美城丈二@魂暴風;Soul storm *a martial art side

桜庭和志の今後と、未だに忘れられぬ、あの“中井VSゴルドー”死戦

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 今一度、PRIDE格闘絵巻に酔いしれたいなどと書いておきながら、その一方では今後の格闘技、その在りように危惧感を抱き、私の中で相反する二律性がまた、もくもくと、もたげ来る。桜庭にパンチドランカーの兆し、在り。私も含め、ファンとはなんと残酷な精神を有していることか?かつてあの猪木にも感じた、強さの象徴とでもいうべき存在であった者への、

 あまりのせつなさ、淋しさと絶望感、そして、最期は華々しく散ってくれ、などという、きっと投げやりとは違う、傾倒した者への惜別にも似た哀切なる想い・・・。

 私は幼き時分から、“プロレス”が誠に好きであった。やはり、相手の技をあえて受けるという精神に、なんとも言いがたい格闘美学を感じてもきたから。あえて受ける、まさしくそれは“プロレス”特有の“アングル世界”だ。この精神に反する競技、それこそがいまや胎動のち、一大ムーブと化した“総合格闘技”なる世界というものだろうか!?

 私は“プロレス”から“総合”に目覚め、東京在京中は、あしげく観戦に赴いた。その中でも忘れられぬ大会なるものが三つ、ある。そのひとつが、あのなんとも度し難い想いにさせられた、時は1995年4月20日、所は日本武道館、開催名『バーリ・トゥード・ジャパンオープン95』なるものであった。まだ当時、総合格闘技自体は萌芽の時代。ヒクソン参戦で話題ではあったが、世間的には現在のようにTV放映化などありえないほどの、リング上凄惨風景。まさに修羅とも言いえよう、その有り様に私はなんども目をそむけた。修斗の中井秀樹はそのトーナメントであの“ジェラルド・ゴルド-”と対戦。見ていて、あれほど“人間の冷徹性”を感じた試合もなかった。中井の目を、素人の私にも解るほどの指で抉る行為。ゴルドーはレフェリーに注意を与えられたが、意に返せずふたたび抉った。試合後のさる雑誌談話によれば、ゴルドーはあれはサミングなどという、故意行為では無く、たまたま、指が入ったまでだ、などと抗弁していたが、あれを故意とは言わず、偶然だというのなら、この世にひとの精神を司る神などおるまいと、私は大袈裟でもなんでもなく、当時、述懐した記憶がある。中井はこの一戦を抗議するでもなく淡々と戦い抜き、確か、ヒールホールドで逆転勝ちを収めたはずだが、この一戦がもとで、右目の視力を失ったのだ。

 会場では、口々に「殺せ!!」だの「なんでもやっていいのだぞ!!」などと、あきらかにリングに上がる選手に対してリスペクトのかけらも感じられない野次が飛んでいた。あのとき私はそれでも最期まで会場に居たが、あれはやはり“総合格闘技”などと悠長に呼べる代物とはとても思えなかった。まして“武道精神”も感じられず、私はまったく暗い面持ちで家路へと急いだ・・・。

 精神性など必要無いなら、街中の喧嘩を見ておれば良い、と想う。ガードレールにぶつけようが、それこそ鉄パイプを振り上げようがお構いなし。それこそ命と命のやり取り“殺し合い”なのだから、まさしくなんでも有り、で良いのだと思う。だが、リング上は違う。お互いの日々の修練の見せ合い、お金を頂いての“合法的”果し合いの場、なのだから、それらを指して「なまはんかだ」となじる精神はやはりおかしいと想わざるをえない。

 私はその後、あらゆる場所でルールの整備化を訴えかけてきた。リングドクターをきちんと置き、そのドクターが止めるべきだと判断した場合は直ちに試合をストップさせる。いくつかの案件と共に、私なりの提言を行ってきた。

 いまや、“総合格闘技”界も円熟期にさしかかったのではないかと思われる。桜庭の今後も、この私の長年の“二律性”の範疇外ではけっして無いだろうとも感じている。リング上の格闘絵巻によって、長い間、私は夢と希望を重ね合わせ、日々あくせくする思いをなんとかかんとか拭ってもらってきた。

 男の浪漫と、人間の残虐性、その紙一重の領域を今後も私は綱渡りするかのような、脅える感覚の元、見つめていくのであろうか・・・。私の中にも、また“残虐性”は確実に存する。  (敬称略)

 
 



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宮崎県生まれ。
文筆家。
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執筆の際に用いる通称名。
他筆名にて
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文筆分野、
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著作多数。

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