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【追悼】「あっ、ちょっと待ってください」新日本野毛道場での山本小鉄さんとの想い出と関川さんのあの話し。

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【追悼】「あっ、ちょっと待ってください」新日本野毛道場での山本小鉄さんとの想い出と関川さんのあの話し。

☆先達て2010年8月24日に山本小鉄氏が低酸素性脳症の為に逝去されました。筆者なりに哀悼の想いを込め、生前の氏との想い出を思いつくままにひとつ披瀝させていただこうかと思います。

 
 「あっ、ちょっと待ってください」
 新日本プロレス中継『ワールドプロレスリング』が金曜20時ゴールデンタイムで放送されていた時代、小鉄さんは解説席で傍らの実況担当・古舘伊知郎氏にそう、告げると颯爽と場外フェンスを飛び越え、リング上へと向かったものだった。大抵は大試合、ファン注目の一戦で試合が終盤へと差し掛かり膠着状態に陥った時。
 メーンレフェリーが何らかのアクシデントを受け、試合を引き続き裁けなくなった時、当時、新日本の審判部長という肩書きも背負われていた小鉄さんは解説という立場を超え、リング上へと向かっていかれた。ファンは反則裁定やレフェリー不在のノーコンテスト裁定が下ることを怖れ、興奮したボルテージも一気に冷めた様子だったが、小鉄さんがリング上へと駆け上がることで一気に溜め息は安堵の歓声へと変り、試合の行方にまた集中することが出来た。当時既に、小鉄さん登場までもが“アングル”だとマニアックに指摘する者も居た事は事実だが、そういう“糾弾”を浴びる以前に試合自体のボルテージも高かった時代だったから、そこまで言及せず、純粋に結果を愉しむファンの方が大多数であったように思われる。

 小鉄さんの登場がいやがうえにも試合の佳境を思わせ、会場の熱気を一段とヒートアップさせる。“憎い演出”と一言で片付ければそれまでだが、そういった感覚をも飛び越えた“勝負論”が確かにあの頃の闘い模様にはあったような気がする。リング上へと駆け上がる小鉄さんの後ろ背にファンの真摯な視線が突き刺さっていたような……プロレスファンタジー、そんな熱い時代の一幕。確かに小鉄さんは体現者のひとりとして“新日本プロレス”を背負われていたとの認識を強く抱く。

 
   ☆小鉄さんから筆者が戴いた新日本プロレス創立30周年記念パーカー(現在は筆者の長男が愛用) 

 私ごとで恐縮だが、高校卒業後、上京ののちのさる一日の出来事。私は上野毛の新日本プロレス道場前に居た。幼い時分から焦がれていたプロレスラーの修練場。当時既に様々なメディアによって映し出されていたその道場の中を一度は覗いてみたかった。“何故、身を削るほどに己に枷(かせ)を与えねばならないのか?”練習メニューを含め、大いに勘考を抱き続けていた。
 幼い時分から縁故もあって幾人もの、プロレスラーの方々の人となりに接してきた。それでなくても同世代でも小さい部類であった私にはまるで雲を突くのではないのかとも思わせた大柄な体躯。なのに接すると慈愛のような微笑を湛え、みなみな優しい言葉をかけて頂いた。そんな自身の憧れの対象であったプロレスラーという職種の人間に対し、世間一般の人々は“八百長をする人間”として蔑視の眼を向けていた。幼心になんだか怪訝な気がした。世の中の人々が考えるプロレスというジャンルに潜む、ある真実。成長期を向かえ、私は私なりに考えを逞しく巡らせた。プロレスというものをただたんに“八百長”という言葉で片付けて良いものだろうか?
 そうして上京したら、きっと道場を覗いてみたい、その練習風景を見て、自身の想像を結論として決定付けてみたかった。
 私自身も若かったのだと回顧する。今から思えば一心に物事をこうだ!!と決め付けるきらいが無いとは言えなかった。だが、プロレスリングというものに対する世間の蔑視の目は違うと考えていた。少し大袈裟な言い方が許されるなら若き日の青春譜。自身がこうだ!!と思うことをまた信じてもみたかった、疑うことは自身を否定するようで怖かったのだとも今では思える。根拠は無いが、道場に行けば何かが一変に氷解すると思いつめてもいたはずだ。

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記事カテゴリ:
美城丈二の「僕らは格闘探偵団」
タグ:
ある悪役レスラーの懺悔
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1966年3月、
宮崎県生まれ。
文筆家。
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筆者が文筆分野、
主に格闘技関連コラム
執筆の際に用いる通称名。
他筆名にて
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文筆分野、
多岐に渡り多くの執筆発表を
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