美城丈二@魂暴風;Soul storm *a martial art side

まさに時空を超える“垂涎の一戦”真夏の夜の夢“1979・8・26プロレス・夢のオールスター戦”

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  『妙なる武辺』 

 時代がサムライたちを呼ぶのではなく
 サムライたちが時代を呼ぶのだと信じていた少年

 貪(むさぼ)るように結果速報号を読んだ
 それは確かにあの頃
 そんな時代を照射させていた
 ファイト紙とゴング誌、そしてプロレス誌
 三紙(誌)ではなかったか

 真夏の夜の祭典

 誰がその裏で蠢(うごめ)くアングルを知っていたのか
 だがそんなことよりも

 ただ世情において
 それがはしにもかからぬ
 うすっぺらい事象だったのだとしても
 その少年にとってはめくるめく
 夢の領域とも言うべき
 一戦であったのだという事実がいまでは
 あまりにも懐かしい

 黄金のプロレスブームはそののちに訪れた
 世情で皆が囃し立てたとき
 少年は少しだけ胸を張った

 それ見たことかという
 不遜な思いの外であり
 ただ自分が焦がれた世界が
 世間に注視されたことが仄かに
 ただただ嬉しかったのである

 あれ以来
 また何事も無かったかのように
 「蔑視の目」
 は繰り返されていった

 されど少年のこころはあの日のまま
 不変である
 まるで世情に抗するように
 反論を口角飛ばしてやり返すといった次元にはもはや無く
 ただあの一戦が
 少年にとって
 きっとその生涯ずっと
 忘れられぬ胸の高鳴りであったのだと
 いまや自身で察しているに相違ないから

 そういう想いを抱きつつ
 少年は遂にいまや成熟し老いつつさえある

 かつての少年が
 “時代がサムライたちを呼ぶのではなく
 サムライたちが時代を呼ぶのだ”
 と想い続けたまさしくそのサムライたちに対し
 取るべき道は
 そう
 ひとつしかないのじゃないか

 あの頃を
 あの心根に巣食う格闘浪漫を
 自分なりの言葉でものしてみたい・・・

 真夏の夜の祭典
 「誰が!!
  忘れようにも忘れられようか!?」

     1994・8 初出稿



 
 一度はBIvsファンク兄弟に決しかけたと聞き及ぶ。だが時のファンは日本プロレス史上最も憎悪をその背に一身享(う)ける、あのふたり組を選んだ。

 こともあろうに狂虎・呪術師組とは・・・。

 仮面貴族と飛龍、そして若大将。このトリオでは相手はどうしたって手管を緩めざるを得ない。結果は闘う以前から決していたがそれでも詰め掛けた大観衆は三人がおのおの飛び出すたびに大歓声を発したそうである。

 様々な往時のプロレス者たちがまさに“夢を馳せた”祭典。ラインナップを見てみよう。


☆第1試合・バトルロイヤル 
 出場選手
 国際プロレス 鶴見五郎、高杉正彦、デビル紫、
 米村勉(米村天心)、若松市政
 新日本プロレス ジョージ高野、平田淳二(平田淳嗣)、
 斎藤弘幸(ヒロ斎藤)、前田明(前田日明)、小林邦明、
 魁勝司(北沢幹之)、山本小鉄
 全日本プロレス 薗田一治(ハル園田)、渕正信、
 大仁田厚、肥後宗典、百田光雄、伊藤正男、ミスター林 
 ○山本小鉄(12分14秒・背骨折り)大仁田厚● 
☆第2試合・20分1本勝負
 ○荒川真(8分26秒・片エビ固め)スネーク奄美●
☆第3試合・20分1本勝負
 ○星野貫太郎、マイティ井上
 (12分32秒・エビ固め)
 石川隆士(石川敬士)、木戸修 ●
☆第4試合・30分1本勝負
 ○阿修羅原、佐藤昭雄、木村健吾
 (16分22秒・エビ固め)
 永源遥、藤原善明、寺西勇●
☆第5試合・30分1本勝負
 ○長州力、アニマル浜口
 (11分08秒・反則)
 大熊元司、グレート小鹿 ●
☆第6試合・45分1本勝負
 ○坂口征二(6分34秒片エビ固め)ロッキー羽田● 
☆第7試合・45分1本勝負
 ○ミル・マスカラス、ジャンボ・鶴田、藤波辰巳(藤波辰爾)
 (14分56秒・体固め)
 高千穂明久、タイガー戸口、マサ斎藤●
☆第8試合・60分1本勝負
 ○ラッシャー木村
 (12分04秒・リングアウト)
 ストロング小林●  
☆第9試合・時間無制限分1本勝負
 ○アントニオ猪木、ジャイアント馬場
 (13分03秒逆さ押さえ込み)
 アブドラ・ザ・ブッチャー、タイガー・ジェット・シン● 


 日本プロレス以来実現すれば8年振りとなる夢の競演、BIタッグ戦なのだと落ち着く以前に、当初、主催する東京スポーツが企画立てた対決とはご存知の如く、馬場vs猪木戦であった。それまで幾度と無くそのシングル対戦の機運は高まったが、最も時のファンが「まぁ多分、やらないだろう」という想いとは裏腹に「本当に今度こそ有り得るのではないか!?」と期待せぬともなしに期待する想いのまま、その推移を固唾を飲んで見守った時期でも無かったか?

 だがこの日本のプロレス界稀代の英雄対決は日本プロレス崩壊以後の新日本、全日本と分かれてのち、とうとう永遠に実現しないまま終息を向かえてしまった。

 執拗なほどに過去の経緯に拘る故・馬場氏をうんと首を縦に振らせる為にはタッグ戦、それも再び両雄が並び立つという形でしか了承へとは導けなかったのだと、さる識者は記述されておられる。

 されど時のファンはこの祭典に酔わされっぱなしだった(国際勢を支持する一部熱狂的信者を除いては?)。ラインナップを覗いてみるだけでも、のちのプロレス界の構図みたようなものが浮き彫りになり、誠に興味深い。またいかにこのマッチメークにおいて苦心惨憺(さんたん)あったかが覗え、いろいろと瞑想は果ても尽きぬ。

 有名な話しばかりで恐縮だが、のちに“維新軍”の盟友足りえた長州・浜口組はここで初タッグを結成しており、あの大仁田厚氏が「なんてぇ、蹴りをかましやがって!!」と激怒したとされる若き日の前田日明氏の名も連なる。

 基本的に国際勢は国際勢で試合が決し、新日本勢は新日本勢といった按配でメーンでもその配慮は踏襲され猪木氏がMr.シンを押さえ込んでフィナーレは結実している。

 「馬場さん!!お願いだ!!次は俺と一騎打ちしてくれ!!」

 思春期の只中であった私は当時、馬場vs猪木が実現するのかしないのか?まさに思案の外でいられなかった。のち様々な舞台裏を知るに及んでその頃の報道その一文一文に一喜一憂していた自分が可愛いものだったなと想い返せば今でこそ泰然としていられるけれど、成人してまもなく漏れ伝え聞いた、このオールスター戦開催までの経緯における或るひとつの逸話にはやはり往時を振り返ってなにやら淋しい思いを抱いたものである。

 さる識者が明かした、オールスター戦BI再結成決定の直後に猪木氏が不用意に語ったとされる「その日の為に(祭典の日までに)全日本のリングに上がらせてもらおうかな?」という一言。

 あれほどBI対決に拘り続けた猪木氏が、BIタッグ戦に落ち着くや否や、手の平を返したように呟いたとされる全日本への友好発言。識者においては決して実現不可能と踏んでプロレス界の暗黙なるルールを破ってまで表舞台では故・馬場氏を攻撃し続けたにも関わらず、裏ではよいしょに終始していた証左だと手厳しいが、プロレスというジャンルがリング上だけではなくリング外の人間ドラマを昇華させた舞台だと仮定するならばこの逸話も糾弾するほどのものでもないということになってしまうのだが・・・

 (それほど往年の猪木は“アントニオ猪木”を演じていたということか?)

 「よし、猪木、やろう!!」

 興奮冷めやらぬ大観衆の面前でメーン終了直後、マイクアピールした猪木氏に対して、そう応戦せぜるを得ぬではないか?

 リングを降りたのち、故・馬場氏が吐き捨てるように語ったとされる、
 「だから猪木は信用出来ない。」

 のちに、その時の馬場氏の苦渋の心持ちを自分なりに察することが出来たとき、私はなんとも言えない淋しい気持ちに陥ってしまった自身の勘考を想い出す。

 されどあれはやはり、真夏の夢の祭典であった(!!)。

 「あの胸の高鳴りを誰が!!
  忘れようにも忘れられようか!?」

 きっと大いなる夢想家であった当時のプロレス少年たちはおのおのの胸の高鳴りと共に、新聞紙上でしか知れぬ一戦に想いの丈をぶつけていたのでしょうね。
 (猪木、頼んだぞ!!卍だ!!卍!!)
 (馬場!!見せてくれ!!ジャンピング・ネックブリーカー・ドロップ!!)
 
 かく言う私も申すまでもありません。  

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新章『時空を超えた“格闘者”たち』美城丈二・格闘詩篇
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