2008年06月28日

EURO2008 Act18 『バルセロナ型○→アーセナル型◎!?』

■ バルセロナ型○→アーセナル型◎!?

【 ロシア 0-3 スペイン 】
    0-1  50' シャヴィ(スペイン)
    0-2  73' グイサ(スペイン)
    0-3  82' ダヴィド・シルヴァ(スペイン)


 さすがはスペイン通!?
 原博実が紙面で面白いことを言っていた。
 曰く、「スペインは序盤はシャヴィやイニエスタを中心にボールを回すバルセロナ型で攻めて、後半にセスクが入ることで縦へのスピードが生まれるアーセナル型に推移するが、相手にとってこれは嫌だろう」といった類。

 確かに嫌だろう。DFでようやく相手のやり方に慣れてきたと思ったら、全く違うスタイルにスイッチするわけだ。世界を見渡してみても、なかなか二つのやり方を完遂できるTEAMはいない。
 プレーする選手たちにそこまで使い分けの意識はないかもしれないが、スペインの個々の能力・TEAMとしての熟成度がかなり高いことが窺える。
 そして、この日のゲームでkeyになったのが、まさにそのスイッチを司るセスク・ファブレガスだった。


 Groupリーグ緒戦で相対した両TEAM。
 そのときはスペインが4-1で完勝を収めている。スペインの強さばかりが目立った試合で、正直、その試合を観た段では、ロシアがここまで残るようなTEAMにはとても思えなかった。しかし、その後、ロシアが劇的に覚醒を遂げたのは周知のとおり。
 大会期間中もHARDなトレーニングを続けているというTEAMは1試合毎に成長し、準々決勝では今大会圧倒的強さを誇ったオランダを力で上回り打ち破った。

 緒戦の快勝で精神的にはスペインが幾分優位かもしれないが、そのときのIMAGEで相手を舐めて掛かると、手痛い目に遭うことは容易に察しが付く。
 くわえて、「はたして、フース・ヒディンクが二度同じTEAMに負けるだろうか!?」という点がやけに引っ掛かった。分析力と状況判断力に長けた魔術師が、適材適所でタクトを揮う昇り調子↑のTEAMの勢いを、スペインがどう受け止めるか。
 いずれにしろ、非常に結果の予想が立てにくいCARDともいえた。

 先のオランダ戦のように、走力と勢いを全面に出してロシアが仕掛けると思われた立ち上がりだが、蓋を開けてみるとスペイン選手の動きの良さが目立った。決して走れていないわけではないが、ロシアのほうは逆に慎重になっている感。攻撃でも守備でも、これまでは積極さがウリだったが、やや引いた位置でラインをキープしているようにも映る。予想に反してスペインの軽快なアタックをロシアが受け止める形でのSTARTとなった。

 今にして思えば、ここでロシアが先に「今日の自分たちはGroupリーグのときとは違うぞ!」という部分を見せられなかった時点で、ある意味試合の趨勢は決していたのかもしれない。

 6分、エリア内でダヴィド・ヴィジャからのパスを受けたフェルナンド・トーレスが、反転してDFを交わしSHOOT!ロシアはGKのイーゴリ・アキンフェエフが左足で弾きCKに逃れた。
 11分のヴィジャのミドルレンジからのSHOOT!もアキンフェエフが横っ飛びで弾き飛ばす。

 反撃に転じたいロシアは、ロマン・パヴリュチェンコが長い距離からのFKやSHOOT!でGOALを狙うが、整ったDF陣とGK聖カシージャス擁するスペイン・ゴールを割るまでには至らない。

 優勢に試合を進めながらもGOALをあげられない時間が続いたスペインだが、突如アクシデント!に見舞われる。ここまで今大会得点王のヴィジャが、FKを蹴った際右太股を痛め、プレー続行が不可能になってしまったのだ。
 前半34分という早い段階で交代を余儀なくされたエースに代わってピッチに入ったのは、同じFWではなくMFのセスク。

 奇しくも“クアトロ・フゴーネス”が顔を揃えたのは、大会緒戦のロシア戦以来のことだ。その時は54分にセスクが投入されてから、77分にダヴィド・シルヴァが退くまでの僅か23分間だった。
 アクシデント絡みとはいえこの早い時間帯で一同に介するということは、“クアトロ・フゴーネス”の全容が今大会で初めて披露されたようにも感じられた。

 ヴィジャ交代の虚を突いて、ロシアは左から斜めに入ったフィードを、エリア内で胸トラップしたパヴリュチェンコが、左足で至近距離からSHOOT!を放つが、ここはDFが懸命のブロック。フィニッシュの精度を欠くこともあるが、パヴリュチェンコは相変わらずシュートまでの形が良い。スペインにとっては肝を冷やした場面であり、ロシアにとっては前半最大の決定機だった。

 時間の経過とともにヒサシブリに揃った“クアトロ・フゴーネス”が真価を発揮していく。
 後半の始め、ハーフタイムで気合いを入れ直したロシアが高い位置からかけてくる厳しいプレスを、“クアトロ・フゴーネス”を中心に速い球回しで容易くかいくぐる様は、世界中とはいわないまでも、少なくとも欧州ではスペイン以外のTEAMにはできそうもない芸当だ。

 先制点はFCバルセロナのコンビから生まれた。中央のシャヴィが左のイニエスタへボールをはたきそのままGOAL前へランニング。左のペナルティエリア内、フェイントでコースを作ったイニエスタがゴールエリア方向へ浮き球を送ると、スピードを上げフリーで飛び込んだシャヴィが、ドンピシャのタイミングで右足ボレー。今大会でも屈指といえる美しいGOALが決まった!

 これで気を良くしたスペインの動きが攻守に一層良くなる。ロシアはスペインの変幻自在な縦横への展開と、二列目からの飛び出しを捕まえられない。

 この試合の一つの見方として、中盤の攻防をどちらが制するかが鍵になると思われた。豊富な運動量を誇るロシアの中盤と、高いスキルを有するスペインの中盤。序盤から後者が押し気味ではあったが、ヴィジャの負傷退場でセスクが入ったことによって、怪我の功名ではないが、結果的にスペインの中盤はより厚くなった。こぼれ球をスペインが拾うケースが増える。

 追加点も鮮やかなボール回しから生まれた。ダヴィド・シルヴァから出たボールを、交代出場していたダニエル・グイサが右サイドで受け、一旦後方のセルヒオ・ラモスへ戻す。セルヒオ・ラモスがツータッチで出したパスを、セスクがダイレクトの柔らかい浮き球でGOAL前へ。横への動きで右サイドから中央へ入ってきていたグイサが、このボールを胸トラップすると、右アウトで飛び出したGKを超すSHOOT!を決めた!
 一度も相手に触れさせることなく、5人の選手を経由してのGOAL。まさにロシアにとっては為す術なく奪われた追加点だった。

 そして、ダメ押しGOALはまたもやセスクのアシストから決まる。イニエスタが左のオープンスペースへ素速く出したボールに追いついたセスクがそのままドリブルで駆け上がり、余裕を持って中央の上がりを確かめてからクロスを送ると、最後はシルヴァが落ち着いてGOAL左へ流し込んだ。

 これで勝負は完全に決した。
 豊富な運動量に2アシスト。司令塔としてゲームの流れを変えコントロールしていたセスクは、もしかすると今大会のスペインのラッキー☆ボーイかもしれない。

 TEAMとしても決勝に大きな希望を抱ける最高の勝ち方をした。ロシアを圧倒したこのボール支配・パス回しは、決勝の相手ドイツをも凌駕できるだけのものがある。レギュラー陣は軒並み好調で、途中から出てくる選手も皆活躍している。無敵艦隊はついぞ“幻”の冠を拭い去ることができそうな予感が漂う。

 ロシアは何もできないまま敗れてしまった。スペインの速いパス回しに翻弄されたということもあるが、プレスの厳しさや走力といった、ここまでの勝ち上がりを支えてきたものが出せないまま終わってしまった。或いは連続した激戦の疲労で燃料切れに陥っていたのか!?それとも緒戦大敗がどこかでトラウマになっていたのか!?

 とはいえ、ここまで残ったことは賞賛に値する。実際の戦力よりも「ヒディンクがまたやるんじゃないか!?」という見方ばかりで注目されてきたTEAMだが、監督だけでなく、選手たちも自らの価値を大会のなかで十分に示した。
 この試合でこそ全く見せ場がなかったアンドレイ・アルシャフィンだが、その才を高く評価するFCバルセロナへの移籍が噂されているのは周知の通り。パヴリュチェンコやディニャル・ビリャレトジノフ、ユーリ・ジルコフ…etcといった選手たちも、恐らく西欧のビッグクラブから高い評価を受けているに違いない。

 何よりもこのTEAMはまだまだ完成していない。そもそもヒディンクは2010年のW杯を見据えてこのTEAMの指揮を請け負ったはず。欧州予選でイングランドがコケるというタナボタ?で出場した今大会でここまでの旋風を巻き起こしただけに、2年後への期待はいやがうえにも高まる。02年韓国や06年オーストラリアは一つの大会を目安に強化を計ってきたが、このEUROで一つの成果をあげた今、2つ目のビッグトーナメントに向けてロシアにどういった強化を施していくのか、今後も要CHECK!が必要だ。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |20:05 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(1)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月28日

EURO2008 Act17 『トルコ劇場閉幕』

■ トルコ劇場閉幕

【 ドイツ 3-2 トルコ 】
    0-1  22' ウーゴ(トルコ)
    1-1  26' シュヴァインシュタイガー(ドイツ)
    2-1  79' クローゼ(ドイツ)
    2-2  86' セミフ(トルコ)
    3-2  90' ラーム(ドイツ)


 「またやった!!」

 リードされていたトルコが同点に追いついた!
 86分、右サイドのコーナー付近、個人技でフィリップ・ラームを抜き去ったサブリ・サリュオールが、グラウンダーでニアサイドに送ったクロスにセミフ・シェンテュルクが反応する。キャッチを試みるイェンス・レーマンの鼻先に飛び込んだセミフがコースを変えると、角度が変わったボールはレーマンの脇を抜けGOALに吸い込まれていった。。。
 トルコ劇場はまだまだ終わらない!!

 それにしても!トルコのこの粘りはいったい何なのだろう??
 『言葉では説明が付かない不思議な神通力のようなものが宿っているとしか思えない』と、対クロアチア戦の項で述べたが、その不思議な力が、この準決勝の土壇場でまたもや発揮されたのだ。


 恐らく、大会前にこの顔合わせの準決勝を想像した者は、ほとんどいないだろう。優勝候補筆頭のドイツの勝ち上がりは順当といえるが、トルコのGroupリーグ突破とここまでの進出は、その勝ちっぷりも含めて奇跡的な旋風といってもいい。Group緒戦のポルトガル戦を落として以降、3試合連続で終了間際やロスタイムに同点、或いは逆転GOALが生まれるという離れ業。
 従って、下馬評で圧倒的にドイツ有利と見られるこの対戦も、実際やってみるまでは何が起こるか分からない。
 とはいえ、トルコのほうが不安要素を抱えているのは確かだった。

 何しろ、負傷、累積警告による出場停止で、登録メンバー23人中9人が準決勝出場不可能だという。先発でピッチに立つのが11人、控えの一人がGKであると踏まえると、実質交代要員が2人しかいないという非常事態。交代枠すら埋まらない状況なのだ。当然、スタメンを選ぶ余地もない。

 半面、ドイツはGroupリーグこそクロアチアの後塵を拝し2位通過となったが、準々決勝のポルトガル戦では、大会初スタメンを飾ったバスティアン・シュヴァインシュタイガーの活躍もあり、今大会最高ともいえる出来で準決勝に駒を進めてきた。決勝Tに入って調子を上げるあたり、いかにも力の入れ処を心得た大国らしい。幾度も大きな大会を制している経験を生かし、いよいよドイツが本領を発揮してきたように感じられた。


 第二次世界大戦後、復興を目指す当時の西ドイツに大量の移民が流入するなど、トルコとドイツは浅からぬ関わりを持つ間柄だ。現在のトルコ代表にも、エムレ・ベロゾールやハミト・アルティントップなど、ドイツ生まれドイツ育ちの二世選手が存在する。ちなみに、一世を風靡したイルハン・マンスズ、或いは日韓W杯で活躍したイェルディライ・バシュトゥルクやユミト・ダヴァラも同ルーツだ。

 1980年代、まだトルコ・サッカーが低迷していた時代に、ユップ・デアバル(元西ドイツ代表監督)がガラタサライの監督を務めるなど、その後のトルコ・サッカーの躍進に繋がる礎を築き、大きく寄与したのも有名なところだ。現ドイツ代表監督のヨアヒム・レーヴもフェルバフチェの監督を務めていたことがあるという。


 そんな様々な角度から注目を集める一戦は、立ち上がりから予想に反して?トルコのペースで推移していった。準々決勝では延長PKまでもつれる激戦を経て、休養日もドイツより1日少ないことが懸念されたトルコだが、思った以上に動きが軽く運動量も豊富だ。逆にドイツは相手の様子を窺っている。というよりも油断しているのだろうか!?ドイツらしいアグレッシヴな動きが見られず気の抜けたMISSが頻発する。

 13分過ぎにはトルコが立て続けにチャンスをつかむ。
 GOAL前の競り合いからセミフがHEADで落としたボールに、ライン際でアイハン・アクマンが追いつき、マイナスに戻したパスを、エリア外から走り込んできたカズム・リチャーズがSHOOT!ボールはクロスバーを強烈に叩いた。
 その跳ね返りを拾ったハカン・バルタが、今度は左サイドからクロスを上げると、上手く身体を入れてDFの前に出たセミフがスライディングSHOOT!これは惜しくも右ポストの脇へ逸れた。
 その後も立て続けにCKを得るなど、全くドイツに付けいる隙を与えない。

 そんな勢いのままトルコに先制GOALが生まれる。スローインを受けたサブリが右から入れたクロスに、カリムがダイレクトでコンタクト。緩やかに山なりの弧を描いたボールがバーを叩き、跳ね返ったところを詰めていたウーゴ・ボラルが左足で押しこんだのだ。
 トルコが先制しドイツが追いかける。。。試合の展開としては、これ以上にない興味深い展開になった。

 しかし、そんな想いも束の間…。その4分後、間髪入れずにドイツが試合を振り出しに戻す。左のオープンスペースにトーマス・ヒッツルスベルガーが出したパスにルーカス・ポドルスキが追いつき、ワンフェイントでコースを作ると素速くクロスを供給。ニアへの動きでDFを外したシュヴァインシュタイガーが、右アウトで自らの右後方へ角度を変え流し込んでのGOAL。
 全体に動きが重いドイツのプレイヤーのなかにあって、唯一精力的な動きが目立っていたシュヴァインシュタイガーが決めるあたり、やはりドイツの勝負強さを感じる。
 前半はそのままタイスコアで終了した。

 迎えた後半、交代で入ったトルステン・フリンクスがドイツの中盤を活性化させると、それに伴ってようやくTEAMに動きが出てくる。逆にトルコは連続した激戦の影響か、立ち上がりのような動きの鋭さが徐々に見られなくなってきた。次第に中盤にはスペースが空くようになり、膠着した時間帯に突入していく。

 はたして、その均衡を先に破ったのはドイツだった。79分、左のラームが低い位置から早めに右足で入れたクロスに、DF2人と飛び出したGKに競り勝ったミロスラフ・クローゼがHEAD一発!!
 滞空時間が長く、打点の高い見事な一撃だった。この大会、精彩を欠くようにも見受けられた“不動のエース”だが、準々決勝のポルトガル戦といい、大事な試合で貴重なGOALをきっちり決めるあたりは、まさにエースの名に恥じない働きぶり。
 残り時間を考えると、これでドイツの決勝進出はほぼ決まったと思われた。

 しかし、ここで諦めないのが今大会のトルコだ。冒頭で触れた通り、残り4分でセミフが同点GOALをGET!「夢よ再び」といったところか。トルコ劇場はまだまだ終わらない!!

 そのまま試合は延長に突入しそうな気配が漂い始めていた。

 ところがロスタイム寸前、決勝点があっけなく生まれる。セミフのGOALが生まれた際、自陣左サイドでサブリに抜かれる失態を演じたラームが、内へドリブルでスルスルと切れ込むとヒッツルスベルガーとパス交換。縦へ抜けてリターンを受けると、右足でGKの右脇を抜いてネットに突き刺した!

 ドイツ3-2トルコ

 さすがにここからのドイツは同じ過ちを二度犯さない。タイムアップのホイッスルが鳴り、遂にトルコ劇場の幕が下りる時がきた。
 最後は、今大会のトルコのお家芸“ロスタイムの劇弾”のお株を奪う形でドイツが勝利を収めた。

 ドイツにとっては決して芳しい内容ではなかった。
 正直、ポルトガルを破った試合以外は、内容的にはもう一つといった試合が多い。が!それでも勝利をきっちり収めるところが、ドイツのドイツたる由縁といったところか!?逆にいえば、本調子でなくとも決勝まで進むあたりが、このTEAMの地力を物語っているともいえる。勝負強さは健在だ。

 不振を囲っていたクローゼがGOALをあげた点、ポドルスキ&シュヴァインシュタイガーといった若手が相変わらず元気なことは明るい材料だ。DF面の修正が計れれば、大会前の評判通り覇権を手にする可能性はかなり大きくなる。最後の1試合までの3日間でどう立て直してくるか!?

 今大会を大いに盛り上げたトルコの快進撃は賞賛に値する。最後は矢も尽きたような状態に陥りながら、それでもドイツを大いに苦しめた。個々の能力の高さは存分に示したといえる。
 ただし!毎試合失点を重ねたことからも分かるように、戦前からいわれていたDF面の不安は、多数の負傷者を抱えていたとはいえ改善されていたとは言い難い。

 劇的な勝利を積み重ねた『トルコ劇場』も、裏を返せば、安定した戦いができなかったことの表れでもある。今後も続けて好成績を残せるかには疑問が残る。この大会を経て選手の経験値は上がった↑はず。今大会での躍進が勢いだけではないことを示すには、その経験を確実に生かしていくことが重要になる。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |00:01 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月23日

EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』

■ 乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス

【 スペイン 0-0 イタリア (PK4-2)】


 120分の終わりを告げるホイッスルが鳴った。雌雄はPK戦で決せられることになった。

 「これはスペインに分が悪いな」

 瞬間的に脳裏にそんな想いが過ぎった。

 最近20年、スペインがビッグトーナメントでPK戦を戦ったのはEURO96の準々決勝(PK2-4でイングランドに敗退)、2002年日韓W杯の決勝T緒戦(PK3-2でアイルランドに勝利)+準々決勝(PK3-5で韓国に敗退)の三度。この試合の対戦相手のイタリアや、一頃のイングランドあたりに比べると、まだPK戦に苦しんでいるほうではない(1勝2敗)。

 しかし、いつの時代も良い勝負をしながら土壇場で踏ん張りきれず、どうしてもBest8の壁を超えられないだけに、思わず「また駄目か…」と先入観で判断してしまった。しかも相手のGKは世界No.1とも謳われるジャンルイジ・ブッフォン。どうにも分が悪い。。。


 大国同士の激突は、戦前の予想ではスペイン有利と見られていた。
 今大会ここまでの戦いを振り返れば、そういう見方になるのは至極当然だといえる。3連勝で余裕のGroup1位通過だったスペインに対し、イタリアのほうは最終戦でフランスに勝利を収めて辛くも決勝T進出を果たした。

 くわえて、累積警告による出場停止で、この試合、イタリアはアンドレア・ピルロとジェンナーロ・ガットゥーゾを欠いていた。豪華な中盤を擁するスペインに対し、本来のセンターMFを2人も欠くイタリア。苦しい戦いになることが予想された。

 ただし!逆境になればなるほどしぶとさを発揮するというのもまたイタリアの真骨頂。準々決勝はここまで、各Groupを2位通過したTEAMが全て勝ち上がっているという点も、イタリアが生来持つ粘りに加味しての不気味さを醸し出していた。

 見知った顔が多いということもあるが、スコアレスで推移しているわりには、目が離せない退屈しない試合だった。予想通りスペインがボールキープする時間が長い。イタリアは8人が自陣に引いて守備を固めている。さすがは元祖ゾーンプレスの国!否カテナチオの国!守りに入ったときのイタリアのDFは本当に崩せる気がしない。

 スペインはなかなか複数で連動した崩しができない。というよりさせてもらえない。GOALに近いところだと、前半の終わりにイニエスタとヴィジャのコンビでエリア内に侵入し好機を作ったぐらいではないだろうか!?後はミドルレンジからのSHOOT!を繰り返すばかり。それは引いた相手を前に出すための手だてというよりは、行き詰まってそうせざるをえないようにも見受けられた。イタリアのほうもそのくらいではなかなか前に出てきたりはしない。距離があるSHOOTならばブッフォンがいればかなりの確立で防げる。

 スコアレスで終了した前半。SHOOT数10:2。ボールキープ率はほぼ60%:40%と、データ上はいかにもスペインが押しているように映る。
 しかし、一見攻めているように見えて、その実、スペインは攻めさせられていた。
 イタリアのDFはボールを持っている対人に対してもそうだが、持っていないフリーの選手やスペースに対するケアも非常に厳しい。スペインが得意とする速いパス回しがほとんどできない。引いてしっかり守るため、2TOPがDFの裏へ抜け出すという場面もあまりなかった。

 後半に入ってもその様相は変わらない。ルイス・アラゴネス監督は早めに思い切った交代策をとり、局面を打開しようと試みるが、それもなかなか功を奏さない。
 ピルロとガットゥーゾを欠くイタリア。しかし、特定の個に依存することがないぶん、むしろ、TEAM全体にバランスとまとまりが感じられる。ある意味、“イタリアらしさ”というものが、今大会最も出ている試合だった。

 後半もスペインのボールキープ率は高いが、GOALに近い位置での決定機はほとんど作れない。中盤からのDFもそうだが、クリスティアン・パヌッチ&ジョルジョ・キエッリーニが細心の注意を払い上手い守備を見せ、最後尾にはブッフォンが君臨。まさにGOALに“鍵”をかけた状態だ。

 そして、守備に比重を置きつつも、時折見せる刃は鋭い。60分、スペインGOAL前の競り合いから零れたボールを、ゴールエリア外からマウロ・カモラネージが思い切り右足でSHOOT!これにカシージャスが驚異的な反射神経で反応し、左足一本で弾き飛ばす!!この試合最大ともいえそうなイタリアの超決定機だった。

 80分、マルコス・セナが地を這う30m級SHOOT!を放つ。低く屈んだブッフォンが難なく胸でキャッチ。と思いきや!ボールが零れてGOAL方向へ。一瞬肝を冷やす場面だったが、ボールが右ポストを叩き難を逃れる。やはりイタリアのほうにツキがあるのか!?

 両TEAM、決して勝利の意志がないわけではないが、互いに負けたくないという気持ちも相当強いのだろう。なかなかGOALの予感が漂わないまま推移した試合は90分を終え、120分を終え、いよいよPK戦にもつれ込んだ。
 スペインが思うように進められなかった120分、そして相手GKブッフォンの存在を考えると、流れはまさにイタリアに傾いている。

 しかし!スペインには“サン(聖)・カシージャス”がいた。抜群の反射神経を誇るレアルの守護神が、まずイタリア2人目のダニエレ・デ・ロッシのキックを弾き出す。これでスペインが幾分有利になったような気がした。
 ところが、イタリアも百戦錬磨のブッフォンが、スペイン4人目ダニエル・グイサのSHOOT!を左に飛んで弾き出す。
 振り出しに戻った。。。
 そう思われた矢先、続くイタリア4人目アントニオ・ディ・ナターレが放った1本をまたもやカシージャスがSTOP。

 スペインは5人目のセスク・ファブレガスが決めれば勝利となる。
 プレッシャーのかかる場面だが、セスクは落ち着いてブッフォンの動きの逆を突き、GOAL右に決めて勝負に終止符を打った。

 まさに“サン・カシージャス”だ。STOPした以外の2本も、きっちりコースには反応を見せていたその反射神経は恐るべし!だ。悪い流れのまま突入したPK戦で、一人で悪しき伝統を断ち切り勝利を手繰り寄せたように感じられた。

 これまでは良いサッカーを披露しながらも勝負弱かった。
 この日は内容はイマイチだったが結果を出した。

 試合自体は間違いなくイタリアの試合だった。
 しかし、形はどうあれBest8の壁をようやく超えるとともに、大国コンプレックスをようやく乗り越えた。スペインがビッグトーナメントでBest8以上に歩を進めるのは、EUROで準優勝を飾った1984年以来実に24年ぶりのこと。苦しみながら勝利を手にした“無敵艦隊”は、更に歩を進めることができるだろうか!?

 準決勝で対戦するロシアはGroupリーグ緒戦で4-1と大勝を収めている。しかし、その時と今とでは、全く違うTEAMになっているといっても過言ではないくらい、大会期間中ロシアは成長を遂げている。そして、その勝ち上がりには勢いがある。厳しい戦いになることが予想されるし、正直!どちらが勝つか予想が付かない。だが、長きに渡る呪縛をようやく解き放ったスペインもまだまだ期待できるTEAMだ。目が離せない好ゲームになることだけは間違いないだろう。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |22:38 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(8) | トラックバック(1)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月22日

EURO2008 Act15 『ロシア発“ヒディンク号”の冒険尚続く』

■ ロシア発“ヒディンク号”の冒険尚続く

【 オランダ 1-3 ロシア 】
    0-1  56' パヴリュチェンコ(ロシア)
    1-1  86' ファン・ニステルローイ(オランダ)
    1-2  112' トルビンスキー(ロシア)
    1-3  116' アルシャフィン(ロシア)
 
 
 ロシアのフース・ヒディンク監督がオランダ人であることは、今更説明する必要もないことだが、EURO2008準々決勝において、ヒディンクはその母国と相対することになった。
 Groupリーグを圧倒的強さで突破し、今や覇権に一番近いと目されるオランダに対し、若さと勢い溢れるロシアが、名将ヒディンクの指揮の下どう挑むか!?
 
 注目の一戦は試合開始から両TEAMが互角の攻防を繰り広げた。ともに相手が自陣に入ってきたあたりからしっかりとプレスを掛けにいく。攻撃ではどちらも鋭いカウンターを擁するだけに、一瞬たりとも気を抜けない。
 サイドの攻防をどちらが制するかも、この試合の一つの鍵になると思われた。この大会の両TEAMはサイドからの攻撃が一つの武器。ロシアはこれまで左のMFで起用されてきたディニャル・ビリャレトジノフが、オランダは負傷明けで徐々に調子を上げてきたアリエン・ロッベンがスタメンから外れた。戦略的な側面によるものだろうが、このあたりの切り札のカードをいつ切るかも、試合の行方を左右する重要な要素となる。
 
 GKに好セーヴされたユーリ・ジルコフのFK。
 CKから零れたところを叩いたデニス・コロジンの強烈ミドル。
 完全にフリーで捉えながら枠を外したロマン・パヴリュチェンコのHEAD。
 
 これまでの勢いそのままに、立て続けにロシアが好機を迎えると、地力に勝るオレンジ軍団も負けじと反撃に転じる。
 28分にはFKをラファエル・ファン・デル・ファールトが低いボールでファーポスト際へ送る。マークを外したニヘル・デ・ヨングとルート・ファン・ニステルローイが飛び込むが、それぞれあと一歩だけ届かない。
 
 直後にロシアは、オルランド・エンヘラールからボールを奪うとそのまま素速いカウンター。左からGOALエリアまで切り込んだアンドレイ・アルシャフィンが、対峙するDFとの間合いを計って、枠内を狙い澄ましたSHOOT!これをエドウィン・ファン・デル・サールが弾き出す。
 続いてコロジンがまたもや枠内に飛ぶロング・シュートを見舞うが、これもファン・デル・サールが好セーヴ。コロジンはセンターバックながら、この後も度々上がってきては長距離砲を見舞い、際どい場面を演出した。
 
 全く互角の様相で前半を終えた。というよりもロシアがよくやっていると見るべきか!?若き挑戦者たちは「失うものは何もない」を体現するかのごとく、伸び伸びと自分たちのPLAYを披露している。オランダはイタリアやフランスを撃破した試合に比べると、全体的に慎重なようにも見えた。両サイドの守備をケアしているということもあるのだろうが、積極的な押し上げに乏しく、何か受け身に立っているようにも見受けられた。
 
 状況を変えるべく、まず、オランダのマルコ・ファン・バステン監督が動く。右サイドのディルク・カイトを後半頭からロビン・ファン・ペルシに代えてきた。より攻撃に掛かることへの意志を示す、この大会のファン・バステン監督に見られる強気の采配だ。
 
 ところがこのファン・ペルシが全く機能しない。元々好不調の波がある選手だが、この日は全く奮わなかった。持ちうる潜在能力が、対面のジルコフを抑える効果は多少なりともあったかもしれないが、最後まで攻撃面では良いところがなかった。
 
 更にファン・バステンが動く。右サイドバックのハリド・ブーラルーズをヨニー・ハイティンハに交代。立て続けに右サイドをいじることで、何とかこのサイドの状況の改善しようと試みたわけだが、少なくとも攻撃面に関しては、この2つの交代は成功したとは言い難い。
 
 ロシアの先制点が、ピッチに入ったばかりのハイティンハのところから生まれたのは、何たる不運か皮肉か!?直前に際どいFKを放ったアルシャフィンが、左サイドを上がってきたキャプテン、セルゲイ・セマクへパスを送る。セマクが中央へクロスを供給すると、最後はパヴリュチェンコが左足で合わせて先制!した。
 
 オランダのボール保持率が上がり、ロシアの運動量がやや落ちてきたようにも映ったこの時間帯。Groupリーグ3戦目で主力をほとんど休ませたオランダは実質中7日。対するロシアはわずか中2日という強行日程。勢いを失しそうになりかかったところでの先制点は、ロシアの選手たちに再び活力を与えた。その後もロシアはオランダの不安定な右サイドから数々のチャンスを創出する。
 
 追いかけなければならないオランダのピッチが一向に上がらない。むしろ、息を吹き返したロシアのほうが明らかに動きが良くなっている。
 62分、ファン・バステン監督が早くも最後の交代カードを切る。中盤のエンヘラールに代えてイブラヒム・アヘライの投入。これで、対戦前ヒディンク監督が最も恐れていたというロッベンがこの試合で出場する機会はなくなった。
 1点を追う展開。停滞する攻撃。局面を1人で打開できる能力をTEAMで最も有するロッベンの投入を行わなかったこの采配には疑問が残る。かつてのオランダであれば、DFを削ってでもFWをどんどん入れて、遮二無二GOALを奪いくところなのだが。。。
 
 69分、ヒディンクはようやく最初の選手交代を行いビリャレトジノフをピッチに送る。ただ1点を守りにいくのではなく、隙あらば追加点をというメッセージが伝わってくる。
 同点GOALを狙うオランダの攻撃には勢いがなく、反対にロシアがカウンターで決定機を創出する。アニュコフのGKとの1対1など、オランダは絶体絶命のピンチを、何度もファン・デル・サールの落ち着いたセーヴで凌いだ。
 
 局面を打開できず、息詰まった感もあったオランダだが、残り時間5分を切ったところで得たFKから同点GOALが生まれる。左サイド、ウェスレイ・スネイデルが蹴ったボールに、ファン・ニステルローイがHEADで合わせた起死回生の同点弾!
 
 この試合、前述の28分の場面を含めFKの場面で、オランダのキッカーの低く巻いてファーへ向かうボールに対し、ロシアDFがオランダの選手を捕まえられず、その度にフリーでわずかでもボールに触れば…というシーンが幾度もあった。土壇場でそんなDF面の不安が再び顔を擡げるとは…。。。
 試合は延長戦に突入する。
 
 前日のクロアチアvsトルコ戦の例に漏れず、追う者と追われる者では通常後者の勢いが上回るもの。ところが延長に入って尚も活発なのはロシアのほうだった。パヴリュチェンコがバー直撃弾を放つなど、同点GOALのSHOCKなど微塵も感じさせない。零れ球への反応も速い。オランダはスネイデルがミドルレンジからシュートを放つのが目立つだけ。
 
 迎えた112分、ロシアが再び勝ち越す。この試合も際どい好機を幾度も演出していたアルシャフィンが、左サイドを切り崩しクロスを上げると、ファーに走り込んだドミトリー・トルビンスキーがポストギリギリのところ左足で押しこんだ。さらにその4分後にはスローインを受けたアルシャフィンが、右サイドを素速く駆け上がりGKと1対1になると、最後はファン・デル・サールの股間を抜くSHOOTを決めて3-1!!
 
 勝負あった。もはやオランダに追いつく力は残されていなかった。
 “ロシア発ヒディンク号”は遂に準決勝へ駒を進めた。
 
 Groupリーグのオランダの出来を考えれば、金星といってもいい1勝だ。ロシアの選手たちの臆することない戦いぶりは見事という他ない。賞賛に値する。それを導いたのはやはりヒディンクの功績か。選手のモチヴェーションを上げ、戦う気持ちを鼓舞する心理学者的側面こそまさに“ヒディンクMAGIC”の最たるものなのかもしれない。

 ビリャレトジノフをINするタイミング、或いは決勝GOALをあげたのが81分からピッチに入ったトルビンスキーといったところにも、采配の妙を感じさせる。これまでの実績に関係なく、自らの采配に必要な選手をSELECTし、機に合わせて使いこなす。そして、使った選手が結果を出す。

 また、以前から触れているが、そんなTEAMの礎となるスタミナ・走力も驚異的だ!まるで中2日とは思えない走りっぷり。かつて韓国を指揮した際、「韓国の選手はスタミナがあるといわれているようだが、私にいわせればまだまだだ」と言って尚もHARDに鍛え上げたというが、その韓国やオーストラリア同様、ロシアも決して相手に走り負けないTEAMに仕上がっている。

 
 しかし、決勝Tの戦いがGroupリーグのそれとはまた異なることは重々承知しているつもりだったが、今大会ほど様相がガラリと変わるのが顕著な大会も珍しい。
 トルコ、ドイツ、ロシアと、ここまで準決勝に勝ち上がったTEAMは全てGroup2位通過。フランスが決勝Tに進めなかったことからも分かるように、出場各国の力の差はほとんどないということを痛感する。
 クロアチアやオランダといった順風満帆にBest8に残ったTEAMが、急激に失速し敗退する姿を見るにつけ、中何日だ何だといったところで、最後には執念と勢いと結束力が勝るTEAMが勝つ!というのが今大会の傾向のようにも思える。
 
 準決勝の相手は今夜の結果次第。だが、どちらと相対してもロシアが決勝に進む可能性は十分にある。イタリアとは今の両TEAMの状況を鑑みれば、正直!決して劣ってはいないはずだ。スペインにはGroupリーグ緒戦で大敗を喫したが、当時と今とではTEAMの出来がまた違う。大会期間中もHARDなトレーニングを続けるというロシアは、間違いなく一戦々々成長している。そして、ヒディンクが同じTEAMにはたして二度負けるだろうか!?いずれにしろ、また、楽しみなCARDになることは間違いない。
 
 オランダのこの失速は全く予想が付かなかった。といいたいところだが、前日のクロアチアの姿を見ていただけに、嫌な予感が過ぎったのも事実。3週間の長丁場、ピークを維持し続けるのは至難だといわれるが、通常大会で優勝を狙うTEAMが決勝Tに入った段にそれを合わせるものだとするならば、Groupリーグで絶好調だったオランダは“死のGroup”に属したがゆえに、最初から全力で戦わなければならなかったのかもしれない。そしてその反動がこの段で出たのか!?
 
 それにつけても予想以上に疲弊していた。全体の押し上げに乏しいためボールが走らず、いつもの流麗なオランダ・サッカーが全く披露できない試合だった。ロッベンを使わなかったこともそうだが、追いかける時間帯、センターFWを入れて前線をもう一つ厚くするという手もあったと思うが…。。。Groupリーグで超!攻撃的で強気な采配を見せたファン・バステン監督がそれを放棄?したとき、オランダの歯車は狂い始めていたのかもしれない。
 
 今大会限りで退任するファン・バステン監督の後任が誰になるかは定かではないが、クラース・ヤン・フンテラールやアウェライといった新星も出てきた。北京オリンピック組からA代表に昇格する選手も出てくるだろう。2010年に向けて、オレンジ軍団がどういったTEAMに変貌を遂げていくか、こちらも楽しみにしたい。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |19:38 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(8) | トラックバック(2)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月21日

EURO2008 Act14 『儚き一瞬の夢 ~二度あることは三度ある!?~』

■ 儚き一瞬の夢 ~二度あることは三度ある!?~

【 クロアチア 1-1 トルコ (PK 1-3)】
    1-0  119' クラスニッチ(クロアチア)
    1-1  122' セミフ(トルコ)

 
 一瞬の歓喜の夢に浸った後、クロアチアに突きつけられた現実は、あまりにも残酷だった。

 両TEAMノースコアで迎えた延長後半終了1分前。
 右サイドのGOALライン際に勢いなく流れたボールに、真っ先にルカ・モドリッチが反応する。追いついて反転すると、左足でクロスを中央へ。これをニアでイヴァン・クラスニッチが軽く頭で合わせると、モドリッチに詰めに行ったGKのリュシュトゥ・レチベルが懸命に戻ってくるその鼻先で、ボールはGOALに吸い込まれた。

 クロアチア 1-0 トルコ

 誰もがPK戦突入かと思い始めた時間帯。遂に破った均衡。スラヴェン・ビリッチ監督がすごい勢いで歓喜の疾走をしている。クラスニッチに駆け寄った選手たちの大きな喜びの輪が拡がる。 

 だが、試合はこのままでは終わらなかった。
 ロスタイムも終わる寸前、相手オフサイドで得たFK。センターサークル手前からリュシュトゥ・レチベルがGOAL前へロングフィードを送る。それはリードされてもう時間のないTEAMが見せる、何の変哲もないPLAYだった。ところが、ペナルティエリアに入ったところで複数の両TEAM選手が競ると、零れたボールがセミフ・シェンテュルクの目の前へ。詰めたセミフが思い切り左足を振り抜くと、放たれたボールは勢いよくネットに突き刺さった。

 クロアチア 1-1 トルコ

 直後に延長戦タイムアップのホイッスル!
 何ということだろう。。。
 このトルコの驚異的な粘りはいったい何なのだろう。。。
 二度あることは三度ある!?
 ロスタイムに決勝点をあげたスイス戦、残り3分で逆転したチェコ戦に続いて、トルコがまた神懸かり的なことをやってのけた。確かに攻撃に出ると決めたときの思い切りの良さは、大会参加TEAMのなかでも目を見張る勢いがある。しかし、3試合続けてのこの結末。言葉では説明が付かない不思議な神通力のようなものが宿っているとしか思えない。

【独断と偏見に基づくクロアチア選手の採点】
 1.プレティコサ 6
 5.チョルルカ 5.5
 4.R・コヴァチ 6
 3.シムニッチ 6
22.プラニッチ 6
10.N・コヴァチ 5.5
14.モドリッチ 6.5
11.スルナ 5.5
19.クラニチャル 5
(65m 21.ペトリッチ 5.5)
 7.ラキティッチ 6
18.オリッチ 5,5
(97m 17.クラスニッチ 6.5)

 正直、準々決勝のCARDのなかでは、一番予想がしやすく順当な結果に落ち着くものと考えていた。確かにトルコの勝ち方は勢いの付く勝ち方だけに侮れないものがあるが、大国ドイツに完勝を収めたクロアチアのほうが一枚上手と捉えていたのだ。
 くわえて、Groupリーグ3戦を全力で戦ったトルコには、さほど余力がないようにも思えた。試合間隔こそトルコ中4日、クロアチア中3日と、トルコのほうが1日多く休養に充てている。しかし、2戦目でGroupリーグ突破を決めたクロアチアは最終戦でほとんどの主力を休ませている。ということは実質中7日。しかもトルコは負傷や出場停止で6人のレギュラーを欠いている状態。
 TEAM力、コンディションといった劇勝の勢い以外の要素は全てクロアチアが勝っているように見受けられた。スタメンはドイツを撃破したときの11人!

 ところが!立ち上がりから、トルコの動きが思いのほか良い!試合巧者クロアチアに対して全く臆することなく、正面から与していく。一方、休養十分のはずのクロアチアの足取りがどこか重たそうに感じられる。ややトルコのほうが押し気味に映るというのは予想外の展開だった。

 それでも、組織力で勝るクロアチアが、時折鋭い牙を剥き決定機を作る。19分には右のエリア付近を突破したモドリッチのクロスをイヴィツァ・オリッチがFINISH。。。も!ボールはクロスバーに弾かれる。跳ね返りに詰めたニコ・クラニチャルがHEADで反応するが、このボールはクロスバーを超える。
 前半最大の決定機!芝生を両手で叩いて悔しがるモドリッチの姿が印象的だった。

 これまでのような躍動感に欠ける多くのクロアチア選手のなかにあって、モドリッチだけは終始元気で溌剌としていた。先制点のアシストを含め、キレのある動きで都度都度攻撃に変化を与える好PLAYを披露。特にオリッチには幾度か好機のお膳立てをするが、これが決まらない。

 オリッチはこの試合でも惜しみない運動量で攻守に貢献していたが、何かこれまでの試合のような鋭さが感じられない。左のダニイェル・プラニッチも序盤こそ再三の上がりを見せていたが、次第にそれが影を潜めていく。右のダリヨ・スルナにもキレがなく、FK以外ではさほど目立った場面もない。クラニチャルに至っては上記の惜しい場面を除いては存在感すら希薄だった。
 TEAMとして、攻撃時の押し上げが乏しくサポートも少ない。DF時もこれまでの試合のような前線からの激しいプレスが見られない。Groupリーグ3戦を戦って力を出し尽くしたのはクロアチアのほうだったのか!?

 トルコのほうも主力を大勢欠くこともあってか、予想されたスタミナ切れこそ起こしていないものの、有機的な攻撃を構築できない。なかなかペースアップしないまま試合は推移し、気が付けば試合は延長戦に突入していた。

 両TEAMの最後の力を振り絞った攻防のなかから、ようやくクロアチアが先制点をあげたのは冒頭に記したとおり。前戦で肝臓移植手術後、代表で久しぶりのGOALをあげたクラスニッチが、この試合でも延長途中から入って決勝点!ともなれば、遂にTEAMに待ち望んだLUCKY BOY誕生か!?とも思わせたが、それは幻想に終わった。。。

 追いつく方と追いつかれた方。当然前者のほうが精神的には優位になる。しかもクロアチアにとっては延長後半ロスタイムに追いつかれてのPK戦だ。全選手がキッチリ決めたトルコに対して、クロアチアはモドリッチ、スルナ、イヴァン・ラキティッチが失敗!若い選手には気持ちの整理・切り替えができていなかったか!?

 とてつもなく悔しさが募る敗戦だ。今大会では旋風を巻き起こす可能性があると見ていたが、その座はトルコに奪われてしまった。

 “Šahovnica”
 シャホヴニッツァとはクロアチアの国旗やユニフォームでも御馴染みの赤と白の格子模様を意味する。このシャホヴニッツァが全面に散りばめられたものがTEAMのファースト・ユニフォームとなるが、今大会のクロアチアは緒戦以降Groupリーグ全ての試合で、青がベースとなるセカンド・ユニフォームを着用。このトルコ戦でも青いユニフォームを着て勝利!となれば、いよいよ“青のジンクス”“青の旋風”めいたものが叫ばれそうなところだったが、それも叶わなかった。。。

 TEAMには若い選手が数多く残ることに希望を託したい。
 モドリッチ22歳。ラキティッチ20歳。クラニチャル23歳。チョルルカ22歳。
 36歳の大ベテラン、ニコ・コヴァチは恐らく今大会を最後に代表を退くだろうが、後継者としてオグニェン・ヴコヴィッチやニコラ・ポクリヴァチュが大会のなかで可能性を示した。怪我で大会エントリーができなかったエドゥアルド・ダ・シルヴァが復帰すれば、2010年には今大会で経験を積んだ若手をベースに、より熟成したTEAMに仕上がる可能性は十分にある。

 旧ユーゴFANとしては、この悔しさの整理はなかなかに付きにくいものがあるが、新しいTEAMへの期待を寄せることで紛らわすことにしたい。スラヴェン・ビリッチの作ったTEAMは確かに良いTEAMだった。

 準決勝に進んだトルコだが、ドイツとの対戦は今度こそ苦しそうだ。試合間隔や延長を戦った疲弊度もそうだが、この試合でイエロー・カードを受けたアルダ・トゥランとトゥンジャイ・シャンルは次戦出場停止。くわえて、延長後半にはここまでTEAMを牽引していたキャプテンのニハト・カフヴェジまでもが負傷で交代。ドイツ戦ではここまでトルコの攻撃陣を形成してきた3人を一気に欠くことになる。負傷で2戦目以降欠場のエムレ・ベロゾールは結局この試合も出ていない。復帰の目処は立っているのだろうか??同じく欠場したDFの要セルヴェト・チェティンの怪我の具合は!?

 とはいっても同じような状況で勝利を収めたこのクロアチア戦の模様を見ると、準決勝でも想像しえない何かが起こらないとは限らない。ポルトガルを破り昇り調子↑のドイツとの対戦は厳しい戦いになることだろうが、トルコ劇場がまだまだ続くのか、或いは閉幕を迎えるのか、しっかりとこの目で観ておきたいところだ。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |22:35 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(1)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月20日

EURO2008 Act13 『←悪童疾走!!』

 アーセナルのアルセーヌ・ヴェンゲル監督が、スウェーデン戦でMVPに選ばれる活躍を見せたロシアのアンドレイ・アルシャフィンの獲得を熱望しているという。身体能力には恵まれているわけではないが、“ロシアのマラドーナ”の異名をとるTEAM最大のSTAR☆は、小粋なテクニックとスピードを兼備する、いかにもヴェンゲルが好みそうなタイプだ。
 
 PIXYは元より、フレブ、セスク、ロシツキー…etc常々、ヴェンゲルとは選手の好みがカブると思っているのだが、もし獲得が成功すれば、アーセナルのFootballにもフィットしそうな面白い補強だと思う。約22億円の移籍金を用意しているとのことだが、今大会更に活躍するようだと、それに比例して価値も更に上昇↑していくことだろう。

■ ←悪童疾走!!
 
【 ポルトガル 2-3 ドイツ 】
    0-1  22' シュヴァインシュタイガー(ドイツ)
    0-2  26' クローゼ(ドイツ)
    1-2  40' ヌーノ・ゴメス(ポルトガル)
    1-3  61' バラック(ドイツ)
    2-3  87' ポスチガ(ポルトガル)  


 準々決勝最初のCARDはポルトガルvsドイツの対戦。それぞれGroup首位の本命と目されていただけに、ドイツのGroup:B2位抜けで実現したこの段での対戦は、大方の予想より一つ早まったといったところか!?
 ドイツW杯の3位決定戦でも対峙したこの両国。その時はバスティアン・シュヴァインシュタイガーの全得点に絡む活躍もあって、開催国でもあったドイツが3-1と勝利を収めている。
 
 当時のTEAMが熟成され、今大会では堂々の優勝候補にもあげられるポルトガルとしては、是非とも当時の雪辱を果たしたいところ。一方のドイツも、Groupリーグではもう一つ調子が出なかったものの、大会前には優勝候補筆頭と目された大国の意地にかけて、負けられない一戦だ。
 
 ドイツはこの試合でスタメンを大きく代えてきた。
 肋骨を骨折したトルステン・フリングスに変わってトーマス・ヒッツスルペルガー。
 右サイドMFで起用されていたクレメンス・フリッツ→シュヴァインシュタイガー。
 そして、この大会期待されながら、全く爆発の兆しが見られないFWのマリオ・ゴメスがスタメンを外れ、代わりにMFのシモン・ロルフェスが起用された。
 TOPはミロスラフ・クローゼの1TOP。その後ろに左からルーカス・ポドルスキ、中央にミヒャエル・バラック、右にシュヴァインシュタイガーと並ぶ布陣となった。
 一方のポルトガルは今大会勝利を掛けた試合においては不動のメンバー。多くの選手がGroupリーグ最終戦を欠場したため、休養十分ということになる。
 
 緒戦のポーランド戦で勝利を収めて以降ドイツが低調な出来なだけに、ポルトガルがやや有利かと思われたが、試合は立ち上がりからドイツの動きが思いのほか良い。パワーとスピードを武器に、アグレッシヴな姿勢でポルトガルGOALを目指す。一方のポルトガルもデコがゲームを作り、持ち前のテクニックを織り交ぜ反撃に転じる。序盤からお互いの意地と力がぶつかり合う展開となった。
 
 先制点をあげたのは劣勢も予想されたドイツだった。 
 バラックとのパス交換を経て左サイドをスピードで一気に突破したポドルスキがグラウンダークロスを中央へ。これをハーフライン付近からポドルスキに連動して、TOPスピードでGOAL前まで詰めてきたシュヴァインシュタイガーが滑り込みながらダイレクトでGOALに蹴りこんだ。
 まさに電光石火と呼ぶにふさわしい一撃!
 
 これでドイツが勢いに乗る。
 そのわずか4分後にはシュヴァインシュタイガーがGOAL前へ入れたFKを、ラインの裏へ抜け出したクローゼが頭で合わせ追加点GET!眠れるエースが遂に目覚めのGOALをあげ、前半の半ばで早くも2点のリードを奪った。
 
 まだ残り時間があるとはいえ、この展開はポルトガルにとっては予想外だったことだろう。クリスチアーノ・ロナウドが左から積極的なアタックを見せ反撃に転じるが、今大会好調だったジョアン・モウチーニョが負傷で交代を強いられるなど、2点のリードで余裕のあるドイツDFの前になかなかGOALに直結しない。
 
 それでも前半も終わりに差し掛かる時間に1点を返す。裏へ抜けたクリスチアーノ・ロナウドのSHOOT!をレーマンが弾き、そのボールがヌーノ・ゴメスの脇へ転がる。素速い動きでこれに反応したヌーノ・ゴメスが左足で叩き込みスコアは1点差に。ヌーノ・ゴメスにとってはEURO2000から数えて3大会連続でGOALを記録したことになる。まさにポルトガルの“ミスターEURO”と呼ぶにふさわしい働きぶりだ。 
 
 そのまま迎えたハーフタイムを折り返し、試合の行方は次の1点をどちらが獲るかが焦点となるように見受けられた。ドイツが1点を奪えば安全圏に突入するし、ポルトガルが同点に追いつけば俄然勢いが増す。
 
 しかし、こういった拮抗した戦いでの勝負強さという点では、やはりドイツに一日の長がある。61分、左サイドライン際からのシュヴァインシュタイガーのFKを、今度はバラックがHEADでGOALを決めた。
 この試合でドイツは、前戦で退席処分を受けたヨアヒム・レーヴ監督がベンチ入りできないという緊急事態だったが、“ピッチ上の指揮官”として君臨するバラックがその不安を見事に払拭する一撃を見舞った。
 
 これはポルトガルにとってはかなり苦しくなる1点だった。その後、ドイツが守りの態勢に入ったため、ボールの保持率は上がるが、GOAL前の白い壁に阻まれてなかなか決定的な形が作れない。苦し紛れにボールを入れても屈強なドイツDFにいとも容易く弾き出される。
 ドイツDFはクリスチアーノ・ロナウドに対するDFにおいても工夫が見られた。複数でチェックには行くが、無理にボールを奪いに飛び込まず一定の距離を保つ。抜き去る間合いがつかめないクリスチアーノ・ロナウドは、仕方なしに周りにパスを送る。
 
 刻一刻と時間が過ぎるなか、ポルトガル・ベンチにも焦りがあるのか!?先制点をあげた“ミスターEURO”ヌーノ・ゴメスをナニとの交代でベンチに下げ、クリスチアーノ・ロナウドをセンターFWに据えるがこれがあまり機能しない。ほどなくしてエルデル・ポスチガをFWに入れ、クリスチアーノ・ロナウドに再び自由を与える。
 87分にそのエルデル・ポスチガがナニのクロスをHEADで決めて1点差まで詰め寄るが、そこから更に同点に追いつくにはあまりにも時間がなさすぎた。
 
 かくして注目の対決はドイツが3-2で勝利を収めた。
 今大会前から不調を囲っていたシュヴァインシュタイガーにとっては、このポルトガル戦が初スタメン。ドイツW杯時の対戦に続いて、この日も全てのGOALに絡むなど勝利に大きく貢献した。クロアチア戦で相手のファウルに報復して退場になるなど、とかく悪童のIMAGEも付きまとうが、ここぞというときに見せる勝負強さはさすがだ。コンディション、フォームともにほぼ戻ってきていると見て良さそうだ。
 初GOALをあげたエースのクローゼとともに、不調が伝えられていた二人の活躍は大きい。
 
 この試合を観ても尚好調時の8割ぐらいに見えるドイツだが、クロアチア戦、オーストリア戦よりは明らかに上向いてきている。試合を経ることによって、もう一段ギアが上がるようだと、大会前の評価に相応しい位置まで登り詰めるのではないだろうか。準決勝ではクロアチアvsトルコの勝者と当たるが、クロアチアに二度負けるとは思えない(心情的にはクロアチアを推すが…)し、トルコにも取りこぼすとは思えない。戦前の予想通り、取りあえず決勝までは勝ち上がるような気がしてきた。。。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |23:00 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月20日

EURO2008 Act12 『ロシア覚醒!!』

■ ロシア覚醒!!

【 ロシア 2-0 スウェーデン 】
    1-0  24' パヴリュチェンコ(ロシア)
    2-0  50' アルシャフィン(ロシア)


 昨日までに準々決勝8つの椅子のうち7つが決まった。残る一つの座を巡ってのスウェーデンとロシアの直接対決。
 経験豊富なベテラン揃いのスウェーデンか、若さと勢いのロシアか、対照的な顔を持つ両TEAMの対戦は、引き分け以上で決勝T進出の決まるスウェーデンのほうが、勝利以外に道がないロシアより、状況的にはわずかに有利だった。

 しかし、試合は立ち上がりから、若さを全面に出したロシアの積極的な動きが目立つ。スウェーデンのほうはその勢いを受けていなす展開。虎視眈々と逆襲のチャンスを窺う。両TEAMに活発な動きがあるので、目が離せない非常に見応えのある試合となった。

 特に前戦でギリシャとの激闘を制したロシアの動きが、その勝利の勢いを持続しているかのごとく良い。
 この試合ではついにエースのアンドレイ・アルシャフィンがピッチに戻ってきた。予選最終戦に受けたレッドカードのため、このGroupリーグ2戦出場停止だったが、ロマン・パヴリュチェンコとの2TOPで息のあったPLAYを見せ、数々の好機を演出した。

 ロシアのスコアラーもこの2TOP。
 先制点はパヴリュチェンコが決めた。右サイドを複数で連動して細かく繋ぐと、最後にエリア内までオーバーラップしてきたアレクサンドル・アニュコフが送ったグラウンダーのクロスを、パヴリュチェンコが落ち着いてGOAL左に突き刺した。
 そして、後半早々の追加点はアルシャフィンだ。高速で中央左を突破したユーリ・ジルコフからエリア内で出たパスを、中央の位置で右足FINISH!!した。

 これで若いTEAMはますます勢いに乗る。
 後半半ばを過ぎてもロシアの運動量が落ちない。2TOPに左のディニャル・ビリャレトジノフとジルコフ、右のアニュコフあたりが絡む攻撃は、早く点を返したいスウェーデンにじっくりと反撃するいとまを与えない。
 2点のリードもあって、次第にDFを重視した動きになっていくが、中盤からプレスを掛ける足は止まらず、ボールを奪えば素速くギリシャGOALへ攻め上がり幾度も好機を創出する。

 先制点を決めたパヴリュチェンコは、その後もGKと1対1になるような決定的チャンスを何度も迎えるが、どうにもボールがHIT!しない。右ポスト直撃弾を含めて、あと2点ぐらいは決まっていてもおかしくない惜しい場面があったが、フィニッシュの精度を欠いたり、GKアンドレアス・イサクションの好守もあってネットを揺らせなかった。

 最後まで、チャンスと見るや相手GOALへ向かうロシアの攻める姿勢は変わらなかった。若いTEAMだけに、「守りに入って下がったらやられる」という考えもあったのだろう。しかし、その姿勢があったればこそ、老練なベテラン揃いのスウェーデンに、最後まで付けいる隙を与えなかったともいえる。

 試合はそのままタイムアップ。ロシアが逆転2位の座に滑り込んだ。
 緒戦1-4の大敗からの再スタートで、見事にTEAMを立て直して決勝T進出という流れは、90年イタリアW杯のユーゴスラヴィアと重なる。今大会のイタリアを見ても分かるように、緒戦大敗から劇的に立て直すのは、サッカー超大国でも容易な所業ではない(06年日本は無理だった…)。

 それを成しえたのは、やはりフース・ヒディンクの存在が大きい。攻撃的な姿勢、落ちない運動量、そして、それらをベースにサイドを意識した攻撃は、相手を圧倒し押し込む勢いがある。スペイン戦では良いところがほとんどないように見えたTEAMだったが、環境一つ、シチュエーション一つ変わるだけで、選手が出す力も大きく変わるということを改めて痛感した。それを引き出したヒディンクの手腕は見事だし、大会前には「不気味な存在」と評しながら、1試合観ただけで全く可能性を見出せないと捉えた自らの眼力の拙さは、ただただ恥ずかしいばかりだ(実際、スペイン戦自体は全く奮わなかったと今もって思うが…)。。。

 準々決勝では、現時点で一番覇権に近そうな強TEAMオランダと対戦する。しかし、もう、スペイン戦のときのように、ただ手を拱いてやられるということはなさそうだ。ロシアが変に受け身に回らずガチンコ勝負を挑むと、すごい試合になりそうな予感がする。オランダ有利なのは間違いないが、オランダがロシアを見くびったり、或いは終盤までロシアの運動量が衰えないようだと、もう一つサプライズを起こす可能性は十分にある。

 緒戦で良い形での勝利を収めながら、結局Groupリーグ敗退を喫したスウェーデンには、何だか尻窄み感が漂う。ケチのつき始めは、やはりスペイン戦のロスタイムにヴィジャの決勝GOALを喫したことか!?
 ほとんど良いところなくロシア戦を終えた悔しさが募ったのか…、試合後、大ベテランのヘンリク・ラーションが「これがスウェーデンのシャツを着た僕を見る最後の機会にはならないと思う」と、代表続行を示唆するコメントを残したが、今大会でもまだまだTOPレヴェルでPLAYできることを示しただけに、可能であれば是非2010年を目指してほしい。

 大国のようにそれほど層が厚くはないだけに、この敗退を受けて大幅にTEAM内が入れ替わるということはないだろうが、いつの時代も安定したTEAMを作るだけに、また、今後に期待したいところだ。



■ グイサのポーズの意味って!?

【 ギリシャ 1-2 スペイン 】
    1-0  42' ハリステアス(ギリシャ)
    1-1  61' デ・ラ・レッド(スペイン)
    1-2  88' グイサ(スペイン)


 後半の43分に、今季リーガ得点王でもあるダニエル・グイサがHEADで決勝GOALをあげ、スペインがGroupリーグ3連勝を飾った。GOAL後のグイサのポーズはすっかりお馴染みのポーズらしいが、当時リーガを観れる環境になかった者としては、その意味までは知る由がない。。。

 既に2試合を終えた段でGroupリーグ突破を決めていたスペインは、控え選手中心のメンバーでこの試合に臨んだ。ポルトガル、クロアチア、オランダといった同じように2戦でBest8進出を決めたTEAMが、3戦めに主力を温存する形を取っているが、全Groupでこういったケースになるという大会も珍しい気がするし、あまり記憶にない。今大会は、それだけ好調なTEAMとそうでないTEAMがハッキリしているのかもしれない。

 控えの位置付けとはいえ、スペインのメンバーにはそれなりに豪華な選手が揃う。放送で紹介されたエピソードに寄れば、スウェーデン監督のラルス・ラーゲルベックは「(普段)スペインのベンチに居並ぶ選手は、ウチにくればみんなレギュラーだ」と述べていたこともあるそうだ。
 確かに試合序盤から随所にスキルの高さを窺わせるPLAYを披露する様は、レギュラー陣にも劣らないものがあった。

 個人的にはシャビ・アロンソがスタメンで出ていたのが嬉しい。惜しくもポスト左に逸れたが、ハーフライン手前から放った超!ロングシュートには目を見張ったし、後半にも左ポストを直撃する30m級ロングを見舞うなど、お得意の長距離砲を都度都度披露し、長短のパスでゲームを構築した。
 ルベン・デ・ラ・レッドやセルヒオ・ガルシアといった代表で実績のない若手選手も、生き生きとしたPLAYで躍動する。

 対戦相手のギリシャは既にGroupリーグ敗退が決まっている。
 とはいえ、この試合で代表を引退することを表明しているGKアントニオ・ニコポリディスに勝利を送ること、2試合無得点の今大会で何とか初GOALをあげ勝ち点を得ることをモチヴェーションに、スペインのGOALを目指した。

 先に点をあげたのはそんなギリシャのほうだった。
 セットプレーからのFKを、DFのマークを振り切り完全にフリーになったアンゲロス・ハリステアスが、完璧なHEADでGOALに叩き込む。まるで、前回大会の得点シーンを巻き戻して観ているかのようなギリシャの先制点。
 GOALをあげたハリステアスが、最後尾のニコポリディスのところまで駆け寄って抱擁している姿が印象的だった。

 それぞれに動機付けがあるとはいえ、そこはやっぱり消化試合!?後半に入ってもなかなか試合のテンポが上がらないように映る。そんな雰囲気を反映してか?名物応援団マノーロおじさんの姿を移した画がなかなか切り替わらない。
 膠着した状態で後半も半ばに差し掛かったところで、スペインがようやく同点に追いつく。1TOPのグイサがHEADで後ろに落としたボールを、上がってきたデ・ラ・レッドがズドン!!バーを強烈に叩いたボールが地面に落ちマウス内に収まった。

 最後は冒頭で触れた通り、グイサが決勝弾をGET!スペインはクロアチア、オランダとともにGroupリーグ無敗で決勝Tに進んだ。得点8はオランダに次ぐ数字。やはり攻撃力はある。ただし、毎試合失点を重ねてる点が気になる。準々決勝で相対するイタリアは、このGroupで対峙したTEAMよりは一段上のTEAM。苦手のフィジカル勝負でこられると辛いところだが、今度こそ『Best8の壁』を乗り越えられるか!?確かにここまで好調のTEAMだが、本当の評価は準々決勝が終わった段で与えられることになるだろう。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |00:17 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月18日

EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

■ 斜陽のLes Bleus 

【 フランス 0-2 イタリア 】
    0-1  25' ピルロ(イタリア)
    0-2  62' デ・ロッシ(イタリア)


 この試合前、どちらが勝ち抜けるかを占うのは、非常に困難なカードだった。力が拮抗しているから…というよりも、今大会に限ってはどちらも良い材料を見つけ出すのが難しかったからだ。緒戦から全開で戦っているものの、何か上手く噛み合っていないアッズーリとほとんど良いところすらない斜陽の“Les Bleus”。

 2006年のW杯決勝で覇権を争った両TEAMが、2年後にこのようなシチュエーションで対戦するとは誰が予想できただろう!?オランダが既にGroupリーグ突破を決めている今、決勝Tに進めるのはどちらか一つだけ。もう1試合の結果次第では、混戦Groupの二強と目されていたどちらも、この段で大会から姿を消すことになる。

 フランスは前戦から3人を入れ替えてきた。右サイドバックにフランソワ・クレル、センターバックにはエリク・アビダルが起用され、FWにはカリム・ベンゼマが緒戦以来のスタメン復帰。
 特にDFラインの変更が気に掛かる。1-4と大敗を喫したオランダ戦。活きの良いオランダの若手選手のSPEEDに蹂躙されたヴィリー・サニョル、リリアン・テュラムといったベテラン選手はお灸を据えられた…というよりは、戦力外と見なしたということだろうか!?恐らく、これまでにほとんど試したこともないこのDFラインを、この土壇場の大一番において実践するあたりに、今のフランスの苦悩・迷走が見て取れる。

 イタリアはジェンナーロ・ガットゥーゾが緒戦以来のスタメンを飾り、ルカ・トーニのパートナーにはオランダ戦のアレッサンドロ・デル・ピエロに代わって、アントニオ・カッサーノが今大会初めてSTARTから使われた。

 立ち上がりからイタリアに決定機が生まれる。
 4分トーニが惜しいシュートを外す。
 フランスもすぐさまフランク・リベリーを中心に反撃を試みる。

 ところが…。。。この大会、フランスで唯一何かをやりそうな予感を漂わせていたリベリーが9分過ぎに負傷交代。代わってサミル・ナスリがINするが、リベリーの交代がピッチの他の選手たちに影響を与えた感は否めない。

 直後、CKからクリスティアン・パヌッチが枠を捉えるHEADを放つも、ここはGKグレゴリー・クペが弾き飛ばす。しかし、エリア内でトーニを背後から倒したアビダルが一発REDとなったPKに関しては、アンドレア・ピルロがGOAL左上に突き刺したボールを、阻止することはできなかった。

 欠けたDFを補充するため、フランスは投入からわずか15分強でナスリをジャン・アラン・ブームソンに代えることを余儀なくされた。後がないだけに、最初から全力で戦うことが必須となる試合で、前半の半ばを過ぎたところで、交代枠3のうち2つを使うはめになるという…。。。致し方ないとはいえ何とも歯車の噛み合わない進め方だ。しかも1点のビハインドを背負う状況。

 もはやこの時点で「今日はフランスの日ではない」ことは明らかだった。 
 30分過ぎのスタンドからはイタリア国家の大合唱が鳴り響いた。

 その後もイタリアがチャンスを掴むと、高い確率で決定機に至る場面が続く。しかし、その多くのチャンスの仕上げをトーニが担うのだが、ことごとく僅かな差でGOALに決められない。
 特にカッサーノの右からのクロスを右足インステップで合わせて背後のGOALを狙うという、EURO2004でズラタン・イブラヒモヴィッチが見せたテコンドーキックばりの変型SHOOT!には、思わず目を見張らされたが、これも左ポストの脇を逸れていく。
 こうなると、GOALに嫌われているようにも見えてくる。とはいってもトーニに代わるセンターFWはいない。フィニッシュに至る形は悪くないのだが、はたしてエースはいつ覚醒するのか!?

 1点のリードと一人多いということに安堵しているわけではないだろうが、次第にイタリアから立ち上がりの激しさが消え、その間隙を縫って抵抗を試みたフランスも、徐々に動きが衰えていく。

 次の1点をどちらがあげるかが試合の行方を左右しそうな時間帯、均衡を破ったのはイタリアのほうだった。ダニエレ・デ・ロッシの蹴った直接FKに壁の端に立っていたティエリー・アンリが反応。その足に当たったボールは上手い具合に方向が変わり、動き出したGKの逆を突く軌道でGOALに吸い込まれた。

 これで勝負あった!

 直後にフランスは最後の選手交代でニコラ・アネルカを投入、3TOPにして「何とか点を獲りにいく」という意志を示すが、早い時間から少ない人数で戦い続けた選手たちの足取りは重い。ベンゼマが孤軍奮闘し、状況の打開を試みるが、試合はそのままタイムアップ。
 もう1試合がオランダの勝利に終わった結果を受けて、緒戦大敗からSTARTしたイタリアが決勝Tに滑り込んだ。

 ●→△→○
 Groupリーグ3試合の流れを、STARTは悪くとも試合ごとに調子をあげ、最後には好成績を残すイタリアの伝統に準える向きもあるが、今大会に関してはどうだろう??好不調というよりもGroup3戦を全力で戦った印象が強いだけに、あと3つ勝つだけの心身のスタミナはないようにも思える。同じ決勝T進出でも、ポルトガルやクロアチア、オランダといったTEAMとは明らかに余力が違う印象だ。

 アンドレア・バルッツァッリ&マルコ・マテラッツィのコンビだったセンターバックは、3戦終わってみればクリスティアン・パヌッチ&ジョルジョ・キエッリーニのコンビに。エースのトーニは未だNO GOAL。この試合でようやく支配力を示したピルロも、W杯時のそれにはまだ及ばない。準々決勝ではスペインと対戦することになるが、ピルロとガットゥーゾは累積警告で出場停止。特にガットゥーゾは技巧派スペインが最も嫌がるタイプだけに、そこを欠くのは非常に痛いところだ。

 スペインは今大会好調なだけに、単純な比較では明らかに分が悪いが、伝統どおり上昇↑のベクトルを描いていくのか!?放つ矢も尽きて敗退を喫するのか!?目が離せない対戦であることは間違いない。

 遂に良いところがほとんどないまま今大会を終えたフランスは、恐らく、監督交代も含めて、大幅にTEAM内外が入れ替わることだろう。栄光を築いてきた“ジダンとその仲間たち”から残った選手も、そのほとんどが今大会が最後の大舞台となりそうだ。“プラティニ後”に訪れた冬の時代が再び訪れるのか、ベンゼマやナスリといった新しい世代が、新しいTEAMをスムーズに築き上げていくのか、“Les Bleus”の大会後の動きも注視したいところだ。



■ 全てが良い方向へ!

【 オランダ 2-0 ルーマニア 】
    1-0  54' フンテラール(オランダ)
    2-0  87' ファン・ペルシ(オランダ)


 「オランダの得点源は??」
 と問われれば、多くの者がルート・ファン・ニステルローイをを思い浮かべることだろう。エール・ディヴィジ、プレミア、リーガと3つのリーグで得点王になった世界屈指のストライカーゆえ、当然といえば当然だ。

 しかし、今大会ではここまで緒戦であげた1GOALのみ。決定機にも絡んでいるが、ポストなどで前線に起点を作ったりと、どちらかといえばサポートを献身的にこなしている姿が目に付く。

 では、計9得点とここまで最多得点を誇る攻撃陣の得点源はといえば!?

 ファン・ニステルローイ
 スネイデル×2
 ファン・ブロンクホルスト
 カイト
 ファン・ペルシ×2
 ロッベン
 フンテラール

 何と!7人の選手がまんべんなく得点をあげている。
 もちろん!絶対的エースが絶好調でGOALを量産するのも恐いが、これだけ多様な選手がGOALをあげるというのも、対戦相手にとっては厄介事に他ならない。特定の選手だけを抑えれば済むという問題ではなくなるからだ。
 Groupリーグ最終戦となったルーマニア戦でも、オランダはその攻撃の多様性を存分に示し、勝利を収めた。

 既に1位突破を決めていることもあって、予定通り?オランダは大幅に選手を入れ替えてきた。右サイドバックのハリド・ブーラルーズとセンターMFのオルランド・エンヘラールだけが前戦に続いてのスタメン出場。

 今EUROの予選でも同居したこの2TEAM。その予選ではルーマニアが1勝1分(0-0、1-0)という結果だったが、本大会に入ってからの好調さを見ると、やはりオランダ有利というのが戦前の見方だった。

 その図式通りオランダのボール支配率が勝り、ルーマニア陣内に攻め込むという展開で試合は推移していく。しかし、ルーマニアにとってもある程度守勢に回るのは計算のうち。自陣で絶えず連動して選手が動きポジションを修正、絶対に穴は作るまいという、選手間の距離を大事にする守備は、イタリアやフランスと対戦したときと同様だった。
 オランダは堅守の前になかなか前線の選手にボールが収まらない。これまでの2試合でも感じたが、相手の攻撃を非常によく研究している守りだった。

 ルーマニアにはこれまでよりは攻撃への意識もあるように見受けられたが、非常に注意深く試合を進めている印象。そこには同時刻に開始されたもう1試合(フランスvsイタリア)の動向も、微妙に影響していたに違いない。

 ハーフタイムを終えた段でイタリアがフランスを1点リード。後半、Group突破のために勝利が必要になったルーマニアが、さすがに全体的な押し上げを見せ、攻撃に掛かったときの人数も増えるようになった。相手にボールを奪われた際は、必然的にこれまでよりスペースを与えることになるが、リスクを犯さないわけにもいかない。

 そんな試合の均衡を破ったのは、ようやく時間と空間を得たオランダのほうだった。再三オーバーラップを見せていた、右サイドのブーラルーズが上げたグラウンダーのクロスを、中央のクラース・ヤン・フンテラールが左足で合わせてGOAL GET!「ファン・バステンの再来」といわれ、ファン・ニステルローイの後継者と目される期待のFWが、今大会初出場でもぎ取ったGOALだった。

 終盤、ルーマニアはアドリアン・ムトゥやフロレンティン・ペトレなどが、幾度か決定機を迎えるがそれをものにすることはできず、逆に終了間際、ロビン・ファン・ペルシに決定的な追加点を許してしまう。右サイドから上がってきたロングボールを、ペナルティエリアで巧みに処理して左足で容赦なくGOALに突き刺したパワフルなSHOOT!は、まさにファン・ペルシらしい一撃!これでルーマニアは完全に戦意を喪失した。

 結局、ルーマニアのGroupリーグ突破は成らなかったわけだが、今大会での健闘は賞賛に値する。サッカー大国が居並ぶGroupで、ともすれば草刈り場にもなりそうなところを、堅守を武器にしたしっかりとした戦いぶりで、イタリアやフランスを慌てさせた。力のある中堅国としての存在感は示せた。ムトゥに続く攻撃のタレントが台頭してくれば、2010年にはもう1RANKレヴェルUPしたTEAMになっているかもしれない。

 終わってみれば“死のGroup”といわれた難Groupを危なげない3連勝で通過したオレンジ軍団。今は全てが良い方向へ流れているようにも見える。今大会、起用する選手が次々に活躍するのだから、攻撃的な采配が目立つマルコ・ファン・バステン監督も監督冥利に尽きるというもの。本当の勝負となる決勝Tに入ってどんな試合を披露してくれるかが、また、非常に楽しみだ。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |22:58 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(4) | トラックバック(2)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月18日

EURO2008 Act10 『VATRENO LUDILO』

■ VATRENO LUDILO

【 ポーランド 0-1 クロアチア 】
    0-1  53' クラスニッチ(クロアチア)


 試合中、ピッチ際で止まることをしらないACTIONが、すっかり有名になりつつあるクロアチアのスラヴェン・ビリッチ監督のもう一つの顔。周知の方も多いだろうが、それは地元スプリトのロックバンド!RawbauのGuitalistとしての顔だ。   
 Rawbauは今大会前にはVATRENO LUDILO』というクロアチア代表のサポートSONGを発表したが、HARD ROCK調のなかなか良い曲に仕上がっている。タイトルは「炎の狂気」、ヴァトレノ(ヴァトレニの格変化?)はクロアチア代表の愛称を意味する。即ち、EUROでのクロアチア代表の旋風を期待して…の応援SONGということになるが、どうやらピッチの上で戦うクロアチアの選手達は本当に旋風を巻き起こしつつあるようだ。

 既にGroup1位通過を決めていることもあって、クロアチアは主力選手を温存、ドイツ戦のスタメンからは9人を入れ替えて臨んだ。対するポーランドは限りなく可能性が低いとはいえ、まだGroup突破の可能性を秘める。油断をすれば前日のポルトガルの二の舞になる可能性も十分にあったが。。。

 スコアこそ1-0とはいえ、終始ゲームを支配する展開でクロアチアが難なく勝利を収めた。シチュエーションからいえば、ポーランドが前掛かりになって、遮二無二攻めていてもおかしくないはずのだが、一人一人の確かなスキルに裏打ちされたボールキープで、ゲームを支配するクロアチアがそれを許さなかった。

 目を見張ったのはTEAMとしてしっかり機能していた点。なかなか一同に介して試合に臨むことがないはずの、控え選手の集まりとは思えないほど、攻守によくまとまっていた。ぶっちゃけ!主力TEAMとも、中盤の構成力という点を除けばほとんど遜色がないように見受けられた。

 唯一のGOALをあげたのはこの大会初出場となるイヴァン・クラスニッチ。ダニイェル・プラニッチからのクロスを利き足の左足からのSHOOT!で正確にGOAL内に突き刺した。二度の腎臓移植手術で長く戦列を離れていたクラスニッチにとって、実に2006年10月のアンドラ戦(EURO予選)以来という代表でのGOAL。
 運動量が豊富なタイプではないので、この大会爆発的な走力・運動量を見せて攻守に貢献するイヴィツァ・オリッチの代わりを務めるとは思えないが、テクニックを武器に幾度か決定機に絡み、貴重な戦力であることを示した。

 攻撃のアクセントなったのは左のイヴァン・ラキティッチと前述のプラニッチ。高いスキルを武器に左サイドから何度もチャンスを創出した。
 ラキティッチはさすがにキッカーを任されるだけあって、FKやCKでは質の良い速くて低いボールを蹴る。今大会ではまだまだ期待の若手扱いだが、例えば2010年、より成熟したプレーヤーになったとき、ニコ・クラニチャルやルカ・モドリッチと形成する中盤は、或いは“黄金世代”と比肩する質に仕上がるのではないか!?
 プラニッチは時折不安視されたDFを突かれる場面もあったが、それを補ってあまりあるオーバーラップでポーランドの右サイドの驚異となり続けた。

 中盤のニコラ・ポクリヴァチュ、オグニェン・ヴコイェヴィッチ、イェルコ・レコは、攻撃で目立つ場面はさほどなかったが、豊富な運動量を武器に、DF力とバランスをとるという点でTEAMを支えていた。

 気になるのはダリオ・クネジェヴィッチが前半途中に負傷交代を余儀なくされたこと。ここまでの2試合で終盤に守備固めで起用されるなど、守備のスペシャリスト的な位置付けだっただけに、負傷具合によっては戦力downとなる可能性もある。
 逆にクネジェヴィッチに代わってINしたヴェドラン・チョルルカが、通常入る右サイドバック以外でも水準の高いPLAYを披露できたのはPlus要因。

 準々決勝で相対するのは2試合連続で劇的な逆転勝利をあげているトルコ。TOTALでクロアチア優位なのは間違いないが、波に乗ったときのトルコの勢いは決して侮れない。しかし、油断と燃料切れを起こさなければ順当に勝利を収めるはずだ。
 いずれにしろGroupリーグ3連勝はお見事!という他ない。冒頭では「旋風を巻き起こしつつある」と述べたが、本当に旋風となるには決勝Tでの活躍が不可欠。強豪国にとっての本当の戦いは決勝Tから始まるものだからだ。


【独断と偏見に基づくクロアチア選手の採点】
23.ルニェ 6.5
 2.シミッチ 7
 6.ヴェイッチ 6
15.クネジェヴィッチ 6
(26m 5.チョルルカ 7)
22.プラニッチ 7
13.ポクリヴァチュ 6
  8.ヴコイェヴィッチ 6.5
16.レコ 6
 7.ラキティッチ 6.5
21.ペトリッチ 6
(75m 19.クラニチャル 6)
17.クラスニッチ 6.5
(74m 9.カリニッチ -)


 最後にこの試合で今大会を去るポーランドについても少々。
 あまり良いところがなかったポーランドにはどっかの代表の姿がカブる。それなりに勤勉でエリア外まではボールを運べるが、その先の工夫、変化に乏しいのはどこかで観たことのある光景だ。
 それだけの才ある選手が残念ながらいなかったということか。。。

 この大会鳴かず飛ばずだったエビ・スモラレクは、後半途中からの出場で際どいSHOOT!を都度都度見舞い、ようやくその片鱗を見せたが、大会直前にブラジルからの帰化を果たし注目を集めたロジェール・ゲレイロは、如何せんTEAMにフィットするには時間がなさすぎた。
 オーストリア戦でロスタイムにとられたPKなど、ツキもなかった印象だ。
 かつては世界的な名手を幾人も輩出してきた国だけに、その再来に期待したい。



■ 勝負に水差す不可解!?な判定…

【 オーストリア 0-1 ドイツ 】
    0-1  49' バラック(ドイツ)


 後半開始早々に得たFKをミヒャエル・バラックが決めて、ドイツが辛くも勝利を収めた。下馬評通りドイツが押し気味の試合だっただけに、「辛くも」という表現は適当でないかもしれないが、それでも敢えて使いたくなる。どうにもドイツがもう一つに見えてしょうがない。

 相手GKの好セーヴに遭うなど、追加点こそ奪えなかったが、確かに得点以外にも決定的なチャンスを何度も作っていた。しかし、強いときのドイツが見せるような相手を圧倒する押し込みはあまり感じられない。

 やはり、攻撃のフィニッシュを担う2TOPが未だNO GOALと、今大会調子があがってこない点が影響を及ぼしている。前戦のクロアチア戦同様、期待のマリオ・ゴメスはたいした見せ場もないまま、後半、残り時間を30分も残したところでピッチを後にすることを余儀なくされている。
 ミロスラフ・クローゼはようやく幾度か良い動きを見せ、惜しいSHOOT!も放ったが、どうしてもGOALの鍵をこじ開けられない。

 こういった大会では、使える選手と使えない選手を早期に見極めることも大切な所業になるが、不動のクローゼは据え続けるとしても、いよいよ不振の域に入ってきたマリオ・ゴメスは、或いは決勝Tの段でスタメンから外されるかもしれない。もし、そうなるとするならば、大会前最も期待していた選手の一人だけに、ただただ残念だ。

 この試合、前半終了間際、不可解?な判定があった。タッチライン際のヨアヒム・レーヴ監督(ドイツ)とヨゼフ・ヒッケルスベルガー監督(オーストリア)が、突如主審から退席処分を受けたのだ。詳細は理解しえなかったが、握手をしてスタンドへ向かう両監督の姿を観る限り、主審が一人ナーバスになっているようにも見受けられた。

 この退席で痛手を被ったのはオーストリアのほうだ。勝利しか次ラウンドへ進めない試合。刻一刻と移り変わる戦況に対し、即座に応じた采配を優位なドイツ以上に奮う必要があるのに、そのタクトを揮うべき指揮官の不在。
 ポーランド戦でロスタイムに同点PKを決めるなど、後半途中から出場する切り札的存在のイヴィツァ・ヴァスティッチをどこで使うか!?が、オーストリアにとっては一つのキーポイントかと思われたが、そのヴァスティッチを投入することなく交代枠を使い切り試合が終わってしまった。。。
 同じように後がなかったギリシャやトルコが見せた気迫や執念に比べると、何か燃えるものがないまま終わってしまったように感じた試合だった。

 結局、この大会、オーストリアはPKで1点をあげた以外、GOALをこじ開けることができなかった。前述のポーランド同様、勝てない、或いは得点が入らないTEAMの例に漏れず、バイタルエリア付近まではボールを運べるが、そこから決定機に繋がるPLAY・創造性に欠けていた。偶発的なGOALを期待する以外は得点を望めそうにもなかった印象だ。共催国スイスとともにGroupリーグで姿を消すことになったが、やはりこの大会で勝ち上がっていけるTEAMではなかったということだ。

 ただ、各試合のなかでも良い時間帯が存在したのは確か。アンドレアス・イヴァンシッツなど若手で可能性を感じさせる選手もいる。緒戦の項で「EUROがもう1年遅い開催だったとしたら…」と述べたが、更に成長する可能性を秘めたTEAMではあるので、今後の伸びに期待したい。

 ドイツは準々決勝でポルトガルと対戦することになる。正直、今のドイツではちょっと分が悪いような気がしないでもないが、ただ!逆境でこそ力を発揮するのがこの国の真骨頂でもある。メンバーの変更も含めて、決勝Tに入って劇的な変化を遂げる可能性もあるので、いずれにしろ見逃せない一戦になることは間違いない。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |00:37 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月16日

EURO2008 Act9 『トルコ劇勝』

■ トルコ劇勝

【 トルコ 3-2 チェコ 】
    0-1  34' コレル(チェコ)
    0-2  62' プラシル(チェコ)
    1-2  75' アルダ(トルコ)
    2-2  87' ニハト(トルコ)
    3-2  89' ニハト(トルコ)


 語彙に乏しく、毎度同じ表現になって誠に申し訳ないが、この試合でのトルコの勝利も『劇勝』と呼ぶに相応しい勝ち方だった。

 勝ち点、得失点差、総得点と全ての条件が並んだ両TEAM。勝利を収めれば当然勝ち抜け確定だが、タイスコアの場合はPK戦で進出TEAMを決めることになっていた。

 立ち上がりの両TEAMはまずは失点しないことに意識を傾けているのか??攻撃を試みてもDFの人数は常に揃えておくという状況が続いた。決して攻める意思がないわけではないが、前夜のギリシャが見せたもう後がない鬼気迫る戦いぶりと比べると、序盤は随分と緩やかな攻防に映った。

 ただ、チェコのほうが組織力で勝るぶん、より効果的に攻撃を構築してフィニッシュに近づけているようには見受けられた。右のリボル・シオンコ、左のマレク・ヤンクロフスキを絡めた攻撃で、幾度か良い形を創出する。

 先制点もサイドの崩しから生まれたものだ。右のシオンコから上がったクロスを202cmの巨砲ヤン・コレルがドンピシャHEADで突き刺すGOAL。

 個々の能力ではトルコが上回るが、組織とDF力でやはりチェコのほうが勝るぶん、TOTALでは僅かに後者が上回るといったところか。。。同点GOALを狙うトルコの攻撃もGKペトル・チェフ、ダヴィド・ロゼフナル、トマーシュ・ウイファルシといったDF陣を中心にいなしていく。

 そのまま試合は後半に突入。
 迎えた62分。
 コレルが1対1の超決定機を外した直後、再び右のシオンコから供給されたクロスをヤロスラフ・プラシルがダイレクトでGOALに叩き込んだ!この大会ここまで、正直!攻撃でほとんど機能している印象がなく、「何でここまで使われているのだろう!?」と密かに思っていたプラシルがあげた追加点。

 これでトルコはいよいよ苦しくなったように思われた。
 もはや、なりふり構っていられずといった感。とにかくボールを奪ったら素早く相手陣内、相手GOAL前へ運ぶという、昨夜のギリシャ同様後がないTEAMが見せる玉砕覚悟?の捨て身の攻撃。

 75分、ハリル・アルティントップがエリア内からマイナスに折り返したグラウンダークロスを、遠目からアルダ・トゥランが正確なSHOOT!でGOALに突き刺した。これで1点差。
 しかし、それでもまだチェコには余裕がある。
 アルダはスイス戦のロスタイムにも決勝弾をあげている。「もし、トルコが決勝Tに進んだら、今大会のLUCKY BOY的存在になるかもな…」という思いが、ふと、脳裏に過ぎった。

 残り時間が少なくなるなか、プレッシャーに苛まれたのか、途中出場の21歳カリム・リチャーズのPLAYが明らかにおかしい。おかしなKICKを連発し、たまらずニハト・カフヴェジやアルティントップら先輩選手たちに「落ち着け!落ち着け!」となだめられている。

 尚も時計の針は刻一刻と進む。
 残り時間も3分になったところ。
 前掛かりになりながらもチェコDFの壁にことごとく弾き返され、誰もがほぼほぼチェコの勝利を確信しそうな時間帯。右サイドのアルティントップがサイドラインに近い遠目の位置からクロスを上げる。中で合わせる選手は誰もいない。。。

 GKのチェフがこのボールを難なく悠々とキャッチ。
 と思いきや!何と!!着地の瞬間にボールを落としてしまう!
 慌てて手を伸ばすが、ボールの零れた先には詰めてきてたどり着いたニハトがいた。ニハトがほとんどダイレクトでこのボールをGOALに流し込む。土壇場での同点劇!
 世界No.1GKと形容されることも多い名手のありえないMISS!!が味方選手にも動揺を与えたのだろうか。。。2分後、ラインを上げたチェコDFの裏にスルーパスが通る。ここまで組織的な堅守を誇ったDFラインが乱れた瞬間、抜け出したニハトがこのボールに反応、落ち着いてカーブをかけたSHOOT!がGOALへの軌道を描いた。

 トルコ3-2チェコ!!

 古い話で恐縮だが、残り3分での逆転というと、2年生の松波兄(元G大阪)や阿部(元鹿島他)を擁した帝京が、強豪市立船橋に同じように残り3分間でひっくり返した高校選手権準決勝の試合を思い出す。。。

 とにもかくにも0-2からの大逆転!

 試合は尚そのままでは終わらない。ロスタイム、トルコ・ゴール前でのハイ・ボールの競り合いに対して不満を抱いたGKのヴォルカン・デミレルがコレルを突き飛ばし一発REDで退場。
 既に3人の交代枠を使っていたトルコは代わりのGKを入れることができず、何と!フィールド・プレーヤーのトゥンジャイ・シャンルがキーパー・ユニフォームを着てマウス前に立つ。
 ほどなくして、長めのロスタイムの終わり・タイムアップを告げるホイッスルが鳴ったが、はたしてPK戦になっていたらいったいどうなっていたのだろう!?

 とにもかくにも、EURO史上に残る激戦を制したトルコが、大方の戦前の予想を裏切り見事にBest8進出を果たした。緒戦を観た段で、DFや組織面では劣るが、個の力・攻撃力ではスイスやチェコを上回る…と見たとおりの結果になった。
 準々決勝ではGroup:Bの首位通過を決めたクロアチアとの対戦が既に決まっている。終了間際退場となったヴォルカン、練習中の負傷の影響でこの試合も欠場したエムレ・ベロゾール。そのエムレがいないなか、中盤で奮闘し攻守に存在感を示したメフメト・アウレリオは累積警告のため次戦出場停止だ。テーピングで足をぐるぐる巻きにしながら奮闘するセルヴェト・チェティンの姿も痛々しい。トュメル・メティン、ギョクデニズ・カラデニズも負傷のため、結局この試合のピッチには立てなかった。

 TEAMはまさに満身創痍だ。『劇勝』を収めたといっても、正直、決勝まで進んで優勝するほどの余力があるようには見えない。ただし!、あと1試合くらいは、力を振り絞って何かをやらかしそうな気がしないでもない。この逆転勝利は、それくらいの勢いを与えるだけの価値がある1勝だ。



■ 『Merci Köbi』

【 スイス 2-0 ポルトガル 】
    1-0  71' ヤキン(スイス)
    2-0  83' ヤキン(スイス)


 “Merci Köbi(ありがとうケビ)”

 この大会限りでの勇退が決まっている、スイスのヤコブ・クーン監督に対する感謝の意を表す横断幕を、試合後の選手たちがピッチで拡げる。駆け寄ったクーン監督が一人一人と握手・抱擁を交わす。三度目のEURO出場であげた初勝利に華を添える美しい光景だった。

 既にGroupリーグ敗退が決まったスイスにとってはこれが大会最後の試合。消化試合にも関わらずスタンドを埋めた地元FANに是非とも勝利をプレゼントしたいところだ。
 1位でのGroup通過が確定しているポルトガルは、主力を休ませ、控え選手にアピールの場を与えるというのがこの試合の位置付け。

 決して動機がないわけではないが、しかし、どちらにとってもあまりプレッシャーのない試合。敢えて危険を犯す必要もない。ギリギリの凌ぎを削る局面が乏しいせいか、トルコとチェコの対戦を観た後だとどことなく親善試合のような雰囲気が漂う。

 試合は同じくこの試合限りでの代表引退を決めているというハカン・ヤキンの2GOALで、前述の通りスイスが勝利を収めた。思えば緒戦でアレクサンダー・フレイを負傷退場で欠いたのがケチのつき始めだった。続くトルコ戦では先制しながらロスタイムに決勝点を奪われての敗戦。今大会やってるサッカー自体は決して悪くなかったが、何か波に乗るべく流れをつかめぬまま大会を終えてしまった印象が強い。

 とはいっても、若手が貴重な経験を積めたのも事実。フィリップ・センデロス、ヴァロン・ベーラミ、ギョクハン・インレル、ヨハン・フォンランテン、エレン・デルディヨクら楽しみな選手たちが、随所に印象に残るPLAYを披露してくれた。2010年に向けて、また、十分期待できるTEAMだ。
 欲をいえば、今大会の全ての得点が代表引退を決めているハカン・ヤキンがあげたものだったこと。恵まれた体躯に秘めたPOWERとSPEEDで時に爆発力溢れるデルディヨクあたりが1点でも決めていれば、或いは今後の更なる自信になったかもしれない。

 ポルトガルはGKリカルド、DFのペペとパウロ・フェレイラ以外は全て控えの選手がスタメンを飾った。

 左のリカルド・クアレスマのラボーナ・クロスをエウデル・ポスチガがドンピシャHEAD☆
 ナニの弾丸FKをペペが踵でコースを変えてバー直撃☆
 ミゲル・ヴェローゾのスルーパスに抜け出したナニが左から切れ込みSHOOT!もボールは左ポスト直撃!

 などなど都度都度惜しい場面を創出するもGOALに至らず。個々に「アピールをしたい」という意欲は伝わってきたが、この試合のメンバーで試合をする機会というのもなかなかあろうはずもなく、また、既に決勝T進出を決めているため消化試合というシチュエーションのなかで、スイスほどTEAMとしての勝利への執着心を感じなかったのもまた事実。

 同じようにEURO2000でのフランスが、既にGroup突破を決めた状態でオランダと対戦、主力のほとんどを休ませ2-3で敗れたことがあったが、結果的に休養十分の主力が決勝Tで活躍し大会を制している。ポルトガルははたして同じ道を辿れるだろうか!?満を持して臨む準々決勝はドイツとの対戦が濃厚だが、実現すればそれが今大会のポルトガルにとっての、最初の大きなヤマとなるのは間違いない。

  • 共通ジャンル:

posted by JIN18 |22:34 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加