2008年10月08日

UWFは、いま総合格闘技の血となって沈殿す。

 21世紀も暦を重ね、8年が過ぎ去ろうかとする昨今、あのUWF現象も否定的に論じるひとは多い。いわく「UWFも結局、プロレスだった」いわく「まったくいまではその亡骸ばかりだ」いわく「踊らされた方が悪い。その実態は嘘、だらけだった」・・・・・・。
 特にこれはUWF現象に限らず、かつて何かに執着し、胸焦がし、幻滅を覚えたひとに多い傾向で「坊主憎ければけさまで憎し」ではないが、今度は翻って徹底的に糾弾する側に廻ったりする。

 言うまでも無いことですが、そういう人間は醜いものです。かつて踊らされた自身をも否定しかねない言動であることに、気付けないまま、罵る、その己の言葉に酔いしれている風情さえ感じられもして、ちょっと呆れ果てます。「あれはあれで真実だった。だが時代は変遷するものだ。新しい技術体系が生み出され、確立され、もう一歩二歩、前に進んだのだ。その礎を創造した。いまや、そういう位置据えなのだ。」そういう価値概念、感覚で物事は捉えていく方が誠に健康的であり賢い思考回路の使い方であろうと私は考えます。
 
 筆者は「これぞ、新しい時代のプロレスだ!!」と思考した、かつての私をけっして否定などはしません。また出来ないし、簡単にかつての私の感覚・感性を翻意させてしまえるだけの生き様を経てはいない、としっかりと胸を張りたいと思います。時代時代に訪れる“市井の人々が生み出す”ブーム”なるものに踊らされ、また私もそのひとりではあったろうけれど、そのブームを語るとき、その源流にはやはり“かつての私”を見出すのですから批判・非難など、とても出来ましょうか。世の中には“賛成けれど周りを見て反対”というひともあまりにも多い(非難ばかりのひともかなりの人数にのぼるのですけれどね・・・・・・苦笑)。
 
 かつてUWF現象なる、一プロレス界の一大潮流は安易に大技に走る、溜めの無いプロレススタイルにくさびを打ち込んだのは事実であり、あの辺りからただ単にショー的なものだとされたプロレスに対する世間の認識を少しづつではあったろうが、そこに「おやっ!?」という注視の感覚を抱かせたのは確かなことなのだから、いま現在へと連綿と続く、総合格闘技隆盛の礎、その一翼を担ったものだったと規定してもけっして的はずれな論評ではないように私には思えます。無碍に否定されうる代物ではけっして無い現象だったと思うのです!!。
 UWFによってリング上の闘い模様を違う角度から覗き見る視点を培われた方々も多数おられるはず。アキレス腱固め、これひとつをとってもただのつなぎ技でしかなかったものが、必殺技に成り得ることを知らしめたのはUWFの大いなる功績というものだったろう。
 UWF現象のち、前田日明が「リングス」を興し、船木誠勝らが「藤原組」を経て「パンクラス」を旗揚げした。そのもっと先にはアントニオ猪木の“異種格闘技路線”が明瞭に横たわっているという歴史の“一真実”を斜め読みしてはならない。昨今のプロ格ファンはかつてのプロレス団体のシュート論議にも盛んにその真偽、“リアルであったか、否か?”に敏感ではあるが、敢えて受ける試合の狭間で実は要所要所で対戦者にしかわからない殺し技の数々、そういったいわばピンポイントの“リアル”にまでは踏み込んでいこうとしない。
 何もプロレスだからといって、全てが受けている立ち居振る舞いのものだと推量するのはまさに早計な結論だと思います。
 まして筆者はそういった一瞬間の“リアル”に「見た甲斐があった」と至福を感じる性分だから、ただ単に「UWFも結局、プロレスだった」いわく「まったくいまではその亡骸ばかりだ」いわく「踊らされた方が悪い。その実態は嘘、だらけだった」と断罪なさるようになじられるとそれは違うと弁明したくなるというものです。

 「プロレスだから・・・・・・」という偏見の目だけで否定する一群はもっとも醜悪な一群だと私は常々、論じてまいりました。ただのまやかしものならその格闘絵巻を見定めて涙する人間などいただろうか!?
 千年の歴史はその一歩一歩の一年が繰り返し刻まれることによって千年足りえるように、現行の格闘技界、それはプロレス界に限らず、あらゆる時の格闘技者による真摯な鍛錬・探求の賜物によって紆余曲折し、始めて成し得られた千年なのであり、まさしく“はじめの一歩”“時々のリアル”を見紛うととんでもない愚の骨頂を絵に描いたかのような論調になってしまいかねないと私は考えます。

 「UWFは、いま総合格闘技の血となって沈殿す。」筆者は前田日明や藤原喜明、佐山聡、船木誠勝らの一擁護者ではけっしてありません。ただ言いたいことは史実の真実から目を背けず表層的に浮き彫りにされた事象だけを見据えて論じてほしくない、とそう、思うだけなのです。


 ☆上記一文は、先達て書き留めていたものですが、今回、思考遊戯さんの一文に勘考を受け、公に致した次第です。
 ⇒『思考遊戯「八百長その2」』 

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posted by 美城丈二 |18:00 | 美城丈二の「僕らは格闘探偵団」 | トラックバック(0)
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