2007年04月18日

「優勝」と同じ日に行われたもう1つの激戦

サントリーサンバーズ、久光製薬スプリングスがともに3年ぶり、5年ぶりの優勝を飾り、2006/07V・プレミアリーグは閉幕した。

頂点を目指したどちらの戦いも、1点1点、1つ1つのプレーがその勝敗のカギを握る激戦であったことは間違いない。

そして同じ日に、さいたまスーパーアリーナからは遠く離れた、新潟県長岡市市民体育館で「2006/07Vリーグ男女チャレンジマッチ大会」が行われた。
プレミアリーグ残留か、それとも降格か、はたまた昇格か。
男女各4チーム、計8チームがそれぞれの目標を掲げ、2日間の戦いに挑んだ。

「負けられない」という独特の緊張感と雰囲気が生まれるチャレンジマッチ。
豊富な指導経験を持つ監督ですら「入れ替え戦はしんどい」と漏らすほどの、想像を上回るプレッシャーとの戦い。

なかでも、プレミアリーグ第8位・大分三好ヴァイセアドラーと、チャレンジリーグ第1位・FC東京との一戦は序盤から熾烈を極め、まさに「激戦」と呼ぶにふさわしい一戦となった。

「マイヨという柱がいてくれることに安心してしまって、精神的に受け身に回ってしまった」(大分三好・南選手)
「上のリーグで迎える入れ替え戦は初めてで、『ものすごいプレッシャーがかかる』と言われ続けていたにもかかわらず、悪いところが出てしまった」(大分三好・小川選手)

プレミアリーグでも得点王に輝いたマイヨの得点力があれば、大分三好が有利だろうというのが大方の見方だった。
現に、南という抜群の「経験」を持つ選手ですらそう口にした。
しかし、打倒大分三好に対して、どのチームよりも強い思いを抱くFC東京の、チャレンジマッチにかける意気込みは、その当初の予想を大きく上回り、覆すに十分すぎるほどのものだった。

組織での動きが統一され、サイドへの動きも速いブロックが序盤から効果を発し、マイヨの攻撃が決まらない。
思わぬ展開に、大分三好に焦りが生まれる。

この状況を救ったのは、大嶋、前田といったプレミアリーグではなかなか出場機会を得ることのできなかった選手たちだった。
「今日の試合は僕がラッキーボーイだったと思う。ブロックも思い通りにできたし、練習の成果をすべて出すことができた」
その言葉が示す通り、調子の出ないマイヨ、小川に対し、ブロック・スパイク決定率でともに高い数字を記録した大嶋が、チームに勢いを与える。
24-24からネットインサーブで25点目を挙げたのも大嶋だった。
ベテラン南がブロックで26点目を刻み、互いにとって大きな意味を持つ、初戦の第1セットは大分三好が手にした。

しかしこの両者の戦いは、最後まで一方のみが勢いを持つことなどなかった。
「どっちが点を取っても追いついて、追いつかれて。力の差は全く感じなかった」(FC東京・福田選手)

そのわずかな差は、終盤のポイントとなって、大分三好が手にした。
初戦は3-1。
24-26、28-26、23-25、27-25。
すべてが2点差での決着だった。

翌日の2戦目。
初戦の勝利でやや優位に立った大分三好。
だが、「初戦を終えてようやく自分たちもプレッシャーがなくなった」(福田)というFC東京の勢いが勝り、第1セットはFC優位で試合が進む。

サポーターが掲げる「どんな状況になっても 最後の最後まで戦い抜け! 俺たちもついていく!」という言葉と、声援の後押しを受け、得点を重ねるFC東京。

何とか流れを断ち切りたい。
そんな願いを一身に受け、2本のブロックを1枚で決めたのがキャプテン・小川だった。
FCのキャプテン・福田が放った渾身のスパイクを2本続けてシャットアウト。
初めて臨んだプレミアリーグで、思うように勝ち星を挙げられず、自身のプレーもできないなかで「本当に苦しいです…。どうしたらいいかわからない。しんどいです…」搾り出すようにそういい続けた、苦悩し続けた主将が、土壇場でチームに流れを引き寄せた。

さらに昨日とは打って変わって、第1セットから好調の主砲・マイヨの強打が序盤から容赦なくFCコートに襲い掛かる。
わかっていても止められない。ブロックの上から放つマイヨのスパイクで、大分三好は徐々に勢いをつかみ始める。

勝敗にかかわらず、前日の結果を受け、2セットを得れば大分三好のプレミアリーグ残留が決まる。
第1セットはマイヨのバックアタックで30-28。
第2セットもマイヨのスパイクで28-27。
あと1点。

マイヨのサーブでレシーブが崩れたところを、大嶋が押し込む。
届く距離まで1mmでも遠くへ、懸命に、必死で手を伸ばし、何とかボールをつなげようとするFC東京の選手たち。

しかし無常にも、そのボールはFC東京のコート前方に落ちた。
第2セットは29-27。
大分三好のプレミアリーグ残留が決まり、歓喜の輪をつくるコートの横で、FC東京の選手たちはガックリとうなだれた。

それでも、最後まであきらめることなどなかった。
「自分たちは3年連続V1(現:チャレンジリーグ)で優勝したのに、実力がなくて上に上がることはできなかった。それなのに、優勝を逃した年に勝った三好が運もあって上に上がった。本当に悔しかったし、三好に勝ってプレミアに上がることだけを考えて、この1年間必死でやってきた。
でも、負けたセットは全部ジュースで。あと2点の差って何なんでしょうね…。それがわかればいいのにね。…今は、切り替えるのが難しいです」
24-26で第3セットを落とし、ストレート負けを喫した後、福田はひと言ひと言つぶやくように残した。
ストレッチをするトレーニングルームでは、多くの選手がタオルで顔を覆った。コートを引き上げる彼らに、サポーターは言った。
「俺たちの誇り」

負けたくない気持ち、この試合にかける思いは、大分三好も劣ることなどなかった。
キャプテン・小川は言った。
「プレミアリーグに上がることができたけれど、2勝しかできなくて、練習中から厳しいことを言われて、自分も思うようにできなくて。本気で辞めようと思った選手もいた。そんななかで試合は続いて、仕事も普通にやってきて、その状況を戦い続けることができたという自信も意地もあった。FCさんの気持ちはよくわかります。でも苦しかったこと、必死だったことは僕たちも同じだから…。絶対に負けたくなかったし、負けるわけにいかなかった」

すべてが2点差でついた決着。
リーグ最終戦を締めくくるにふさわしい激戦が、長岡でも行われていた。







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posted by tanaka yuko |21:07 | バレーボール | コメント(2) |
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心臓に悪過ぎた「大分三好vsFC東京」

コメント投稿者ID :

初めてコメントさせて頂きます。

三好とFC東京のコメントを掲載して頂き、ありがとうございました。どちらの思いも強く深く、心に染みました。そしてその譲れない思いは、顕著に試合に表れていましたね。

入替戦、2日間とも現地で観させて頂きました。
「大分三好vsFC東京」はとにかく大接戦で、三好を応援する為に行った私は、ずっとハラハラドキドキ、笑って嘆いて、プレミア残留が決まるまで生きた心地がしませんでした。

2日間計7セット全てが2点差で決まったのは劇的でしたね。どちらが勝ってもおかしくない、実力伯仲同士の戦いは大変見応えがありました。
地元さいたま開催の決勝戦を蹴って、長岡に行った甲斐がありました。…と、三好が無事残留を決めたからこそ言えることですケド。

激戦を制したその力と精神力に心から賞賛を送るとともに、来季もプレミアで三好を見れること、応援できることをとても嬉しく思います!

posted by すみれ | 2007-04-22 02:49

Re:「優勝」と同じ日に行われたもう1つの激戦

コメント投稿者ID :

んちゃっ!(^^)!
ご無沙汰しております。
ながなが、お預かりしている物がございます。よろしかったら、追加なさいますか?

posted by グリーン グリーン | 2007-04-22 20:27

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