2008年03月28日

代々木から有明へ

一昨日で高校選抜大会、いわゆる「春高バレー」が閉幕しました。
前評判通りの強さで勝ち進んだ東九州龍谷高校、連覇のプレッシャーに見事打ち勝った東亜学園がそれぞれ優勝を飾り、春の勝者になりました。

全体を見ていて感じたのは、ジャンプフローターサーブを打つ選手がずいぶん増えたな、ということでした。
昔を振り返ってみると、チーム内のたいていの選手はフローターでしたが、春高の上位へ進むチームのエースとして得点をたたき出す選手はジャンプサーブを打つケースが多かったのですが、ずいぶんジャンプフローターサーブを打つ選手が多い。
あるチームの監督に尋ねてみたところ、高校生の場合は、戦術や技術もまだ成長段階なので、サーブに求められるのはまず正確さ。そのための安全策として、ジャンプフローターサーブを選択する選手が多いのだそうです。でも以前に比べてその割合は確実に増えているとも言っていました。

まだまだ荒削りではありますが、これからの成長を期待させる楽しみなタマゴたちが今年もたくさんいました。
そのなかであえて一番をつけるならば、準優勝の星城高校のセッター・深津選手です。
セッターとして不可欠なハンドリング能力、ボールの下に入る早さと状況判断、すべてにおいて深津選手の能力は長けています。
たとえば決勝戦でも、レフトの選手にマークがついていることを前半の攻撃で判断すると、そこからはセンターを軸にした組み立て、センターがマークされ始めてからはサイドへの平行と時間差を絡めた中央からの攻撃。
準決勝では10本も打っていなかった選手を、相手の出方を見て攻撃の中心にすえるなど、状況判断をきちんとできなければなし得ない攻撃でした。

それ以外にも、セッターは、もちろん組み立ても大事なのですが、その大前提として正確なパス能力、技術がなければ成り立たないものです。
深津選手を今年一番にした理由はそこにもあって、レシーバーからの返球で低めに返って来たボールをアンダーではなくオーバーではあげる、ネット際に返ったボールをワンハンドでセンターのクイックではなくレフトへのトスにする、コート後方から走りこみながらのレフトへのバックトスなど、見ていて思わず「うまいっ」と叫びそうになるようなプレーも見せてくれました。
これからがとても楽しみな選手です。

春高が終わるといよいよ男子Ⅴプレミアリーグのセミファイナルです。
舞台は代々木から有明へ。
王者を決める戦いが始まります。

posted by tanaka yuko |13:40 | バレーボール | コメント(1) |
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2008年01月15日

逆転劇の裏側

12月に開幕したV・プレミアリーグも、今週末の3連戦を終え、男女ともに1レグが終了した。
思い通りの手応えを得たチーム、想像より厳しい状況を強いられたチーム、まだ発展途上でありつくりあげている途中だというチーム。

そんななか、昨年内の4試合は2勝2敗に終わりながら、年始に開催されたトーナメント形式の天皇杯・皇后杯を制したJTサンダーズが、その勢いと力が本物であることを今日の試合でも見せつけた。

地元広島での三連戦、初戦は東レに快勝しながら、昨日のサントリー戦はほぼ一方的なサントリーペースのまま、何もできずに敗戦。完膚なきまでに攻められての1敗。これで勢いも消沈かと見ている人はどこか沈みがちななか、選手たちの言葉は前向きで、互いを責め合う言葉はなかった。
なかでも、天皇杯・皇后杯ではチーム最多得点をたたき出した直弘選手は
「決められるべき人間が決められなかった。打つ人間が決めなければならない場面でブロックされたり、拾われたり、展開が向こうに流れてしまった。自分の力が足りなかった。セッターにも申し訳ない」
と発し、エースとしての自覚を言葉の端々に覗かせた。
昨年の中盤、連敗した際には
「頼れる柱がほしい」
とつぶやくほどの小さな声で発していた選手とは、別人のようだった。

そして今日。
「昨日の悪い流れが1、2セットは続いていた」(直弘選手)
1、2セットは石島選手、エンダギ選手という2枚看板を持つ堺が主導権を握り、JTに反撃のチャンスを与えない。
セットカウント0-2となったところで、栗生澤監督代行は、アウトサイドの徳元選手に代えて加藤選手、セッターの前田選手に代えて丹山選手、ミドルの尾上選手に代えて町野選手を投入。
そしてこの起用がピタリと当たる。
「チームがピンチの場面で出番を与えられたことに感謝していた。盛り上げようと必死だった」
25本のスパイクを打って52%の決定率を残した加藤選手の攻守にわたる活躍や、勝負どころでの町野選手のブロック、サーブが決まり、
「(今季初出場で)最初は緊張していたが、加藤さんや町野がほぐしてくれた。途中からは楽しむことができた」
丹山選手にも余裕が加わり、3、4、5セットをJTが一気に奪取。

これまではコート内で声を出したり、盛り上げることはどちらかといえば苦手だったという町野選手も、
「チームでも(年齢が)上になってきた。自分が出なくても勝てればそれでいいが、途中から出た以上は結果を残さないといけないとは思っていたし、出る限りは盛り上げたかった」
3セット目からの出場で、ブロックポイントが4本。
「選手全員が、お互いの顔を見て指示をしたり、声をかけたり、確認し合っていた。それがいい展開につながったと思う」

ベンチ入りしている選手、ベンチ外にいる選手。
それぞれが、それぞれの思惑を持ってそこにいる。日本代表のキャプテンを務め、プリンスと呼ばれた加藤選手も、今はベンチで出番を待つことが増えた。
「厳しい状況でも地道に練習してきた選手たちの、日々の努力がチームのピンチを救った。コートに立てる喜びを持ちながらプレーした結果が、今日の勝利につながったのではないか」
1人1人が役割を果たし、1つになってつかんだ勝利。
よく、勝利したチームの監督や選手は「相手よりも気持ちが勝った」という言葉を残すことがある。
まさにそんな試合が、今日のJTの試合だった。
来週からは2レグに突入。データも揃い、1レグとはまた異なる戦いが繰り広げられ、きっとまた違う面白さが生まれる。
数字に残らない部分にある勝敗の鍵を探してみるのも悪くない。

posted by tanaka yuko |00:07 | バレーボール | コメント(0) |
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2007年08月14日

エビちゃんの「声」と実り多き紅白戦

ずいぶん長いこと更新していませんでした。
5月の黒鷲旗以後、ワールドリーグ、インターハイなどなど、その都度「書こう」と思ったことはあったのですが、気づけば8月も半ばでした。
すみません。

現在は、ワールドグランプリの真っ最中。
今週末は、大阪へと会場を移して三連戦が行われます。

先週の金土と有明でのチャイニーズタイペイ戦、オランダ戦を取材してきました。
世界選手権以後、メンバーが大きく入れ替わったタイペイとの試合は、3セット目はわずか5点しか相手に与えないという完勝。
しかしその翌日は「ガリバー軍団」と評されるように、身長190を超す選手を複数有するオランダの高さと、サーブの打ち分けに屈し、フルセットでの惜敗。

たった2日間ではありましたが、いろいろと思うことや考えることがあったなか、最も強く印象に残ったことがありました。
「声」です。

大会のベンチ入りメンバーは12名。直前まで14名が選出されているなかから、今回は杉山選手と、櫻井選手がベンチアウトでした。
2日目のオランダ戦、劣勢の場面や相手がサーブを打つ場面、こちらのスパイク時、「いけー!」「シン、頑張れ」「サオリ、キャッチからだよ」「ゆっくり、ゆっくり」「ブロック1枚、打てるよ!」などなど、なんとも絶妙な声が響いていました。

誰だろう?
そう思って見た先にいたのは、櫻井選手。エビちゃんでした。
大会直前の記者会見で、急遽召集されたことに触れると「自分ができることをやるしかないと思います。プレーの面もそうだけれど、私の場合はまず“声”。どんな場面でも、それだけは徹底しようと思います」と迷わず答えた櫻井選手。

その言葉どおりの、絶妙で、最高の声で、チームをサポートし、ともに戦っていました。

日本でのワールドグランプリはあと3戦。
櫻井選手の「声」のように、それぞれのすべきことが成されていれば、きっと結果もついてくると思います。


日曜は、香川での全日本男子紅白戦を取材に行ってきました。

ワールドリーグ後に新たに召集された宇佐美選手、柴田選手、南選手。そして、荻野選手、齋藤選手、山村選手といった復帰組も加わり、それぞれのポジション争いも激化。
地域振興のための交流を第一にした紅白戦ではなく、「普段やっている練習そのままの一生懸命なプレー」(植田監督)という真剣そのもの、ポジション争いに向けたアピールの場。
まだ本調子ではないとはいえ、それぞれが、何をすべきか、何をしなければならないか、何がしたいのか、ということは明確に現れていたように感じました。

北京まであと1年を切り、五輪へ向けた戦いもいよいよ本格化。
今秋のワールドカップで3位以内に入れば、五輪出場権を手にすることができます。

そのために何をすべきか。
詰めることができるのが、今この時期のはずです。
ワールドカップへ挑むラグビー日本代表・ジョンカーワンHCは「日本の代表として誇りに思える戦いをしてほしい」と選手たちに言っていました。
バレーボール日本代表ももちろん同様。見ている人たちが誇りを持てるような、そんな試合が秋に見られることを願ってやみません。

posted by tanaka yuko |14:15 | バレーボール | コメント(0) |
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2007年05月02日

黒鷲旗

本日より黒鷲旗開幕。

今年から少し変わった部分はありますが、プレミア、チャレンジ、大学、高校が集う舞台であることは変わりありません。

注目すべき点をそれぞれ抱いて見ていただけるだけでも、楽しい大会になるのではないかと思います。

明日もリーグ戦が行われます。
オススメは、武富士×日立佐和、パイオニア×トヨタ車体、パナソニック×筑波大学、大分三好×日体大です。

スポナビでも結果が記載されます。ご注目ください。

posted by tanaka yuko |00:57 | バレーボール | コメント(0) |
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2007年04月18日

「優勝」と同じ日に行われたもう1つの激戦

サントリーサンバーズ、久光製薬スプリングスがともに3年ぶり、5年ぶりの優勝を飾り、2006/07V・プレミアリーグは閉幕した。

頂点を目指したどちらの戦いも、1点1点、1つ1つのプレーがその勝敗のカギを握る激戦であったことは間違いない。

そして同じ日に、さいたまスーパーアリーナからは遠く離れた、新潟県長岡市市民体育館で「2006/07Vリーグ男女チャレンジマッチ大会」が行われた。
プレミアリーグ残留か、それとも降格か、はたまた昇格か。
男女各4チーム、計8チームがそれぞれの目標を掲げ、2日間の戦いに挑んだ。

「負けられない」という独特の緊張感と雰囲気が生まれるチャレンジマッチ。
豊富な指導経験を持つ監督ですら「入れ替え戦はしんどい」と漏らすほどの、想像を上回るプレッシャーとの戦い。

なかでも、プレミアリーグ第8位・大分三好ヴァイセアドラーと、チャレンジリーグ第1位・FC東京との一戦は序盤から熾烈を極め、まさに「激戦」と呼ぶにふさわしい一戦となった。

「マイヨという柱がいてくれることに安心してしまって、精神的に受け身に回ってしまった」(大分三好・南選手)
「上のリーグで迎える入れ替え戦は初めてで、『ものすごいプレッシャーがかかる』と言われ続けていたにもかかわらず、悪いところが出てしまった」(大分三好・小川選手)

プレミアリーグでも得点王に輝いたマイヨの得点力があれば、大分三好が有利だろうというのが大方の見方だった。
現に、南という抜群の「経験」を持つ選手ですらそう口にした。
しかし、打倒大分三好に対して、どのチームよりも強い思いを抱くFC東京の、チャレンジマッチにかける意気込みは、その当初の予想を大きく上回り、覆すに十分すぎるほどのものだった。

組織での動きが統一され、サイドへの動きも速いブロックが序盤から効果を発し、マイヨの攻撃が決まらない。
思わぬ展開に、大分三好に焦りが生まれる。

この状況を救ったのは、大嶋、前田といったプレミアリーグではなかなか出場機会を得ることのできなかった選手たちだった。
「今日の試合は僕がラッキーボーイだったと思う。ブロックも思い通りにできたし、練習の成果をすべて出すことができた」
その言葉が示す通り、調子の出ないマイヨ、小川に対し、ブロック・スパイク決定率でともに高い数字を記録した大嶋が、チームに勢いを与える。
24-24からネットインサーブで25点目を挙げたのも大嶋だった。
ベテラン南がブロックで26点目を刻み、互いにとって大きな意味を持つ、初戦の第1セットは大分三好が手にした。

しかしこの両者の戦いは、最後まで一方のみが勢いを持つことなどなかった。
「どっちが点を取っても追いついて、追いつかれて。力の差は全く感じなかった」(FC東京・福田選手)

そのわずかな差は、終盤のポイントとなって、大分三好が手にした。
初戦は3-1。
24-26、28-26、23-25、27-25。
すべてが2点差での決着だった。

翌日の2戦目。
初戦の勝利でやや優位に立った大分三好。
だが、「初戦を終えてようやく自分たちもプレッシャーがなくなった」(福田)というFC東京の勢いが勝り、第1セットはFC優位で試合が進む。

サポーターが掲げる「どんな状況になっても 最後の最後まで戦い抜け! 俺たちもついていく!」という言葉と、声援の後押しを受け、得点を重ねるFC東京。

何とか流れを断ち切りたい。
そんな願いを一身に受け、2本のブロックを1枚で決めたのがキャプテン・小川だった。
FCのキャプテン・福田が放った渾身のスパイクを2本続けてシャットアウト。
初めて臨んだプレミアリーグで、思うように勝ち星を挙げられず、自身のプレーもできないなかで「本当に苦しいです…。どうしたらいいかわからない。しんどいです…」搾り出すようにそういい続けた、苦悩し続けた主将が、土壇場でチームに流れを引き寄せた。

さらに昨日とは打って変わって、第1セットから好調の主砲・マイヨの強打が序盤から容赦なくFCコートに襲い掛かる。
わかっていても止められない。ブロックの上から放つマイヨのスパイクで、大分三好は徐々に勢いをつかみ始める。

勝敗にかかわらず、前日の結果を受け、2セットを得れば大分三好のプレミアリーグ残留が決まる。
第1セットはマイヨのバックアタックで30-28。
第2セットもマイヨのスパイクで28-27。
あと1点。

マイヨのサーブでレシーブが崩れたところを、大嶋が押し込む。
届く距離まで1mmでも遠くへ、懸命に、必死で手を伸ばし、何とかボールをつなげようとするFC東京の選手たち。

しかし無常にも、そのボールはFC東京のコート前方に落ちた。
第2セットは29-27。
大分三好のプレミアリーグ残留が決まり、歓喜の輪をつくるコートの横で、FC東京の選手たちはガックリとうなだれた。

それでも、最後まであきらめることなどなかった。
「自分たちは3年連続V1(現:チャレンジリーグ)で優勝したのに、実力がなくて上に上がることはできなかった。それなのに、優勝を逃した年に勝った三好が運もあって上に上がった。本当に悔しかったし、三好に勝ってプレミアに上がることだけを考えて、この1年間必死でやってきた。
でも、負けたセットは全部ジュースで。あと2点の差って何なんでしょうね…。それがわかればいいのにね。…今は、切り替えるのが難しいです」
24-26で第3セットを落とし、ストレート負けを喫した後、福田はひと言ひと言つぶやくように残した。
ストレッチをするトレーニングルームでは、多くの選手がタオルで顔を覆った。コートを引き上げる彼らに、サポーターは言った。
「俺たちの誇り」

負けたくない気持ち、この試合にかける思いは、大分三好も劣ることなどなかった。
キャプテン・小川は言った。
「プレミアリーグに上がることができたけれど、2勝しかできなくて、練習中から厳しいことを言われて、自分も思うようにできなくて。本気で辞めようと思った選手もいた。そんななかで試合は続いて、仕事も普通にやってきて、その状況を戦い続けることができたという自信も意地もあった。FCさんの気持ちはよくわかります。でも苦しかったこと、必死だったことは僕たちも同じだから…。絶対に負けたくなかったし、負けるわけにいかなかった」

すべてが2点差でついた決着。
リーグ最終戦を締めくくるにふさわしい激戦が、長岡でも行われていた。







posted by tanaka yuko |21:07 | バレーボール | コメント(2) |
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2007年04月09日

セミファイナル第3戦、大阪

この試合で、サントリーサンバーズが1つセットを得れば決勝進出が決定。
パナソニックパンサーズが決勝進出を果たすには、この試合での勝利が必須。
絶対に負けることはできない試合だった。

越川、荻野、山村、津曲といった全日本の中心選手だけでなく、このセミファイナルで「ここからがスタート、非常にいい状態で戦うためのモチベーションが高まっている」というレオナルド、彼らを操る司令塔の栗原。レギュラーラウンド1位で終えた「王者」と呼ぶに過言でないサントリー。
対するパナソニックは、山本、ソトという2枚看板を、天才セッター・宇佐美のトスでその強さと鋭さ、華やかさを1枚も2枚も厚いものにする。

サントリーは2戦を終えて2勝。優位であることに変わりはないが、まだ決勝進出を決めたわけではない。
負けられない、負けたくないのはサントリーだけではない。

両者の意地から生み出される白熱したプレー。
決勝進出を決める1セットを得た後も、サントリーの勢いは止まらない。
第2セットも24-21で先にセットポイントに到達する。
しかしここから、パナソニックが怒涛の反撃。
山本の2本のスパイク、ソトのサーブでレシーブを崩して、高さのあるセンター枩田のブロックで一気に5点を挙げ、土壇場で逆転。
最後は山本が豪快にスパイクを決め、第2セットは27-25でパナソニックが奪取する。

しかし続く第3セットはまるで違うチームのように、リズムの崩れたパナソニック。25-14と大差をつけてサントリーが第3セットを得る。

「追い上げに転じなければいけないところで、1人1人の個人プレーに走り、まとまりがなくなってしまった」(パナソニックキャプテン・川村)
「コミュニケーションが取れず、歯車が合わなかったことがこういう結果を招いてしまった。いいところまで粘ることができるのに、そこから取れない弱さがこれからの課題だと思う」(パナソニック・今井)
第4セットを奪い、フルセットまで追い上げ、あと一歩のところまで何度も迫りながらも、得なければならない1勝を得ることはできなかった。

まだ決勝進出の可能性はこの時点で消えたわけではない。
しかし、下村監督はこの状況を受け止め、敗因を次のように語った。
「昨シーズン優勝した堺ブレイザーズを引っ張っていた石島選手のように、泥臭くチームを引っ張るような選手がうちにはいない。周りの選手も引っ張っていけるような、盛り上げていけるリーダーがいない。技術は決して負けていない。切羽詰ったなかでチームを一気に引っ張ることのできるリーダー不在ということが最大の課題だと思う」

パナソニックパンサーズの決勝進出は、東レアローズの勝敗に託された。

3-1で勝利すれば東レの決勝進出が決まる。
「負けられない試合というプレッシャーは確かにあったけれど、それをはねのける勢いがあったと思う」(東レ・笠原)
大切な立ち上がり。そこで最も必要な「勢い」と「主導権」をチームに与えたのはキャプテンの篠田だった。

「セミファイナルという場が僕にあのサーブを与えてくれた」
と笑いながら振り返った「サーブ」。サービスエースを含む篠田のジャンプフローターが豊田合成の守備を完全に崩し、攻撃のチャンスを与えない。
「あんなに後ろから打ったこともない」
という篠田のサーブは30%以上の効果率を記録。東レが優勢に試合を進め、終盤に競り合いながらも、まず第1セットを先取。

第2セットに入っても、東レの優位は変わらない。
ニコロフのジャンプサーブやバックアタックで得点を重ね、最後はレギュラーラウンドでもブロック賞を獲得した新人・富松のブロックで東レが2セット目も制する。
第3セットは両チームが点を取り合うなか、やはりここでも篠田のサーブが功を奏し、連続得点のきっかけをつかみ、第3セットも東レが制し、3-0のストレート勝ち。
「負けられない試合で勝ててよかった。この勢いを持って、決勝でサントリーにリベンジしたい」(東レ・今田)

決勝戦はサントリーと東レ。
レギュラーラウンド1位、2位の両チーム。
最後の最後に笑うのは、どちらのチームになるか。
レセプションの返球率、基本的なプレー、爆発的な攻撃。
自チームらしいプレーで、試合を制するのはサントリーか、東レか。
王者は14日に決定する。

posted by tanaka yuko |00:50 | バレーボール | コメント(0) |
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2007年04月08日

セミファイナル第2戦、大阪

チーム一丸となって臨む短期決戦、セミファイナル。
しかし「勝利」を手にするために、絶対に不可欠なのが「柱」となり、「軸」となる存在。 

セミファイナル第2戦、サントリーサンバーズと、東レアローズを勝利に導いたのは、強く、折れない2人の“柱”だった。

初戦をストレート勝ち、攻撃陣の調子もよく、さらにそこに加えてセミファイナルやファイナルを何度も経験している強みもあるサントリーサンバーズ。
第2戦目の豊田合成トレフェルサ戦でも、レオナルドを中心に、破壊力のある攻撃にプラスして、センター線からのコンビをうまく絡め、序盤から優勢に試合を運ぶ。

1セット目を先取し、2セット目も危なげなく連取。
迎えた第3セットもサントリー優位は変わらない。
しかし終盤に近づき、後がなくなった合成もエースのファビアノを中心に攻め込み、反撃に転じる。
いくつもある攻撃の枚数。そのどこを使うことで、よりチームを勝利に近づけることができるのか。
20-22、21点目と23点目をかけた攻防。合成のサーブはファビアノ。
バックアタックと見間違うほどの強烈なサーブがサントリーコートに見舞われる。
しかし、そのボールを荻野が処理し、ボールはセッター・栗原へ。
迷わず、栗原はレフトの荻野へトスを挙げる。
「荻野さんからの『自分のところにトスをもってこい』という視線を感じながら挙げた」
笑みを浮かべながら、振り返る栗原。
強固なる大黒柱が、サントリーに2勝目をもたらした。

2試合目は、初戦をストレート勝ちのパナソニックパンサーズと、ストレート負けの東レアローズ。
すでにサントリーが2勝目を挙げている。ここで負ければ、東レには決勝進出のチャンスがなくなる。

スタートメンバーのなかに、背番号「11」がいる。
試合前に何本もの痛み止め注射を打ちながらも、「痛みについてはここで話をすることもできないほど」というほどの痛みを抱えたニコロフがコートに立った。

「東レさんはもう後がない。当然ニコロフが出てくることも予想していた」
パナソニック下村監督の予想をもはるかに上回る、ニコロフの不屈の精神力からなるプレーが、試合開始から随所で展開される。
自身が放つ最初のサーブをサービスエースで飾り、ベンチに向かって「どうだ」とばかりに指を差す。大事な場面で帰って来た、絶対的エースに抱きつく東レの選手たち。
1セットだけで3本のサービスエースを奪うニコロフの活躍で、第1セットは東レが先取。

「最後に決めてくれる存在がいてくれるということがチームにとっても大きかった」
昨日の敗戦後とは一転、安堵の表情で試合を振り返った東レのキャプテン・篠田。
前日の敗戦後、選手同士で「もう一度、自分たちのバレーに帰ろう」と話し合い、コートの中を走り回りながらプレーすること、その姿で相手に対してプレッシャーを与える“東レバレー”への回帰が、価値ある1勝の要因になったと語った。

シーズンを通しても、あまり賛辞の言葉を出すことのない矢島監督も、この日の試合を「ベストゲーム」と述べ、その理由をこう示した。
「優勝した年を除いて、大事な試合ではなかなか勝つことができなかった。それが今日のようなプレッシャーのかかった試合で、選手たちが最高のモチベーションを持って臨んでくれた。自分たちでつかみ取るという、非常にいい状態でできた試合だった」

勝因は1つではない。
いくつもの条件が連鎖して、ベストプレーやベストゲームが生まれる。

ニコロフは言った。
「ケガをしたときは楽観的な状況であるとは言いがたい。でも、プレーするのが不可能な状況のなかで、チームドクターやトレーナーがそれを可能な状況にしてくれた。彼らの力がなければ私はここに立つこともできず、この勝利もなかった。そのことに、まず感謝したい」

決勝へ進出するのは2チーム。
王者になるための権利をかけた戦いに臨むことができるのはどのチームか。
勝因の引き出しを、より多く持ちえるのは、果たして――。

posted by tanaka yuko |10:29 | バレーボール | コメント(0) |
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2007年04月07日

セミファイナル第1戦、大阪

セミファイナル第1戦、対するはレギュラーラウンド第1位のサントリーサンバーズと、第2位の東レアローズ。

対戦成績は2勝2敗。
これまでの勝敗は関係なく、この3戦のみの勝敗で決勝進出が決まる、一発勝負といっても過言でない短期決戦。
レギュラーラウンドとはまた異なる、独特の緊張感が漂う。

出だしから、レオ、高杉、オポジットの両選手を中心とした攻撃で、互いが点を取り合うサイドアウトの攻防が続く。
1点、1点と刻まれていく展開を打破したのは、サントリーのキャプテン、栗原のサーブだった。
サーブレシーブをするサイドの今田、リベロの田辺のちょうど間、絶妙な場所に放たれたサーブがエースになり、まず1点。
栗原のジャンプフローターにレセプションが乱されたところを、山村のBクイックでまた1点、そして焦りから打ち急いだ感が否めない今田のスパイクミスでまた1点。
12-12だった得点は、15-12とサントリーが一気に突き放し、二度目のテクニカルタイムアウト。

ベンチアウトの勝野、山本がメガホンを持ち、コートの選手に声援と指示を送る東レ。
雰囲気は悪くない。
しかし、短期決戦に必要な「勢い」を得るための突破口がなかなかみつからない。
セッター・近藤の丁寧で堅実なトス回しから、今田や高杉が攻撃を仕掛けるも、流れを再び引き寄せるほどの爆発的な攻撃力とは言いがたい。

「序盤の勢いに乗りたいところで、レオがよく決めてくれた」
セッター・栗原の言葉通り、第1セットで10本中8本のスパイクを決めたレオナルドの活躍で、まずサントリーが25-19で先取。

続く第2セット。
「流れを変えるためのキッカケになればと思って、選手交代を試みた」(矢島監督)
セッターは近藤から阿部へ。
高さのある阿部。第1セットと比べて、東レのブロックからの返球率、攻撃決定率が少しずつ上がり始める。
5-7とサントリー2点リードの場面、ベンチでは矢島監督がニコロフを呼ぶ。

今季の東レの絶対的エースとして、チームを牽引してきたニコロフ。
レギュラーラウンド最終週の堺ブレイザーズとの試合中に捻挫をするというアクシデントに見舞われ、このセミファイナル出場も危ぶまれていた。
「起こってしまったことは仕方ない。今いる戦力で臨むだけ」
矢島監督はただそう言い続けた。

13-14、ニコロフ投入。
「何かを変えてほしかった」
競り合いのなかで、ニコロフがコートに入ることで、逆転に向けた起爆剤を生み出してほしい。
わずかなところでつかめずにいる“流れ”と“勢い”を手にしたかった。

大事な初戦。
「ウチはブロックされた選手ではなくて、ブロックフォローができなかった選手、しなかった選手を叱る。そこは徹底しているはずですよ」
今季からコーチを務める東レ・小林が言うように、徐々に本来のリズムを取り戻し始めた東レ、キャプテンの篠田や阿部のフォローから、攻撃が繰り広げられ、今田、斉藤の攻撃で応戦する。

しかし、
「ついていくのにやっとという状態だった」(矢島監督)
「今季一番のゲームができたと思う」(サントリー・河野監督)
指揮官の言葉が表すように、勢いの差は歴然としていた。
ピンチサーバー・吉田のサーブが功を奏し、第2セットの競り合いも制したのはサントリー。
「終盤の苦しいところで、レオが決めてくれた。2セット目を取ったことで気持ちに余裕が生まれ、3セット目にうまくつなげられた」(サントリー・越川)

2セット目を得たことでサントリーには「余裕」が生まれ、東レには「焦り」が生まれる。
「レギュラーラウンドから、センター線へのマークがきつくなることは予想できたので、あえて最初はサイド中心に組立て、サイドの選手がそれに応えて頑張ってくれた。3セット目からはブロックがそこに振られていたので、逆にセンター線を使ったことで、よりよく機能できたと思う」
司令塔・栗原の巧みなトスに、翻弄される東レ。
攻守の連係が崩れ、第3ット序盤に喫した7連続失点が響き、第3セットは25-15と大差をつけてサントリーが手にし、セットカウント3-0、最高の形でセミファイナル初戦を終えた。

「2セット目を取られたことで後がなくなり、コートにいたメンバーのプレッシャーが空回りして、ミスが出て、声も出なくなった。3セット目は、何もできなかった」
試合後、そう振り返ったのは篠田キャプテン。
ニコロフが投入されてもコートの雰囲気は変わらなかったこと、サーブで崩せなかったことで思い通りの展開に持ち込むことができなかったことを敗因として挙げた。


1位、2位対決に続いて行われたのは、レギュラーラウンド第3位のパナソニックパンサーズと、第4位の豊田合成トレフェルサの一戦。

「楽しくバレーをしようという気持ちで、この試合に臨んだ」
これまでVリーグで、どうしても「四強」の壁を打ち破ることができなかった豊田合成。松田監督の「楽しんでバレーを」という思いに加え、
「四強が決まるか、決まらないかというプレッシャーのもとで戦うほうがつらかった。今日はそのときよりもリラックスして試合に臨めていた」(盛重キャプテン)、肩の力がうまく抜けたプレーで、序盤はまず豊田合成が先行する。

17-19、豊田合成2点のリード。
抜群の跳躍力を活かしたソトのスパイクで18-19、その差を1点とし、続く19点目は宇佐美がブロックで豊田合成のエース・ファビアノを仕留める。
このブロックで一気にパナソニックが流れを引き寄せ、怒涛の7連続得点。25-20と逆転でパナソニックが第1セットを先取する。

勝敗を決するプレーは1つではない。
しかし、流れを引き寄せるための大きな鍵となり得るプレーというものがある。
「サーブで崩してブロックで仕留める。これができたときは、うちがすべきバレーができているときだと思う」
下村監督がそう発したように、山本、宇佐美が放つ強烈なジャンプサーブで合成の守備を崩し、2セット目だけで3本のブロックを記録した今井がまさに「壁」となり、その攻撃を阻む。
「まだまだきっちりしたバレーはできていない」(宇佐美)としながらも、ブロックで勢いを得たパナソニックが2セット目も連取し、第3セットも優勢に試合を運ぶ。

ここで松田監督は、セッターを島野から高橋へ、さらに盛重に代えて諸隈を投入。
「レシーブでつないで、二段トスをファビアノが決めるという展開はできていたと思う」(川浦)というように、中盤からジリジリと豊田合成が追い上げに転じ、第3セットはフルセットへ突入する。
短期決戦で大切なのは精神的強さ。「勝ちたい」という気持ちがどれだけ上回ることができるか。そんな気持ちの勝負を象徴するかのように、1つのボールに飛びつき、必死でつなぐ両チーム。
しかし、その思いが最後で上回ったのはパナソニックだった。
豊田合成・甲斐のスパイクを宇佐美がブロックし、最後はソトのスパイクが決まり、27-25、熱戦を制し、初戦を勝利で飾った。

2日目の今日。
サントリーが豊田合成に勝利し、パナソニックが東レに勝利すれば、両チームの決勝進出がほぼ決まるといっても過言ではない。

初戦を制した余裕が勝るか、それとも巻き返しに向けた意地が上回るか。
間もなく、その幕が開かれる。








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2007年03月27日

前哨戦、勝者・サントリーサンバーズ

3月25日、日曜日。
高知県でのレギュラーラウンド1位・サントリーサンバーズ、2位・東レアローズの直接対決。

両チームのファイナル前の対戦はこれが最後。ファイナルへの布石も含め、今季はレギュラーラウンド1位チームに賞金が出されることもあってか、前日、対戦を控えた両チームの選手は、
「明日が決勝戦だと思って戦います」(サントリー・山村宏太選手)
「ここで勝って、サントリーは怖いというイメージをつけたい」(サントリー・越川優選手)
「ファイナルに備えて隠す必要はない。明日はガチンコで行きます」(サントリー・木原丈裕選手)
「勝ちに行きます。ここで勝って、もう一度首位に立ちます」(東レ・篠田歩選手)
それぞれ、決戦の雰囲気を十分に漂わせるコメントを残した。

いざ、決戦開始。

立ち上がりから1本1本に両チームの気合がみなぎる。
まず先行したのは東レ。久しぶりの先発となったセッター阿部のブロックやツーアタックで得点する。

しかし、互いが一歩も譲り合うことなく終盤まで試合は進む。
越川がサービスエースを奪えば、負けじとニコロフがサービスエース。
ファイナルラウンド前哨戦といっても過言でない、手に汗握る好ゲーム。

1、2セットはともにジュースに突入。
1セット目はサントリー。
2セット目は東レ。
全く五分五分の戦いが繰り広げられているように見える。

ところがここから、少しずつ流れがサントリーへと傾きはじめる。

3セット目、3-7と4点のビハインドを背負い、サントリーはセッター・吉田に変えて栗原を投入。落ち着いたトスワークで栗原が少しずつリズムをつくり、再び攻撃を組み立て直す。
「1、2セット目に吉田がうまくセンターを使ってくれたので、サイドへのブロックが手薄になっていた。そこをうまく切ることができたと思う」
翻弄される東レブロック陣。

試合後、敗因は何かと問われ、キャプテン・篠田は言った。
「3レグのサントリー戦では越川にやられたので彼をマークしていたけれど、今回は荻野さんにやられた」
要所となるポイントで、しっかり得点するベテラン・荻野。
「東レのサイド陣に対してうちのサーブが前半から効いていた。そこであえてジャンプをやめて返球率のよくないフローターで攻めたことでジャブのように徐々にリズムを崩し、単調な攻撃へつなげることができたこと、そこをブロックで仕留めることができたのが勝因だと思う」

レギュラーラウンド最後の対戦、4レグはサントリーが3-1で勝利。
レギュラーラウンドは2勝2敗。
決着は、ファイナルラウンドで果たされる。




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2007年03月06日

フルセットな週末

いよいよ終盤、四強入りを目指し、勝負を決する佳境へと突入した男子プレミアリーグ。

長丁場の疲れも徐々に出始め、ケガ人も出てきたり、序盤とはまた違う厳しさが伴う3レグの戦い。
しかもここからは、「四強=決勝リーグ進出」や「入れ替え戦阻止」に向け、どのチームにとっても1つ1つがとても大切な戦いになります。

そのなかで。
現時点では「最高」と呼べる状態にあるのが豊田合成トレフェルサ。
昨年は7位で入れ替え戦。全日本にも選出され、パワーのある盛重、鉄壁のブロックを誇る北川、川浦など、充実した戦力が整っているにもかかわらず、どうしてもあと一歩前に進むことができなかった。
ところが今年は、開幕からいきなり5連勝。しかもそのすべてがストレート勝ち。圧巻とも言えるスタートダッシュだった。

その勢いに「待った」をかけたのが、東レアローズだった。
センター線の要・川浦を完璧に封じ、サイドにはしっかりブロックとレシーブを配置。豊田合成に対して、全く自分たちのバレーをさせず3-0で勝利、連勝は5でストップした。

好調をたどる豊田合成トレフェルサが、今季唯一勝ち星を挙げられないのが東レアローズだった。

3巡目の対戦も、やはり序盤の主導権は東レが握る。
前日はバラバラだったブロックと守備の連携が再び生じ、サイドの今田、オポジットのニコロフが高い決定率を残し、第1セットを難なく先取。
しかしここから、豊田合成の反撃が始まる。
レセプションが崩れ始めた盛重に変え、サイドに入った諸隈、センター・川浦の活躍で、セッター・島野のトスに余裕が生まれ始める。
逆にサイドアウトが取れなくなった東レに焦りが生まれ、単調になり始めた攻撃をセンターブロックがシャット。東レに傾いていた勢いは、一気に豊田合成へ。
2・3セットを連取し、遂に東レ戦初勝利かと思われた第4セット、ここで意地を見せたのが東レのエース・ニコロフと、キャプテンの篠田だった。
多少の崩れがあろうと、挙がったトスをすべて決めるほどの気迫みなぎるスパイクを次々見舞うニコロフ。相手に負けじと要所でブロックを連発する篠田。要となるべき選手の活躍が、再び流れを引き戻す。

しかし、24点目を取ったところで、東レに安易なサーブミスが出た。
多少のリードがあり、揺らぐような点数ではない。
だが、あまりに簡単に打ちすぎて、あまりに簡単にしすぎたミスだった。
ここ数試合続いていた東レらしくない安易なミス。
ここから豊田合成は連続得点。追いつくことはなかったが、ミスの許されない、そして何より勢いを要する最終セットに向けて、豊田合成からすれば「次につながる最後」であり、東レにとっては「嫌なセットの終わり方」だった。

そしてその結果が、最終セットの立ち上がりに顕著に現れた。

立ち上がりからいきなりの6連続得点。
二度のタイムアウトも、流れを引き止めるには至らなかった。
川浦の完璧なブロックが東レの攻撃を容赦なく阻み、前日のNECブルーロケッツ戦に続き、大事な1戦をまたもフルセットで豊田合成が制した。
試合後、松田監督の目にはうっすらと涙が浮かび、コート上の選手たちはまるで優勝を決めたように喜び、たたえあった。

試合後、東レの今田は「自分たちでミスミス流れを与えてしまった。勝っているときは『まとまって勝てた』といえるけれど、負けるときはバラバラで、すべきことができていない。もう一度気を引き締めて、これからの試合に臨みたい」と表情を引き締めた。
東レ・矢島監督も、「あとはやるだけ。選手がそれをわかっているかどうか。やることをやるだけですよ」と珍しく、感情をあらわにした。

これからの戦いも「チャレンジャーとして臨む」と述べた後、松田監督は言った。
「やっと東レに勝つことができた自信は大きい。受けて立つのではなく、常にぶつかっていく気持ちで残りの試合を戦いたい」

残すところあと8試合。
勝利の女神は、どのチームに微笑むか。

posted by tanaka yuko |15:29 | バレーボール | コメント(1) |
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