2010年03月26日

男女決勝と総括 【春高バレー最終日】

春高バレーが閉幕しました。
7日間にわたる全国大会、そしてそこまでの各都道府県予選。そのすべてを勝ち抜いたのが東洋高校と東九州龍谷高校。
どちらも、大会前から優勝候補の本命と言われていました。
注目や期待を集める中で結果を残すのは容易ではありません。両校ともに素晴らしい戦いぶりでした。

東洋高校の柳田選手は、今大会の中で今日が最高の出来だったように感じました。
フライングレシーブをしてボールをつなぎ、体勢が十分ではないなかでトスを呼び、バックアタックを放った姿、勝負どころで全力で打ち込むサーブ、3枚ブロックにも逃げずに挑んだスパイク。
すべて、エースと呼ぶにふさわしい活躍でした。

東九州龍谷高校の選手たちも、女子史上初の三連覇を達成するのに値する素晴らしいチームでした。
重圧の中で戦う選手たちを、卒業した3年生や、昨年卒業したOGたちが練習相手になったり、メールや電話で励まし、アドバイスを送っていたと聞きました。
セッターの比金選手は「先輩の力があったから、三連覇が達成できた」と目を赤くして話していました。素直に感謝を伝えあえる関係があってこそ築かれた大記録。とても立派であり、快挙だと思います。

大会中、いろいろな選手の話を聞く機会がありました。
その人それぞれの答えがありましたが、今回特に感心したのは東龍の村田選手、比金選手、東洋の柳田選手、宮崎工の村前選手、弥栄の専田選手です。
彼ら、彼女たちは問いに対して答える言葉が的確で、なおかつ枝葉が広がる。こちらが聞きたいことを理解しているのはもちろん、常に考えながらプレーできているからこそ、自分の言葉で話すことができる選手たちなのだと改めて感じました。

終わってみればあっという間の7日間でしたが、今年もいろいろな試合があり、個性豊かなチームが揃いました。
それぞれ好き好きがありますが、私自身としては、大村工業、宮崎工業、東亜学園の、基礎に忠実で、だからこそバリエーションに富んだバレースタイルが大好きでした。
特に楽しませてもらったのは宮崎工業。小さくても勝てるバレー、相手との駆け引きや、1点の取り方を1人1人が考えて動くスタイルは見ていて最高に面白かった。宮崎工業に刺激を受ける選手、チームはきっと少なくないはずです。

春高が終わり、来週末はVプレミアリーグ男女のセミファイナル、チャレンジマッチが行われます。
こちらはいよいよ大詰め。
原稿と格闘しつつ、もう少し高校バレーの余韻に浸り、また新たな視点からVプレミアリーグの試合を見たいと思います。




posted by tanaka yuko |23:54 | バレーボール | コメント(1) |
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2010年03月25日

雄物川高校の真っ直ぐなバレー 【春高バレー6日目】

雄物川高校のバレーは実にシンプルです。
高いトスを打ち抜くレフトのエースと、サイドアウトを切るセンター線。
ここぞという場面は、必ずといってもいいほど、レフトにオープントスが上がります。

高校生でも上位へ進出するチームになればブロック戦術が長けている現況では、当然レフトエースには2枚、3枚のブロックがつきます。
それでも、打ち抜け。
エースなのだから。
実にシンプルで、まっすぐです。

現在のチームのエースは細川選手。
身長184㎝でジャンプ力、トスへの対応力もあり、とてもきれいなフォームでスパイクを打つ選手です。
昨日の準々決勝では都城工業・園田選手と、今日の準決勝では東洋・柳田選手とのエース対決が繰り広げられました。
ブロックで1枚上回り、攻撃枚数でもやはり1枚上回っていた東洋にシャットアウトされる場面もあり、試合も3-1で敗れてしまいましたが、特に第4セット、劣勢でも一歩も引かずに打ち切る姿はとても清々しく、本当にきれいなフォームでした。

会場である方と話をしていたときに、「高校生は小手先の技術はいらない。まずは思い切り打ちきること、打ち抜くことを重視してほしいし、それができる選手がこれから先で伸びていく」と言っていました。
私も全く同意見です。
堂々と打ち抜くことのできるエース、細川選手の今後が、とても楽しみです。

雄物川高校には一度取材に行ったことがあります。
横手駅から車で30分ほどの、とても静かな場所。
取材に行ったのは、必勝を掲げて臨んだ秋田国体で敗れた3週間後。読み物記事を書くために、3年生選手全員と宇佐美監督を取材することが目的でした。
悲壮感すら漂う空気の中で戦い続けてきたにも関わらず、重圧には勝てず、地元の国体では1回戦で北海道選抜に敗れ、5・7位決定戦にも敗れ7位に終わりました。それまでは宇佐美監督も気を張り詰めていたので、試合後に話を聞くのも至難の業。国体を終えてから3週間後のインタビューに行く道すがら、あれだけ多くのものを賭けていた人に、これだけしか時間が過ぎていない中でどれだけのことを聞き出せるのか。とても不安だったことを覚えています。

インタビューが始まると、そんな不安はすぐに消えました。
1つ1つ丁寧に、「一生忘れない」という、あのとき、を振り返る。
時折笑顔すら交えながら進んだインタビューの中、勝負の行方を大きく決定づけた第1セットでエースが放った1本のスパイクミスの話しになった時、宇佐美監督の言葉が詰まり、目から涙が溢れました。
「どうしてあのとき、自信をつけさせるひと言を言ってやれなかったんだろう、どうしてあそこで決められる技術や精神力をつけさせてやれなかったんだろう。そう思うとね。夜、寝ようと思って目を閉じてもあの場面ばかりがよみがえる。忘れられないんですよ」
簡単に「わかります」など到底言えない、とても重いひと言でした。

あれから3年近くが経った今日。
この1点、を取るために果敢に挑み、不利な状況でも細川選手がスパイクを決めるたび、宇佐美監督は本当に嬉しそうに笑っていました。
「本当に楽しかった。最高の試合でしたよ」
試合後の柔らかな笑顔が、とても印象的でした。

明日はいよいよ決勝です。
東洋、鎮西。果たして勝つのはどちらか。

そして、女子の決勝東九州龍谷×古川学園は三年続けて同じ組み合わせです。これはおそらく史上初ではないでしょうか。
互いを知りつくし、意識し続けた両チームの対戦の行方も楽しみでなりません。

posted by tanaka yuko |22:15 | バレーボール | コメント(0) |
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2010年03月24日

東亜学園、ブロックの強さと弱さ 【春高バレー5日目】

考えるバレー対考えるバレー。
宮崎工業と東亜学園の試合は、まさにそんなゲーム。
1本目で宮崎工のセッター、村前選手がどの攻撃を選択するか。
そしてその1本目に、東亜学園はどこにブロックをつけてくるのか。
1本目のプレーがこれほど楽しみな試合は久しぶりでした。

村前選手が選択したのはレフトからセンターに切り込む森下選手の時間差攻撃。
そして、東亜学園の山本選手はそのスパイクをドンピシャのタイミングで、ブロック。
1点目は東亜学園が得ました。
これは完全に東亜ペース、と思ったのですが、勝負は実に奥深いもの。勝手に「重要」と決め込んでいた1本目にも動じることなく、「これで止めてくるか、とびっくりしたけど相手のブロックの凄さに思わず笑えたほど」という村前選手のトスはブレることはなく、試合に勝利したのは宮崎工業でした。

ブロックは最大の武器である反面、ウィークポイントにもなる。
相手の攻撃に対してどう対するか。
それが武器になっている時点で、相手のペースに乗ってしまっているということではないか。
東亜学園の佐藤コーチの話を聞き、なるほど、と思う反面、基本を大切に、ここぞというときの「勘」を養うために練習を重ねてきた東亜学園のブロックは、宮崎工にとって「今まで経験したことがないぐらいに強かった」ものでもありました。
両刃の刃と言うべきか。1つの試合を通して、またいろいろなことを考えるきっかけになりました。

明日は準決勝。
1試合ずつ、じっくり見られるセンターコートでの戦いで、またいろいろと考えることになりそうです。

posted by tanaka yuko |22:55 | バレーボール | コメント(0) |
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2010年03月23日

宮崎工業の、考えるバレー 【春高バレー4日目】

どんなバレースタイルが好きか。
そう聞かれるたび、ちょこちょこと説明を加えながら答えてきたのですが、今日、明確な答えを見つけました。
今日の市立尼崎戦で宮崎工業が見せたバレーです。

サーブカットが崩れても、積極的にクイックを使う。
もちろんただの自己満足ではなく、それによって相手のブロックの出方を見ること、そしてゲーム終盤にセンターがある、と相手に意識付けをすること。
サイド陣も気持ち良く打てるように、ブロックの枚数を減らすには、どんな布石を打てばいいか。
セッターはもちろん、セッターがトスを上げやすくするために、レシーブに入る選手も1本1本を考えて動く。

実に頭のいいチームです。
バレーに関する知恵と知識が高い。
バレー知を備えたチームといって間違いないでしょう。

明日の対戦相手は東京代表東亜学園。
大砲がいるわけではなく、今年は高さもありませんが、やはり1人1人が考えてバレーをして、頭と心を使ったディフェンスができるチーム。
明日の試合は見逃せません。


posted by tanaka yuko |19:20 | バレーボール | コメント(0) |
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2010年03月22日

絶対的エースとは 【春高バレー3日目】

母校大村工業の試合を、長崎北高校の教員として視察に来た朝長孝介先生と、試合の合間、こんな話をしました。

「最近は、絶対的エースと言えるような選手が減りましたね」

そもそも、絶対的エースとはどんな存在か。
チームや選手によって考え方はそれぞれだと思いますが、私が思う絶対的エースとは、何とかしてほしい場面で何とかしてくれる選手。勝負どころで迷わず託すことのできる選手。
技術と精神力。どちらも兼ね備えた選手が、絶対的エースと言えるのではないかと。

私たちが高校生だった頃は、加藤陽一選手がまさにその絶対的エースでした。
春高ではないのですが、愛知国体で今も鮮やかに覚えているシーンがあります。
沖縄選抜と対戦した大分選抜のエースだった加藤選手が、ジャンプサーブを放ち、沖縄選抜はそのボールをやはりエースの徳元幸人選手へ。徳元選手の強烈なスパイクをバックセンターでレシーブした加藤選手は、3面のコートがつくられた広い会場に響き渡る声で、叫びました。
「持ってこい!」
レシーブの後で万全な体勢ではない中、きれいに跳びあがり、センターから、突き刺さるようなバックアタックを決め、大分選抜が勝利した試合でした。

ココ、という勝負どころで逃げない。
それも絶対的エースに不可欠な要素と言えるかもしれません。

今大会で、絶対的エースと呼ばれる存在になり得る可能性を持っている、と言われるのが東洋高校の柳田選手、鎮西高校の池田選手、福岡大大濠高校の山田選手の3人。
山田選手の試合は他コートの試合と重なり、見られなかったのですが、柳田選手、池田選手は今日の試合の中でも片鱗を感じさせるプレーがありました。
とはいえ、勝ち上がり、連戦が続くこれからがエースとしての真価が問われるゲームになります。
明日は朝一番、10時から東洋高校と福岡大大濠の試合が行われます。果たしてどちらのエースが、真のエースと成り得る選手なのか。大会4日目も、見どころが満載です。



posted by tanaka yuko |23:53 | バレーボール | コメント(0) |
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2010年03月22日

注目セッターはこの2人 【春高バレー2日目】

個人的に、今大会出場選手の中で、見られるのを一番楽しみにしていたのが広島・崇徳高校キャプテンでセッターの合田選手でした。

彼は素晴らしいセッターです。
トスの質。
ボールの落下点を読み、移動するスピード。
位置を決めてからの安定感。
ボールを出す瞬間までレフト、ライト、クイック、どこに出るかわからないトスアップとモーション。

昨年の春高で初めて見たとき、さらに成長した姿をインターハイで見たときも驚きましたが、この春の進化はまさに驚愕。それでもあまり調子がよくなかったと聞きました。
ベストパフォーマンスをしたら、どれだけすごいのか。
公式練習から1本1本のトスに見とれてしまう者としては、楽しみで楽しみでなりません。
中でも、バックトスの美しさは圧巻。秀逸です。

もう1人、今日の試合で注目すべきセッターを見つけました。
宮崎工業の主将、村前選手です。
魅力はトスワーク。
いつ、どこで、なぜ、ここに上げるのか。
それを明確に説明できるセッターで、勝負どころがわかっている。
考えてバレーをしているから、できることであり、それができる技術と勘、センスがあり、それだけの努力をしてきている選手なのだと、今日の相馬戦を見ていていろいろな場面から感じられました。

明日は3回戦。
シード各校が登場します。
残念ながら崇徳高校は今日の2回戦で負けてしまいましたが、宮崎工業は川崎橘と対戦します。
小さなチームが、高さのあるチームにどう対するか。
これ以上ないほど、セッターにとっては腕の見せ所とも言うべき試合です。
1本目と、終盤の勝負どころのトスワークに、特に注目して、しっかり見てきたいと思います。

posted by tanaka yuko |00:29 | バレーボール | コメント(0) |
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2010年03月21日

基本に忠実、大村工業【春高バレー1日目】

基本に忠実に、すべきことをする。
4年ぶりに春高出場を果たした大村工業のバレースタイルは健在でした。

08年の初夏、台湾でNECブルーロケッツが地元の小中学生を対象に行ったバレー教室の取材をする機会がありました。
言葉が通じない中、最もスムーズに指導を進め、子どもたちからの反応がよかったのが現在はJTでプレーしているセッターの菅選手でした。
そのコツを聞いてみたところ、菅選手の答えは「僕自身が、高校でみっちり基礎を叩きこまれたから、まず教えるべきは基礎。それはどんな相手でも変わらないから、身振り手振りでも伝わるんです」。

今日、大村工業の試合を見ていて、膝を曲げる、重心の移動とともにボールを押し出す、基礎の基礎から丁寧に教えていた菅選手の姿と言葉を思い出しました。

たとえばブロックジャンプの際。相手がオープン攻撃ならばきっちり3枚揃えて膝を曲げて踏み込んでから跳ぶ。チャンスボールこそ、丁寧に、落下点に素早く入り、ボールを正面で受け、きちんと膝を曲げて返すべき方向に送りだす。
バレーボールの技術本ならば、基礎の基礎ページに載っているようなことであり、全国大会に出てくる選手なら当たり前のようにクリアしているべきことですが、手先のプレーは器用でも、すべきときにしっかり基礎をこなしていると感じさせる選手は意外と少ない。
まずオープントスが上げられなければ平行トスなど上げられるはずがないし、オープンスパイクが打てなければ速いトスに対応することはできません。
夏場の暑い時期に体力づくりと並行して、三角パスや二段トスなど地道な練習をひたすら繰り返して、体に基礎をしみこませる。
基本がしっかりできているからこそ、広がるのびしろ。菅選手だけでなく、昨年現役引退した朝長選手や、サントリーの松崎選手、豊田合成の丸山選手、大分三好の小西選手など、今も多くの大村工業卒業生がVリーガーとしてバレーボールを続けていることを改めて納得しました。

大村工業の次戦は東京第一代表の東洋高校。
今大会ナンバーワンアタッカーと呼び声の高い、柳田選手を擁する東洋にとってはこれが初戦。実に楽しみな一戦です。

posted by tanaka yuko |00:07 | バレーボール | コメント(0) |
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