2007年01月07日

大分三好ヴァイセアドラーの開幕

いよいよ第13回V・プレミアリーグが開幕。
どのチームにとっても、独特の緊張感が伴う初戦は大事なものではあるけれど、なかでも最も大きな緊張感を抱きながら、昨日の初戦に臨んだチームがいる。

大分県を本拠地とする、大分三好ヴァイセアドラー。
男子のプレミアリーグは全部で8チーム。クラブチームとして活動する堺ブレイザーズを除いては、どのチームも大企業が母体となり、どれほど地方で試合が行われようと、チアリーダーや応援団も会場に訪れ、会社名や選手名を連呼する。

では、大分三好ヴァイセアドラーはというと、母体になっているのは、小さな内科・循環器科病院。潤沢な活動費などあるはずがなく、電子音で後押しする応援団もいない。
それぞれが鈴やメガホンを持って、「頑張れ三好」と声援を送る。
選手の身体の状態を管理するトレーナーもいない。
選手たちは、昼間は病院で働き、勤務後に練習を行う。
恵まれた環境とは言い難い。

昨年V1リーグ(現:チャレンジリーグ)で優勝を果たし、1つ上のVリーグ(現:プレミアリーグ)への挑戦権を得た。
しかし、リーグ8位の旭化成との入れ替え戦2試合は、ともに3-0のストレート負けを喫し、Vリーグ参戦を果たすことはできないはずだった。

入れ替え戦の翌日、旭化成はチームの廃部を発表した。
全体譲渡を目指しながらも、チーム存続を果たすことができず、自動的にV1優勝チームである三好循環器(大分三好ヴァイセアドラーの母体)が昇格の権利を得た。

リーグに参戦し、活動するだけの資金があるのか。
戦力はあるのか。
現実として、立ちはだかった壁はいくつもあった。
しかし、せっかく得たチャンスの芽を摘むわけにはいかない。
地元企業からの支援を得て、単なる病院のバレーチームとしてではなく、地域密着型のバレーチームとして、プレミアリーグへの参戦を決めた。

初戦のNECブルーロケッツとの試合は、1セットを奪う「善戦」となるも、総合力に勝るNECブルーロケッツの前に屈し、開幕勝利を飾ることはできなかった。

そして今日、一昨年のリーグ王者であり、昨年・一昨年と黒鷲旗全日本選手権を連覇している東レアローズに、3-0のストレートで敗れた。
チームを率いるのは、セッターとの兼任選手である増成一志監督。
今年で45歳になる現役最高齢選手は、敗因を「シーソーゲームで競ってきているところで我慢できずにミスを出してしまう」と残した。

キャプテンの小川貴史選手には、「昨日より今日、今日より明日、一歩ずつ、日々レベルアップしていきたい」という信条がある。
小川選手は言った。
「まずは何とか早く勝ちたい。その1つの勝利が、これから戦うための自信になると思うんです。明日に勝負をかけます」

セッターとしてコートに立つ増成監督の代わりに、監督としてベンチに座るチームの副部長、坂口嘉彦監督がポツリと言った言葉がある。
「今は、会場全体がウチに対して“頑張れ”っていう声援なんですよ。明らかに劣ったチームが入っているから、応援してあげようよっていう感じというのかな。それがすごく僕は胸が痛いし、選手もしんどいと思う。“頑張れ”じゃなくて、見ていてドキドキして思わず声援を送ってしまうようなバレーがしたいし、それが勝ちにもつながると思うし。そういうバレーがしたい。何とか、勝ちたいです」

開幕三連戦のトリを飾る明日の試合は対JTサンダーズ戦。
地元・広島の大応援団の前で戦うJTサンダーズに、大分三好ヴァイセアドラーがどう立ち向かうか。
刻まれるのは「1勝」か。それとも「3敗」か――。


posted by tanaka yuko |18:47 | バレーボール | コメント(0) |
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