2006年10月23日
お台場の日曜に
お台場の日曜日。どんな光景を想像しますか? デートだったり、友達同士のお買い物だったり、結婚式だったり。 いろいろな目的で、オシャレを決めて集う人々。 記憶に新しいあの映画でのセリフ。 「レインボーブリッジ、封鎖できません!」 多くの人が集うお台場を封鎖することがどれだけ難しいか。 想像してみてください。 目指す場所はそれぞれ違うのに、もしも交通規制があったら? まさにそんな状況をつくりだし、日曜のお台場を貸切にして開催するのが、トライアスロン日本選手権。 朝8時40分から女子がスタートし、11時からは男子がスタート。 男子のレースが終了するのは13時過ぎなので、朝7時過ぎから正味6時間の交通規制のなかで、トライアスリートたちの熱い戦いが繰り広げられる。 選手たちにとっては、そこがお台場だろうと、変わらない。 勝負をする場所、そして勝負に挑む瞬間。 今かけられるすべてをかける場所。 12月のアジア大会の代表として、この大会に臨む選手。 1年間練習してきた成果を、この大会で少しでも形に残そうとする選手。 目的もそれぞれ異なる。 そして、ここまで過ごしてきた1年間という時間も。 シドニーオリンピックは4番目の選手として、「補欠」になった。 ようやく出場権をつかんだアテネでも、思うような結果を残すことはできなかった。 「オリンピックに出たい」という目標をかなえてからの時間を、次に向かうためにどうしたらいいのか、目標を見失いそうになった時期もあった。 そして今季、彼女にはケガという試練も与えられた。 レースを棄権するという苦しみも味わい、アジア大会代表の座を手にすることもできなかった。 苦しみ続け、迷い続け、20代から30代へ、新たなステップとなった今季は、楽しいばかりのシーズンではなかった。 それでも最後まで、走り続けることを辞めなかった。 応援してくれる人たちに、その姿を見せたい。 まだ終わったわけではないと、目指す道は2年後の舞台であるのだということを、何とか、日曜のお台場で形に残したい。 そんな思いを抱いて、彼女は泳ぎ、漕ぎ、走った。 左腕につけた「I LOVE(ハート)TRY」のリングに託して。 表彰台でブロンズメダルを授与され、苦しさなどなかったかのようなすっきりした笑顔を浮かべ、中西真知子は両手を高く掲げた。 「やっぱり表彰台は気持ちいい。北京を目指して本格的に進んでいけそう」 清々しい笑顔でそう言った。 この試合結果を受け、中西はシーズンを通してのシリーズチャンピオンにも輝いた。 本人も「まるで予想していなかった」という称号を、「神様からのご褒美」と笑った。 それぞれ抱えるものは違い、目指す場所も異なる。 でも、日曜のお台場を駆け抜け、多くの人の足を止め、たくさんの声援を受けながら行われた、今シーズン最後の日本での戦い。 レインボーブリッジは封鎖できないかもしれない。 でも自由の女神の前を駆け抜けた闘う“女神”たちの笑顔は、日曜のお台場に彩りを与えた。 もちろん、女神だけでなく、たくましき男子選手たちの姿も。
posted by tanaka yuko |01:48 |
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