2010年01月23日

仙台大会

気づけばこれが2010年初めての更新です。
今年こそは、もっとマメに更新しようと思います。
昨年も言った気がしますが、いや今年こそ。

男子の仙台大会を見た中で、一番印象に残ったのが、堺のセッター、今村選手でした。
レフトへの伸びるトス、ラリーでセンターをグイグイ使うトスワーク、単純に、いいなぁと思いながら見ていました。
これが正解というものがないバレーボールの中で、特に正解の出にくいセッターというポジションですが、今村選手はとても楽しみな選手だと思っています。

正解がないのがバレーボール、と書いたばかりですが、バレーボールの中で、誰が見ても正解がわかりやすい、唯一のプレーがあります。
パスです。
チャンスボールの返球、つなぎのプレー。
簡単な場面ほど、パスをいかに正確に返すことができるかどうかが、試合の流れを一気に変える要因になる。
今日の仙台で敗れた東レ、FC東京が相手より欠けていたものがあったとしたら、目立つ場面ではなく、ふとした場面でのパスの正確度だったように感じました。

とても私的な観点を、もう1つ。
仙台は、NECブルーロケッツのホームゲームが行われていた場所でした。
いつまでこんなことを言ってるんだ、と思われそうですし、今シーズン、各会場に行く際は、そんなことを考える機会はさすがに減ってきたのですが、仙台市体育館についたら、いろいろなことを思い出しました。
そのせいか、FC東京に移籍した三上選手が、「2年間仙台で試合をする機会があったけれど、試合に出られたのは初めてだった」という言葉も妙に染みました。

小さなきっかけや、大きなきっかけ。それぞれがいろいろな場面で区切りをつけて、また次へと進んでいく。
今日の仙台での試合は、私にとってはそんなきっかけになりました。

今日勝ったチームも、負けてしまったチームも、また区切りをつけて明日の試合へ。
長いリーグ戦には、たくさんの意味があるんだな、と今更ながら感じた土曜日でした。

posted by tanaka yuko |23:30 | バレーボール | コメント(0) |
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2009年12月31日

2009年

あと数時間で2009年も終わり。
今年もいろいろなことがありました。

いいこと、悪いこと。
スポーツ界、私が取材してきた場所でも、たくさんの出来事がありました。

不況の厳しさを、身をもって感じさせられた1年でした。
そして、これからどうすべきか、本気で考え、動かなければダメなんだ、と痛感させられた一年でした。

若い力が結集して、将来に通じる素晴らしいチームになるのではないか。そんな将来性を感じさせてくれていた、NECブルーロケッツ、武富士バンブーの休部は、本当に残念なことでした。
残念、という言葉だけでは言いきれない出来事でした。
ブルーロケッツのファン感謝祭で、OB会長さんが選手に向けて仰った「君たちは立派に戦った。頑張った。何一つ、恥じることはないのだから、これからの道を堂々と歩んでいってほしい。ずっと、応援しています」という言葉を、私も同じように思っています。

高校タイトル三冠を達成し、天皇・皇后杯でもベスト4に進出した東九州龍谷高校、大学タイトル五冠を達成し、天皇・皇后杯では豊田合成に勝利した東海大学。
若い力は、今も確実に育っています。
どうか、来年はより実りある年でありますように。

一年間、どうもありがとうございました。
どうぞ皆様、よいお年をお迎え下さい。


posted by tanaka yuko |18:51 | バレーボール | コメント(1) |
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2009年12月27日

FCバレーの面白さと、サントリー米山選手の強さ

最近、よくものがなくなります。
なくす、ではなく、なくなるんです。
気づけばなくなっている、探しても見つからない。
しかも、大事なものばかり。
先日、ずっと左手につけていたピンキーリングがなくなり、昨日は左手につけていたパワーストーンをつけようとしたら取るときに手元がすべり、下にあるだろうと思ったのにどこを探しても見つからない。
さらに昨日は、携帯につけていたストラップが突然なくなりました。
昨シーズンまでオフィシャルのお仕事をさせていただいていた、NECブルーロケッツのユニフォームストラップでした。

こうも続くものかと不思議に思っていた土曜日、春日井で合成×大分三好、サントリー×FC東京の試合を見てきました。
FC×サントリー戦は前田選手、三上選手、金子選手、柴小屋選手とブルーロケッツの面々がいます。両チームの今季初対決、どんなふうに自分が試合を見るのか、新幹線の車中ではちょっと不安だったのですが、試合が始まったらそんな不安はどこへやら。FC東京の、特に山内選手のトスワークにはまってしまいました。山内選手だけでなく、センターの加賀選手の対応力の速さや、ライトになって生きてきた前田選手、3枚ブロックに対峙させたらダントツの巧さが光る三上選手など、FCバレーの魅力を記者席で楽しんでいました。

2-0とセットをリードして、これは初勝利かも、と思った第3セット、サントリーは米山選手をコートに投入しました。
これで完全に流れが変わりました。
攻められている側は、なかなか思い切ったサーブが打てなくて、相手のペースやリズムを崩すことができないものですが、米山選手のサーブは、完全なる劣勢を鮮やかにひっくり返しました。

試合中の声のかけ方、プレースタイル、攻める姿勢、スパイクやレシーブの基本技術。全日本でも活躍したお兄さんの米山選手(東レ)も巧さの光る選手ですが、また違う魅力を持つ、素晴らしい選手だと、今日の試合でまた再認識しました。
何より、この選手ならば何かをやってくれるのではないか、何とかしてくれるのではないか、そう思わせるのが米山選手の最大の魅力だと思います。
そして、途中交代した金子選手が、タイムアウトのたびに米山選手と柴田選手に声をかけ続け、相手スパイカーの打つコースや特徴をそのたびアドバイスする姿を見て、金子選手もやはり、苦しいときにはきっと何かをしてくれる、そんな選手なのだと、また改めて再認識しました。とても素晴らしい才能であり、素晴らしい選手だと思います。

勝ち負けだけでなく、試合を生で見ると、気づかなかったいろいろなことにふと目が行くことや、改めて感じることが多々あります。
グラチャンでは満員になった愛知・名古屋にほど近い、愛知・春日井の入場者数が1000人にも満たない、ましてや500人台というのは非常に残念です。

いよいよ明日は2009年最後の試合。
いろんなことがあった1年ですが、「見に行ってよかった」と思える試合であるように。願うのはそれだけです。

posted by tanaka yuko |01:46 | バレーボール | コメント(3) |
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2009年12月25日

フェンシング日本選手権2日目

エペの面白さを実感したのは、去年の日本選手権。
ちょうど1年ぶりに、エペの試合を見ました。
やっぱり、面白い。
わかりやすさや駆け引き、フルーレやサーブルとはまた違う面白さがあり、見ていて、どんどん引き込まれてしまいました。

今大会で、一番注目していたのが、エペで準優勝した中野希望選手でした。
エペはフルーレやサーブルと違って「体のどこに触れてもOK」なので、手足が長い選手や、身長の大きな選手のほうが一般的には有利とされています。
172㎝と日本選手の中では高身長の中野選手ですが、世界には190㎝を超える選手もいるそうで、やはり、世界で勝つことはなかなか容易ではありません。

厳しい状況下に変わりはありませんが、今季、中野選手は6月にキューバで行われたワールドカップと、7月のユニバーシアードで銅メダルを獲得しました。
大会直前に太田雄貴選手から与えられたアドバイスを生かし、剣の持ち方、攻め方のスタイルを変えたことが勝因だったそうです。

何より、中野選手の魅力は明るさ。
いつも笑顔で、人見知りをせず、質問に対してもハキハキ嬉しそうに応えてくれる気持ちよさ。
「来年の目標は世界ランク16位以内に入ること。それを目標にしていいって太田先輩からも許可が出たんで頑張ります」

ちなみに今日、たまたま目にした占いに書いてあったラッキーカラーは「シルバー」。
「縁起悪い!と思って、みんなに言ったら『何かシルバーのものをつけていけば大丈夫だ!』って言ってもらったから、指輪とネックレスをつけていたんですけどダメでした!あの占い、当たりますよ~」
またケラケラと笑い、来年への抱負を語る。あの明るさなら、何でもかなえられてしまうのではないか。そんな気がしてなりません。
来シーズン、日本のフェンシング選手たちに、中野希望選手にどうぞご注目下さい。

posted by tanaka yuko |18:35 | フェンシング | コメント(0) |
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2009年12月24日

価値ある勝利

フェンシングの日本選手権が開幕しました。
今日行われたフルーレ個人戦、男子は太田雄貴選手が、女子は菅原智恵子選手が優勝しました。
2人とも、価値ある勝利でした。

太田選手は、今年の年明け早々に行われたキックオフ会見で「今年は挑戦の年にしたい」と話していました。
ロンドンへ向けた1年目だからこそできることに積極的にチャレンジしたい。そう言って、フランスへ武者修行に行くなど、これまでとはまた異なる時間を過ごした1年でした。
世界ランク1位も経験しました。
そしてその経験をしたことで、世界のトップであることのプレッシャー、守り続ける大変さを改めて知った1年でもありました。

今日、太田選手の試合を見ていて、今までと確実に違うものを感じました。
これまでは前半から突っ込んでいくスタイルで戦ってきた太田選手ですが、今日は勝負を急がず、じっくりと戦い、確実なポイントを得る。
相手にリードされても、そこで崩れず、一度チャンスを見つければそこを徹底的につく。戦いぶりに貫禄がありました。
何をして勝つか。攻め方、戦い方がとても明確で、これまでよりもさらに、強さが際立っていたように感じられました。

日本代表の江村ヘッドコーチに、太田選手の強さについて尋ねたところ、こんな言葉が返ってきました。
「太田はね、やはりこの中で一番やるべきことをやってきているんですよ」
毎日毎日、1人でも練習する。自分なりの課題の克服や、新しいスタイルの構築のため。本人にとっても、一番楽しい時間が練習をする時間だったそうです。
「フェンシングが仕事でもあるけれど、僕にとってはやはり楽しむものでありたい」
とてもシンプルな原点回帰。太田選手はまだまだ強くなっていく。パリでの世界選手権が開催される来年の活躍がとても楽しみです。

菅原選手は、昨年の北京五輪を終え、競技の第一線から離れ、故郷の宮城県で教壇に立っています。
「ちょこちょこっと出てきます。あんまり練習できていないから、すぐ疲れちゃいますね」
笑いながら、そんなことを言っていましたが、フタを開けたら何とやら。
これからの活躍が期待されるはずの若手選手を次々破り、表彰台の一番上に立っていました。

以前、親交のあるトライアスロンの選手が、大会に出場し、こんな話をしていたのを思い出しました。
「オリンピックの前と比べて、今の私は全然練習していないのに、私に負ける選手がいるなんて、ダメだと思うんだよね」

菅原選手の勝利は、これからの活躍に期待がかかる若手選手たちにとって、これ以上ない喝になったはず。
太田選手とはまた別の意味で、やはり価値ある勝利でした。

ここのところバレーボールの取材が続いていたので、私にとっても久しぶりのフェンシング取材でしたが、とてもいい刺激を与えられました。
明日はフルーレ団体戦と、男女エペ。どちらもとても楽しみです。

posted by tanaka yuko |18:52 | フェンシング | コメント(0) |
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2009年12月21日

東龍選手たちの涙

春高やインターハイで、センターコートに立つ彼女たちの姿は何度も見てきたはずなのに、天皇皇后杯、東京体育館のセンターコートに立った東龍の選手たちを見ていたら、試合中から妙に感極まってしまいました。
冷静に、冷静に。そう思いながらも、1年生だった頃に取材したときのことをあれこれと思い出し、何だか胸がいっぱいになりました。完全に、親戚のオバチャンのような状態です。

特に、エースの長岡選手。
彼女を取材するときは、いつの涙の後でした。
春高で勝利しながらも、急逝した父を思い、込み上げてきた涙。三冠を狙った大分国体で敗戦を喫した後の悔し涙。最上級生になって、初めて迎えた春高でケガを乗り越えて勝利を得た後の嬉し涙。
いつもグシャグシャに泣いた後で、一言一言を丁寧に話す彼女の言葉をノートに記してきました。

NEC、パイオニアに勝利し、「気づいたら準決勝まで進んでいた」という天皇皇后杯で、久光製薬に敗れた後、コート上で、長岡選手はまた涙を流しました。
「これでもう、みんなでやるのは最後なんだなと思ったら込み上げてきてしまって。3年間のいろいろな出来事を思い出してしまいました」
グシャグシャの後で、照れくさそうに笑いながら、明かした、涙の理由。

試合後の記者会見で、3年間の思い出を問われ、長岡選手は栄選手ともに、涙を言葉で詰まらせながら、
「東龍に入って、この仲間たちと最高のバレーができた。3年間、頑張ってきた結果を出すことができました」
と、やはり一言ずつ丁寧に話しました。
何度も涙を拭いながら、「神様が味方をしてくれた」と話す姿を見ていたら、会見場の隅で、思わず涙がこぼれてしまいました。
本当に、よく頑張った。東龍での3年間を取材することができて、とても幸せでした。

プレミアリーグ男子大会は今週末から再開し、年が明ければ女子大会が再開、そして春高予選も始まります。
2009年の最後に東龍が起こした旋風、与えた刺激がどんな作用を起こすのか。新しい始まりに、また楽しみが加わりました。

posted by tanaka yuko |17:29 | バレーボール | コメント(5) |
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2009年12月13日

2回目のデビュー戦

NECからプレミアリーグ各チームへ移籍した選手たちは、開幕戦からスタメン出場するなど、新たなチームでも変わらぬ活躍をしています。
その中で、ここまで唯一、出番がなかったのがJTへ移籍した菅選手でした。

わずかに数カ月、公式戦では黒鷲旗でだけ、一緒にブルーロケッツのユニフォームを着て、同じコートでプレーをした細川選手が、勇退の際に言ったひとことがあります。
「菅を育ててあげたかった。心残りはいっぱいあるけれど、菅を育ててあげられなかったことが、今は一番の心残り」
高校、大学時代からユースやジュニアで国際経験を積んできた菅選手。細川選手が好んだ、サイドへ飛ばす速いトスがあげられ、センター線をうまく絡めたトスワークができる。細川選手だけでなく、ブルーロケッツにとっても、期待のセッターでした。

ルーキーイヤーの昨季、正セッターとして試合に出場する機会を得ましたが、チームも個人もなかなか思うような結果を残すことができず、充実感よりも、はるかに上回った苦しみ。
連敗が続いたときには、プレーについて考えるだけでなく、バレーを辞めたいとすら思った、と話していたこともありました。
そして、さまざまな紆余曲折と、大きな山を乗り越えて、チームとして、新たなスタイルのバレーに移行しようと取り組み始めた頃、休部が告げられました。

あれから半年が過ぎた今日、サントリーとの試合で、井上選手に代わり途中から菅選手が出場しました。生命線であるクイックを通し、いい場面でのスパイクレシーブ。徳元選手が「度胸があると改めて感じた」と評したプレーで、チームに活力を与えた菅選手の姿を見ていたら、いろいろなことを思い出し、井上選手、丹山選手という高さのあるセッターと競いあっていくであろう、JTサンダーズでのこれからが、さらに楽しみになりました。

年の瀬という時節柄、いろいろなことを振り返ることの多い季節ですが、それもまた、新たな始まりのため。
菅選手のように、新たなスタートを切れるように、私もボチボチ部屋の大掃除でもし始めよう。バレーには全く関係ありませんが、そんなことを思いながらの草薙からの帰路でした。

posted by tanaka yuko |22:28 | バレーボール | コメント(2) |
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2009年12月12日

いいセッターとは

各チーム、さまざまなタイプのセッターがいます。
単純にパスやハンドリングのセンスに長けていて、きれいなボールをあげるな、と思うタイプもいれば、完全に裏をかかれるようなトスワークで翻弄するタイプもいる。
自チームの選手の能力を引き出すことに関しては抜群の能力を持ったタイプ、なぜ今ここにトスを上げたか、その理由が明快で正確であるタイプと、その反対でなぜこっちに上げちゃったの?と思わず考えてしまうようなタイプ。
本当にさまざまです。

FIVBの公式帳票で、セッターを評価するポイントは、いかに相手のブロック枚数を減らしたか、そしてそのスパイクが決まったか、そのポイントが高いほど、総合ポイントが加算され、ベストセッターとして評価されています。
初めてそれを聞いたとき、ちょっと不思議な感じがしました。
確かにブロック枚数を減らしてあげることは打ちやすい状況をつくったということなのかもしれないけれど、たとえ1枚になっても「このトスは打てないだろう」と思うような質のトスが上げられることもあります。
たとえば途中まで出場したセッターがセンターを使っていたから、途中から出たセッターのサイドが生きることもあるし、その逆もある。
たくさんの布石があるから、1枚になったり、ノーマークになったり、たとえ2枚、3枚とついていようと、この場面は絶対にここで決めてほしい、という状況が存在します。

考え出すと、セッターの評価というのは実に難しいものだな、とグラチャンの最中から思っていたのですが、今日の草薙での2試合を見ていて、また改めてそんなことをふと考えてしまいました。

そのほかにもいろいろと思うところのある草薙大会初日でしたが、グラチャンのように長くなってしまうかもしれないので、このへんで。
明日も思わず手を叩いてしまうようなプレーが多く見られることと、あまり寒くならないことを願うばかりです。

posted by tanaka yuko |20:27 | バレーボール | コメント(2) |
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2009年12月09日

プレミアリーグ男子開幕で光った「感覚」

以前、ブログの中で自分が監督だったらこんな選手がほしい、と妄想することがある、と書いたことがあります。
そのときに、選手を選ぶ条件は「正確な技術」と「勝負勘」を持っていること、と記しました。

頭に浮かぶ選手が2人います。
2人とも、この開幕連戦に出場し、要所要所でさすが、と思える働きをしていました。
どうやったらあんな動きができるんだろう、どうやったらあの位置に打てるんだろう、どうしてあれが拾えるんだろう。
戦術の面白さを感じることも楽しみではありますが、1本のパスや、レシーブにうならされることがあります。
グラチャンの最終日、日本×ブラジル戦でブラジルのリベロのセルジオ選手が上げた二段トスの正確さと的確さに、会場から歓声が起こりました。
まさにそんな、見ていてゾクっと鳥肌が立つようなプレーができる選手は世界だけではなく、日本にもちゃんといます。
もしも会場に行くチャンスがある方は、練習前の対人レシーブ(2人1組のレシーブ)から、注目してみて下さい。きっと、楽しみが増すはずです。

前述の2選手のうちの1人に、雑談のなかで、いつも思っていた素朴な「どうやったら」の1つを聞いたことがあります。
答えは、「気づいたら動いていて、気づいたらできている」でした。
いわゆる「感覚」だそうです。

以前、トップアスリートの身体感覚というテーマで連載をしたことがあり、その際、さまざまな競技の選手に「感覚」について尋ねました。
平泳ぎの腕のかきを跳び箱にたとえた選手、剣の動きを爪にたとえた選手、シュートの感覚をごみ箱に紙くずを投げ入れることにたとえた選手。
表現はさまざまでしたが、どれも面白いものばかりでした。

ある人は「毎日毎日、100万回同じことを繰り返すことが、気づいたらできた、という究極の感覚につながると思う」と話しました。
感覚とは、実に奥深い。
そんなことを改めて感じた、男子の開幕週でした。


posted by tanaka yuko |16:51 | バレーボール | コメント(0) |
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2009年12月04日

インカレの興奮と、成長を感じた3年ぶりの言葉

先週末に女子のVリーグが開幕し、火曜日からはインカレがスタート。
明日からは男子のVリーグも始まります。
いよいよ本格的なバレーシーズンの到来です。

昨日はインカレを見に、東京体育館へ行ってきました。
4面で同時に試合が開催されるため、全ての試合を見ることができず、こっちにいながらあっちも気になる、そんな状態で試合を見ていたのですが、第3試合の中央大学と日本体育大学の試合は、始まりから終わりまで、すっかり釘付けになってしまいました。

夏の合宿シーズンに、あるきっかけから「速さ」を重視し始めた中央大。直後の秋リーグでは、それがなかなか機能せず、入れ替え戦に回る屈辱を味わいました。
リベンジをかけての、全日本インカレ。
同じ関東一部に所属する日本体育大学との試合は、絶対に負けられない試合。第1セットの序盤から、サーブ、ブロック、レシーブ、スパイク、全てのプレーが非常に泥臭く、まさに、ボールに食らいつくという表現がピッタリはまるような姿勢を打ち出し、1、2セットを連取しました。

中でも、要所要所で攻撃面の活躍が光ったのが2年生の千々木選手です。
まだ細身ですが、193cmと高さがあり、中学、高校時代から各世代の代表選手として活躍してきました。

初めて千々木選手を取材したのは、岡山・金光学園2年生で出場した、兵庫国体のときでした。
岡山選抜として出場し、高い打点から軽やかにスパイクを打ち、ノーマークの中を勝ち進み、準決勝へ進出。残念ながら4位に終わりましたが、試合後に話を聞きに行くと、目を輝かせながら「もっともっと、うまくなりたいんです」と嬉しそうに言う姿が、とても印象的でした。

その後も春高、インターハイと出場しましたが、高校時代は高いトスを打つばかりで、速さに対応できる選手という印象は全くありませんでした。中央大に入り、1年生から試合に出場する機会を得られたことで、速さや、より複雑なコンビに対応できるようになり、高校時代は「もっと得点を取りたい」「うまくなりたい」と話していた今後の目標が、「もう少し速さのある攻撃に対して、どうやって入ればいいかとか、コースを狙うかとか、考えてプレーをしなければならないと思うんです」と、具体的な言葉に変わるようになりました。

インカレでも、今年1年特に課題として取り組んできたというバックアタックや、レフトへの平行トスに合わせた速い攻撃など、いい場面で得点を重ね、ベスト8進出まであと1歩というところまで迫りました。

なかなか勝負は簡単ではありません。
ややオーバーペースだった前半のツケが来たところに、追い込まれてから冷静さと粘り、地力を発揮し始めた日体大が盛り返し、2-2のままフルセットへ。
トスを挙げるのは、同学年の高橋選手。5セット目が始まる前、千々木選手は、高橋選手に一言、こう言ったそうです。
「全部、トスは俺に上げていいから。俺に持ってこい。絶対決めるから」

3-6と日体大が3点のリードを得てから、高橋選手はトスを千々木選手に集めました。たとえ前衛でも、後衛でも、とにかくトスをあげる。そして千々木選手も2枚、3枚のブロックを打ち破り、破竹の勢いで得点を加算し、1点、また1点と日体大に詰め寄ります。
時折、セッターの高橋選手はセンターの内藤選手、長山選手のクイックをうまく織り交ぜて日体大のブロックを拡散させ、要所は、千々木選手へ。14-14を超えても決着はつきません。

次の試合を待つ早稲田大学の選手たちも、1球1球の行方に固唾をのみ、「あそこから打つ?」「あいつ、まだ決めるの?」と感嘆の声を上げるなか、決着がついたのは、22-21、日体大の9回目のマッチポイントでした。
サーブカットからのボールを、高橋選手はレフトの千々木選手へ。放ったストレートスパイクがサイドラインを割り、23-21、日体大のベスト8進出が決定しました。

代表戦やVリーグの試合を見るときは、1本のスパイクを見て「どうしてあそこで無理に勝負をしたんだろう?」と思うことは少なくありません。
もちろんインカレでも、「そこで無理やり勝負をしなくてもいいのに」と思う場面が、代表やVリーグの何倍もありました。
とにかく力任せに打つばかりが美談ではなく、もっと冷静に、戦術に基づいたクレバーなバレーをすれば、レシーブでも足が動かなくなるまで全力を出し切ってボロボロになることはないかもしれません。
どうして勝ったのか。どうして負けたのか。
両者の間に生じた差を、もっと冷静に見るべきなのかもしれません。
ただ、高校野球のひたむきさに心打たれるように、インカレでのひたむきな一生懸命さと真っすぐさに、見ているこちらも感動を超えて、ちょっと興奮してしまいました。
その結果、気づけばこれだけの長文を書いてしまいました。

試合後、約20分もの間、体育館のドアの裏で泣いていた千々木選手でしたが、少し落ちついた後に、
「あそこで決めるのがエースなんですよね。足が動かなくなるようじゃ、まだまだ。高さとか、速さとか、いろいろやってみて、この試合のものすごい悔しさも加わって、また初心に戻れた気がします。負けたのはすごく悔しいけど、バレーってやっぱり楽しい。もっとうまくなりたいです」
と少し笑いながら新たな決意を語りました。

3年ぶりに聞いた「もっとうまくなりたい」が、何だかとても新鮮でした。




posted by tanaka yuko |17:00 | バレーボール | コメント(5) |
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