2008年11月30日
手が長く、手首も柔らかい。
単に「高い」というだけでなく、高い場所で器用にボールを回せる。
サーブカットをする選手は、気持ち的に楽だろうな。
それが、大竹選手のプレーを見た印象です。
大竹選手、岩田選手、宇佐美選手。
パナソニックには、3人の日本代表セッターがいます。
持ち味はさまざま。まさに三者三様です。
サーブカットをする選手の目線から聞いた話を例にすると、
宇佐美選手は「ここらへんに返せば何とかしてくれるだろう」と思うセッター。
岩田選手は「多少カットが低くてもそこからクイックも使える」セッター。
大竹選手は「(返球が)高くなっても取ってくれるから、思い切って返せる」セッター。
たとえば、セッターが前衛時にカットが大きめに返ったときは、すぐ横に詰めて入ったセンターのAクイックか、セッターのツーアタック。相手ブロッカーが注意する最優先ポイントはそこです。
当然、センターブロッカーはクイック、ツー、どちらに対しても警戒し、データやクセ、返球の質から判断し、相手の攻撃を読み、ブロックのヤマを張ります。
ところがそういった場面で、大竹選手のような高さがあれば、ボールを捕らえる点もそれだけ高くなるため、相手ブロッカーからすれば「この位置(からのトスアップ)ならば、クイック」というところで、レフトへの平行トスを飛ばすことも可能です。
数学や算数の類は苦手なので、角度で説明することはできませんが、低い位置からであればアンテナの上を目標地点としたトスが45°の角度を伴うのに対し、高さが異なることによって、30°で済む。
そうは言っても、単に高ければいいというわけではありません。
どの場面で、どこを使うか。策と考えがあって、相手ブロッカーやレシーバーを翻弄することができて、初めてセッターとしての合格点が与えられる。
今日の試合ではJTのサーブがあまり効果的ではなかったこともあり、ブロッカーは的を絞りにくかったというのも1つの敗因ではありますが、それを除いても、大竹選手のトスに翻弄され、ラリー時にもブロック枚数が分散したり、ノーマークになるケースもこれまでの試合よりは多く見られたように思えます。
とくに今日の試合はパナソニックのパイプ、時間差を含むセンター線が非常に機能していましたので、「山本選手へのトスにばらつきがあったのが反省点」と本人は課題を挙げていましたが、十分な合格点といえるのではないでしょうか。
それにしても。
間違いなく、セッターはチームの要であり、セッターの出来次第で勝敗が決まる試合も少なくありません。
宇佐美選手、岩田選手、大竹選手という日本でもトップレベルのセッターが3人もいるパナソニック。南部監督はこれからもケースに応じて3選手の併用を明言しています。
三者三様のゲームメイク。
1レグだけではつかめない、各セッターの傾向、考え、勝負勘、より濃く、楽しくなるのはこれから。
来週からはいよいよ2レグへ突入です。
posted by tanaka yuko |23:17 |
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2008年11月30日
開幕以来、久しぶりに女子の試合を見ました。
まず、最初に感心したのはデンソーの試合前練習です。
残念ながら今日はアップから見ることができなかったのですが、公式練習前のシートレシーブ、二段トス、どれも効率的で「本気」の練習でした。
試合前の練習にあえて「本気」をつける理由などないのに、と思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、デンソーのシートレシーブは打ち手(監督、コーチ)もジャンプを伴ったスパイクを放ち、受け手もただその場でレシーブを受け、つなげるだけでなく、一度定位置についてから、スパイクレシーブやフェイント、その都度対応して動く。非常に当たり前のようですが、とても実戦的なものであり、この1シーズンでどれだけ練習してきたかと物語っているように感じました。
なかでも圧巻は、リベロの片下選手です。
以前、開幕時に「スーパーリベロ」としてJTの井上選手について触れましたが、片下選手は、またタイプの違う、素晴らしいリベロです。
データ等を拝見したことはないのでわかりませんが、おそらく、運動能力や身体能力という面で優れているのは井上選手なのではないかと想像しています。スパイク、フェイントへ反応する反射神経や、ダッシュ時の瞬発力、先のプレーを読んで動くポジショニングの素晴らしさ、井上選手が優れているのはそこです。
対して片下選手はというと、チャンスをチャンスで返す能力、ボールをつなげる能力というものが非常に優れたリベロです。
たとえば、ジャンプサーブを次につなげるボールとして上に上げる、ブロックフォローしたボールを、最終的にイージーボールではなく少しでも攻撃へ転じられるようなつなぎのレシーブ、相手からのチャンスボールが来たときの処理。片下選手はこれらが抜群に優れています。
リベロにはたくさんの役割があります。JT男子の酒井選手や、NEC男子の古賀選手が「サーブカットを返すのは当たり前」と言っていたように、守備の職人であるリベロは、スーパーレシーブばかりを求められているわけではなく、当たり前のプレーを当たり前に行い、次につなげることが最大の仕事です。
片下選手のプレーは、まさに、つなぎに徹した職人芸と言えるものだと感じられました。
北京オリンピックに出場した佐野選手は、反応、瞬発力、パスの正確性、つなぎ能力、どれもとても優れたリベロです。片下選手、井上選手という高卒1年目のリベロがこれからどこまで佐野選手を脅かす存在になるか。非常に楽しみです。
今回はデンソーのレシーブと、トヨタ車体のつなぎに注目するあまり、デンソーのブロックをきちんとじっくり見ることができませんでした。
どちらが勝ってもおかしくなかったデンソー×トヨタ車体の試合で、勝敗を分けたのは間違いなく「ブロック」です。
次の機会ではじっくり、デンソーのブロックに注目してみたいと思います。
posted by tanaka yuko |00:35 |
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2008年11月24日
今シーズンのバレーボールは面白い。
先週、先々週同様に、仙台市体育館での4試合も非常に見ごたえのある試合が繰り広げられました。
各チームの戦いぶりについて、いろいろと書きたいことがあるのですが、とりとめもなく長くなりそうなので、最も気になった2つのことをここでは記そうと思います。
まず1つ。
今季のJTのブロックは必見です。
きちっと組織化されたブロックで、「抜かせる」「打たせる」という意識ではなく、サイドブロックが「止め」、それをセンターがフォローする。キルブロックだけでなく、ワンタッチを取ったボールは後衛が確実にレシーブでつなぐ。
非常にシンプルで、当たり前のことを書いているように思われるかもしれませんが、この土日のJTを見ていて、正直なところ、ブロック能力、ブロックシステムの質の高さに度肝を抜かれました。
面白い。
これにはいくつもの裏づけ要素があると思いますが、その1つとして、私が気になったことがありました。
ウォームアップも含めた、トレーニングの変化です。
試合開始前、JTの選手たちのトレーニングを見ていたら、股関節を意識させるためのランジウォークやサイドランジ、四股が取り入れられていました。もちろん股関節のみならず、肩甲骨周囲の筋群や体幹部へのアプローチも組み込まれていて、「どこを意識すべきか」というのがとてもわかりやすい内容でした。
トレーニング効果はすぐに出るものではありませんが、意識の効果は表れます。宮下選手、町野選手といったミドル陣のサイドへの移動時も膝から動くサイドステップではなく、股関節から動くということが意識づけられていて、身体の軸がぶれずにブロックに入っていたので、相手のスパイクにも簡単には弾き飛ばされず、ワンタッチを取った後のフォローへの移行も早い。1試合で16本という数字だけでなく、JTブロックの素晴らしさにワクワクしてしまいました。
ブロックという最大の守備を生かすための、リベロの酒井選手や守備に定評のある徳元選手を中心にレシーブ体系もしっかりと構築されています。また次の試合が見てみたい。今季のJTはそんな期待を抱かずにはいられません。
そしてもう1つ。
東レのウォームアップ、対人、スパイク練習です。
試合前のアップでは、全員でコートをジョグで周りながら、サッカーのブラジル体操のように、身体をひねる、伸ばす、振り上げる、など複数の要素が組み込まれています。
JTのアップが「股関節」を重点的に意識していたように、東レのアップはまず肩甲骨周囲へのアプローチから始まり、体幹、股関節へと移行します。とくに身体的にも発展途上の高校生には、学ぶべきこと、取り入れるべきことが多くあるように感じられました。
そして、ボールを使っての対人レシーブ。
私は個人的に、対人練習を見るのが大好きで、この練習をいい加減にしている選手はどれほど他の評価が高かろうとあまり好きになれません。なぜなら、ボールを打つ、拾う、つなげる、バレーボールで最も大切な基礎要素が含まれているのがこの対人レシーブだからです。
いい加減に打ち、いい加減に拾っていてもそれなりにボールはつながりますが、生きたボールにはならず、生きた練習にはなりません。もしも試合開始よりも1時間以上前に来場できる方がいれば、ぜひ東レの対人レシーブを見て下さい。
なかでも、越谷選手、田辺選手、掛川選手の対人は必見です。
さらにもう1つ、スパイク練習。
オリンピックやワールドカップなど、国際大会を見ていて、1つ感心したことがありました。イタリア女子が試合前に行っているスパイク練習です。
普通は2人のセッターが入り、スパイカーは2コースからそれぞれのコンビ練習を行っているのですが、イタリア女子はレフト側でスパイク練習を行う際、アンテナに近いセッターはA、Bクイックを上げ、コート中央に近い選手はサイドへのトスを上げ、スパイカーもそれぞれがあわせたい位置からスパイクを打つ練習法を取り入れていました。もしかしたら私が不勉強なだけで、非常にポピュラーな練習法かもしれないのですが、自分の目で見たことはなく、イタリア女子のコンビ練習を見て、「何と効率的な練習だろう」と感心しました。同様の練習法が今回、東レでも見られたので思わず見入ってしまいました。
移動に時間がかかり、余裕を持って体育館に入れないこともありますが、JT、東レの練習を見ていたら、今後は出来る限りさまざまなチームの試合前練習に注目してみたくなりました。
今季初勝利をフルセットで飾ったNECも、前節、前々節ではつまらないスパイクミスが出ていましたが、今節ではバックアタックのライン踏み越し、チャンス時のスパイクアウトはなくなりました。とくに金子選手、前田選手が自主練習時にはサイドからのストレート打ちと、バックアタックを繰り返し練習していました。その確実な成果が、ここに現れたのだと思います。
勝利で自信を得た、今後の戦いがさらに楽しみです。
先週までは「有言実行」で好調を保っていた豊田合成ですが、今週は得意の「サーブ&ブロック」に持ち込むことができず、連敗を喫しました。
会見時に松田監督が発するコメントも厳しい言葉が多くなりましたが、1週空いて再来週のホームゲームでどんなバレーを見せてくれるか。苦境からの建て直し、まずその第一として島野選手、高橋選手のトスワークに注目したいと思います。
posted by tanaka yuko |04:02 |
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2008年11月17日
今週は小牧・岐阜での男子大会を見てきました。
サントリー、堺はこの週末が初めての生観戦。互いにオリンピック出場選手たちがまだ本調子ではなく、河野監督、中垣内監督とも「ベストには程遠い状態で、また手探り段階」と話してはいましたが、サントリーは大砲のレオナルド選手を中心にやはり手堅く“チーム”としてまとまっていました。
昨年はセッターの栗原選手が前衛時、ブロックの低さを1つの弱点とされていましたが、栗原選手がブロック練習に時間を費やしたであろうことはもちろん、相手がシフトチェンジした際にも後衛との関係性が約束ごととしてしっかり築かれていました。桑田選手がレフトからクロススパイクを打つ際も、サウスポーを生かし、ストレート側のブロック上からクロスを抜いている場面も見られ、今日の豊田合成戦、とくに前半では非常にこのクロススパイクが効果を発していました。ミドル線がクイック、ブロック両面でしっかりと機能しているので、荻野選手、越川選手が不在とはいえ、今季もやはりサントリーは強い。そんな印象を受けました。
土曜に豊田合成に競り負けた後では、「他チームと比べて3ヶ月ぐらいチームづくりが遅れた状態」と中垣内監督は眉をしかめていましたが、日曜のNEC戦からはエンダキ選手、石島選手が本格復帰。セッターの朝長選手は「エンダキへのトスが不安定だった」と反省を述べていましたが、一分のスキすら感じさせないブロック、二段トスを豪快に打ち切るエンダキ選手の迫力は今季も健在。
ラリーが続いた場面で、3枚ブロックに対しても躊躇なく、的確にコースを狙った石島選手のスパイクも圧巻でした。まだ本調子ではないかもしれませんが、ガッツポーズも含め、やはり華のある選手。コートに立つだけで十分な存在感を放っていました。
そんな堺に対してやや気後れしてしまったのか、今日のNECは竹内監督も「見てもらってわかるような情けない試合」と酷評せざるを得ないほど、ミスが続く厳しい試合でした。
とはいえ、まだ4試合を終えたばかり。新人の菅選手、柴小屋選手もこの週末には試合経験を積み、新たな可能性を感じさせています。ダニエル選手をオポに、前田選手をサイドに据えたことでサーブカット時のコミュニケーションも図られ、サントリー戦ではかなり前向きな方向へチームが回りだしていました。開幕から勝ち星がないとネガティブに捉えるのではなく、まだこれから、と切り替えて、割り切って次節のホームゲームで思い切った試合を見せてほしいものです。
ホームゲームを1勝1敗のタイで終えた豊田合成。
今週見た4チームのなかで、一番チームとしての成長が垣間見えたのが豊田合成でした。
まずその1つが、試合終了直後にコートで栄養補助食品のゼリー飲料を摂取していた姿でした。
運動後に身体に蓄積する疲労を除去するためには、運動後、少しでも早い時間にアミノ酸やビタミンなど、疲労回復要素のある必要栄養素を摂取することが好ましいとされています。これまでも控え室に引き上げれば、豊田合成の選手たちはすぐにゼリー飲料や、スポーツドリンク、サプリメントなどで栄養摂取をしていたそうなのですが、開幕2戦を終え、「勝つためにもっと徹底させて、できることをすべてやろう」と選手側からの提案で、今週から試合終了直後にコートでの栄養摂取が行われるようになりました。
今季から、豊田合成は管理栄養士の川端さんがスタッフの一員に加わりましたが、今回の提案は川端さんからの提起ではなく、選手からの要求だったというのを聞き、このリーグに賭ける豊田合成の本気さが見えたような気がしました。
もう1つ、チームとしての成長を感じ取れたことがあります。
このリーグ開幕前、松田監督はチーム内競争を激化させることを1つの目的として、レギュラー組をAランクとし、以下、B、Cと3つに選手を区分しました。
少し話は逸れますが、北京オリンピック前のフェンシング日本代表でも、メダル獲得の可能性が最も高いとされた男女フルーレを重点的に強化してきました。エペ、サーブルといったいわば「ランク外」の選手には、費用面でも大きな負担が課せられていました。
オリンピックでのメダル獲得という大義名分のもと、結果至上主義に伴う決断とはいえど、冷遇される選手たちにとっては心地いいものではありませんでした。
でも、それらすべてをも間違いではなかったと認めさせたのが、「フェンシングはフルーレだけじゃない」と奮起して成し遂げた、全階級出場という快挙達成であり、常に「Aランク」として期待をかけられ続けながらも、見事に日本史上初のメダル獲得を成し遂げた太田雄貴選手の活躍でした。
豊田合成のランク分けもおそらく同様ではないでしょうか。
Aランクと位置されても、そこに甘えているだけならばその位置は絶対ではなく、それまで受けた厚遇がすぐに覆る恐れがあり、たとえCランクであろうとチャンスがないわけではなく、それを掴めるか否かは自分の努力次第。
日曜のサントリー戦で、途中出場後、オポジットに入って24得点を挙げた福島選手も、実は松田監督のなかで、開幕前は「Aランクには程遠かった」選手だったそうです。
それでも、サントリー戦で出場チャンスをつかみ、「約束事は守られていなかったが、ジャンプ力、思い、たまっていたものを出していた。よかったと思います」と松田監督からも合格点を与えられました。
サーブの強化、栄養面の徹底、ランク付けによる競争意識の激化、開幕前に打ち出していた要素が現時点ではすべて形となって表れています。まだまだリーグは始まったばかり、これからが長い戦いではありますが、また来週、どんな姿ガ見られるか、とても楽しみなチームであることに違いはありません。
今週の土曜、小牧の試合では選手のサインボール投げ入れ時に捕球を誤り、顔面に直撃してしまった方が片目のコンタクトレンズを破損してしまったと聞きました。
選手たち直筆の2つはないサインボール、とても貴重であることは確かですが、来場される方々は、どうぞケガのないよう捕球時には十分気をつけて下さい。次週もVプレミアリーグ男子大会を見に行く予定です。
posted by tanaka yuko |00:50 |
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2008年11月10日
女子に続いて男子Vプレミアリーグの開幕を迎えました。どの試合も面白そうなカードばかりなのですが、今週は福島・須賀川の試合を観戦しました。
まず、一番驚かされたのは大分三好の完成度です。
昨年までの2シーズンはそれぞれ2勝、計4勝であり、力の差も歴然としていました。
ところが、今季はまるで違う。少なくとも開幕のパナソニック戦を見た限り「今年の三好は侮れない」と強く印象づけたのは事実であり、開幕2戦目のNEC戦で早々に今季初勝利を挙げました。
ミドルの南選手、リベロの井上選手、サイドの国近選手と昨年の主力を欠き、誰もが戦力ダウンを予想したなかで、何がそれほどまでに違うのか。まず私が感じたのは完全分業制のもとで、それぞれが「何をすべきか」が明確化されていて、そのうえでチームとしての戦略が為されているということです。
昨年終盤からオポジットに入っていたデニス選手が今季は最初からオポジットとして起用され、同じくオポジットであった神田選手が今季はサイドに転向しています。神田選手の攻撃力は昨年までのリーグでも示されていましたが、それに加え、サイドになればレシーブ力も求められ守備での負担も増加します。神田選手本人は「練習や試合をするごとに課題が生まれる」と言っていましたが、開幕戦のプレーを見ている限りでは十分な合格点と言えるのではないでしょうか。
また、神田選手にはもう1つの変化を感じました。サーブです。
昨シーズンはワンポイントでのピンチサーバーとしての出場が多く、本人も「思い切って打つことだけを意識していた」ため、決まれば得点につながることも多いとはいえ、ミスの多さも否めませんでした。
それが今季は、黒葛原監督から「スパイクを打つとき、何を考えてどう打ちたいのか。それはサーブを打つときも同じ。自分のなかに答えがなければいいサーブなど打てない」と言われたことを契機に、ボールを捕らえる点やコース打ちを意識するようになった結果、トスに安定感を増し、初戦は23本打ってミスは4本で効果率は12%、第2戦では25本打ってエース4本、効果率は25%と非常に高い数字を残しています。サーブやサーブカットは一見するとシンプルなプレーですが、だからこそ課題の克服は難しく、そう容易いものではありません。今後、各チームにデータが蓄積されてからは、今以上に厳しくなるかもしれませんが、これまで確実な変貌を遂げている神田選手の今シーズンの活躍が、非常に楽しみです。
大分三好、豊田合成と対し、どちらもフルセットで勝利したパナソニック。昨シーズンの覇者であり「追われる立場で戦う難しさがわかった」と山本選手。今季からはキャプテンに就任し、昨年以上に賭けるものもあると話している通り、得点源としてだけでなく、若手選手にも積極的に声をかける姿が目立ちました。
なかでも、開幕で初スタメンの大竹選手に対しては「速ささえ一定にしてくれれば何とかするから、迷わず(トスを)上げて来い」と声をかけていました。宇佐美選手、岩田選手、大竹選手、3選手とも日本代表選手として国際大会を積んでいますが、それだけチーム練習をする時間は限られます。オリンピック代表で長くコンビを合わせてきた宇佐美選手、岩田選手は問題がないにしろ、南部監督もAVCで抜けていた大竹選手と、オリンピック後に合流した山本選手がコンビを合わせる時間が少なかったことを危惧していたのですが、山本選手曰く「あれだけ高いところからトスが出ると、(トスの)軌道自体が高くなるから打ちやすい」。途中交代の宇佐美選手も、やはりネット際での球捌きは他に追随するモノがいないほどの巧みさは健在。パナソニックのセッター争いも今後は注目です。
余談ですが、シーズン開幕前にパナソニックの取材に伺った際、とても印象的だったことがあります。
限られた時間のなかで複数選手の取材をしなければならず、こちらもどう仕切るか、どうやって組み立てれば一番効率的か考えながら取材に臨むのですが、その際「最初にコレ、次はこっち」と的確な仕切りをしてくれたのが山本選手でした。そして、撮影や取材を終え、次々選手が引き上げていくなか、自分の取材を一番後回しにして、最後に体育館を引き上げていく。そんな山本選手の姿を見て、キャプテンとしての山本選手の活躍が個人的にますます楽しみになりました。
今季のテーマに「サーブの強化」を掲げた豊田合成も、松田監督が「8~9割は完成しつつある」というように、とくに2戦目ではサーブ&ブロックがいい形で展開されていました。
もともと豊田合成は日本でも屈指のブロック力を持つ北川選手、高さのある川浦選手というセンターを擁していますので、狙ったコースにサーブを打ち、相手の攻撃幅を絞ればそれだけブロックで得点する確率、ワンタッチから切り返しのチャンスを得る確率が高くなります。ジャンプフローターで確実に狙いを絞ることも策の1つではありますが、今季の豊田合成は「攻め」の姿勢をより強く打ち出すために、ジャンプサーブで相手の守備陣を崩すことがより重視されています。
なかでもこの2戦で活躍が目立ったのが、今季で2年目を迎えた高橋和人選手。外から内へ、内から外へ、バックからのパイプも含めたスピードある攻撃もそうですが、この2戦では高橋選手のサーブにNEC、パナソニックとも非常に苦しめられていました。横から見ていると、高橋選手のジャンプサーブは一連のスパイク動作と非常に近い、頭頂部から体幹、股関節を軸にきれいな回転とともに放たれるサーブ。2試合とも効果率は2桁を超えました。開幕戦を終えた時点で本人の自己採点は「60~70点」と厳しいものでしたが、マイナス部分はサーブカットに課題があるから、と高橋選手は話していました。「高橋みゆき選手の弟」として注目されるのではなく、小柄ながら技のあるサイドアタッカーとして、今季はより飛躍のシーズンにしてほしいものです。
プレミアリーグ8チームのなかで、唯一黒星のみのスタートとなったのがNEC。昨年の黒鷲旗後、大村選手、細川選手、浅倉選手、脇戸選手といったこれまでNECバレーの顔であり、象徴であり続けた選手たちがチームを離れ、竹内監督のもとで新体制がスタート。「粘りのレシーブ」を第一に、2メン、3メンなどレシーブ練習に時間を割き、“つなぎ”への意識を徹底させた夏でした。
その成果は着実に表れ、昨年までであれば簡単に落ちてしまったボールを拾い、つなぎ、とにかく何とかしようという姿勢はこの2戦のなかでも確実に見て取ることができました。とくにリベロの古賀選手のレシーブ、存在感は圧倒的で、サーブカット、チャンスボールの返球といった基本プレーはもちろん、会場で見ていた観客や、他の選手ですら「落ちた」と思うスパイクボールを何本もレシーブで古賀選手がつなぎ、そのたび歓声が沸き起こり、記者席の後ろからも「あのリベロ、すごいよ」という声が何度も聞こえました。会場を出る際、NECの選手で子どもからサインを頼まれるのも実は古賀選手が一番多い。照れくさそうに、でも誠実に応じる古賀選手の姿はどこか微笑ましいものです。
この2シーズン、外国人選手の決定力に泣かされてきたNECですが、今季新加入のデジデリオ選手も爆発的な攻撃力というよりは、すべてのプレーを器用に、ソツなくこなせるタイプの選手なので、彼の活躍がイコールで決定力不足の解消につながるかと言えばそうではない。そのなかでどう点を取るか。苦しい点も多くあると思いますが、目指すバレー、やりたいバレーはここ2年と比べればかなり伝わってきますので、今後の奮起、切り替え、建て直しに注目です。
あくまで見た印象を、連ねさせていただきました。
ただ、この2試合を観戦するなかで最も残念だったことがあります。
取材者の数です。
開幕戦の数時間前に体育館に到着し、報道担当者の方と話をしている際「どのぐらい(取材が)来るでしょう?」と聞かれたので、女子の大阪大会での様子を話したところ、担当の方も「たくさんいらしてほしいし、至らぬことがあればどんどん言って下さい」ととても好意的に、接して下さいました。
ところが、幕を開けたら須賀川会場に訪れた取材の数は3名。カメラを入れても2日間で7名でした。土日はさまざまなスポーツが開催されていて、取材者を派遣することも容易でないでしょう。ただ、それでもこの数は非常に残念。2日間で開催された4試合はどれも白熱したものであり、報道側である私たちも見ていてワクワクしました。でもその素晴らしさは、会場に来られない方にはなかなか伝わりません。
昨年の覇者であるパナソニックの初戦、新監督のもとで新たなシーズンを迎えたNEC、大分三好の船出、昨年わずか1勝差で四強入りを逃した豊田合成の戦いぶり、バレーに携わっていると興味深いことは多々あり、上記のように特筆すべき選手も多くいただけにとても残念でしたが、同時に、自分がすべきことの責任の重さを噛み締めた週末でした。
だいぶ長くなりました。また来週、V・プレミアリーグの会場に行って参ります。
posted by tanaka yuko |00:38 |
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2008年11月02日
Vプレミアリーグが開幕しました。
少し大げさかもしれませんが、ついこの間リーグが終わったような印象があるので、あっという間に、気づいたら開幕を迎えていました。
昨日、今日は大阪での3試合を観戦してきました。
勝利したのは東レ、シーガルズ。
東レは昨年のメンバーから大きく入れ代わり、厳しい戦いになるのではないかというのが戦前の予想でした。
確かに、昨年ほどの爆発的な決定力はないかもしれませんが、そういう状況であるからこそ、全員が「何とかつなぐ」とレシーブやブロックなど守備を固める姿、そうやって必死につないだボールをフロントだけでなくバックアタックも絡めて得点にする木村選手の存在、アタッカーを生かそうと多彩なトスを展開する中道選手のトスワークが光っていました。キャプテンの芝田選手が目指す「心でつなぐバレー」が今後も展開できればとても面白いチームになりそうです。何をしたらいいか、何をすべきかということがとても明確で、個人的にもとても好感を持ちました。
強打だけでなく、軟打も絡めたシーガルズバレーは今年も健在です。
セッターの岡野選手は、ボールの下に入るスピードが抜群で、センター、レフト、ライト、チームの攻撃陣をうまく操るトスワークで2セット目からは完全にJTを翻弄しました。サーブカットの返球率はあまりよくなかったのですが、Aカットではなく、Bカットでもセンターのクイックを使い、それが高い決定率を挙げたため、サイドへのマークが手薄になり、ブロックが間に合わずに平行トスからのスパイクを決められる場面が得に後半では増えていました。純国産のシーガルズバレーが今年も台風の目になるような予感がします。
初戦はシーガルズに敗れたJTですが、今日のNEC戦では今シーズンからスーパーエースにコンバートされた坂下選手の活躍などで初勝利を挙げました。
新外国人選手の決定力に欠いたため、セッターの河村選手にとっては非常に厳しい状況ではあったのですが、3セット以降にレフトの谷口選手の決定率が上がったことが勝利につながったように見えました。
坂下選手、河村選手だけでなく、JTは若手選手が多くコートに立ちました。
この開幕2連戦で堂々のスタメンデビューを果たしたリベロ・井上選手もその一人です。
全日本ジュニア代表のリベロでもあり、これまでも国際大会などで経験を積んできた井上選手ですが、私が始めて彼女を見たのは今から約2年前。井上選手が京都橘高校2年時に出場した春高バレーでした。
気づけばボールが落ちる前に彼女がいる、とでも言うような抜群のポジショニングに加え、圧巻だったのはセッターがレシーブをした際に彼女が後衛から上げるバックトス。まだ力のない高校生とは思えないほど、軸はぶれず、無駄な力が入らずに上げる美しいトス。ボールの質もよく、初めて彼女のバックトスを見た際、とても驚かされました。
昨年末の東西対抗に出場した際も、高校女子の部でプレーする彼女の姿を見た高校男子の選手たちが、「あれはスーパーリベロじゃないです、化け物リベロですよ。位置もいいし、セッターよりトスがうまいですから」と評していたのも印象的でした。もちろん、化け物、とは誉めるべき最上級の言葉です。
寺廻監督からも「抜群の身体能力を持っている選手なので、もっとやってくれると思うが、まずは及第点でしょう」と高評価を得ていました。
スーパーリベロ、井上選手のこれから、大いに期待です。
2戦2敗に終わったNEC。開幕ゆえのかたさもあったとは思いますが、まだチームとしての形が見えないな、という印象も受けました。
今日の試合では、相手ブロックに数本のスパイクがつかまった後、内田選手が交代させられましたが、個人的には彼女はもっと長い目で使い続けていいのではないかと。攻守の要として、今後のチームを引っ張ることのできる存在だと思いますので、代わって入った澁澤選手も活躍していましたが、今後のリーグが長いことを考えても、この交代は少し早すぎたような感もありました。
次節で、内田選手がどんなプレーを見せるか注目したいと思います。
まだわずか2日を終えたばかりなので、今受けた印象は数ヶ月を終えた時点では全く異なっているかもしれません。
今後どのような展開になっていくのか。
オリンピックイヤーのリーグの行方を楽しみに見続けて行こうと思います。
posted by tanaka yuko |20:59 |
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