2007年09月03日

美しき微笑のアンドレ

 
 ようやく、『アンドレがいた!―“大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアントの黄金時代』 (エンターブレイン社・刊) プロレス・格闘技評論家として著名な門馬 忠雄氏のお作を読了することが出来た。何しろ、一応、書斎らしき体裁の部屋そこかしこにうずたかく積んである、ありとあらゆるジャンルの書物群の中から、この著作に触れることがようやくほんに叶った次第。

 氏の人柄を思わす癖の無い読みやすい文章体は、幼き時分から“執拗”なくらいに自身の文章体に拘ってきた私であろうのに、そういう思いを別個として忘れさせるほど、なんと読み終わって勘考が沸き立つ文章群であったことだろうか。

 幾人かのアンドレとなじみのあるレスラー達とのインタビューページが挿入され、国際プロレス来日時よりアンドレと親交のあった著者らしい温かみが全編に渡って漂う、情のある一作であろうと思えた。

 いまや、私が望むプロレス関係の書物群と申せば、こういった異人レスラー達の“ひととなり”を知ることが出来る作品群に止めを指す。

 ここのところあまり眠る暇も無く、ただくたくた・・・、
 普段、煩瑣な日常に追われているから働き過ぎたと感じる自身の脳髄にはあまりにも心地良いのです。  



 
 私も私なりにこれまでアンドレに関して様々な有為の場所で想いの丈を書き綴ってきた。だが、その“想い”は氏、門馬 忠雄氏には遠く及ばないことだろう。

 アンドレは一体、何を憂い惑い、一体、何に脅え、或いは何を人生の愉しみとしてその生涯を送っていたのだろう!?
 
 私の中のアンドレ、その最たる“悲劇”はあのアンドレvs前田戦におけるリング上に横たわった、けっしてそんなアンドレを見たくはなかったとも言うべき“惨事”あの光景が未だに眼(まなこ)に焼きついて離れないが、鬼神のような面構えで怒涛の如く責める猪木に怯んだが如く後退する、あの独特とも言うべきうめき声を発しつつの、あの情景ですら、記憶の底にこびりついて忘れ難い。

 私にはあと何年、何十年、時間というものが残されているのだろうか?無論、計りかねるがいつぞやかまたアンドレに関する私なりの勘考をしっかとものしてみたいものだと、思わせる門馬氏のお作でした。

 “人間山脈”アンドレ・ザ・ジャイアント・・・死して14年。若年のファンにはあのアンドレすら知らぬ世代もきっと居よう。“時の魔術師”時間の経過とは誠に残酷なものである。

posted by 美城丈二 |07:36 | プロレス、この果て無き浪漫 |
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