2008年06月23日
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
■ 乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス 【 スペイン 0-0 イタリア (PK4-2)】 120分の終わりを告げるホイッスルが鳴った。雌雄はPK戦で決せられることになった。 「これはスペインに分が悪いな」 瞬間的に脳裏にそんな想いが過ぎった。 最近20年、スペインがビッグトーナメントでPK戦を戦ったのはEURO96の準々決勝(PK2-4でイングランドに敗退)、2002年日韓W杯の決勝T緒戦(PK3-2でアイルランドに勝利)+準々決勝(PK3-5で韓国に敗退)の三度。この試合の対戦相手のイタリアや、一頃のイングランドあたりに比べると、まだPK戦に苦しんでいるほうではない(1勝2敗)。 しかし、いつの時代も良い勝負をしながら土壇場で踏ん張りきれず、どうしてもBest8の壁を超えられないだけに、思わず「また駄目か…」と先入観で判断してしまった。しかも相手のGKは世界No.1とも謳われるジャンルイジ・ブッフォン。どうにも分が悪い。。。 大国同士の激突は、戦前の予想ではスペイン有利と見られていた。 今大会ここまでの戦いを振り返れば、そういう見方になるのは至極当然だといえる。3連勝で余裕のGroup1位通過だったスペインに対し、イタリアのほうは最終戦でフランスに勝利を収めて辛くも決勝T進出を果たした。 くわえて、累積警告による出場停止で、この試合、イタリアはアンドレア・ピルロとジェンナーロ・ガットゥーゾを欠いていた。豪華な中盤を擁するスペインに対し、本来のセンターMFを2人も欠くイタリア。苦しい戦いになることが予想された。 ただし!逆境になればなるほどしぶとさを発揮するというのもまたイタリアの真骨頂。準々決勝はここまで、各Groupを2位通過したTEAMが全て勝ち上がっているという点も、イタリアが生来持つ粘りに加味しての不気味さを醸し出していた。 見知った顔が多いということもあるが、スコアレスで推移しているわりには、目が離せない退屈しない試合だった。予想通りスペインがボールキープする時間が長い。イタリアは8人が自陣に引いて守備を固めている。さすがは元祖ゾーンプレスの国!否カテナチオの国!守りに入ったときのイタリアのDFは本当に崩せる気がしない。 スペインはなかなか複数で連動した崩しができない。というよりさせてもらえない。GOALに近いところだと、前半の終わりにイニエスタとヴィジャのコンビでエリア内に侵入し好機を作ったぐらいではないだろうか!?後はミドルレンジからのSHOOT!を繰り返すばかり。それは引いた相手を前に出すための手だてというよりは、行き詰まってそうせざるをえないようにも見受けられた。イタリアのほうもそのくらいではなかなか前に出てきたりはしない。距離があるSHOOTならばブッフォンがいればかなりの確立で防げる。 スコアレスで終了した前半。SHOOT数10:2。ボールキープ率はほぼ60%:40%と、データ上はいかにもスペインが押しているように映る。 しかし、一見攻めているように見えて、その実、スペインは攻めさせられていた。 イタリアのDFはボールを持っている対人に対してもそうだが、持っていないフリーの選手やスペースに対するケアも非常に厳しい。スペインが得意とする速いパス回しがほとんどできない。引いてしっかり守るため、2TOPがDFの裏へ抜け出すという場面もあまりなかった。 後半に入ってもその様相は変わらない。ルイス・アラゴネス監督は早めに思い切った交代策をとり、局面を打開しようと試みるが、それもなかなか功を奏さない。 ピルロとガットゥーゾを欠くイタリア。しかし、特定の個に依存することがないぶん、むしろ、TEAM全体にバランスとまとまりが感じられる。ある意味、“イタリアらしさ”というものが、今大会最も出ている試合だった。 後半もスペインのボールキープ率は高いが、GOALに近い位置での決定機はほとんど作れない。中盤からのDFもそうだが、クリスティアン・パヌッチ&ジョルジョ・キエッリーニが細心の注意を払い上手い守備を見せ、最後尾にはブッフォンが君臨。まさにGOALに“鍵”をかけた状態だ。 そして、守備に比重を置きつつも、時折見せる刃は鋭い。60分、スペインGOAL前の競り合いから零れたボールを、ゴールエリア外からマウロ・カモラネージが思い切り右足でSHOOT!これにカシージャスが驚異的な反射神経で反応し、左足一本で弾き飛ばす!!この試合最大ともいえそうなイタリアの超決定機だった。 80分、マルコス・セナが地を這う30m級SHOOT!を放つ。低く屈んだブッフォンが難なく胸でキャッチ。と思いきや!ボールが零れてGOAL方向へ。一瞬肝を冷やす場面だったが、ボールが右ポストを叩き難を逃れる。やはりイタリアのほうにツキがあるのか!? 両TEAM、決して勝利の意志がないわけではないが、互いに負けたくないという気持ちも相当強いのだろう。なかなかGOALの予感が漂わないまま推移した試合は90分を終え、120分を終え、いよいよPK戦にもつれ込んだ。 スペインが思うように進められなかった120分、そして相手GKブッフォンの存在を考えると、流れはまさにイタリアに傾いている。 しかし!スペインには“サン(聖)・カシージャス”がいた。抜群の反射神経を誇るレアルの守護神が、まずイタリア2人目のダニエレ・デ・ロッシのキックを弾き出す。これでスペインが幾分有利になったような気がした。 ところが、イタリアも百戦錬磨のブッフォンが、スペイン4人目ダニエル・グイサのSHOOT!を左に飛んで弾き出す。 振り出しに戻った。。。 そう思われた矢先、続くイタリア4人目アントニオ・ディ・ナターレが放った1本をまたもやカシージャスがSTOP。 スペインは5人目のセスク・ファブレガスが決めれば勝利となる。 プレッシャーのかかる場面だが、セスクは落ち着いてブッフォンの動きの逆を突き、GOAL右に決めて勝負に終止符を打った。 まさに“サン・カシージャス”だ。STOPした以外の2本も、きっちりコースには反応を見せていたその反射神経は恐るべし!だ。悪い流れのまま突入したPK戦で、一人で悪しき伝統を断ち切り勝利を手繰り寄せたように感じられた。 これまでは良いサッカーを披露しながらも勝負弱かった。 この日は内容はイマイチだったが結果を出した。 試合自体は間違いなくイタリアの試合だった。 しかし、形はどうあれBest8の壁をようやく超えるとともに、大国コンプレックスをようやく乗り越えた。スペインがビッグトーナメントでBest8以上に歩を進めるのは、EUROで準優勝を飾った1984年以来実に24年ぶりのこと。苦しみながら勝利を手にした“無敵艦隊”は、更に歩を進めることができるだろうか!? 準決勝で対戦するロシアはGroupリーグ緒戦で4-1と大勝を収めている。しかし、その時と今とでは、全く違うTEAMになっているといっても過言ではないくらい、大会期間中ロシアは成長を遂げている。そして、その勝ち上がりには勢いがある。厳しい戦いになることが予想されるし、正直!どちらが勝つか予想が付かない。だが、長きに渡る呪縛をようやく解き放ったスペインもまだまだ期待できるTEAMだ。目が離せない好ゲームになることだけは間違いないだろう。
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posted by JIN18 |22:38 |
☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! |
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EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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スペインは日韓ワールドカップの決勝トーナメント一回戦でアイルランドとPK戦を戦い、勝っていますよ。
スペインがPK戦を苦手としているのは確かですが・・・
それはともかく、この試合のカシージャスは存在感抜群でしたね。
まさに一人で勝利を手繰り寄せたようでした。
posted by casillas | 2008-06-24 00:20
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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ブッフォンはW杯でもたまたまトレゼゲが外しただけで全部逆読みだったし、ユーベでもCLの決勝で負けたし、PK戦には全然相性が良くないGKだと思うんですけどね。
それにスペインの場合、韓国戦は誤審だらけの上に、PKもGKがキッカーより先に動いたのを見逃してもらったりと試合になってませんでしたよ。
イタリアの方がPKに弱いというのが正確なんじゃないですか。キッカーも全てカシージャスが読んだ方向に蹴ってましたしね。ステップサイドも使わず素直に蹴りすぎです。デル・ピエロとかを使わなかったこと、ピルロもいないし、トッティもいなかったことが影響したんだと思いますが。
posted by ZERO | 2008-06-24 00:45
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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■casillasさん
仰るとおりですね。
あの“魂のアイルランド”との試合が抜けていました。
何故か?負けた試合ベースにピックアップしてしまい、勝利した試合が抜け落ちてしまいました。。。
後ほどちゃんと20年間を全て洗い直した後、ご指摘の部分は修正させて頂きますね。
カシージャスは本当に存在感がありました☆
カモラネージのシュートを左足で弾き出す前、飛び出して競り合いのハイボールをキャッチしようとしてできないあたりも、また、カシージャスらしい気がしました(笑)。
posted by JIN18 | 2008-06-24 08:23
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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■ ZEROさん
ブッフォンの相性という観点でいうと、止められずとも勝利して『世界制覇』まで成し遂げたのですから、決して悪くはないという気もします。トータルで素晴らしいGKなのは間違いないですし、反射神経も素晴らしいので、実力的にもPKで分が悪くなるGKという気は観ていてしませんでした。
冒頭で、『この試合の対戦相手のイタリアや、一頃のイングランドあたりに比べると、実際にそれほどPK戦に苦しんでいるわけではない』と触れているとおり、スペインよりイタリアのほうがPKに弱いというのも承知しているつもりです。
ただ、トータルで見たときに、スペインのほうがこういう悪い流れの試合で踏ん張りきれず落とすイメージが強いので、そちらのほうを強調させて頂いた次第です。
人を食ったような?チップキックなんかを見せるトッティのような選手がいれば、イタリアもまたPK戦のなかで流れを引き寄せられたかもしれませんね。みんなが素直に蹴り過ぎた感は確かにありました。大ブーイングに晒されていたディ・ナターレあたりもよくチョイスしたな…とは思いましたが。。。
posted by JIN18 | 2008-06-24 11:26
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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JIN18さん
PK戦に関してはデ・ロッシが「蹴るのを拒否した選手がいる」みたいなことを仄めかしていました。それが事実だとすれば、ここにドナドーニが選手を掌握しきれてなかったことが表れていますね。またデルピエロは1番目に持ってくるべきだったでしょう。その彼を5番目に置いたところからドナドーニの采配のまずさが伺えます。
posted by E・K | 2008-06-24 17:02
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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私の記憶が確かならば、フランス戦後からブッフォンのヒゲが剃られていたような気がします・・・試合が始まる前からツルッツルの彼に、嫌な予感がしてました。
「勝負師はゲンを担ぐ」といいますが、大会の流れからも、今回は剃るべきではなかったのでは?
それにしても、JIN18さん仰る通りのトッティがいない今、今回不発のトニのフォローは、カッサーノ・カモラネには役不足でした。デルピエロも全盛期の動きではありませんでしたね・・・
ロシアのリベンジ、楽しみですね!
posted by 鍋★蹴 | 2008-06-25 13:40
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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■ E・Kさん
そうだったんですかぁ…。。。
まぁ、こういう大舞台のPK戦では、想像を絶するプレッシャーなのか、往々にして蹴るのを拒否する選手がいたりしますよね。
イタリアW杯の準々決勝で、ユーゴの選手ほとんどの選手がPKを蹴るのを「頼むから外してくれ」と、オシムに懇願したという話をふと思い出しました。
ピルロがいれば、また、PKも違った臨み方になったような気もしますし、そういった意味でも欠場はやはり痛かったということでしょうね。
posted by JIN18 | 2008-06-25 21:32
EURO2008 Act16 『乗り越えたBest8の壁と大国コンプレックス』
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■ 鍋★蹴さん
イヤ!マジ!腹抱えて笑ったよ(笑)w
大会後でも半年後でも2年後でも、EURO2008について語る機会があったら、イタリアの敗因は「ブッフォンが髭を剃ったため」ということにしましょう♪
っつーか、髭の長さなんて見とらん(笑)!
イタリアはこの敗退を受けて、監督がどうなるかは知らん(リッピ復帰説有力ですが…)が、選手が大幅に入れ替わることでしょう。
事実上、ベテラン勢にとっては今大会が最後の国際舞台…と見たいところですが、実は、SERIE-Aであんま若手がでてきてないんだよね、たぶん。
最近、あんまSERIEに注目してない!ってこともあるけど、次世代の11人が浮かばないもんなぁ。。。90年代ぢゃ考えられん話や!
posted by JIN18 | 2008-06-25 21:38
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