2008年07月01日

EURO2008 Act19 『ESPAÑA CAMPEÓN ~44年ぶりの戴冠~』

■ ESPAÑA CAMPEÓN ~44年ぶりの戴冠~

【 ドイツ 0-1 スペイン 】
    0-1  33' フェルナンド・トーレス(スペイン)


 右利きを右、左利きを左に配置して縦へ突破しての攻撃を重視するドイツ
 右利きを左、左利きを右に配置して内へ入っての攻撃を重視するスペイン

 直前の番組で紹介されていた配置の対比だが、両TEAMの特徴を非常によく表している。

 速いパス回しからなるポゼッション・サッカーのスペイン。縦への速さと強さのドイツ。より具体的なTEAMのスタイルという点でも、当然のことながら対局に位置する。

 スペインのそれが世界屈指のレヴェルにあることは、今大会屈指のプレスを誇るロシアとの準決勝で、相手に全くサッカーをさせなかったことからも実証済み。ドイツ相手でも十分に通じることは予想が付く。
 とはいえ、勝負所でギアを上げ↑無骨ながらも相手を吹き飛ばす勢いで、機を逃さない一気呵成の攻めを見せるドイツの集中力も侮れない。

 今大会ここまでの戦いぶりを元に、戦前からスペインのほうが有利ではないかと見られていた対戦だが、逆境になればなるほど真価を発揮するのがドイツの真骨頂だとすれば、本来の出来でないまでも、逆にそれで決勝まで勝ち上がってきたという事実は、底知れない不気味さを感じさせる。
 戦前の様々なデータでは、好調なスペインがほぼ全ての項目で勝っていたが、国際舞台の実績という点では圧倒的にドイツが上回る。

 実際のところ、勝敗の行方を占うのが非常に難しい顔合わせだ。
 90分のなかでどちらの特徴が相手を上回るか。当たり前すぎることかもしれないが、それが焦点になると思われた。

 スペインは、太股の負傷で欠場したダヴィド・ヴィジャに代わってセスク・ファブレガスをスタメン起用。今大会はじめてSTARTから“クアトロ・フゴーネス”が顔を揃えた。ドイツは準決勝でふくらはぎを負傷したミヒャエル・バラックの出場が危ぶまれていたが、無事メンバーに名を連ねた。

 キックオフからの15分弱、見るからにスペインの動きが堅い。思い切りの良いPLAYが見られず、激しさや積極性・柔軟なリズムの変化も乏しい。これが幾度もタイトルを獲得してきたTEAMと、44年タイトルがないTEAMの差なのか。。。明らかに勝利に対する重圧はスペインのほうに重くのし掛かっていた。
 逆にドイツのほうは平常心で試合に臨んでいるように見えた。必然的に序盤はドイツが前に出て、スペインがそれを受ける時間帯となった。

 しかし、押し気味に試合を進めながらも、最初に決定機をつかんだのがスペインなのだから、サッカーとは分からないものだ。14分、シャヴィ・エルナンデスからのスルーパスで抜け出したアンドレス・イニエスタが、エリア内で切り返して内へ入れたボールがDFに当たりドイツGOALへ。咄嗟に反応したイェンス・レーマンがこれを弾き何とか難を逃れるが、ドイツにとってはあわやオウン・ゴールという場面だった。

 スペインはこれでようやく動きがほぐれてきたようだ。若武者フェルナンド・トーレスのスピードを生かす縦への攻撃が徐々に目に付くようになる。パスの繋ぎにもリズムがでてきて、リスクを犯すPLAYも見られるようになってきた。

 22分、上がってきたセルヒオ・ラモスが右からフワリとしたクロスを入れると、眼前の198cmペア・メルテザッカーより遙かに高い打点で捉えたフェルナンド・トーレスのHEADが右ポストを直撃した。
 大会前にはTEAMのスタイルへのフィットという面で懸念されていたフェルナンド・トーレスだが、試合を重ねるごとにそういった声は聞かれなくなっていた。この試合でも、精力的な動きっぷりでTEAMの攻撃を牽引、前線で身体を張り、負傷したヴィジャの穴を補って余りある働きを見せていた。

 ドイツが最初に迎えた決定的チャンスは24分。左サイドから上がったクロスをファーで折り返し、最後はバラックがボレーでSHOOT!する。しかし、スペインのセルヒオ・ラモスが身体でこれをブロック。惜しくもGOALはならなかったが、ドイツにとっては狙い通りの形でシュートまで持ち込めた展開だった。

 一進一退の攻防が続くなか、均衡を破ったのはスペインだった。33分、GOALに背を向けてマルコス・セナからのパスを受けたシャヴィが素速く反転。走り出していたフェルナンド・トーレスへスルーパスを送る。フェルナンド・トーレスは一歩先を行くフィリップ・ラームをスピードで追い抜くと、出てきたGKの鼻先でボールを浮かせる技アリSHOOT!
 再三持ち前のスピードでドイツDFに驚異を与えていたフェルナンド・トーレスの、『速さ+強さ+巧さ』が結実した見事なGOALだった。

 直後にはまたも絶好機が生まれる。左サイドから切り込んだイニエスタが切り返してクロスを逆サイドへ。上がってきたフリーのダヴィド・シルヴァがこれをダイレクトで狙うが、ここは惜しくも噴かしてしまった。が、先制点で完全に重圧から解き放たれたのか、スペインが自分たちの特徴を生かしたサッカーを全面に出し勢いに乗る。

 後半もその勢いが止まらない。
 8分、セスクが右のフェルナンド・トーレスにパスを通す。警戒したドイツDFがラインを整え引いたところ、フェルナンド・トーレスが一旦ボールを戻すと、エリア外にポッカリ空いた空間にフリーで待ちかまえていたシャヴィがミドルでGOALを狙った。これはレーマンが弾きポストを僅かに逸れたが、そこで得たCKのこぼれ球をシルヴァがSHOOT!そのボールをセルヒオ・ラモスがヒールでコースを変えようと狙うが、これもポストを逸れる。

 何とか状況を打開したいドイツは、トーマス・ヒッツルスベルガーに代えてFWケヴィン・クラニィを投入する。59分には左から入ったクロスを中央のバスティアン・シュヴァインシュタイガーが戻し、バラックがミドルレンジから狙うが、ボールは惜しくもポスト左に外れた。懸命に反撃を試みるドイツの当たりが激しくなり、前への意識が一層強くなる。

 ここで守りに入ればドイツにやられる!ということはスペインも重々承知していたのだろう。攻撃に転じ好機を掴むことで、ドイツの反撃の意識をいなしていく。
 66分にはFKから入ったボールを、オフライド・ラインの裏へ抜け出したセルヒオ・ラモスが、フリーでドンピシャ!ダイビングHEADを見舞うが、これを咄嗟に反応したレーマンがパンチで弾き出す。そのCKをショートコーナーで受けたイニエスタの強SHOOT!も、ライン上のトルステン・フリングスが弾き飛ばした。直後、右サイドからサンティアゴ・カソルラがエリア内に入れたスルーを受けたイニエスタの素速いSHOOT!は、またもやレーマンが胸で止める。

 GOALにこそ繋がらなかったが、スペインの支配力、特徴が完全にドイツを上回ってきた。
 75分には、クリストフ・メッツェルダーのパスをセンターライン付近でCUTすると、右のシャヴィがボールを持ってオーバーラップ。左から上がってきたシャビ・アロンソにアーリークロスを送る。シャビ・アロンソがダイレクトで逆サイドにボールを落とすと、走り込んでいたフェルナンド・トーレスが再び内へグラウンダーのクロス。DFに戻っていたバラックに当たりCKとなるが、左右に相手を振っての綺麗な崩しだった。

 ドイツはミロスラフ・クローゼに代えてマリオ・ゴメスをIN。完全にクラニィとマリオ・ゴメスの高さを生かした攻撃を意図しての交代と見受けられた。

 80分、スペインに超!決定機が訪れる。ドリブルで駆け上がったマルコス・セナが右へボールをはたきGOAL前へ。右のカソルラが上げたクロスを逆サイドのダニエル・グイサが丁寧なHEADで中央に落とす。フリーのマルコス・セナはボールに触れるだけで良かったが、何と!これを空振り!ここでGOALが決まれば完全に試合が決まる場面、ドイツは辛くも難を逃れた。

 スペインは最後までDFの集中力が落ちない。ロングボール攻撃をしたいドイツに対し、ボールの出所になる低い位置にもプレッシャーを掛けにいく。ドイツの“ゲルマン魂”を更に上回るかのような勝利への執念が感じられる。

 3分28秒のロスタイムの後、ホイッスルが高らかに鳴った。

 スペイン優勝!!

 “無敵艦隊”が遂に戴冠を得た。
 地元マドリードでハンガリーを下して欧州王者に輝いたEURO1964以来、実に44年ぶりの国際タイトル。
 名物応援団のマノーロおじさんのスペイン代表応援歴が35年というから、それよりも遙か以前!いかに長い時を経てきたかがよく分かる。

 今大会はロシアやオランダなど好TEAMが存在したが、大会で最も素晴らしいTEAMがスペインだったという点で異論はない。これまで、“良いサッカー・面白いサッカー”をしながら、なかなか結果が伴わなかったスペインが、ここで覇権を手にしたことは、世界のサッカーという観点でも大きな意義がある。

 W杯やEUROといったビッグトーナメントで結果を残すこと。それは即ち、その後の2年間の世界のサッカーの流れに道標を付けることを意味する。“良いサッカー・面白いサッカー”をするTEAMが結果を残せることを示したことで、世界のサッカーの潮流が、そういった方向に向かうのであれば、これからの2年間、或いはその集大成となる2010年のW杯はかなり面白い大会になることが予想される。

 ルイス・アラゴネス監督は今大会限りでの勇退が濃厚のようだが、フェルナンド・トーレス24歳、ダヴィド・シルヴァ22歳、アンドレス・イニエスタ24歳、そしてセスク・ファブレガスに至ってはまだ21歳!国内には17歳のボヤン・クルキッチのような逸材もいる。中心選手に若手を揃えるTEAMはまだまだ伸び代が期待できる。2年後のW杯で欧州以外のブラジルやアルゼンチンといった強豪と対峙したとき、どんな試合になるのか…、想像するだけでも楽しくなるし、今からその日が訪れるのが待ち遠しい。

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posted by JIN18 |22:29 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(1)
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