2008年06月18日

EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

■ 斜陽のLes Bleus 

【 フランス 0-2 イタリア 】
    0-1  25' ピルロ(イタリア)
    0-2  62' デ・ロッシ(イタリア)


 この試合前、どちらが勝ち抜けるかを占うのは、非常に困難なカードだった。力が拮抗しているから…というよりも、今大会に限ってはどちらも良い材料を見つけ出すのが難しかったからだ。緒戦から全開で戦っているものの、何か上手く噛み合っていないアッズーリとほとんど良いところすらない斜陽の“Les Bleus”。

 2006年のW杯決勝で覇権を争った両TEAMが、2年後にこのようなシチュエーションで対戦するとは誰が予想できただろう!?オランダが既にGroupリーグ突破を決めている今、決勝Tに進めるのはどちらか一つだけ。もう1試合の結果次第では、混戦Groupの二強と目されていたどちらも、この段で大会から姿を消すことになる。

 フランスは前戦から3人を入れ替えてきた。右サイドバックにフランソワ・クレル、センターバックにはエリク・アビダルが起用され、FWにはカリム・ベンゼマが緒戦以来のスタメン復帰。
 特にDFラインの変更が気に掛かる。1-4と大敗を喫したオランダ戦。活きの良いオランダの若手選手のSPEEDに蹂躙されたヴィリー・サニョル、リリアン・テュラムといったベテラン選手はお灸を据えられた…というよりは、戦力外と見なしたということだろうか!?恐らく、これまでにほとんど試したこともないこのDFラインを、この土壇場の大一番において実践するあたりに、今のフランスの苦悩・迷走が見て取れる。

 イタリアはジェンナーロ・ガットゥーゾが緒戦以来のスタメンを飾り、ルカ・トーニのパートナーにはオランダ戦のアレッサンドロ・デル・ピエロに代わって、アントニオ・カッサーノが今大会初めてSTARTから使われた。

 立ち上がりからイタリアに決定機が生まれる。
 4分トーニが惜しいシュートを外す。
 フランスもすぐさまフランク・リベリーを中心に反撃を試みる。

 ところが…。。。この大会、フランスで唯一何かをやりそうな予感を漂わせていたリベリーが9分過ぎに負傷交代。代わってサミル・ナスリがINするが、リベリーの交代がピッチの他の選手たちに影響を与えた感は否めない。

 直後、CKからクリスティアン・パヌッチが枠を捉えるHEADを放つも、ここはGKグレゴリー・クペが弾き飛ばす。しかし、エリア内でトーニを背後から倒したアビダルが一発REDとなったPKに関しては、アンドレア・ピルロがGOAL左上に突き刺したボールを、阻止することはできなかった。

 欠けたDFを補充するため、フランスは投入からわずか15分強でナスリをジャン・アラン・ブームソンに代えることを余儀なくされた。後がないだけに、最初から全力で戦うことが必須となる試合で、前半の半ばを過ぎたところで、交代枠3のうち2つを使うはめになるという…。。。致し方ないとはいえ何とも歯車の噛み合わない進め方だ。しかも1点のビハインドを背負う状況。

 もはやこの時点で「今日はフランスの日ではない」ことは明らかだった。 
 30分過ぎのスタンドからはイタリア国家の大合唱が鳴り響いた。

 その後もイタリアがチャンスを掴むと、高い確率で決定機に至る場面が続く。しかし、その多くのチャンスの仕上げをトーニが担うのだが、ことごとく僅かな差でGOALに決められない。
 特にカッサーノの右からのクロスを右足インステップで合わせて背後のGOALを狙うという、EURO2004でズラタン・イブラヒモヴィッチが見せたテコンドーキックばりの変型SHOOT!には、思わず目を見張らされたが、これも左ポストの脇を逸れていく。
 こうなると、GOALに嫌われているようにも見えてくる。とはいってもトーニに代わるセンターFWはいない。フィニッシュに至る形は悪くないのだが、はたしてエースはいつ覚醒するのか!?

 1点のリードと一人多いということに安堵しているわけではないだろうが、次第にイタリアから立ち上がりの激しさが消え、その間隙を縫って抵抗を試みたフランスも、徐々に動きが衰えていく。

 次の1点をどちらがあげるかが試合の行方を左右しそうな時間帯、均衡を破ったのはイタリアのほうだった。ダニエレ・デ・ロッシの蹴った直接FKに壁の端に立っていたティエリー・アンリが反応。その足に当たったボールは上手い具合に方向が変わり、動き出したGKの逆を突く軌道でGOALに吸い込まれた。

 これで勝負あった!

 直後にフランスは最後の選手交代でニコラ・アネルカを投入、3TOPにして「何とか点を獲りにいく」という意志を示すが、早い時間から少ない人数で戦い続けた選手たちの足取りは重い。ベンゼマが孤軍奮闘し、状況の打開を試みるが、試合はそのままタイムアップ。
 もう1試合がオランダの勝利に終わった結果を受けて、緒戦大敗からSTARTしたイタリアが決勝Tに滑り込んだ。

 ●→△→○
 Groupリーグ3試合の流れを、STARTは悪くとも試合ごとに調子をあげ、最後には好成績を残すイタリアの伝統に準える向きもあるが、今大会に関してはどうだろう??好不調というよりもGroup3戦を全力で戦った印象が強いだけに、あと3つ勝つだけの心身のスタミナはないようにも思える。同じ決勝T進出でも、ポルトガルやクロアチア、オランダといったTEAMとは明らかに余力が違う印象だ。

 アンドレア・バルッツァッリ&マルコ・マテラッツィのコンビだったセンターバックは、3戦終わってみればクリスティアン・パヌッチ&ジョルジョ・キエッリーニのコンビに。エースのトーニは未だNO GOAL。この試合でようやく支配力を示したピルロも、W杯時のそれにはまだ及ばない。準々決勝ではスペインと対戦することになるが、ピルロとガットゥーゾは累積警告で出場停止。特にガットゥーゾは技巧派スペインが最も嫌がるタイプだけに、そこを欠くのは非常に痛いところだ。

 スペインは今大会好調なだけに、単純な比較では明らかに分が悪いが、伝統どおり上昇↑のベクトルを描いていくのか!?放つ矢も尽きて敗退を喫するのか!?目が離せない対戦であることは間違いない。

 遂に良いところがほとんどないまま今大会を終えたフランスは、恐らく、監督交代も含めて、大幅にTEAM内外が入れ替わることだろう。栄光を築いてきた“ジダンとその仲間たち”から残った選手も、そのほとんどが今大会が最後の大舞台となりそうだ。“プラティニ後”に訪れた冬の時代が再び訪れるのか、ベンゼマやナスリといった新しい世代が、新しいTEAMをスムーズに築き上げていくのか、“Les Bleus”の大会後の動きも注視したいところだ。



■ 全てが良い方向へ!

【 オランダ 2-0 ルーマニア 】
    1-0  54' フンテラール(オランダ)
    2-0  87' ファン・ペルシ(オランダ)


 「オランダの得点源は??」
 と問われれば、多くの者がルート・ファン・ニステルローイをを思い浮かべることだろう。エール・ディヴィジ、プレミア、リーガと3つのリーグで得点王になった世界屈指のストライカーゆえ、当然といえば当然だ。

 しかし、今大会ではここまで緒戦であげた1GOALのみ。決定機にも絡んでいるが、ポストなどで前線に起点を作ったりと、どちらかといえばサポートを献身的にこなしている姿が目に付く。

 では、計9得点とここまで最多得点を誇る攻撃陣の得点源はといえば!?

 ファン・ニステルローイ
 スネイデル×2
 ファン・ブロンクホルスト
 カイト
 ファン・ペルシ×2
 ロッベン
 フンテラール

 何と!7人の選手がまんべんなく得点をあげている。
 もちろん!絶対的エースが絶好調でGOALを量産するのも恐いが、これだけ多様な選手がGOALをあげるというのも、対戦相手にとっては厄介事に他ならない。特定の選手だけを抑えれば済むという問題ではなくなるからだ。
 Groupリーグ最終戦となったルーマニア戦でも、オランダはその攻撃の多様性を存分に示し、勝利を収めた。

 既に1位突破を決めていることもあって、予定通り?オランダは大幅に選手を入れ替えてきた。右サイドバックのハリド・ブーラルーズとセンターMFのオルランド・エンヘラールだけが前戦に続いてのスタメン出場。

 今EUROの予選でも同居したこの2TEAM。その予選ではルーマニアが1勝1分(0-0、1-0)という結果だったが、本大会に入ってからの好調さを見ると、やはりオランダ有利というのが戦前の見方だった。

 その図式通りオランダのボール支配率が勝り、ルーマニア陣内に攻め込むという展開で試合は推移していく。しかし、ルーマニアにとってもある程度守勢に回るのは計算のうち。自陣で絶えず連動して選手が動きポジションを修正、絶対に穴は作るまいという、選手間の距離を大事にする守備は、イタリアやフランスと対戦したときと同様だった。
 オランダは堅守の前になかなか前線の選手にボールが収まらない。これまでの2試合でも感じたが、相手の攻撃を非常によく研究している守りだった。

 ルーマニアにはこれまでよりは攻撃への意識もあるように見受けられたが、非常に注意深く試合を進めている印象。そこには同時刻に開始されたもう1試合(フランスvsイタリア)の動向も、微妙に影響していたに違いない。

 ハーフタイムを終えた段でイタリアがフランスを1点リード。後半、Group突破のために勝利が必要になったルーマニアが、さすがに全体的な押し上げを見せ、攻撃に掛かったときの人数も増えるようになった。相手にボールを奪われた際は、必然的にこれまでよりスペースを与えることになるが、リスクを犯さないわけにもいかない。

 そんな試合の均衡を破ったのは、ようやく時間と空間を得たオランダのほうだった。再三オーバーラップを見せていた、右サイドのブーラルーズが上げたグラウンダーのクロスを、中央のクラース・ヤン・フンテラールが左足で合わせてGOAL GET!「ファン・バステンの再来」といわれ、ファン・ニステルローイの後継者と目される期待のFWが、今大会初出場でもぎ取ったGOALだった。

 終盤、ルーマニアはアドリアン・ムトゥやフロレンティン・ペトレなどが、幾度か決定機を迎えるがそれをものにすることはできず、逆に終了間際、ロビン・ファン・ペルシに決定的な追加点を許してしまう。右サイドから上がってきたロングボールを、ペナルティエリアで巧みに処理して左足で容赦なくGOALに突き刺したパワフルなSHOOT!は、まさにファン・ペルシらしい一撃!これでルーマニアは完全に戦意を喪失した。

 結局、ルーマニアのGroupリーグ突破は成らなかったわけだが、今大会での健闘は賞賛に値する。サッカー大国が居並ぶGroupで、ともすれば草刈り場にもなりそうなところを、堅守を武器にしたしっかりとした戦いぶりで、イタリアやフランスを慌てさせた。力のある中堅国としての存在感は示せた。ムトゥに続く攻撃のタレントが台頭してくれば、2010年にはもう1RANKレヴェルUPしたTEAMになっているかもしれない。

 終わってみれば“死のGroup”といわれた難Groupを危なげない3連勝で通過したオレンジ軍団。今は全てが良い方向へ流れているようにも見える。今大会、起用する選手が次々に活躍するのだから、攻撃的な采配が目立つマルコ・ファン・バステン監督も監督冥利に尽きるというもの。本当の勝負となる決勝Tに入ってどんな試合を披露してくれるかが、また、非常に楽しみだ。

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posted by JIN18 |22:58 | ☆アルプスの麓で目指すアンリドロネーの頂! | コメント(4) | トラックバック(2)
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EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

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確かに今大会のアズーリは迷走してますね。コンディション調整に失敗したのか、動きがなんか鈍い。それに世代交代をしたい様なのだか全然そういった意図が行動(選手起用)になかなか至らない。負ける事のほうが怖いのだろう。監督は終わりみたいですね。

オランダはB軍でも勝利しましたが、個人的な感想ではポゼッションサッカー(ボールを持たされている状態)では少し攻撃力が落ちてました。スナイダーやニステルがからむカウンターの方が驚異的ですね。それでもちゃんとSBオーバーラップなどでチャンスを作ってましたが。

あとルーマニアの選手がお互いのミスを責め合ってる光景はちょっとイライラしました。こういうビハインドの時こそ「ドンマイ!」などと鼓舞しなければならないのに、特にムトゥは味方のパスミスなどに対して苛立つリアクションを見て情けないと思いました。

最後に個人的な意見ですが、文中に「GOAL」などアルファベット綴りの英単語がちょっと目にちらついて読みづらかったです。そういう書き方をされているのは他のエントリーをみて知ってますが、別に英表記する必要のない簡単な単語までそう書くとなんか目さわり(言葉は悪いが)です。他の読者はどうおもってるのかな?

posted by イタリアファン | 2008-06-19 02:54

EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

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■ イタリアファンさん
ドナドーニはどの試合も積極的に動いている感はあるのですが、どうもそれが空回りしているというか、最終戦はそうでもないですけど、一、二戦めあたりピッチの実状に則してない、自らの焦りからくる動きに見えて仕方ありませんでした。緒戦の結果があまりにも衝撃的だったので、ドナドーニも我を失っていたのでしょうか!?

オランダは個々に今後も使えそうな選手が何人もいたということで良いのではないでしょうか。特に負傷あがりのロッベンとファン・ペルシがあれだけできたというのは、本人たちもTEAMも大きな自信になったことと思います。

ムトゥは他人のMISSにキレるくらいなら、終盤の超決定機でクロスを捉え損ねて自分の左足に当てた自分のMISSを悔いなさい(笑)!ってカンジですね。

最後に表記に関してですが、まぁ、大目に見てくださいw
もちろん営利が絡むとかいうのであれば、構成・文体も含めてもう少し常識的な?気は遣うかもしれませんが。

「英表記する必要のない単語」というと、逆にどこまでなら良いのですか??という話にもなりますし、そこは個々人の趣向・感覚の違いということでご勘弁ください。。。

趣味の延長で書いてるようなモノなので、基本的に“ノリ”で思い浮かんだことをそのまま書く!という以上に、正直、時間が割けないというのが現状なので、長いとか読みづらい文章も多々あるかと思いますが、そこはご了承頂ければと思います。

posted by JIN18 | 2008-06-19 07:10

EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

コメント投稿者ID :

個人的な意見としては、誰かの書いた作品はリスペクトされるべきものだと思う。
コラムにしろブログにしろ、著者の感じたこと・考えたことを書くところであり、表現方法はその人次第。

そして、文章の主旨を好きになるか表現を好きになるかは読者一人ひとり次第。

本文に関しては、“5人の『#10』が集う。”までしか読んでないが(笑)、アルファベット綴りがあるかどうかはあえて取り上げるほどのことでもない。

むしろ、なぜレヴェルはLEVELじゃないのか気になる(笑)

posted by 後輩・競飛王Nクデロ | 2008-06-21 01:24

EURO2008 Act11 『斜陽のLes Bleus』

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■ 後輩・競飛王Nクデロ
ホント、アンタはダジャレ↑を言わせたら日本一!…イヤ!ワールドクラスっすね(笑)。。。

貴重なご意見ありがとうございます。
まぁ、個々人の感覚に寄る部分が大きいとは思いますが、あまりにも読み辛そうなモノに関しては、たまには気を付けてみようかと。

っつーか!コメントに反応すんぢゃなくて中身に触れろw!

posted by JIN18 | 2008-06-21 06:44

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