2007年11月27日

時代の目撃者・シリーズ“あのアングルの向こう側”『猪木一流の遊び心!?増殖!!ストロング・マシーン軍団!!それは窮余の名策であったのか!?否か!?新日本、ストロング・スタイルが死滅した瞬間!?』

 
  「あれはまさしく猪木一流の遊び心から生まれた名アングルだったねぇ」

 とある識者は随分以前のことだがそう、私に問いかけてきた。あの頃、私は胸中、複雑であった。・・・窮余の名策であったのか、否か!?

 全盛時、ましてS・小林氏や大木氏と熱戦を展開していた頃の“猪木プロレス”の範疇にはけして入らない代物ではなかったか?
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 時代はとうに峠を越えたとされるA・猪木氏に対峙していた長州力選手率いたところの旧・維新軍団、のちのジャパン・プロレス勢が大挙して全日本に“移籍”したあとのアングル、増殖ストロング・マシーン軍団投入という背景を有していた。もともとはあの“キン肉マン”登場を予見させるもので若松氏と共に会場に初登場した際は頭からすっぽりと布状のものを被り、ご丁寧にもその“キン肉マン”のキャラ・ぬいぐるみを配っていたくらいである。作者であるゆでたまご氏の了承は取り付けていたとされるが、版元である少年ジャンプ発行・集英社の許可は下りてはいなかったと聞き及ぶ。つまり、新日本の“フライング”による初登場という背景自体に時の新日本プロレスの“興行会社”としての慌てぶりが覗え、またひいては長州選手脱退が、いわゆるプロレス特有のアングルではなかったということをも思わせ、はてさてこの先、どうなることやら!?と思案した記憶がある。

 TV視聴率は長州選手脱退を受けても下がらなかった、観客動員数も横ばいであった、それはつまりこの増殖ストロング・マシーン軍団というアングル、ギミックがあったからだと定義付けする肯定派は鬼の首を取ったかのように胸を張るが、いかんせんまさしく金太郎飴の如し、リング外に三人も四人もおんなじような(!!)マスクマンがずらりと並ぶ情景はやはりどこかそれまでの新日本の闘い模様にはそぐわない情景のように思われた。ましてあの“ジャイアント・マシーン”なる誰だか一目瞭然、謎かけが謎かけになっていない有り様は、やはり多くの“反・新日本”連中の格好の嘲りのネタになった。

 当時、プロレス評論家の門馬忠雄氏はこのMr.アンドレ、ジャイアント・マシーンのギミックを初めて見て「新日本はなんということをするのだろう?」とMr.アンドレのプロレスラーとしての行く末を案じ、新日本プロレス側の“姿勢”を訝かわれたそうだ。

 猪木氏はこの増殖マシーン軍団の“成功”に味をしめたのか?こののち、あの悪名高き、“海賊男”のギミックを考案、自ら海賊に成りすまし、海外遠征中の武藤敬司選手を襲うという、アングルを断行し、日本のリング上でもこのギミックを度々三度と押し通したが、“暴動”という悲惨事を生んでしまい、中には新日本プロレスに見切りを付ける者さえ現れる始末であった。

 「ああなるともう茶番だね。滑稽としか言いようが無い。あれには“闘い”が無いよ」少なくともガチガチの往年の猪木信者たちはそう言って、ぷいと横を向いたものだった。

 時代は流れ、いまや芸人さんが“真面目に”リング上で学芸会をしてそれが「プロレス」とのスタンダードになろうかという状況である。本年、大晦日にてGT中継される“ハッスル”は沈滞するプロレス界を更に沈没させかねない背徳性を持つ。「やっぱり、そうなのね」と世間の揶揄する向きは呟くことだろう。

 生真面目にプロレスラー自身がギミックを演じるか、否かの違いだけだと増殖ストロング・マシーンと“ハッスル”を同一視する視点もある。プロレスこそなんでもあり・・・だがそこにいまや有る一定の観念は無くなった!?

 増殖ストロング・マシーン・・・はてさて一体、あれは猪木一流のプロレス頭、遊び心の名産物であったのか、どうか!?時代を振り返った時、懐かしいものがみなみな全て是であるなんてただの回顧趣味では無かろうか!?思い出すのはあの頃、“揺れ続けながら”TV映像を見つめていた私自身の胸中です。


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posted by 美城丈二 |09:12 | 時代の目撃者・シリーズ“あのアングルの向こう側” |
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