2008年11月21日
石井 慧の育て方で求められる総合格闘技界の“明日を見据えた指針”
21歳、若くしてのプロ格闘家への転進。【写真提供;ミルホンネット】 業界の未来を担う逸材として筆者も興味が沸き立つ。 公称では181cm、110㎏、 2004年に講道館杯全日本柔道選手権100㎏級で優勝、 2006年には全日本柔道選手権大会で 史上最年少初出場・初優勝、 2007年では嘉納治五郎杯東京国際柔道大会で 100㎏超級にて優勝、 本年8月・北京オリンピックでは100㎏超級で 金メダルを獲得と実績は申し分無い。 小川直也や吉田秀彦のように“遅れてきた逸材”とは違い、 20代の前半での転進は次のオリンピック出場を待ってからでも 遅くは無かっただけに、 多くの識者が注目することとなる転進でもあった。
現在、まだ大学4年生である。 その前途は洋々だ。 こういう逸材が転進してくること事態が 受け皿となるMMA、総合格闘技界の未来に 光明が射しているという証左だろう。 どんなジャンルでも次の時代を形成する 金の卵たちが現れぬ限り、衰退していくことは 自明の理だ。 将来が実に愉しみな“大物”である。 持って生まれた身体能力を柔道界で遺憾なく発揮した、石井。 では、その受け皿となるMMA、総合格闘技界の 現状はどうであろう。 勃興、胎動の時期を過ぎ、熟成、いまや選手も そのスキルが上がり、淘汰の時代へと差し掛かった。 それこそ馬力に任せてバーリ・ツゥード、 なんでも有り!!とばかりに殴り倒せる時代は終わった。 より研鑽を積み、スキルの向上を目指さない限り、 おいそれとは勝てない時代に入っている。 石井にしても「打撃技に対する攻守がネック」として 新田明臣に付いて指導を受けているそうだが、 誤解を怖れず記せば、 新田のトレーナーとしての技量だとか、 そういった短絡的な非難をしたいわけではなく、 私は少しばかりこの方向性に向かう石井に 疑問を抱いている。 新田明臣といえば、元キックボクサーだ。 かつてWKAムエタイ世界スーパーウェルター級の王座を獲得し、 のちのK-1WORLD MAXの前身、 K-1J-MAXにも出場したことのある強豪だが、 餅屋は餅屋、 石井の日々の修練がキックボクサーとしての フィールドワークに留まる形であるなら、 果たして 今後、どうだろうか?と 微妙な危惧を抱く次第である。 柔術家がボクシング技術を学ぶ為にボクシングジムを訪ね、 修練に励む。だが、ボクシングには ボクシングルールに則ったボクシングスキルというものがあって ここからMMAに即した実践を重ねていかないと、 折角のボクシングスキルも生かされずじまいに なるのではないか?、この道理を思っての危惧である。 MMA転向なら、MMAの技量を有した専門のトレーナーに 付いた方がより有効的ではないだろうか? 実際に殴り合ってみるとよく判る。 両者、立ち合いの元、殴り合う場合と 倒れた相手から胸倉を掴まれたり、 殴ってきたり足蹴にされたりした場合の対処方は 明らかに違う。 重心の置き方ひとつによってバランスの取り方は変わってくるし、 対戦者によっては下から柔術技を 仕掛けられないとも限らず、そうなるといくら柔道界で 若くして王者に君臨したとはいっても危ういのではないか? あの桜庭和志が何故、MMA界で名を馳せたか? その一番の秘訣は徹底した、 実践を想定したスパーによるスキルアップにあったと 私は考えている。 とにかくあらゆる場面を想定し、まさに徹底的に 「この時はこうだ!!」 「この時はこうした方が良いのではないか?」と 飽くなき探求心を持って闘い続けてきた執念。 だからこそ日本人プロファイターにして あれほど遊び心のある試合運びが出来たのだと思う。 桜庭の凄いところは、名を成してからでも遠く海を越え、 ブラジルはシュートボクセアカデミーまで乗り込んでゆき、 研鑽に励んだという“驕りの無い探究心”、これに尽きるだろう。 翻って、石井は柔道のスキルは若くして申し分無いだろうが、 ここに打撃の攻守スキルを習得したとしても MMAでの実戦経験は無く、 いかにも付け焼き刃にならないだろうかという、思い。 一部ではプロデビュー戦後、 次戦までは海外での武者修行との噂があるが、 これでも私はまだまだ「早過ぎないか?」と鑑みる。 本年、大晦日『Dynamite!』でのデビューなどは論外、早計としても 来春のデビュー、これでも先々延ばしでも良いのではないか?と 考える。 特にTV業界関係者の視聴率優先主義に巻かれ、 なし崩しの早期デビュー、次戦、三戦、連戦などという状況は もってのほかだろう。 何しろ、プロ格闘家転進宣言が 「行く行くは・・・・・・」という朧な感覚も感じられた石井なのに、 周囲が思わぬ以上に騒ぎ立て、 慌てるように「バタバタ」とプロ転向を 表明したかのようにも見受けられただけに、 ここは関係各位、 大事に未来を見据えて育てていただきたいというのが、 一MMAファンの私としても偽らざる願望である。 21歳。早急こそ悪であろう。 とある雑誌インタビューで座右の銘を尋ねられ、 「怠る者は不満を語り、努力する者は夢を語る」と 語っていた、石井。 この気持ちが純粋に続くようなら雑念を払いのけ、 邁進して行けるだろう。 周囲はより良い環境を作り、 石井を真の“怪物”足らしめる為に より遠い未来を見据えた指針を提示することが肝要だ。 当の石井にしても“石井訓”に代表される放言語録は MMA界を席巻するまでは封印するぐらいでも良いと思う。 要は急がぬこと。 取り巻き連中が石井に“大人事情”を持ち込んで なし崩しの連戦などとなって“穢れ”を与えてしまうことは 切に避けていただきたい。 金の卵のこれからに 筆者も注視の“腕が撫す”(笑)というものです。 今後を冷静に判断して、また彼について 一筆啓上したいと思います。
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posted by 美城丈二 |00:01 |
魂暴風【pickup report】 |














