2008年11月23日
「易々と穏やかな目の、かつての悪童」私見“マイク・タイソン”
“魂暴風”popular request column 優しい目を宿していた。さも起きがけの軽食を喰らい、ほっと満足感に浸っているかのような。 穏やかに易々と伝わってくる、かつて“悪童”と謳われた男の微笑。まるで毒気の抜けた貌(かお)を覗かせている。彼の中で“争い”は終わったのか!?とふと、殊更に思う。思う私は、そんな私に少しばかりの“道化”を感じて、それは淋しさという感情よりも、“時の魔術師”がここにも居たのか?という、嘲りにも似た感情。 時代はとうに過ぎ去ってしまっていたのだ。彼はかつて“最強”を欲しいままにした、そう、屈指のファイターだった。 やがて彼はぽつりと呟いた。 「記憶してもらうだけで幸せだ」 彼にいまや寄り添う風は、もはや彼のものでは無いことをはっきりと自覚しているかのような風情で。 どこにでもいそうな、どこにいても出遭えそうなありふれた目を湛えている。それがまたどことなく温かい思いをも抱かせる微笑であった。 マイク・タイソン。 かつて世界を席巻した、男。 南アフリカの地にて、ロイターのインタビューに応じた際の、彼のこの一言。 「記憶してもらうだけで幸せだ」 婦女暴行罪で刑務所に収監されたことを? イベンダー・ホリフィールド戦にて無性か否か、耳を噛み千切ろうとしたことを?・・・ 子ども向けチャリティー募金活動に勤しむ彼は、 「戦争のない場所であればどこへでも行きたい」と述べ、更に「だが、ケニアには行けない。あそこは内戦状態にあるから」と補足したとも伝えられた。 そうして「もう、自身は“悪童”でもなんでもない。ボクシングへの関心も無い」とコメントを発している。 「年を取り過ぎたと感じる。記憶してもらうだけで幸せだ」と最後に彼は微笑と共にそう、呟いたそうである。
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posted by 美城丈二 |23:32 |
美城流追憶稿“あの忘れがたき、漢(おとこ)” |
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