2008年08月28日

GLOBE PROJECTタイ・カンボジア渡航記3日目・4日目

●8月20日(水)

今日は朝から地元のハイスクールに向かう。地雷とは直接関係ないが、向こうの子供たちにとってもなかなかない異文化交流だそうだ。

PROのビレッジからも程近い場所にある学校の体育館に到着。中に入ると、「ようこそ」の文字が舞台に見える。そしてたくさんの生徒たち。昨日のPROもそうだったが、あまりの歓迎ぶりに衝撃を受ける。

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午前中は文化祭のようだった。ほとんどがうろ覚えのダンスや、長い長いお祈りのあとに米や水をかけられる儀式、そして生徒のみんなに幸せを願うひもを腕に結んでもらったり。チャンバラでは火薬を使った空砲も撃つなど、さまざまに楽しませてもらった。僕はいきなり呼び出された柔道対決に出ることになったのだが、腕の力で動かそうとする相手が崩れた瞬間に足をかけて倒すことに成功した。団体戦では負けたものの、こうやって外国の人と柔道で対決することの不思議さとおもしろさを感じることができた。

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その後はフリーになって、いろんなブースを回る。こちらの郷土料理を作るブース、染物をするブース、絵を描くブース。そしてさらに不思議だったのは、写真やサイン攻めにあうということ。この日だけできっと100人単位で書いているはず。スター気分を味わってしまった。それだけここに日本人の大学生が来るということは珍しいのだろう。

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午後は一転してスポーツ大会。つまり体育祭のような感覚だ。はじめはバレーボール。こちらがバレーのへたっぴばかりだったので、こちらは完敗。太鼓を借りてサッカー風の応援を仕切ったのだけが楽しみだったかな。

そして次は外に出て、フットサル対決。向こうはユニフォーム持っていて、シュートも強烈。なかなかの強豪に対して、こちらは球舞のインディさんを含めてガチメンバーで対抗。一進一退の攻防で最終的には負けたものの、すがすがしい試合だった。その後も綱引きや15人16脚など、さまざまな種目を経て、最後は学年ごとに集合写真を撮って解散。

この日のミーティングでは僕は「スポーツとは」の話をした。僕が所属しているスポーツ科学部での3年半は、スポーツを動かすという意味でさまざまな経験と知識を得ることができたけど、嫌気がさしたところもある。けど、今日はとにかくスポーツが楽しかった。スポーツが楽しくて、そして何よりこれだけの歓迎が受けられた。それでいいじゃないか、と。スポーツは単純なもので、それでいいんだと実感できた。「スポーツは楽しい」。グローブの根本でもあるこれを忘れてはいけない。

このミーティングはみんなが時間の意識が高まり、予定していた2時間きっかりで終わることができた。それぞれが時間を意識し、そして聞く姿勢ができている。これは当たり前のようでなかなかできないことだ。そうして聞いていた女性メンバーの話の中で、ひとつ興味深い意見があった。今まではテレビでサッカーを見ていても興味がいまひとつわかなかったけど、今日は間近でフットサルを見ていて、ゴールまでの過程がわかるようにもなってきた、と。このグローブは、スポーツが大好きっていう人だけで構成されているわけではない。だからこそ、こういった意見が新鮮だし、うれしかった。スポーツに携わる身として、忘れそうなのがこうした意見。いかにして興味がない人の興味をひきつけるか。それを改めて気づかされてくれたことに感謝。

この日はミーティング後に、ホテルの隣のアパートに住んでいた地元の人たちとストリートサッカーをする。日本の三重の工場で働いていたこともあるそうで、日本語がうまい。真っ暗闇のなかでのサッカーは思ったより難しく、かつメンバーのサッカーのうまさが実感できた。

スポーツ尽くしの1日で、疲れとともにさわやかさを残しながら眠りに着いた。


●8月21日(木)

今日は朝からPROビレッジ近くの村へ行った。地雷被害者の話を聞きにいくためだ。メンバーを3グループに分けて話を聞きに行ったが、僕のところは日本語ガイドがいなく、英語で質疑をした。途中から日本語ができるという女性が来たけれども、その人も日本語を忘れていたのであまり聞き出すことはできなかった。

各グループ2人ほどいて、最初に話を聞いたのは51歳の方。23歳のときに被害にあって、もはや義足での暮らしのほうが長い。畑に行くときに、いつもと違う道を歩いていたら被害にあったのだという。この人がすごいのは、隣の畑にいる仲間に助けを求めるときに、「危ないからこっちへ来るな!」と言ったことだ。1時間かけて畑の外へなんとか出て、用意してもらっていた車で病院まで行った。被害当時の話をしてくれている間、彼は赤い目に涙を浮かべながら話をしてくれた。こちらでは財団から車椅子がもらえるのだけれども、もっとひどい被害の人がいるからと、その車椅子をあげている。農作業はやっていなければ暮らしていけないので、被害後も子供たちの助けを借りながらなんとか生活をしているという。

もう一人の方は、70歳のおじいさん。10年前に森で被害にあった。仲間4人で森でいろいろな資材を切り出している最中に被害に遭った。しかし彼は、対処法を知っていた。出血多量を防ぐために一切の水を飲まず、ゴムでしっかりと傷口をしばっていた。暗い闇のために助けを求めにもいけず、40時間以上森の中で待機していたのだというから驚きだ。

彼らに共通しているのは、死にたいと思ったこともあるけれど、生きるために、まわりの人のために、生きようと思うところだ。日本人はよく生きる意味なんて考えるけれど、彼らは「生きるために生きる」。非常にシンプルだ。この人生が幸せかと聞いてみると、「平凡な人生だ」と語る。地雷に遭っても、特にダメでもない。こちらでは普通のことなのだろう。

先にこの日のミーティングで話したことを書いてしまうと、僕が大学生活で心がけている「人の話を聞き、相手の置かれた状況や心理を理解しようとする」姿勢が間違いではないと思ったと話した。いくら日本でこちらのことを想像したところで、戦争とは何だと考えたところで、結局は一番地雷と近くにいる人たちのことを知らなければ、僕らがやっている活動も宙に浮いたことになってしまう。「想像力」が大事だとよく言うけれど、その「想像力」は何なのかをしっかり考えなければならない。

午後はビレッジでPROに、日本で開いたフットサル大会の参加費から出た寄付金とTシャツを渡した後、昨日言った学校でPROのメンバーとサッカー対決。今度は11人制のフィールド勝負。当初キーパーをやっていたが、2失点してフィールドプレーヤーに交代。劣悪なピッチに亜ウェイの洗礼を受けながら、サッカーをよく知るメンバーに助けられて、逆転勝利! 終了後は「カンピオーネ、カンピオーネ、オーレ、オーレ、オーレ♪」の大合唱。実はタイに来てから初の勝利だ。泥だらけになりながらも、清々しさが心地よかった。

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しばしの休憩の後に、体育館でフェアウェルパーティをしてくれた。当初はノンアルコールだと聞いていたのが、こっそり持ってきたビールが次第にまかり通り、テーブル下で注がれたブランデーをたくさん飲まされ、かなり酔いはじめる。いろんなトークで盛り上がりつつ、つれてきた子供たちの遊ぶ相手をし、最後にはカラオケに乗りながらみんなでダンシング!まさかここでこんなにはっちゃけると思わなかったくらいに。ここへ来て改めて感じることができる。「楽しい」は世界共通だと。みんなで笑顔で楽しめば、その輪ができていく。「楽しい」笑顔がそこにあれば、「それでいいじゃないか」と戦争なんてなくなっていく。そんな気がしなくもないな、と体中で感じたタイ最後の夜だった。

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帰ってからのミーティングは、疲れがたまっていて、全員参加が強制ではないにもかかわらず、全員が参加してきた。みんな眠さと格闘しながらも、まとまりきらないながらも、やはり感慨深い感想が飛び交った。以下、メモより抜粋。

「幸せは何か」と聞くと、ないって言う。幸せってなんなんだろう。
地雷にネガティブな人も、ポジティブな人もいる。それは被害者じゃなくてもネガティブな人もポジティブな人もいるのと同じ。
生きる“飢え”を感じた。
「どこの国境にも地雷があると思っている」と言っていたことが衝撃的。
地雷の怖さを今日になって感じた。
地雷がなくなっても、貧困などほかに大きな問題がたくさんある。けど、立ち止まってはいられない。more, betterを追求しなければいけない。
「何をしていても悲しい」と言っていた。「義足は最低限のものがあればそれでいい」というのを聞いて、自分たちが何でもしてあげればいいのかと思った。
地雷の怖さを知った。地雷の問題は貧困とつながっているんだと実感した。
自分が小さく感じられた。
午前と午後のギャップを感じた。
向こうの人の感覚がすごい。
地雷は人を選ばない。
思ったより衝撃的ではなかった。感覚的には日本で事故に遭うのとそんなに変わらないのではないか。
地雷被害に遭っても“Normal”。

最後に話したメンバーが、PROの方と話をしたことを共有してくれた。戦争の問題って、単純な問題ではなく、いろいろな問題が複雑に絡みあっている。そんな状況において、自分たちがやっていることは意味がないのではないかと感じられると話したら、「でも、問題はそこにあって、その解決に向かって少しずつ進んでいかなければならない。少しずつ進んでいく道がPeaceに向かって続いていけば、道になるんだよ。だから、僕らは Peace Road Organization(=PRO)なんだよ」(多少僕の編集あり)と話してくれたのだそうだ。

すぐに解決できる特効薬にはならないけれど、やることに意味がないことはない。地雷問題に対する僕らの存在のちっぽけさを感じた視察だったけれど、それでも前に進んでいかなければならないんだと思うことができた。何より、地雷はなくなればいい。貧困問題だとかはただ食糧を送ればいいっていうわけじゃないなど、アプローチに難しさがあるけれど、地雷はとにかくなくさなければならない。PROや学校、あれだけの歓迎を受けたときに、どこか後ろめたさを感じるところもあった。だけど、これからはもう少し胸を張って、しっかりとこの活動を、そして考えるきっかけをしっかりと伝えなくてはいけない。そう思わざるを得ないこの3日間だった。





楽しいだけじゃつまらない。
楽しむことが誰かのために。
スポーツのチカラで。

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http://globe-project.jp

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posted by 110kin |13:08 | スポーツを考える。 | コメント(0) | トラックバック(0)
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