2009年07月07日

優勝のチャンスと引き換えに失う、貴重なもの。

 次に挙げる4人の共通点がおわかりだろうか?

 コービー・ブライアント。
 ティム・ダンカン。
 ポール・ピアース。
 ダーク・ノウィツキー。

 最近の10代のNBAファンにはわかりにくいかもしれない。

 ただ、すぐに答えを思い浮かべる人も多いだろう。


 そう、彼らは…
 10年以上のキャリアを持ちながら、一つのチームでプレーし続けているスーパースターたちだ。

 さすがにすごい顔ぶれであるし、息が長い。


 マイケル・ジョーダンと激闘を繰り広げた世代では

 マイケル・ジョーダン(ワシントン・ウィザーズ復帰は例外とする)
 ジョン・ストックトン
 レジー・ミラー
 デビッド・ロビンソン
 マジック・ジョンソン
 ラリー・バード
 アイザイア・トーマス

 など、これまた全員がレジェンドと呼んで差し支えないプレイヤーだ。


 
 では、2000年以降にNBAに足を踏み入れたプレーヤー、主にエース級で同様の共通点を持つ選手の名を挙げてみよう。


 マイケル・レッド。
 レブロン・ジェームズ。
 ドウェイン・ウェイド。
 カーメロ・アンソニー。
 クリス・ボッシュ。
 ヤオ・ミン。
 ドワイト・ハワード。
 アマレ・スダッタマイアー。
 クリス・ポール。
 トニー・パーカー。
 デロン・ウィリアムズ。
 ブランドン・ロイ。
 ケビン・マーティン。
 アンドレ・イグドーラ。

 まあ、ざっとこんなものだろうか。


 バスケットボール選手であるならば、必ずNBAでの優勝というのが究極の目標である。だから、優勝を目指してより良い環境へと移籍するのは当然であるし、何も悪いことではない。

 また、バスケットボールといえどこれはビジネスでもある。

 選手がそれ相応の価値を求めて、自分にふさわしい評価をしてくれるチームに移籍するのも至極当然である。

 
 だが、なにかやるせない、一抹の寂しさを覚えるのも事実だ。


 自分がフランチャイズプレーヤーと呼ばれる存在であったり、エースと称される者ならば、どうかドラフト指名されたチームでその夢を叶えてほしいものだ。それが、その土地の人間と、ファンの究極の願いでもある。


 だが、実際はそんな簡単なものではない。


 それでも私は、そのようなことを百も承知で、あえて提言させてもらっている。


 ケビン・ガーネットは十二分にチームに忠誠を尽くしたし、セルティックス移籍は、結果として最高の人生のターニングポイントであったとすらいえる。

 カール・マローンに関しても、最後の1年をシャック&コービーとゲイリー・ペイトン率いるドリームレイカーズに加入し優勝に臨んだわけだが、長い間所属したユタに対し、十分誠意をつくしたように思う。

 また、ガーネット、レイ・アレン、クライド・ドレクスラーのように移籍してすぐに念願の優勝を果たす選手もいる。

 そして何より、チームを離れたくないがトレードに出され、生涯1フランチャイズの夢を奪われたしまったアレン・アイバーソンやパトリック・ユーイングなど熱き魂を持った選手も多く存在するだろう。


 そういった各々の諸事情もあるわけだが、もう一度ここで考えてみたいと思う。移籍することだけが、本当に優勝に近づける要素なのかを。


 冒頭に挙げた選手のリストを改めて見てほしい。

 まだ、フランチャイズプレーヤーと呼べない選手やエース級止まりの選手もいくらか挙げているが、その点はご容赦願いたい。
 
 実は赤字で書いた選手というのは、見事優勝を勝ち取ったフランチャイズプレーヤーたちだ。

 そして青字で書いた選手というのは、ファイナルに出場した経験のあるフランチャイズプレイヤーたちである。


 ジョーダン世代(80年代や90年代)で挙げた選手たちでは、実はほとんどが優勝している。ファイナルに至っては全員出場している。
 

 ミラーがいたインディアナ・ペイサーズとストックトンの所属したユタ・ジャズも、フランチャイズプレーヤーが徐々に支配力を落とし始めた時期に、チームの熟成期を迎えた。

 また、サンアントニオ・スパーズは96-97シーズン、フランチャイズプレーヤーのデビッド・ロビンソンが怪我でシーズンをほぼ全試合欠場、チームが優勝争いから一転、最下位争いを演じるはめになった。だが、それは文字通りの怪我の功名となる。幸運とはどこにあるかわからないもので、翌シーズンのドラフト1位くじを見事引き当てたスパーズは、カレッジ最高評価を受けていたティム・ダンカンを指名。そして迎えた97-98シーズン、怪我が癒えたロビンソンと、戦前の予想通り、圧倒的な力を見せつけたティム・ダンカンとの超強力ツインタワーを結成したスパーズは、再び1年でさらなる強豪へと変貌を遂げたのである。そして、ロビンソンがダンカンをサポートする形に回った98-99シーズン。プレイオフで圧倒的な力を見せ続けたスパーズは、念願のフランチャイズ初優勝を飾るのである。ファイナルMVPを受賞したのは2年目のダンカンであったが、ロビンソンは大いに満足したに違いない。

 ロビンソン以外の選手がエースとしてチームを引率して優勝を果たすなんて過去には考えられなかったが、そういう運命だったのかもしれない。

 
 と、今挙げてきたように、長い間同じフランチャイズにいることは悪いことばっかりではない。いつどこで、どう状況が変わるかなんて誰にもわからないことだ。

 だったら、無理に移籍を志願しなくてもいいのではないかと思う。
 
 なにも移籍が悪いといってるのではない。
 
 ただ、最近の若い選手は、優勝できなそうと感じれば、すぐに移籍を検討し始める。それがチームフロントとの駆け引きならまだしも、本気で不満や希望を、簡単にメディアに対して口に出すようになった。これでは、大の大人がまるでただの駄々っ子のようで、みっともなく感じてしまうこともある。

 かつてのレジェンドと呼ばれたスーパースターのように、自分がチームを強くするんだという強い気概とその気持ちの継続さが欲しい。

 できる限りの最善を尽くし、それでも状況が一向に好転しないのであれば、その時初めて移籍を考えればいい。そういう選手には、ガーネットのようにきっといつか報われるだろう。

 ただ、一つのフランチャイズに残り見事優勝を成し遂げた選手を、ファンは永遠に忘れないだろう。

        シカゴブルズ=マイケル・ジョーダン

 というように、そのフランチャイズ=〇〇と記憶されれば、これほどアスリート冥利に尽きることはないのではないだろうか?

 だから、今の選手には忘れないでほしい。
優勝を目指し、簡単に移籍することだけがスポーツの醍醐味ではないことを。

 優勝のチャンスと引き換えに、多くのファンと大いなる未来の勲章が失われることを。


 最後に、レブロンを始めとする03年世代など、今をときめく大スターの決断を今から楽しみにして待とうではないか。

posted by yorkmilds |00:12 | NBAコラム | コメント(0) | トラックバック(1)
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