2011年01月09日
男子は東亜学園、女子は東九州龍谷両校の優勝で春高バレーが閉幕しました。
男女とも、決勝戦にふさわしい好ゲームでした。
書きたいことは山のようにありますが、昨日まで男子ばかりだったので、今日は女子のことを少し。
春高取材は、連日試合直後にコートサイドや控え室までの通路でおこなわれるのですが、優勝チームに限ってはベンチ入り全選手と監督が列席しての記者会見があります。
その席で、優勝の喜びを監督、全選手がひと言ずつ述べ、その後、質問に応える形式がとられています。
インターハイ、国体での負けを経て、再び日本一に輝いた東九州龍谷、比金選手に対して「これまで苦労したことは?」という質問があがり、1つ1つ、彼女の言葉で丁寧に話し終えた後、相原監督が比金選手に向けて「中学時代に何のキャリアも持たない彼女が、ただ『東龍でやりたい』と九州までやってきた。よくここまでうまくなった。300%、500%の成長を遂げました」と賞賛の言葉を贈る傍らで、比金選手は下を向き、静かに涙を拭っていました。
会見の後、聞き足りなかったことを聞くために、また少し、比金選手に話を聞き、その中で、会見中の涙について話を向けると、今度は笑顔でこう言いました。
「今まで相原先生に褒められたことがなかったんです。いつも何をしても怒られてばかりだったのに、初めて褒められました」
敗戦の後、選手みんながそれぞれに責任を背負っていました。
もちろん比金選手もそう。
「トスを上げることが怖かった」
「自分で本当にいいのか、つらかったけれどそのつらさを周りに見せちゃいけない、必死で隠さなきゃいけないと思っていた」
去年の優勝後も「本当に大変でした」と言った彼女でしたが、今年の度合いは昨年とは比べ物にならない大きさであることが、言葉の端々から十分すぎるほどに伝わってきました。
勝利した東龍の選手だけでなく、敗れた古川学園の選手たちにも、さらに前に敗れていった選手たちにも、ここまでかけてきたものや、捧げてきたものがありました。
1人1人がいろんな、大きなものを抱えて臨んだ大会でした。
だからこそ、取材しているこちらがもらい泣きしそうなほど、純粋な涙につながったのだと思います。
1つでも多くのものに気付けるように。そう思いながら取材してきた5日間は、私にとっても幸せな時間でした。
春高の余韻にまだまだ浸っていたいのですが、Vリーグも再開しています。
来週からは、またVリーグ取材が始まります。
posted by tanaka yuko |23:27 |
バレーボール |
コメント(1) |
2011年01月08日
男子準決勝2試合目の東亜学園×大村工業戦は、今大会のベストゲームでした。
単にフルセットまでもつれる熱戦だったからというだけではありません。
両チームともに、すべきことを、なすべき選手がしっかり行う。
つまらないミスもなく、首をかしげるようなプレーも言動もない。
ここまできっちりと練習を積み上げてきたことが示され、発揮された素晴らしい試合でした。
何より両チームの選手に共通しているのは、基本がしっかり備わっているということです。
基礎のプレーがしっかりできているので、次の段階を考えてプレーすることができる。約束事もはっきりしていて、勝負するところは勝負する、リバウンドをとるところは正確に。
複雑なコンビバレーをしているわけでも、大エースがいるわけでもない両チームでしたが、見ている人々にとって実に爽快な試合だったはずです。
昨日のブログに、いただいたコメントの中に「高校生らしい試合を」と書かれていました。
勝負ごとなので、審判に対してのワンタッチの主張などは私は十分行っていい範囲だと思いますし、応援席へのアピールも、応援してくれる選手と一緒に戦っているという一体感を示す意味では、悪くないと思います。
とはいえ、過剰なものは論外であり、アピール目的になってしまうと不快感が先立ってしまうのも確かだと思います。そしてそんな言動につなげてしまうのが、過剰な煽りかもしれない、と今大会は何度か思う場面があったのも事実です。
そんなモヤモヤをも吹き飛ばしたのが、今日の東亜学園×大村工業でした。
高校生の大会らしい好ゲームであり、ベストゲームでした。
明日はいよいよ決勝です。
posted by tanaka yuko |20:03 |
バレーボール |
コメント(2) |
2011年01月07日
男女のベスト4が出揃いました。
古川学園×共栄学園、鹿児島女子×東九州龍谷、東洋×鎮西、大村工業×東亜学園。
どのチームにとっても、いろいろな思惑を抱く中での対戦。どれも楽しみな試合ばかりです。
今日は3回戦と準々決勝が行われましたが、目の前のコートの試合を見ながらも、左右のコートが気になってしまうほど、あちらこちらでまさに熱戦が繰り広げられました。
個人の能力や技術の差はありますが、高校生の試合を見ていると予想もしなかった展開が繰り広げられることは多々あり、下馬評というのは全くアテにならないものだと痛感します。
思いもしなかったプレーが生まれ、思いがけないヒーローやヒロインが生まれる。
それが春高バレーや、高校生スポーツの面白さであり醍醐味だと思います。
あらかじめヒーローありき、ヒロインありきでは、その試合を動かす本当のきっかけがぼやけてしまうことがあります。
残念ながら、今日の試合の中で、煽られすぎて「自分1人が頑張っている」と感じさせるような言動を見せた選手もいました。
ヒーローやヒロインをつくる前に、こういう選手をつくってしまうのでは本末転倒。面白い試合が多い日だっただけに、伝えることの難しさを含め、そんなことを改めて感じた1日でもありました。
最後に、明日のカードと予定時刻です。
【女子】
10時 古川学園(宮城)×共栄学園(東京)
11時30分 鹿児島女子(鹿児島)×東九州龍谷(大分)
【男子】
13時 東洋(東京)×鎮西(熊本)
14時30分 大村工(長崎)×東亜学園(東京)
posted by tanaka yuko |19:10 |
バレーボール |
コメント(1) |
2011年01月06日
2011年最初の取材は春高バレー。
個人的に、なんて素敵なスタートだろうと浮ついていたせいか、初日にメガネを忘れる大失態。
我ながら成長を感じられない新しい年のスタートを切りました。
これから改善の余地があると前向きにとらえようと思います。
さて、春高バレーの1日目。
と言ってもこれを書いているのは2日目ですが、まずは1日目で感じたことをつらつらと。
5コートで各8試合、計40試合が行われた昨日、一番印象に残ったのは最終試合で行われた高松工芸×雄物川の一戦でした。
なぜこの試合が印象深かったかというと、両者のスタイルが全く異なっていたために、個人的にいろいろなことを考えたからです。
身長は低いけれどブロックアウトや、リバウンドなど細かいテクニックに長けた選手が多く、高速コンビバレーをチームスタイルに掲げる高松工芸。
反対に、基本に忠実なバレーを貫き、サイドアウトはセンターで切り、レフトには高いトス、いわゆるオープントスで得点を重ねるオーソドックスタイルの雄物川。
勝利した高松工芸も、敗れた雄物川も、どちらも持ち味を発揮したいいチームで、とてもいい試合でした。
では、何が引っかかったか。
実は先日の天皇杯に、引っかかりを生みだすひと言がありました。
雄物川高校の卒業生、そして現雄物川のエース・細川選手のお兄さんである細川選手(紛らわしいですが)が仙台大のエースとして出場していました。
高校時代から伸びやかで、大きなフォームからオープントスをキレイに打ち抜く選手という印象がありましたが、それに高さとテクニックが加わり、また成長したなぁと感じていたところ、あるVリーグ選手からも「あの子うまいね。あれはVリーグでも活躍できるレベルでしょ」と言われました。
選手を判断するポイントはさまざまですが、複数が「いい選手」と認める選手には理由が存在します。
基礎をしっかりやってきたからこそ、できる攻撃であり、為し得る成長。
雄物川と高松工芸の試合を見ながら、この選手はこれからどこに行くんだろう、どんな選手になるんだろうと考えていたら、そんなやりとりを思い出しました。
とはいえ、基礎や基本に忠実なチームが勝つわけではないのが、高校バレーの面白いところであり、難しいところ。
春高バレーに象徴される高校バレーは、高校生にとって強化の場であると同時に、先を見据えた育成の場でもあるはずです。
今どんな選手がいて、どんなバレーをしているのか。
勝った負けただけでなく、いろいろ見どころがあるものだなぁと改めて感じる新年最初の体育館取材です。
posted by tanaka yuko |17:35 |
バレーボール |
コメント(1) |
2010年12月31日
早いもので2010年も残り数時間。
つい最近、同じように2009年を振り返っていたような気がします。
実にありきたりな表現ですが、あっという間の1年でした。
いろいろな取材をして、いろいろな場所に行き、いろいろな人の話を聞く機会に今年も恵まれました。
そのたび考えることがたくさんありました。
行きたい場所。
行かなきゃいけない場所。
行きたかった場所。
行けなかった場所。
行けばよかった場所。
そのつど理由をみつけ、納得させる。
そうやって進んできた1年でした。
でもそれこそが、幸せな1年といえるのだと思います。
来年はロンドンオリンピックの前年、いろいろな競技で出場権をかけた戦いが本格的に始まります。
勝負の年です。
今年よりも悔いなく過ごせるように。
また、幸せだったと大晦日に振り返ることのできる1年になるように。
お世話になったみなさま、このブログを読んでくださっているみなさま。今年も1年ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
posted by tanaka yuko |20:06 |
日々のたわごと |
コメント(1) |
2010年12月12日
山形・天童会場の記者席は、ベンチにいる選手がアップをしながら待つリザーブゾーンの近くだったので、試合中に選手同士で掛け合う声がよく聞こえる場所でした。
声援を送る観客の方々の声も含め、響く声、通る声というのはあるものですが、この2日間、リザーブゾーンから聞こえた幾多もの声の中で、もっとも印象深い声を出していたのがパイオニアの成田選手、NECの内田選手、デンソーの細田選手、トヨタ車体の松本選手でした。
なぜその選手たちの声が耳に残ったか。
自分が感じていたことが聞こえてきたというのも一つの理由だと思いますが、外から見ていると、流れというのは意外と見えるもの。
1本のスパイクミスだったり、コンビミスから一気に流れが変わってしまうことがあり、そのきっかけをつくってしまった選手がいます。
その人たちに向かって、一番大きな声をかけていたのが上記の4選手でした。
今は引退してしまいましたが、成田選手とプレーをしていたある元選手が「イクさんとバレーができたことで本当に勉強になったし、本当の意味でバレーが楽しいと思えた」と言っていたことがあります。
成田選手の声を聞いていて、なるほどな、と改めて納得しました。
シーズン前に久光製薬の原選手と古藤選手を取材させていただいた際、原選手がこんなことを言っていました。
「どっちが出ても勝てばいい。それだけ(古藤選手が)今まで練習して、成長してきたのを見てきたから、自分が出ることだけじゃなく、(古藤選手が)出て、勝てたら本当に嬉しいと思えるんです」
同じポジションの八幡選手に声をかける内田選手、奥田選手に声をかける細田選手、梶原選手に声をかける松本選手。
ごくごく当たり前のことですが、とても大切なこと。
バレーの見方は人それぞれ、楽しみ方のポイントがあります。
リザーブゾーンの近くに座る機会があったら、声もその1つに加えていただけると、また楽しい発見があるかもしれません。
posted by tanaka yuko |23:30 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年12月11日
会場での取材や、原稿を書くための準備やいろいろな作業を終え、山形駅近くのお店に食事に行きました。
1人で外に出るので、山形通で山形好きの(岩手を愛する)信頼できる人からのレクチャーを受け、1人でも安心して飲み食いできるお店へ行き、お店の方とおしゃべりしながら生ビールで喉を潤す最中、何となく私の仕事を予想したらしいお店の大将から、ひと言。
「今日のパイオニアはどうだったの?」
残念ながらストレート負けです、と答えながら、嬉しさもありました。
Vリーグ取材で全国各地、いろいろな場所へ行く機会をいただきますが、残念ながら、食事に行ったお店で「今日の○○はどうだったの?」と言われたことは、数えるほどしかありません。
地域制もあり、難しさもあるとは重々承知しますが、最寄駅(と思われる駅)から体育館までタクシーに乗っていても「今日は何があるんですか?」と言われることが8割なので、「今日のパイオニアは?」と天童ではなく山形駅で言われたことは、ちょっと嬉しい出来事でした。
地域密着と言いつつも、残念ながらまだまだ根付いているとは言い難い状況の中、こうして確かに気にかけてくれている方々はいます。
「メグちゃんに頑張ってほしいなぁ」と言いながら、肉じゃがをつくってくれる人がいます。
そういう声こそを大切にしなきゃダメだよな、と改めて感じた山形の夜。何となく、幸せな夜です。
posted by tanaka yuko |23:50 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年12月07日
この週末は都城、宮崎での男子開幕取材に行ってきました。
2勝のチーム。
1勝1敗のチーム。
2敗のチーム。
結果の受け取り方や、課題に対する具体的な取り組み方、発する言葉はそれぞれ違います。
その中で、印象的だった言葉が1つ。
「勝ったからそれでいい、ということはないです。完成度を考えたら、満足するには程遠いわけですから」
どんな内容でも勝てればいいという試合も、中にはありますが、求めるものを高くするならば、自ずと、勝てば何でもいい、は減ってくるはず。
長いリーグは戦い方も大切で、最初から飛ばせばいいわけでもないけれど、後半上げていくためにはそれなりの布石も必要。
だから「一戦一戦を大切に」と繰り返され、その言葉の背景を読み取る必要がある。
そんなことを考えた12月最初の週末、男子開幕節でした。
posted by tanaka yuko |16:38 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年11月29日
上越、長岡、連日新潟会場は大入りでした。
ガラガラの会場をみると、選手だけでなく取材者の私たちも寂しく感じますので、やはり満員の会場は嬉しいもの。
いろいろな会場でシーズンを通して取材していると、対戦カードや出場選手によって1試合目と2試合目の観客数が露骨に変化することもあります。
初日の上越は、1試合目で「あまりバレーは知らないけれどこの選手なら知っている」と言われるであろう木村選手、荒木選手、栗原選手など人気選手が所属するチームが対戦しますので、もしかしたら2試合目になったら観客数は減ってしまうのかな。。と危惧していましたが、そんなことはまるでなく、最後まで会場は超満員。1つのレシーブやスパイクに歓声が自然に起こる、とても素晴らしい雰囲気でした。
そういえば以前、スポーツマネジメントに関する雑誌のお仕事をさせていただいたときに、新潟のスポーツ熱、観客の成熟度はいつも成功例として語られていました。
改めて、いろいろな意味で納得した開幕連戦でした。
試合前、選手はスタンドに向かってサインボールを投げ入れます。
今回木村選手のサインボールを取った女の子(中学生くらいかな?)がキャッチした瞬間から本当に嬉しそうに、大切そうに大事に大事に抱えながら最後まで試合を見ていたこと、コートエンドに設けられた子どもたちが座る席に向かってやさしくボールを投げ入れた栗原選手の笑顔もとても印象的でした。
好きな選手や好きなアーティストのサインというのは、ファンにとっては大切な大切な宝物です。
以前、石島選手を取材させていただいた際、ファンサービスについて話したひと言がとても印象的でした。
「試合会場に入ると選手は戦闘モードなのでサインを要求されても、試合前は応えられません。でも気持ちの中では『サインを下さい』と言ってくれることはすごく嬉しいし、ありがたいから応えたい。だから試合後とか、どんな会場でも5分でも10分でもいいから、選手にもファンにも危険がない状況でファンサービスができる時間をつくってほしいんです」
選手の声はきちんと届いているのかな、と思うことは取材をしている私たちも何度も感じることがあります。
世界選手権、アジア大会で結果を残したことで、今リーグは初めて会場に足を運ぶ方も多いことでしょう。
1人でも多くの人が満足できる形は何か。
いろいろな立場で考えなければ、せっかくの機会を逃してしまうことにもなりかねない。
そんなことを感じた開幕週でした。
posted by tanaka yuko |20:08 |
バレーボール |
コメント(0) |
2010年11月28日
今日は新潟・上越で女子の開幕戦を取材しました。
開幕独得の緊張感も含め、いろいろなことを感じて考えた1日。
やっぱり「理由」を即座に自分の言葉で説明できる選手はいい。
以前、宮下遥選手を取材した際、「セッターとして大変だと感じる場面は?」という問いに対して、彼女の発した答えは秀逸でした。
(内容はベースボールマガジン社発行の熱中バレー部第1号 をご参照下さい ちょっと宣伝です。。。。。)
そして今日、NECの松浦麻琴選手に投げかけた「なぜこの場面でここにトスを上げたか?」という質問に対して、彼女が返した答えもまた秀逸。
多彩なコンビを組むということだけでなく、考え方、使い方、理由の説明、すべてにおいてとても好きなセッターです。
今日のシーガルズとは全く違うブロックシステムを組むパイオニアとの試合でどんな組み立てをするか。とても楽しみです。
なぜそこで上げたか。
なぜ負けにつながったか。
なぜ勝ちを得ることができたか。
単純なことのようですが、これをきっちり見て、知り、共有すること。
それが一番大切なことだと思います。
16年ぶりに金メダルを獲得した男子バレー。
とても素晴らしい結果です。
だからこそ、世界選手権ではなぜ結果に結びつかず、アジア大会では結果に結びつくことができたのか。
選手が変わったとか、そういう理由ではなく、きちんと見て、知って、共有されれば来年のワールドリーグ、そして今季のVリーグはさらに楽しみなものになるはずです。
今日はフェンシングの第2回太田雄貴杯も開催されました。
あっちもこっちも行きたい。でも体は1つ。
取材者も「なぜここに行くか、行かなければならないか」と理由をはっきりさせながら、あちらこちらへ向かう11月最後の週末です。
posted by tanaka yuko |01:42 |
バレーボール |
コメント(1) |