2008年12月07日

サッカーや野球人気が頭打ちに見えるのはなぜだろう?

いやぁ、またけっこうなアクセスをいただいたようで。

ありがとうございます。

記事ジャンルに「野球」を入れたからかどうか、
前回とは違った類のコメントをいただきました。

日本では、
(もちろん横断的に詳しいファンもいるけれども)
やはり種目別に固まったスポーツ文化がある。

ジャンルというものでそれにフィルターかけて
見てもらえるチャンスが増えるところが
スポナビプラスのおもしろいところ、
だなんての実感しています。


さて、いただいたコメント議論されていて興味深かった内容に、
「日本とヨーロッパ(アメリカ)の競技レベルの差」
というのがありました。

日本よりも、ヨーロッパ(チャンピオンズリーグなど)やアメリカ(MLB)のほうが
レベルが高いのだから、
ファンが離れるのは当たり前だ、と。


野球にそこまで詳しくはないですが、
僕は野球は日本はアメリカにそこまで劣っているわけではないと思っています。

オリンピックでは結果が奮いませんが、
一応WBCも制しているわけですし、
プロ野球である程度活躍できるほどの実力があればメジャーでやれる
ということを野茂以来たくさんの選手が証明してきています。

あとは、環境に適応できるか
っていうところに尽きるのではないかと思いますけどね。
(もちろん、パワーヒッターなどはメジャーに負けるでしょうが)


じゃあ、サッカーはどうかと目を向けてみると、
野球ほど世界のトップレベルに追いついているわけではありません。

アーセナルの流れるようなサッカーや、
ミランの攻撃陣のすさまじい個人能力を見ると、
「日本はまだまだだなぁ」
と感じざるを得ません。

実際のところ、
ヨーロッパ三大リーグ(イングランド・スペイン・イタリア)で活躍する
レギュラー選手はいないわけです。


でも、だからといって、
それを人気不振の言い訳にするわけにもいきません。

野球だって、
サッカーほど世界との差があるわけではないのに、
人気が落ちていると言われているわけですから。


僕は、その原因は大きく2つあるのではと思います。
(もちろん、代表チームが強化に努めるというのは前提で)


ひとつは、
代表チームが右肩上がりじゃなくなったから。
(奈々氏さんも指摘しているところですね)

こんな20そこそこの若造が言うのもなんですが、
世界に対して日本が断続的に挑んでいく姿を観察する
というスポーツの見方を提供しはじめたのは、
サッカーなんじゃないかと思っています。

Jリーグバブルをきっかけに、
ドーハの悲劇あたりから積極的に代表チームにスポットが当たる。

野球はそれこそプロ野球は代表チームがなかったわけだし、
他のスポーツはあくまでオリンピックという4年に一度のサイクルが中心だった。

ワールドカップ開催に立候補したのも重なり、
「世界に挑戦しながら成長していく日本」
に夢を馳せながら世間の人気を集中させていきました。

その流れが、
ドーハ→アトランタ→フランス→シドニー→日韓
であり、
ドイツ
で一旦収束を向かえたのです。

その間に、
カズやラモスという初代スターから、
ヒデたちのシドニー世代でじゃんじゃんと期待の選手が出たために、
人気も高いまま保つことができました。

人は常に、
「もっと、もっと」
をどうしても期待してしまうものです。

そんな中、
シドニー世代が年齢的にピークを迎えるはずだったドイツでの惨敗とヒデの引退を機に
世間の熱は一気に引いていきます。

それでも、
サッカー熱が上昇中のうちにクラブ文化は根付いていきましたから、
Jリーグの観客動員が落ちることはなかったわけですが、
前述した「クラブ人気」が
地域による人気のばらつき=注目が集まるスター選手も出にくくなったのが
ドイツでの惨敗のイメージに重なって、
代表戦の人気が落ちてしまっている。

それでも、
あくまでそれは「コアなファン」であって、
ゆるーく広く人気を得ているわけではないのです。

つまり、地上波でのテレビ放送も難しい。

クラブ人気の比重が高くなることは決して悪いことじゃないのですが、
それまでの日本でほぼ唯一のメディア戦略だった
「地上波テレビでのビジネス」という点で考えると、
決していい傾向ではないので、
マスコミやその恩恵を受けてきた人たちにとっては、
かなりの危機感を感じているのではないのでしょうか。
(という書き方をするのも、
コアなサッカーファンたちはこの状況を「当然」と捉えているような気がするのです)



そして、ふたつめ。

海外のスポーツに対して、
「競技レベル」以外での魅力をアピールできていない。

競技レベルの差は、
スポーツをする人間ならば埋めなければいけない
と考え、実践するのが当たり前ですが、
一方で、そうした現実を受け入れて、
違った魅力をアピールしなければいけません。

でないと、そのスポーツ自体が滅びます。

それを示していくには、
代表チームだけでは限界があります。

いくら海外チームとの対戦で
「スモールベースボール」のよさを知ることができても、
代表チームの試合は定期的にあるわけではありませんし、
もっと言えば、
「スモールベースボール」の意味を理解するのは
野球を知っている人だけです。

また、旧来型の巨人やセ・リーグに頼っていたプロ野球の例で言うと、
昔は「巨人が強い」で引っ張っていけましたが、
実際には「巨人の選手よりすごいのがいっぱいメジャーにいる」
ということがバレてしまったわけで、
「トップ野球を追求する人」はメジャーに流れるでしょうし、
さらには
「日本人みんなが野球が好き」
な時代ではなくなったのも「競技」に頼っていたモデルの
結果といえるでしょう。


とかく好きな人同士で閉鎖的になりがちなスポーツでは、
その広がりを確保するという意味で、
またその広がりの確保が収入になるという意味で、
「競技」以外での魅力をいかにわかってもらうか
にあるわけです。


それに成功しているのが
新潟のアルビレックスであったり、
最近のロッテをはじめとしたパ・リーグの球団たちです。

彼らは、もともとテレビ放映もなく、
「スポーツを見る」人からの認知も高くはなかった。

だったら、
「“地域で唯一の存在”を体感してもらう」
であったり、
「野球以外のことでもっとおもしろいことをやっていこう」
という発想につながり、
観客動員数も人気も増えていったのです。


こうした発想は、
Jリーグの設立当初の理念の延長線上にあって、
「巨人に頼らないモデル」を目指していたわけですが、
結局サッカーも代表に頼った構造になっていることが近年危機感を持ってわかりました。


さらに、
クラブ人気が出てきたにもかかわらず、
そちらの構造が中心になってもサッカー界が危うい
ということが、
この前書いた記事の話にもつながってきます。


もう、ここまで来ると、
政治も金融もメディアも中央集権の日本のシステムのせいだ
と言いたくなってきます。


うーん、何か解決策はないものでしょうか。

posted by yuhki-110kin |21:43 | 日本サッカーを考える。 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年12月06日

Jともプロ野球とも違う地域密着

3日ほど前にこんな記事を書きました。

Jリーグ新規加盟クラブ増加の是非

予想外にけっこうなアクセスを集めたようで、
予想内というか、いくつかコメントをいただきました。

ありがとうございます。


コメントしていただいた方々の意見を
勝手にはですが総括させていただくと、

「アマチュアもプロも企業の広告宣伝塔でしかない野球には見習うものはない」

といったところでしょうか。


ただ、僕が前回のブログで指摘した
「野球界では、おもしろい試みが出てきました」
というのは、
その旧来型のアマチュアでもプロでもない野球のかたちが出てきた
ということなんです。


つまり、企業におんぶにだっこではない形を目指すリーグやクラブが出てきた
ということ。


それが、2005年に開幕した
四国・九州アイランドリーグ
であったり、
昨年からの
BCリーグ、
そして来年からの
関西独立リーグ
であったりするわけです。


サッカーファンの方は詳しくない方も多いでしょうが、
(僕もそこまで詳しいわけではありませんが)
そこそこ盛り上がっているようです。

昨年3泊4日全車中泊という弾丸ツアーで
BCリーグを見に行きましたが、
地元の子供たちを中心に期待を集めているようでしたね。
(レベルはエラーが多くいまいちでしたが…苦笑)

四国あたりは経営的に厳しいという話も聞きますが、
クラブ数は広がりを見せています。
(このあたりは昨今のJと同じか…?)


これまでの野球と何が違うかというと、
それはクラブとして直接的な親会社がいないということ。

チーム名に会社名を冠する、
あるいは野球部として持つのが当たり前という野球界に、
新しい風を吹き込んだことです。

まあ、ここまではJリーグと同じですね。

ただし。

これらの独立リーグはあくまで地域の独立リーグであって、
(今のところは)球団としてどんなにがんばってもプロ野球にはいけません。

確実に収入を得られるチャンスが広がる全国区にはなれませんし、
将来的に各リーグが全国にいきわたって
「独立リーグ日本一」を決める機会ができたとしても、
あくまでプロ野球よりもレベルは下の位置づけになります。

つまり、上に突き抜けることができないのが、
サッカーのJを目指すクラブたちとの大きな違いであり、
だからこそ地域密着を積極的に推し進めるしかないし、
小さな経営規模で地道にやるしかない
のです。

(JBLがあって上に突き抜けられないという意味では、
バスケのbjリーグも同じでしょう)



Jを目指すクラブのほとんどは、
“無理をしてJに上がる”
のが前提になっているようで、
それは単なる懸念ではなく、
FC岐阜あたりはその不安が目に見えてきています。

一方、野球の独立リーグは、
無理をして上がることができない仕組み上、
「上がらないで成り立つ経営」
を目指さざるをえない。

プロをはじめとしたトップのスポーツ文化は、
やはりそれを支えるプロやセミプロ、アマチュアたちが
安定してそれを実践していくものだ
と僕は考えています。

だから、
(今はまだ「結果が出た」と言うには早すぎますが)
独立リーグが経営的に安定していくのであれば、
“無理のない地域密着型プロスポーツクラブ”
のモデルになれるんじゃないかな、
とちょっぴりだけ期待する一方、

サッカーにおいても
「全国リーグに上がらなくても地域の支持を得て経営的にもしっかりと成り立っている」
クラブであったり、
それを可能にする仕組みを考えていってもいいのではないかな
と思うのです。

posted by yuhki-110kin |00:07 | スポーツビジネス関連。 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年12月03日

Jリーグ新規加盟クラブ増加の是非

トーチュウの松原明さんがこんな記事をネットに寄せています。

Jリーグ拡大の危機(スポーツアドバンテージ)

今週、JFLに所属する
栃木SCカターレ富山ファジアーノ岡山
の3クラブが、
来シーズンからのJリーグ加盟を認められました。

これで、J2は来期から18クラブになります。
近い将来(おそらく2010シーズンごろ)には22クラブまで増加をするといいます。


松原さんは、
近年のこうした急ぎ足の昇格に疑問を抱いています。

ファジアーノあたりは、
財政面を今年になっても指摘されていました。
元GS役員の社長をもってしても、財政面は厳しいようです。

今年からJ2で活躍する岐阜は、
サンフレッチェ広島をJSL時代から支えてきた今西社長の手腕をもってしても、
「来期からは全選手C契約でいくしかない」
と言わしめてしまうほどの経営状況。


確かに、基盤がしっかりしないままあがるのには問題点がたくさんあります。


ただ。


僕は、
どんなに経営状況が悪くても、
Jリーガー、あるいはJFLや地域リーグの選手が
地域の子供たちに夢を与えないはずはないと思っています。

今年も残念ながらJFL昇格を果たすことはできませんでしたが、
去年松本のアルウィンに見に行った
松本山雅FCの北信越リーグの試合。

子供も大人もたくさん入っており、
サポーター席にもたくさん人が入っています。

やっぱり、
どんな子供も、地域にプロ、
あるいはプロを目指すような選手がスタジアムで
がんばって走っている姿を見れば、
あこがれるものです。

単純に、自分よりうまいお兄さんたちが近くでプレーしていたら、
あこがれるのは当たり前です。


それは、
僕が見に行った松本だけでなく、
いろんなところから声を聞きます。


しかし、経営がうまくいかないのも一方である。。

ただし、もたもたしていていつまでも地域リーグにいては、
熱が冷めてしまい注目が減る。
余計にスポンサー獲得が難しくなる。
スポンサーはJリーグ昇格を前提に投資をしているから、
すぐにあがれないクラブからは手を引く。

いや、そもそもスポーツクラブを積極的に投資するほどの余裕がある企業が
地域には少ないのかもしれない。


サッカー文化は確実に育ってきていると、僕は思います。

だけど、それを支えるだけの社会のシステムが伴ってきていないんです。


「地域密着」を打ち出して生まれたJリーグの理念はかなり浸透しました。


ただし、地域密着のビジネスを進めようとすればするほど、
限界があります。

なぜなら、社会の仕組みは地域よりも大都市に資本が集中しているから。


関東にJクラブが集中しているのはきっと、
それを暗示しているのかもしれません。


先日、ある授業で教授が紹介してくれたフランスの会社のレビュー。
「新しく増え続けているクラブが増えていることが、
Jリーグの成功を表している」

Jリーグは積極的にJクラブを増やそうとしているし、
それを望むクラブも少なくないどころか、かなりあります。

でも、それはきっと、表象でしかありません。


Jリーグを下から支えるリーグや選手、
それをどのように支えることができるか。

その解決策を、
日本のサッカー界、
スポーツ界、
社会はもっと考えてもいいのではないか、
そう思います。


答えが、
「Jリーグにあがること」
だけでは、
とてもさみしい
と、思うのです。


「プロ野球に昇格できない」
野球界では、おもしろい試みが出てきました。

アンチ野球なにおいが少なくないサッカーも、
そろそろたまには野球を見習ってもいいんじゃないかな
ってふと思うことがあります。

posted by yuhki-110kin |22:20 | スポーツビジネス関連。 | コメント(3) | トラックバック(1)
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