2008年06月21日

EURO2008 Act14 『儚き一瞬の夢 ~二度あることは三度ある!?~』

■ 儚き一瞬の夢 ~二度あることは三度ある!?~

【 クロアチア 1-1 トルコ (PK 1-3)】
    1-0  119' クラスニッチ(クロアチア)
    1-1  122' セミフ(トルコ)

 
 一瞬の歓喜の夢に浸った後、クロアチアに突きつけられた現実は、あまりにも残酷だった。

 両TEAMノースコアで迎えた延長後半終了1分前。
 右サイドのGOALライン際に勢いなく流れたボールに、真っ先にルカ・モドリッチが反応する。追いついて反転すると、左足でクロスを中央へ。これをニアでイヴァン・クラスニッチが軽く頭で合わせると、モドリッチに詰めに行ったGKのリュシュトゥ・レチベルが懸命に戻ってくるその鼻先で、ボールはGOALに吸い込まれた。

 クロアチア 1-0 トルコ

 誰もがPK戦突入かと思い始めた時間帯。遂に破った均衡。スラヴェン・ビリッチ監督がすごい勢いで歓喜の疾走をしている。クラスニッチに駆け寄った選手たちの大きな喜びの輪が拡がる。 

 だが、試合はこのままでは終わらなかった。
 ロスタイムも終わる寸前、相手オフサイドで得たFK。センターサークル手前からリュシュトゥ・レチベルがGOAL前へロングフィードを送る。それはリードされてもう時間のないTEAMが見せる、何の変哲もないPLAYだった。ところが、ペナルティエリアに入ったところで複数の両TEAM選手が競ると、零れたボールがセミフ・シェンテュルクの目の前へ。詰めたセミフが思い切り左足を振り抜くと、放たれたボールは勢いよくネットに突き刺さった。

 クロアチア 1-1 トルコ

 直後に延長戦タイムアップのホイッスル!
 何ということだろう。。。
 このトルコの驚異的な粘りはいったい何なのだろう。。。
 二度あることは三度ある!?
 ロスタイムに決勝点をあげたスイス戦、残り3分で逆転したチェコ戦に続いて、トルコがまた神懸かり的なことをやってのけた。確かに攻撃に出ると決めたときの思い切りの良さは、大会参加TEAMのなかでも目を見張る勢いがある。しかし、3試合続けてのこの結末。言葉では説明が付かない不思議な神通力のようなものが宿っているとしか思えない。

【独断と偏見に基づくクロアチア選手の採点】
 1.プレティコサ 6
 5.チョルルカ 5.5
 4.R・コヴァチ 6
 3.シムニッチ 6
22.プラニッチ 6
10.N・コヴァチ 5.5
14.モドリッチ 6.5
11.スルナ 5.5
19.クラニチャル 5
(65m 21.ペトリッチ 5.5)
 7.ラキティッチ 6
18.オリッチ 5,5
(97m 17.クラスニッチ 6.5)

 正直、準々決勝のCARDのなかでは、一番予想がしやすく順当な結果に落ち着くものと考えていた。確かにトルコの勝ち方は勢いの付く勝ち方だけに侮れないものがあるが、大国ドイツに完勝を収めたクロアチアのほうが一枚上手と捉えていたのだ。
 くわえて、Groupリーグ3戦を全力で戦ったトルコには、さほど余力がないようにも思えた。試合間隔こそトルコ中4日、クロアチア中3日と、トルコのほうが1日多く休養に充てている。しかし、2戦目でGroupリーグ突破を決めたクロアチアは最終戦でほとんどの主力を休ませている。ということは実質中7日。しかもトルコは負傷や出場停止で6人のレギュラーを欠いている状態。
 TEAM力、コンディションといった劇勝の勢い以外の要素は全てクロアチアが勝っているように見受けられた。スタメンはドイツを撃破したときの11人!

 ところが!立ち上がりから、トルコの動きが思いのほか良い!試合巧者クロアチアに対して全く臆することなく、正面から与していく。一方、休養十分のはずのクロアチアの足取りがどこか重たそうに感じられる。ややトルコのほうが押し気味に映るというのは予想外の展開だった。

 それでも、組織力で勝るクロアチアが、時折鋭い牙を剥き決定機を作る。19分には右のエリア付近を突破したモドリッチのクロスをイヴィツァ・オリッチがFINISH。。。も!ボールはクロスバーに弾かれる。跳ね返りに詰めたニコ・クラニチャルがHEADで反応するが、このボールはクロスバーを超える。
 前半最大の決定機!芝生を両手で叩いて悔しがるモドリッチの姿が印象的だった。

 これまでのような躍動感に欠ける多くのクロアチア選手のなかにあって、モドリッチだけは終始元気で溌剌としていた。先制点のアシストを含め、キレのある動きで都度都度攻撃に変化を与える好PLAYを披露。特にオリッチには幾度か好機のお膳立てをするが、これが決まらない。

 オリッチはこの試合でも惜しみない運動量で攻守に貢献していたが、何かこれまでの試合のような鋭さが感じられない。左のダニイェル・プラニッチも序盤こそ再三の上がりを見せていたが、次第にそれが影を潜めていく。右のダリヨ・スルナにもキレがなく、FK以外ではさほど目立った場面もない。クラニチャルに至っては上記の惜しい場面を除いては存在感すら希薄だった。
 TEAMとして、攻撃時の押し上げが乏しくサポートも少ない。DF時もこれまでの試合のような前線からの激しいプレスが見られない。Groupリーグ3戦を戦って力を出し尽くしたのはクロアチアのほうだったのか!?

 トルコのほうも主力を大勢欠くこともあってか、予想されたスタミナ切れこそ起こしていないものの、有機的な攻撃を構築できない。なかなかペースアップしないまま試合は推移し、気が付けば試合は延長戦に突入していた。

 両TEAMの最後の力を振り絞った攻防のなかから、ようやくクロアチアが先制点をあげたのは冒頭に記したとおり。前戦で肝臓移植手術後、代表で久しぶりのGOALをあげたクラスニッチが、この試合でも延長途中から入って決勝点!ともなれば、遂にTEAMに待ち望んだLUCKY BOY誕生か!?とも思わせたが、それは幻想に終わった。。。

 追いつく方と追いつかれた方。当然前者のほうが精神的には優位になる。しかもクロアチアにとっては延長後半ロスタイムに追いつかれてのPK戦だ。全選手がキッチリ決めたトルコに対して、クロアチアはモドリッチ、スルナ、イヴァン・ラキティッチが失敗!若い選手には気持ちの整理・切り替えができていなかったか!?

 とてつもなく悔しさが募る敗戦だ。今大会では旋風を巻き起こす可能性があると見ていたが、その座はトルコに奪われてしまった。

 “Šahovnica”
 シャホヴニッツァとはクロアチアの国旗やユニフォームでも御馴染みの赤と白の格子模様を意味する。このシャホヴニッツァが全面に散りばめられたものがTEAMのファースト・ユニフォームとなるが、今大会のクロアチアは緒戦以降Groupリーグ全ての試合で、青がベースとなるセカンド・ユニフォームを着用。このトルコ戦でも青いユニフォームを着て勝利!となれば、いよいよ“青のジンクス”“青の旋風”めいたものが叫ばれそうなところだったが、それも叶わなかった。。。

 TEAMには若い選手が数多く残ることに希望を託したい。
 モドリッチ22歳。ラキティッチ20歳。クラニチャル23歳。チョルルカ22歳。
 36歳の大ベテラン、ニコ・コヴァチは恐らく今大会を最後に代表を退くだろうが、後継者としてオグニェン・ヴコヴィッチやニコラ・ポクリヴァチュが大会のなかで可能性を示した。怪我で大会エントリーができなかったエドゥアルド・ダ・シルヴァが復帰すれば、2010年には今大会で経験を積んだ若手をベースに、より熟成したTEAMに仕上がる可能性は十分にある。

 旧ユーゴFANとしては、この悔しさの整理はなかなかに付きにくいものがあるが、新しいTEAMへの期待を寄せることで紛らわすことにしたい。スラヴェン・ビリッチの作ったTEAMは確かに良いTEAMだった。

 準決勝に進んだトルコだが、ドイツとの対戦は今度こそ苦しそうだ。試合間隔や延長を戦った疲弊度もそうだが、この試合でイエロー・カードを受けたアルダ・トゥランとトゥンジャイ・シャンルは次戦出場停止。くわえて、延長後半にはここまでTEAMを牽引していたキャプテンのニハト・カフヴェジまでもが負傷で交代。ドイツ戦ではここまでトルコの攻撃陣を形成してきた3人を一気に欠くことになる。負傷で2戦目以降欠場のエムレ・ベロゾールは結局この試合も出ていない。復帰の目処は立っているのだろうか??同じく欠場したDFの要セルヴェト・チェティンの怪我の具合は!?

 とはいっても同じような状況で勝利を収めたこのクロアチア戦の模様を見ると、準決勝でも想像しえない何かが起こらないとは限らない。ポルトガルを破り昇り調子↑のドイツとの対戦は厳しい戦いになることだろうが、トルコ劇場がまだまだ続くのか、或いは閉幕を迎えるのか、しっかりとこの目で観ておきたいところだ。

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posted by JIN18 |22:35 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(0) | トラックバック(1)
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