2008年08月08日

ジャンルでは無く個々の同一性が問われる時代“中邑真輔”総合参戦再び!!

  
 新日本プロレス・中邑真輔が揺れている。

 再びの総合挑戦のとき。「大晦日あたりかな?」と既に時期を示唆している為、出場の可否は問うまでもなく、大筋での合意はなされ、あとは対戦者が誰になるのか?ギャラに関する契約等済ませれば、本年暮れには地上波でその勇姿が見られるということになるのだろう。
 総合は無論、勝利を確約されたものではないから、4年ぶりの参戦は文字通り、中邑真輔の“個としての信念”が色濃く反映されたものであり、自身の今後を左右していく、ターニングポイント的な試合となるやしれない。
 もう、プロレスというジャンルを意識的に背負って闘う時代ではない。筆者の幼き時分には「プロレスか!?空手か!?」格闘技界を覆う“最強幻想”という悲壮感を与えるドラマツルギーがあったわけだが(だからこそジャンルに根ざしたファンの熱い視線を一身に浴びた次第だが)、いまはジャンルの特異性よりも個としてどれだけ力量を伴っているか?個々人の力量を査定していく、そのことを口にする識者も多く、背景論としてはジャンルvsジャンルという発想は盛り上がりにくい状況である。
 私は私で、いまやそれでも良いと考える者のひとりだから、変に意識せず大晦日は楽しみたいものだと思っている。
 悲しいことなのか、喜ばしきことなのか、時代は“個としての信念” により多く視線を注ぐ時代へと意向した。背負う物が大きければ大きいほど、ファンを熱くさせる試合が出来るとは限らないわけで、中邑選手にも大晦日以後、ひとつひとつクリアーしていき、あるときふと気づいたら自身のステータスが上がっていた、くらいの“軽やかさ”でも良いのではないか?
 

 
 以前から私は「純プロレス」だとか、「プロレスはプロレスなんだから」といった、いわばプロレスと“総合”を区別して見やる論じ方があまりに閉塞的に思えて嫌だった。いざとなれば懐に収めていた刀を抜くまで!!この発想に根ざしたプロレスラーのシュートに備えた日々の修練の凄まじさに幼い時分から圧倒されつつも憧憬にも近い感情を抱いてきた私としては、いつのまにかロープワークだけに終始した練習しかしなくなった現代プロレスラーに一抹の不安を覚え、まして“総合”なるものが幅を効かし始めるにおいて、そのリングに上がり敗戦する。その姿を目の当たりにする段において、誠に僭越なる物言いとは思うが、自分のことのように悔しい、苦渋極まりない感慨に至ってきた。“プロレスラーはあんなものじゃない” 果敢に挑戦していくレスラーに一定のリスペクトをも保ちながらも、自身の幼き時分の憧憬を重ねてしまうあまり、涙したことさえあった。

 だが、もう時代は“プロレスなんだから”とか“総合なんだから”という、そういうジャンル定義、価値観の意識さえ飛び越えた位置に来ているとこの頃は特に強く感じる。“総合に挑む”中邑選手にジャンルとしての呪縛を背負わせる必要はないではないか?そういう気持ちが強く私の心根を支配していることを感じる。ジャンルでは無く個、この自己同一性を思うとき、やはりそれでもどこか、あの幼き時分の憧憬にも似た感情がひょこっと現れ、「是非、だが出る限りは勝ってほしい」という、また一プロレスファンとしての勝手な願望が顔を覗かせてしまう。


 私なりに思うこととして、現代プロレスラーにおいて“総合”という格闘技ジャンルに“挑戦していく”という意義はあきらかに良いことなのだから(識者によっては意見の分かれるところではあろうが)、もともと“総合”という言い回しは無くともプロレスというジャンルには“総合”とこの現代、呼ばれているところの定義は内包されていたはずなのだから、変に「明らかに違うもの」として区別する必要はないはずで、またこれだけ「別物なのだよ」と叫ばれ続けている昨今、そういった雑念をも飛び越えて“挑戦してみたい”という中邑選手の心意気には賛同の意をささやかなれど表したいと考える。

 有史以来、プロレスというジャンルは様々な蔑視の目にさらされてきた。そんな歴史の只中にあって、懐刀として忍ばせてきた“シュート”という名の真の実力がいまや風前の灯の如く、まるでまやかしでもあるかのように評される時代にあって、私はやはりどこか、“総合”に挑む中邑選手に肩入れしたくなる。

 これは、こんな発想は古いファンの戯言だろう、とは思う。だが本年、大晦日、やはり登場なった?中邑選手の勇姿に私はかつての私の憧憬をも照らし合わせながら見つめ続けていることだろう。

 個としての中邑真輔に共鳴を覚えつつ・・・・・・。
   

posted by 美城丈二 |11:02 | 魂暴風【pickup report】 |
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加