2008年05月26日

女子バレー五輪予選2000 ~精神的支柱の存在・2/2~

 「日本チームに、吉原さんがいたら・・・」
 「彼女がいたら、こちらは困ったでしょうね。彼女は今でも日本でNo1のセンター
でしょうに・・・」

 吉原知子選手。バーバラは普段から他のチームの選手について話題にすることは
少なかったけれど、Vリーグを戦っていた期間、吉原さんの名前はよく口にしていたし、
意識していたように思う。世界選手権やワールドカップ等の国際大会で日本チームの
メンバーを告げるとき、吉原さんの名前を確認することもあった。

 「なぜ、彼女はメンバー入りしていないの?怪我?怪我ならチバもたくさん抱えて
いるけれど・・・私もそうよ、ご存知の通り」
 
 にっこりと笑ったバーバラに私もつられて微笑んだ。バーバラの質問には答えずに。

 「チバの部屋に、行ってくるね」
 「うん、私も後で行くって伝えてね」
 
 バーバラと一緒に行かないほうがいいと思って、部屋に残ってお茶を飲んでいた。 

 チバ、彼女がデンソーに所属した期間は1シーズンだった。
 練習でセッターとのコンビが合わないとき、「ああしてこうして!」という口調では
なく「もう少し、こっちがいいかな」という言い方を選ぶ。たとえセッターのミスだと
しても、自分に全く非がないわけではない限り「私が悪かったのよ」と言葉をかける。
そして何よりも、上手くいったときには必ず褒める。セッターに限らず試合中にナイス
プレーが出ると、にっこり笑ってハイタッチをする、声をかける。次のプレーに繋がる
気持ちの安定を作り上げてくれる。

 しばらくしてバーバラが戻ってきたとき、チバも一緒だった。

 「ゆき~、調子はどう?大丈夫?」
 
 抱きしめられたとき、思わず涙ぐんでしまった。 
 「おめでとう」を私から告げる前に(当時理由があって)私の体調を心配してくれる、
そういう人なのだ。

 8年前、クロアチアの精神的支柱だったエレーナ・チェブキナ選手、通称チバ。
 旧ソ連の女子バレー黄金時代を築き上げた1人で、金メダリスト。
 2000年当時35歳で出場したシドニーが最後の五輪となった。彼女はその後引退し、
現在クロアチアの観光名所であるドブロニックで通訳として働いている。

posted by yuki |13:17 | Volleyball | コメント(6) | トラックバック(0)
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