2007年03月18日

加熱する、MMA勃興・ブームの先に訪れるもの。

   
   *過去コラム、訂正加筆稿。

 少しでも格闘技なるジャンルを実際に身を持ってかじったものなら、人間の(それも鍛え上げた肉体であればあるほど)肘、膝がいかにひとを殺す道具になりえるか、察しがつく。UFCは肘を了承し、PRIDEは膝を解禁とした。金網と四角いリングなる違いはあれど、一歩間違えばいつか死人が出る!?

 強さを追求するが為、己を戒め、修練に努める。「誰が一番強いのか!?」という目と、「いまに死人が出ますよ」という考え、思考はやはり相容れぬ矛盾を内包しているとは思うが、いかんせん、が為、筋肉隆々、増強剤を打ちまくり、弛緩剤を飲んで痛みを出来るだけ和らげようとする精神はやはりどこか歪んだ観念だとも思う。

 かつて「霊長類人科最強」などと賞賛されても、あの肉体の異様とも思えし造りにはまったく勘考が沸かなかった。見れば一目瞭然、薬づけの身体に私は興味など覚えなかった。ナチュラルさこそ感嘆ものなのであり、ゆえにこそ、そのたたずまいが風格を呼ぶ。

 「なんでもあり!!」を謳うなら、「ならば、噛み付き、目つき、頭突き、金蹴り、それも解禁してみなよ」と暴言も吐いていた。「そのうち、どこぞの市井の腕自慢、サラリーマンが増強剤をバンバン飲んで総合界に殴り込み、バッタバッタとチャンピオンをなぎ倒す時代が来るかもよ」とも。

 相手をなぎ倒し、組みふし、失神させよう行為は、ただそれだけに着目するあまり、大金をそそぎこもうとすれば、終いにおかしな人間を創造し、その根底をも揺るがす。

 私は恐い。昨今の格闘技大ブームが!!その礎を作ったものは、確かに‘プロレス界’ではあるが・・・、筋肉隆々、嗚呼、いつからみんな、おんなじ体つきのレスラーばかりになってしまったのか!?人間のその一生、生成するホルモンなるものを約四分の一時間にて生成出来るとの識者の声もある、増強剤乱用。禿げるわ、息がすぐあがるわ、体調が悪くなり、血の尿は出るわ、終いには終始、精神が安定せず、また今度は安定剤を飲むわ、これじゃあ、その寿命も長続きはしませんわな。

 金が金を生む、世界的MMA勃興、大ブーム。人間、目の前に大金積まれたら、そりゃあ、性格も捻じ曲がりますよね?(苦笑)。

 されど、このブーム、何事も見えぬまま?にますます、その隆盛は続いていくことであろう。私は私をいまこそ戒めたい。「男の浪漫」それだけに気をそそいではけっしていけないと。


     

posted by 美城丈二 |09:25 | 美城丈二の「僕らは格闘探偵団」 |
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この記事に対するコメント一覧
Re:加熱する、MMA勃興・ブームの先に訪れるもの。

なんでも有りといえば、
ゴッチさん、猪木さんの流れかと
(前田日明さんも?)

筋肉は見せる為の、ショー・ビジネス至上主義の成れの果て、:悲

昭和のオヤジの胸板は厚く、背中は広かった。
昭和のレスラーはそんな強さが漲っていましたね。

posted by みのる | 2007-04-25 00:56

Re:加熱する、MMA勃興・ブームの先に訪れるもの。

 みのるさん、ようこそ。美城です。長年、私は“シュート(いわゆる真剣勝負としてのやり取り)”への対拠は、いざというときの為に忍ばせておけばよく、あくまでも懐刀として持っていればそれで良いのではないか、と思いつつあらゆる格闘ジャンルを見つめてきました。その論調の“最前線”に位置していたのが、かつてのプロレスラーたちです。(忍ばせるということは、あくまでも有事の為に修練を積んでおくというのが大前提であることは言うまでもありませんが・・・)それがいつのまにか、この“シュート”自体が前面に出て、はからずもプロレスラーのメッキが剥げてしまった。もともと弱かったのではなく、これはショービジネスというものに特化した、まさしく“見せる為のショー”としての格闘技ブームに乗っかったプロレスラーのつけ、みたいなもんがもろに出たと思っております。

 筋肉ひとつにしても、増強剤で作られたそれとナチュラルに鍛え上げたそれではあきらかに違う。意識が、おのれの研鑽の目的として修練する場合と、見せることを意識した修練では結果が“負”に出ることは火を見るまでも無く、あきらか。

 MMAブームは選手のギャラ高騰を生み、ますます“見せる”要素を強めつつあるようです。怖いですよ、今後。見せる為に見せる体を作り、大枚を貰い、また見せる体の維持の為、己の精神すら薬物にてコントロールしようと謀る。そんなこんなを考えると、なんだか私はもろ手を挙げて、この、いま、隆盛、MMAブームを拍手喝采とはいきません。

 コメント、誠に有難うございました。丈

posted by 美城丈二 | 2007-04-25 23:19

Re:加熱する、MMA勃興・ブームの先に訪れるもの。

>(忍ばせるということは、あくまでも有事の為に修練を積んでおくというのが大前提で…)
美城さんが新日道場に通われていた項、山本小鉄さんとの対談のお話しなどを読むに、まさにこのことかと、
少年時代、柔道を習っていた私が、中学時代に殴り合いのけんかをして帰った時、その腫れた顔を見た父は『どうして柔道を使わなかったのだ』『武道は自分の身を守る為の術もあるんだよ』と言われた事も思い出します。

posted by みのる | 2007-04-27 01:43

Re:加熱する、MMA勃興・ブームの先に訪れるもの。

ショービジネスは興行といわれる格闘技大会だけでなく、陸上をはじめ、オリンピック競技などのスポンサー契約然り、コマーシャル活動なども含め、お金が絡むことによって生まれる演出やマッチメークなど、純然たるアスリートの競技としては、なかなか、ありえない時代になってしまっているのでしょうかね。それでも我々、テレビがあったからこそ、猪木さんの狂気や輪島の蛙跳びや柔道山下の金メダルやカール・ルイスの走り(記録)などにワクワクドキドキさせてもらえたのだから、ショービジネス自体を悪くはいえないですよね。 薬物に走ってまで、自分の身を削ってまで、その世界で活躍していこうというのは、本当に『非』なのか?考えるところもあります。

posted by みのる | 2007-04-27 01:44