美城丈二@魂暴風;Soul storm *a martial art side

“超獣”『ブルーザー・ブロディ 私の、知的反逆児 』、そして私は盟友、スタン・ハンセンのその後をも思った。

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 (筆者注;このコラムは2008-03-29当サイト掲載文です。不定期にて過去コラムにおける多数の筆者宛てコメントメールを賜った上位作を再掲載しております。) 

 ☆『ブルーザー・ブロディ 私の、知的反逆児』バーバラ・グーディッシュ&ラリー・マティシク/共著 田中雅子/訳(東邦出版刊)を読ませていただいてつらつらと思ったこと。


 おそらく、妻で無ければここまでは語れまいと思われる告白体に生々しさが横溢し、一気に時を20年前に遡らせる。

 
20080328-01.jpg
 読み綴るままに感じることは、「やはりブロディはフランク・グーディッシュという一己のひとであったのか?」という、あまりにも“らしい”その生き様がありありと投影されており、息が詰まるほどの切迫感がまるで自身のことのように生々しく往時を回想させてしまう、点。二人目の子息を流産し、その8日後にブロディがプエルトルコの地で冥土に臥されたとの衝撃告白は、ファンならずとも胸が詰まるほどであった。  普段、日常のブロディを、妻として身近に接してこられたひとで無ければ告白することが出来ぬであろうと思われる、その迫真性にしばし思いが滞り、のちふつふつと感慨が沸き立って仕方無くなる。  あれは、時の週刊プロレスの表紙であったろうか?棺の中でまるでメシアの如く両の瞼を閉じたブロディの在り様。あまりの、突然の悲報に驚かざるをえなかった記憶がまるで昨日のことのように甦り、思い起こされる。




 運命の1988年7月16日、プエルトリコ、バイヤモンスタジアム。「ホセ・ゴンザレス」の狂刃に刺され、ブロディは深い、永遠の眠りに就いた。一説には刺し傷が肝臓に達し、それが致命傷とも囁かれたし、痛み止めとして服用していたアスピリンによる副作用によって出血が止まらず、多量出血死であったとも報じられた。

 ただ当時の私にはそういう事が起こった経緯・経過なる、いわゆる背景など二の次で、そのようなことよりも、あのブロディが死んでしまったのだ!!という事実のみが大きくのしかかってきて、しばらくの間は全く信じがたかった。「・・・あのチェーンを振り廻していたブロディが!?まさか!?冗談だろ!?」私の中でフランク・グーディッシュという一己の矜持を持つ、ひととしての男では無く、プロレスというジャンルの中のギミックとしてのチェ-ンを振り廻し、ウオッウオッと咆哮して観客席を練り歩くブルーザー・ブロディという一プロレスラーの偶像の方が恒に勝っていたのだ。


 私はこれまでも様々な有為の場所で語ってきた通り、ブロディのファイトスタイルを好まなかった。「ブレーキの壊れたダンプカー」スタン・ハンセンには醸し出せない暗さを伴った「超獣」の眼差し。そこに感覚としての私なりの注視は恒にそそいではいたが、ロング・ホーンを掲げ高らかにウイィィーと雄叫びをあげるハンセンの明るさをこよなく愛し続けた。「悪くて強いが、どこか憎めない男」そんなハンセンの深奥、温かさを何よりも追い続けていたかったのだ。

 だが、どうしてもブロディには何か離れがたい、得体の知れぬ煌きがあった。それは「いざとなれば、この男こそが最も強者なのではないか!?」という昭和世代のプロレス者達が強烈に焦がれた『最強論』という思いの内だったのか?どうか?・・・。
 
 あまり人気が沸騰していないテリトリーばかりを選んで遠征するだとか、そのテリトリーのボスたちと遂には仲違いし、ひとつどころに落ち着かぬ男だとか、いわゆるトラブル・メーカーと言われたブロディの身辺にはのち武勇伝として語られるであろう生き様がはっきりと見てとれたし、何より無視など出来ぬ大物感たっぷりの佇まい、風情があった。

 10代の時分、だからこそなのか、だからこそ生理的な嫌悪感が沸き立ったのか?、私は往年のプロレスファンのご宣託、“最強論”ではアンドレか!?ゴッチか!?テーズか!?ロビンソンか!?いやいや以外にボブ・ループなんてぇのも捨て難いぞ!?ジャック・ブリスコなんて線はどぉ!?いや、やっぱりハンセンだろォ!?、俺はガニアを押すね!!皆々、かんかんがくがく、遂に私はブロディの名を終始、出さずじまいで過ごした。往時からブロディには“最強説”がまとわりついていたが、時に大袈裟なとも思わせる受身の一瞬間、相手にパンチやキックを放つ、そのスピードの速さ、瞬発性にそうではないかと思わせる“刹那”は仄かに誰しもに予見出来るものではあったが、「本気で相手を崩しにかかったら・・・!?」ブロディのファンにはそういう捨てがたい、“空想”としての或いは“仮想”としてのもうひとつの愉しみを持てる懐が確かに存していたと思われる。

 
 そんなブロディを妻であったバーバラ・グーディッシュさんと共著として綴っておられるのが、ビジネスパートナーでもあったラリー・マティシク氏である。NWAの中心人物であったサム・マソニック氏の良き参謀であり、1978年、ブロディがセントルイスに招聘されて以来の仲であると記されてある。彼は私の最も知りたかった部分、また知りえていることを準えるかのように、一己の人間としてのブロディ“フランク・グーディッシュ”に光を当て、筆を進められてもおられるので、この頁もまた興味は尽きない。

 ブルーザー・ブロディ対フランク・グーディッシュ

 全盛時を会場で目の当たりにし、テレビ画面を食い入るように見つめていた者にとっては尽きぬことを知らぬかのように筆が踊る文章群の羅列が一気にその先を読ませ、あっという間に読了させてしまうほどだった。

 
 ひとりの夫として妻を愛し、父親として子を愛し、一己のひととして自身を省みる。ブルーザー・ブロディというプロレスラー像はファミリー、自分、そのあと、3番目に位置する存在だとも生前、語っていたブロディ。だが、そんなブロディを盟友とも謳われたスタン・ハンセンはブルーザー・ブロディというプロレスラー像があってこそのファミリー、自分なのだと“擁護”しているインタビュー記事をかつて読んだ記憶があるが、ブロディの死によってリング上、最もその“痛み”を知ったレスラーこそハンセンでは無かっただろうか!?

 “超獣”の死によって“不沈艦”は遂に再び“最強外人”としての浮上を失ったのだと思う。ブロディ無きあとのハンセンは故・馬場氏というボスの命に忠実な男となり、三沢光晴選手・川田利明選手・小橋建太選手の確固たるプロレスラー像創造の為の盾となっていく。

 ブロディ対ハンセン、この無限の空想力を導きだしたであろうミラクル・パワー・コンビ対決が“夢幻”に終わった時、最強神話のカテゴリーの範疇にあったハンセンもその至論の片翼を失ってしまったのだ。

 フランク・グーディッシュというひととしての化身、ブルーザー・ブロディをいま改めて様々な角度から照射し、覗い知る手がかりになるであろう、これはまさに良書の一冊と言いえよう。

 ☆宜しかったら、こちらも改めてどうぞお読みください。
  ⇒『美城丈二の“80’S・プロレス黄金狂時代”⑪咆哮と鮮烈ハンセン&ブロディ』

 ☆拙作、デジタル・リマスターベスト版、配信開始です。
  ⇒『魂暴風anthology-Act1 The best selection』

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1966年3月、
宮崎県生まれ。
文筆家。
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筆者が文筆分野、
主に格闘技関連コラム
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