2008年02月04日

“リアルとアンリアルの狭間で”ブロック・レスナー、UFCデビュー

 
 アマチュア時代も含め、プロレスラー転向以来の実績も申し分無い、ブロック・レスラーのUFCデビュー戦。多くの識者が関心の他では無かったようで、思い思いの勘考のもと、記事になされておられる。 
 
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 私もそのデビュー戦、しっかり“覗かせて”いただいた。残念ながら最後は溜め息が漏れる結末を経てしまったが、私なりに気になった点をひとつふたつ、記載させていただこうかと思う。

 まずレスナーは妙に勝ち急ごうとするかのように試合開始早々から仕掛けていった点。まるでそれはプロレスラーとしての闘いの“間”を惜しむかのように、或いは敢えて相手の技を受ける“間”を忌み嫌うかのように畳み掛けているようにさえ覗えたこと。「スタミナに難があるから」と言ってしまえば元も子も無いが、アグレッシブに間髪置かず矢継ぎ早に打ち倒し連打していく戦法だったのだとしてもそれはそれで勝敗が決してしまえば、見ていて爽快ではあったろうが(ただし、後頭部へのパンチは厳密には反則なのだが)えてしてこういったパワーだけに頼ったかのような戦法は“隙”を生むものである。まさしくレスナーはそこを附かれ「足を捕ってくれと言わんばかりに」無防備に覆い被さった時、下から捻じ曲げられ、万事休すとあいなった。結果論と断罪されるや知れぬが、やはり闘いというものには相手の出方を覗う、相手の呼吸を読むといった“間”こそ必要で(筆者はMMAこそ、この“間”が重要だと認識しており)もう少し落ち着いて相手の懐を覗っても良かったように思える。勝負に逸り過ぎたきらいは否めないと思うのだが、いかがなものだろうか?。

 もうひとつは、そのデビュー戦の観衆に混じって、あのWWEお馴染みのスーパースター達が“こぞって”応援に駆けつけていた点。“愛妻”セイブルはともかくとしても、ストーンコールド、アンダーテイカー、アングルといったある意味、現代プロレスラーの申し子とも言うべき面子を観客席に見出した時は、(おやっ!?)と凝視させられた。彼らが一堂に会するということは、つまりWWEがこのMMAショーをなんらかの形で“後押し”している証左であり、そう思っていたところにレスナーのWWE時代の映像もふんだんに使われているさまを顧みて、納得させられた次第。

 本国・日本のプロレス団体は未だに“リアルとアンリアルの狭間”でどっちつかず、曖昧な位置に立ち、リアルでは無いという標榜さえせぬ状況だが、“プロレスの本場”(いまとなっては死語まがいの言葉だろうが)アメリカではきっちり棲み分けが成されている証左でもあるのだろうなという、勘考も抱いた次第。きっちりエンターティメント・ショーだと標榜したうえで、MMAの舞台に躍り出た“元・自前のスーパースター”・レスナーに対し、まさに“援護射撃”するさまを見せつけられると、やはりWWEの懐は一味違うなと感心せざるをえない。その上で、今後、関係者が「真摯に修練を積んでいけば、手に負えない“怪物”になるや知れない」と絶賛していたレスナーが勝ち上がっていくようだと、相乗効果としてプロレスラーとしての尊厳、プロレスというジャンルの崇高性をもまた高まるだろうから、このあたりの妙はやはり本国の団体こそ見習うべきだろう。

 もはやよしんば、生粋のプロレスラーがたとえMMAで惨敗してもそれは即=プロレス界の敗北では無いということ。古いたとえを持ち出して恐縮だが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の言葉尻通り、踏み出して行かねばプロレスというジャンルの底上げなど今後、到底、無いように感じるのは筆者だけの憂いではない筈だ。

 時代はMMA隆盛時代。けしてそこに背を向けてはならない。筆者の幼い時分の「プロレスと格闘技の棲み分けが同一視されている時代」はもはや彼方に過ぎ去ってしまったのだ。そういった点でも今回のブロック・レスナーのまさに“挑戦”には筆者は諸手を挙げて喝采を送りたいと思う。無論、“勝つ”に越してことは無いだろうが、「どのように勝つか!?」(それはたとえMMAの舞台であろうともだ)次戦、次々戦のレスナーの動向に筆者なりに注視していきたいとも思っている。

 来たれ、生まれよ!!時代のリアルプロレスラー。レスナーの“挑戦”が次世代のリアルプロレスラーの黎明を生む“挑戦”なのだと筆者はこれ信じて記述させていただいた次第でもあります。

 

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posted by 美城丈二 |17:16 | 魂暴風【pickup report】 |
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