2008年06月28日

EURO2008 Act18 『バルセロナ型○→アーセナル型◎!?』

■ バルセロナ型○→アーセナル型◎!?

【 ロシア 0-3 スペイン 】
    0-1  50' シャヴィ(スペイン)
    0-2  73' グイサ(スペイン)
    0-3  82' ダヴィド・シルヴァ(スペイン)


 さすがはスペイン通!?
 原博実が紙面で面白いことを言っていた。
 曰く、「スペインは序盤はシャヴィやイニエスタを中心にボールを回すバルセロナ型で攻めて、後半にセスクが入ることで縦へのスピードが生まれるアーセナル型に推移するが、相手にとってこれは嫌だろう」といった類。

 確かに嫌だろう。DFでようやく相手のやり方に慣れてきたと思ったら、全く違うスタイルにスイッチするわけだ。世界を見渡してみても、なかなか二つのやり方を完遂できるTEAMはいない。
 プレーする選手たちにそこまで使い分けの意識はないかもしれないが、スペインの個々の能力・TEAMとしての熟成度がかなり高いことが窺える。
 そして、この日のゲームでkeyになったのが、まさにそのスイッチを司るセスク・ファブレガスだった。


 Groupリーグ緒戦で相対した両TEAM。
 そのときはスペインが4-1で完勝を収めている。スペインの強さばかりが目立った試合で、正直、その試合を観た段では、ロシアがここまで残るようなTEAMにはとても思えなかった。しかし、その後、ロシアが劇的に覚醒を遂げたのは周知のとおり。
 大会期間中もHARDなトレーニングを続けているというTEAMは1試合毎に成長し、準々決勝では今大会圧倒的強さを誇ったオランダを力で上回り打ち破った。

 緒戦の快勝で精神的にはスペインが幾分優位かもしれないが、そのときのIMAGEで相手を舐めて掛かると、手痛い目に遭うことは容易に察しが付く。
 くわえて、「はたして、フース・ヒディンクが二度同じTEAMに負けるだろうか!?」という点がやけに引っ掛かった。分析力と状況判断力に長けた魔術師が、適材適所でタクトを揮う昇り調子↑のTEAMの勢いを、スペインがどう受け止めるか。
 いずれにしろ、非常に結果の予想が立てにくいCARDともいえた。

 先のオランダ戦のように、走力と勢いを全面に出してロシアが仕掛けると思われた立ち上がりだが、蓋を開けてみるとスペイン選手の動きの良さが目立った。決して走れていないわけではないが、ロシアのほうは逆に慎重になっている感。攻撃でも守備でも、これまでは積極さがウリだったが、やや引いた位置でラインをキープしているようにも映る。予想に反してスペインの軽快なアタックをロシアが受け止める形でのSTARTとなった。

 今にして思えば、ここでロシアが先に「今日の自分たちはGroupリーグのときとは違うぞ!」という部分を見せられなかった時点で、ある意味試合の趨勢は決していたのかもしれない。

 6分、エリア内でダヴィド・ヴィジャからのパスを受けたフェルナンド・トーレスが、反転してDFを交わしSHOOT!ロシアはGKのイーゴリ・アキンフェエフが左足で弾きCKに逃れた。
 11分のヴィジャのミドルレンジからのSHOOT!もアキンフェエフが横っ飛びで弾き飛ばす。

 反撃に転じたいロシアは、ロマン・パヴリュチェンコが長い距離からのFKやSHOOT!でGOALを狙うが、整ったDF陣とGK聖カシージャス擁するスペイン・ゴールを割るまでには至らない。

 優勢に試合を進めながらもGOALをあげられない時間が続いたスペインだが、突如アクシデント!に見舞われる。ここまで今大会得点王のヴィジャが、FKを蹴った際右太股を痛め、プレー続行が不可能になってしまったのだ。
 前半34分という早い段階で交代を余儀なくされたエースに代わってピッチに入ったのは、同じFWではなくMFのセスク。

 奇しくも“クアトロ・フゴーネス”が顔を揃えたのは、大会緒戦のロシア戦以来のことだ。その時は54分にセスクが投入されてから、77分にダヴィド・シルヴァが退くまでの僅か23分間だった。
 アクシデント絡みとはいえこの早い時間帯で一同に介するということは、“クアトロ・フゴーネス”の全容が今大会で初めて披露されたようにも感じられた。

 ヴィジャ交代の虚を突いて、ロシアは左から斜めに入ったフィードを、エリア内で胸トラップしたパヴリュチェンコが、左足で至近距離からSHOOT!を放つが、ここはDFが懸命のブロック。フィニッシュの精度を欠くこともあるが、パヴリュチェンコは相変わらずシュートまでの形が良い。スペインにとっては肝を冷やした場面であり、ロシアにとっては前半最大の決定機だった。

 時間の経過とともにヒサシブリに揃った“クアトロ・フゴーネス”が真価を発揮していく。
 後半の始め、ハーフタイムで気合いを入れ直したロシアが高い位置からかけてくる厳しいプレスを、“クアトロ・フゴーネス”を中心に速い球回しで容易くかいくぐる様は、世界中とはいわないまでも、少なくとも欧州ではスペイン以外のTEAMにはできそうもない芸当だ。

 先制点はFCバルセロナのコンビから生まれた。中央のシャヴィが左のイニエスタへボールをはたきそのままGOAL前へランニング。左のペナルティエリア内、フェイントでコースを作ったイニエスタがゴールエリア方向へ浮き球を送ると、スピードを上げフリーで飛び込んだシャヴィが、ドンピシャのタイミングで右足ボレー。今大会でも屈指といえる美しいGOALが決まった!

 これで気を良くしたスペインの動きが攻守に一層良くなる。ロシアはスペインの変幻自在な縦横への展開と、二列目からの飛び出しを捕まえられない。

 この試合の一つの見方として、中盤の攻防をどちらが制するかが鍵になると思われた。豊富な運動量を誇るロシアの中盤と、高いスキルを有するスペインの中盤。序盤から後者が押し気味ではあったが、ヴィジャの負傷退場でセスクが入ったことによって、怪我の功名ではないが、結果的にスペインの中盤はより厚くなった。こぼれ球をスペインが拾うケースが増える。

 追加点も鮮やかなボール回しから生まれた。ダヴィド・シルヴァから出たボールを、交代出場していたダニエル・グイサが右サイドで受け、一旦後方のセルヒオ・ラモスへ戻す。セルヒオ・ラモスがツータッチで出したパスを、セスクがダイレクトの柔らかい浮き球でGOAL前へ。横への動きで右サイドから中央へ入ってきていたグイサが、このボールを胸トラップすると、右アウトで飛び出したGKを超すSHOOT!を決めた!
 一度も相手に触れさせることなく、5人の選手を経由してのGOAL。まさにロシアにとっては為す術なく奪われた追加点だった。

 そして、ダメ押しGOALはまたもやセスクのアシストから決まる。イニエスタが左のオープンスペースへ素速く出したボールに追いついたセスクがそのままドリブルで駆け上がり、余裕を持って中央の上がりを確かめてからクロスを送ると、最後はシルヴァが落ち着いてGOAL左へ流し込んだ。

 これで勝負は完全に決した。
 豊富な運動量に2アシスト。司令塔としてゲームの流れを変えコントロールしていたセスクは、もしかすると今大会のスペインのラッキー☆ボーイかもしれない。

 TEAMとしても決勝に大きな希望を抱ける最高の勝ち方をした。ロシアを圧倒したこのボール支配・パス回しは、決勝の相手ドイツをも凌駕できるだけのものがある。レギュラー陣は軒並み好調で、途中から出てくる選手も皆活躍している。無敵艦隊はついぞ“幻”の冠を拭い去ることができそうな予感が漂う。

 ロシアは何もできないまま敗れてしまった。スペインの速いパス回しに翻弄されたということもあるが、プレスの厳しさや走力といった、ここまでの勝ち上がりを支えてきたものが出せないまま終わってしまった。或いは連続した激戦の疲労で燃料切れに陥っていたのか!?それとも緒戦大敗がどこかでトラウマになっていたのか!?

 とはいえ、ここまで残ったことは賞賛に値する。実際の戦力よりも「ヒディンクがまたやるんじゃないか!?」という見方ばかりで注目されてきたTEAMだが、監督だけでなく、選手たちも自らの価値を大会のなかで十分に示した。
 この試合でこそ全く見せ場がなかったアンドレイ・アルシャフィンだが、その才を高く評価するFCバルセロナへの移籍が噂されているのは周知の通り。パヴリュチェンコやディニャル・ビリャレトジノフ、ユーリ・ジルコフ…etcといった選手たちも、恐らく西欧のビッグクラブから高い評価を受けているに違いない。

 何よりもこのTEAMはまだまだ完成していない。そもそもヒディンクは2010年のW杯を見据えてこのTEAMの指揮を請け負ったはず。欧州予選でイングランドがコケるというタナボタ?で出場した今大会でここまでの旋風を巻き起こしただけに、2年後への期待はいやがうえにも高まる。02年韓国や06年オーストラリアは一つの大会を目安に強化を計ってきたが、このEUROで一つの成果をあげた今、2つ目のビッグトーナメントに向けてロシアにどういった強化を施していくのか、今後も要CHECK!が必要だ。

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posted by JIN18 |20:05 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(1)
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