぜ」を説明すること。
そして納得させること。
サッカーの戦術はよくわからないことばかりですが、指導者が考えることに競技の違いはないもの。
深いひと言を聞くたび、そんなことを改めて感じます。
posted by tanaka yuko |16:46 |
指導者 |
コメント(0) |
2010年10月11日
普及と強化。
トップで成績を収め、なおかつ裾野も増やす。
簡単なようで、とても難しい課題です。
まず土台ありきで、底辺層を固めるやり方。
反対に、頂点で結果を残すことでその影響を底辺へとつなげる噴火型。
どちらを選択することが、真の普及と強化につながるのか。
トリノオリンピックで荒川静香選手が金メダルを獲得した際、全国のフィギュアスクールには入部募集者が殺到しました。
これは典型的な噴火型がもたらした影響です。
ただ、これが土台を固めたかといえば、簡単にイエスとは言い難い。
6~7年ほど前に、子どもの体力強化を目的とした、トップアスリートによるスポーツ指導教室を取材したことがあります。
そのときは陸上、サッカー、レスリングが実施種目で、オリンピックに出場した選手たちが直接指導にあたったのですが、私が取材していたレスリングは、参加者の9割9分がレスリング教室に通う子どもたち。
当然、レスリングの基本は知っていて、受け身もできる子どもたちばかり。単純に興味を示して、レスリングをやってみたいと思った子は1人だけでした。
みんなが簡単にウォームアップをこなしていく中、その1人の子だけは前転すらまともにできません。
子どもの体力低下について、さまざまなデータを見る機会はありましたが、前転ができない子を見るのは初めてだったので、取材をしながらびっくりしました。
その子や、周囲が悪いわけではありませんが、周りがブリッジや側転を軽々こなす子ばかりだと、どうしても彼は目立ちます。
途中からとてもつまらなそうで、半分ベソをかきながらお母さんのもとへ走り寄り、帰りたい、と訴えていました。
もしも自分だったら。
間違いなく彼と同じ行動をしたと思います。
もしかしたらレスリングどころか運動が嫌いになったかもしれません。
レスリング場の隅でぐずる彼を、もう一度マットへ呼び戻したのは当時のナショナルチームのコーチでした。
「どうした、泣いてるのか?」「周りはみんな出来過ぎなんだよ、ちょっと違うことからやってみようか」
少しでも彼の興味をひくように、根気強く誘い続け、レスリングとは全く関係ないような単なる取っ組み合いからレッスンを再開しました。
泣き顔だった子も、途中から少しずつ笑顔に。
最後はニコニコ笑いながら、「またやってみようかな」とお母さんに言いながら帰って行きました。
教室終了後、コーチに話を聞きに行く際、ぐずっていた子が「またやってみようかな」と話しながら帰っていったことを伝えると、何より嬉しそうに、「そのひとことがもらえたことが、今日の教室を開催した最大の収穫で、一番大きな意味です」と言っていました。
小学生になって前転ができずにいたその子が、オリンピック選手になることはおそらく難しいことでしょう。
でも、彼が運動嫌いにならなかったことは、もっと大きな意味があるように思えてなりません。
頂点ばかりを強化することを考えていたら、裾野は広がらず、底辺を広げることばかり考えていたら、トップに立つ可能性を持ったタレント発掘にはつながらないかもしれない。
普及と強化。
多くの協会がこの2点を目標としています。
どちらもかなえられることが理想であり、目指すべき目標であることは間違いないことですが、その実現はとても難しい。
そんなことを考えた、2010年10月10日でした。
posted by yuko164 |23:40 |
日々のたわごと |
コメント(0) |