2010年10月21日
午前中の予選で、萩原智子選手は小学生以来の失敗をしました。
「飛び込んだ瞬間、ゴーグルに水が入っちゃった」
20年ぶり近い失敗を豪快に笑い飛ばし、
「アップから調子がいいから、24秒台が出ると思ったし、出したかったなぁ」
そう言って、ミックスゾーンを後にしました。
それから7時間後。
電光掲示板に刻まれた「24秒91」。
1コースで泳ぎ終えた直後は、角度が悪く、障害物が邪魔して自分でタイムを確認できず、記録員の方に「何秒ですか?」と聞いたそうです。
答えが返ってくるとほぼ同時に、「日本新記録達成」のアナウンスが場内に流れ、12年ぶりの日本新記録を達成したこと、25秒の壁を破ったことを知りました。
満面の笑みとガッツポーズ。
2004年のアテネ五輪予選を兼ねた日本選手権の50m自由形で1位になりながらも、派遣標準が破れず五輪の道を閉ざされながらも「やりきった」と言って笑ったときもいい顔をしていましたが、それ以上に輝いていました。
約1年前の国体で復帰を果たし、一回りも年下の後輩たちと母校で一緒にトレーニングを積み、4月の日本選手権で代表復帰。
競技の第一線で戦う体をつくるための基礎トレーニングから始め、
徐々に距離を増やした泳ぎ込み。もともと扁桃腺が弱く、何度も体調を崩しながらも、着実に築き上げてきたその成果が、今日の記録につながったのだと思います。
24秒台のタイムを出したとはいえ、決勝では6位。
「まだまだ速い人たちがいっぱいいるから」
あくまで通過点。
そして1つの目標を達成すれば、また新しい目標が生まれる。
さっそく大会2日目の21日には、100mのレースが待っています。
これからへ向けた一歩ではあるけれど。
おめでとう。
posted by tanaka yuko |00:09 |
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2009年06月07日
人に先のことを決められる、すべきことを強要される。
とても私事ですが、何しろこの2つが大嫌いです。
さまざまなスポーツを取材していて、いろいろなスタイルの応援を目にする機会がありますが、みんなで一緒に応援しよう、と声をかけている方々を見るたび、私にはできないなぁ。。と思うことが多々ありました。
私の場合は単なるワガママなのですが、日本のスポーツシーンは、プロ野球の応援団や、サッカーのサポーターの方々など、先導する人に合わせ、みんなで応援するというスタイルが主流です。
盛り上がるし、同じように喜べる。それも楽しみなのだと思います。
ただ、スタンドを見て、声を聞いていて鳥肌が立つ瞬間、というのはまた別に存在します。
昨日の水泳日本選手権、男子200m背泳ぎの決勝を終えたときは、まさにそんな瞬間でした。
日豪大会での驚異的な記録が、水着問題で認可されず、多くの選手が「世界水泳に向けた大会」と位置づけていたジャパンオープンで、入江選手には世界記録の樹立、という大きなプレッシャーが課せられました。
「意識せずに泳ぐ」と言いつつも、周囲の期待の大きさは、会場の雰囲気を見るだけでも十分に感じ取ることができました。
そして、ゴール後。電光掲示板に入江選手のタイムが計測されると、会場は静まり返り、入江選手は悔しそうな表情を浮かべました。
何とも言えない空気が漂います。
でも次の瞬間、会場のどこからともなく、ごく自然に拍手が起こりました。
よく「あたたかな拍手が送られた」と記することがありますが、入江選手に送られたのは、まさにその、あたたかな拍手でした。
悔しさから、安堵へと表情は移り変わり、入江選手は二度、赤くなった目元を手で拭いました。
「悔しかったけれど、あの拍手が本当にうれしかった。プレッシャーはそれだけ多くのひとが期待してくれるということだと改めて知った。いいものなんだと思えました」
疲労がたまり、たとえ本調子ではなくともそれを言い訳にせず、チャレンジする。
そんな姿勢が、自然発生の拍手へとつながったのだと思います。
「プレッシャーに負けた」「調子が悪かった」「○○がうまくいかなかった」
言い訳はいくつものパターンを持ちますが、まずは潔く勝負に挑む姿勢が見たい。勝ち負けだけではなく、そんな楽しみを持って会場へ足を運ぶ人も少なくないはず。
また次の取材現場へ、そんな思いを抱きながら向かおっていこうと思います。
posted by tanaka yuko |20:32 |
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