2009年07月04日

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

 08-09シーズン、2大エースを欠きながら奮闘したヒューストン・ロケッツのスター選手、ロン・アーテストが王者ロサンゼルス・レイカーズへの移籍が決まった。同時に、優勝に大きく貢献したトレバー・アリーザはロケッツとの複数年契約を締結する模様だ。

 まるで、トレードのように入れ替わった両選手。

 私はレイカーズのこのような判断に非常に憤りを覚える。レイカーズというチームは、優勝に大きく貢献した選手をこうも簡単に切ってしまう考えのようだ。きっと現在交渉中のラマー・オドムに対しても到底納得できないであろうオファーをしているに違いない。

 レイカーズはアンドリュー・バイナムに投資しすぎた。その影響が今回のアリーザの引き留め失敗とオドムとの契約問題が暗礁に乗り上げさせたに違いない。だいたい、バイナムがシャックのようになれると思っているのだろうか?彼は20点10リバウンドできる日がきたとしても、それはまだまだ先の話だ。そんな選手に、すでに10億も払うチームの神経を疑う。将来性うんぬんや、他チームに奪われるのを恐れたなんて言い訳は聞きたくない。せめて彼との契約は年6~8億に抑えるべきだった。その年2億のせいで、アリーザのようなチームに適した選手を失ったとしたら、これは愚の骨頂だ。オドムもさぞかしこの判断にはがっかりしているだろう。

 
 アーテスト加入のプラス要素


 *アーテストを獲得したからイーブンかそれ以上に一見感じること。
 *同じようにディフェンスができる選手であること。
 *むしろ経験はアリーザより上である。
 *フィジカルであること。
 *3番手でも活躍できることを証明していること。
 *ハングリーである。連覇へのモチベーションがチームにできる。
 *3年で約18億という高すぎない契約内容。
 *相手チームに恐怖心と脅威を感じられるスターター陣容。

 確かにプラス要素は多い。悪くない補強だ。アリーザが求めた契約内容が破格であれば、ベストの選択であったようには思える。

 
 だがなぜここまで非難するのか

 それはアリーザのほうがレイカーズにとってプラスだと確信していたからだ。昨年、アーテスト加入の噂があったときは賛成だった。しかし今季のアリーザの活躍は目に見張るものがあった。

 アリーザのことはルーキーの時から注目してきた。彼の高校生の時の試合の映像も持っている。(相手チームはレブロン・ジェームズで、しかも彼が高校時代のキャリアハイの得点を叩き出した試合であったのだが。)

 その後、オーランド・マジックに移籍し、マジックでは伝説の番号である1を背負いプレーした。マジックの背番号1はシャック&ペニーで有名なアンファニー・ハーダウェイと、当時全盛期を迎えていたトレイシー・マクレディーが背負った番号だ。

 マクレディーはペニーに憧れていた過去もあってか、プレーが鮮やかでありしなやか。なおかつ、時にはダイナミックにプレーを披露するという点で共通していた。そんな伝説的な番号を背負ったアリーザも、マジック時代に安定感はまったくなかったものの、時折見せる素晴らしいプレーには、非凡な能力を感じたものである。

 そんな彼がレイカーズへと移籍して間もないころ、持ち前の身体能力を生かして豪快なアリウープを連発していた。これはレイカーズの新たな武器になる、そう信じて疑わなかったが、怪我のためほとんどプレーすることはできなかった。その後、電撃移籍で加入したポウ・ガソールがあまりに素晴らしくその存在は目立つことなく、ファイナルでボストン・セルティックスに敗退し、シーズンを終えた。

 だが、体調を万全に迎えた今季は大いに躍動した。彼のディフェンスからのファーストブレイクで、チームの窮地を何度救ったことか。

 これはアーテストにはできない。アリーザだからこそできるプレーだ。

 結局、アーテストとアリーザが入れ替わってもレイカーズは十分強い。連覇も確実に狙えるレベルだ。(ガソルのスペインチームでの活動は来季への疲労の不安材料だが。)

 しかしながらあれほど貢献したアリーザという選手に対して、アーテスト獲れそうだから、提示内容で不満なら出て行っていいよというそのスタンスが気にいらないのである。誠意を感じられない。

 
 アリーザが優れているもの

 それは身体能力だ。 レイカーズのスターティング、ここでいうのは1~3番のポジションの弱点はランニングプレーだと思っている。弱点といえば大げさだったかもしれないが、決して得意ではない。コービーがいなかったらフィニッシュの精度はグンと落ちることだろう。そして、そんな場面でこそ真骨頂を発揮するのが、アリーザという選手だった。

 アーテストでは豪快にダンクもできないし、スピードもあるわけではない。チームにとって、ディフェンスからランニングプレーで確実に点数が取れないのは厳しい。

 フィル・ジャクソンはアリーザのようなタイプが好みであるはず。アリーザは、フィルが指揮してきた中では歴代一番のSFで理想でもあったオールラウンダー、スコッティー・ピッペンに近いタイプの選手だった。

 6フィート7インチはあるサイズに、NBA屈指の身体能力を持つ。さらにはディフェンスにも優れ、チームが必要としたことはすべて補完するプレーヤーだ。ただ、ピッペンより自分でオフェンスを作りだせないという点はピッペンにはるかに劣る。

 しかし、現在のアリーザはインサイドからのキャッチ&シュートを確実に決めれるようになったし、3ポイントも大きく精度を上げた。

 レイカーズにはインサイドの雄、ガソルがいて、オドムもいる。チームが期待するバイナムの存在もある。そうなると他に必要になってくるのは、デリック・フィッシャーと同様、フリーの時に確実にシュートを決められる選手とアリーザのように走れて身体能力が高い選手だ。

 だからこそアリーザは貴重であった。ファーストオプションになれるような技術はないが、現在のレイカーズに足りない点はアリーザで補完できていた。この4番手や5番手でも自分の能力を発揮できるレイカーズの環境はアリーザに非常に適していただけに、レイカーズの判断に非常にがっかりしている。アリーザはロケッツではマクレディーとヤオ・ミンなしでは輝けないだろう。脇役として光輝ける能力。これはアリーザの大きな特徴であった。

 アーテストに関しては今年終盤は3ポイントシューターと化していたように、若干プレーが偏りすぎている。アウトサイドからのシュートは上達したように思える。が、プレイオフでは確率が悪すぎたようにまだまだ不安だ。

 インサイドプレーも得意なアーテストだが、ガソルやバイナム、コービーもいる中、そのエリアでのプレーは多くは求められていない。

 アーテストは怪我も多いし、無駄に審判や相手選手と揉めて出場停止にでもなったら、連覇を目指すチームに迷惑をかける。

 またアーテストもアリーザ同様ディフェンスが上手い。だが、アリーザとはディフェンスのタイプが違う。

 アーテストは1対1などマンディフェンスには向いている。ポール・ピアースをマークするなら貴重な存在になる。

 ドウェイン・ウェイドやレブロン、カーメロ・アンソニーなど、彼らの爆発的に早い、ファーストステップには置いていかれてしまうことも多いとは思うが、コービーと二人ですばらしいディフェンスを披露してくれるのではないかとワクワクする面もある。


 だがレイカーズファンは来年は見ることができない。

 
 相手のインバウンズパスを、驚異の身体能力と非常に長い腕を生かしてスティールし、ワンマン速攻から豪快なダンクを叩きこみ、チームに大きなモメンタムを引き寄せるあの選手の姿を。

posted by yorkmilds |22:40 | NBAニュースと私見 | コメント(6) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/yorkmilds/tb_ping/22
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

おっしゃるとおりだと私も思います。

ただ、安かったので、この交換獲得については、アーテストを獲得した方がよかったのかなと思っています。彼はオフェンス力がありますから。。。

まあ、ロケッツファンの私としては、年1200万ドル要求されたアーテストよりもいい買い物でした。
確かに、オフェンスではアーテストに劣りますけど、アリーザは自分の出来ることを知っていて、無理が無く、かつ、有益なプレーが出来ます。おまけにアスリートに富み、手足も長く、マグレディ次第では、本当に素晴らしい活躍になると思います。
まあ、マグレディ・ヤオがいなくても、ブルックスが切り込んだ後のパスアウトをきっちり決められる選手は大歓迎ですよ。

ついでに、アーテストは、緩慢なディフェンス(バティエよりも)でコービーにスピードで振り切られまくってましたから、通常のSGにつくのはもう無理なのではないでしょうか。

posted by 茶屋 | 2009-07-05 01:39

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

 コメントありがとうございます。

 おっしゃる通りですよね、アーテストはフィジカルな強さだけに頼りすぎ、またはそれに頼らざるを得ない状況になっている気がします。現在、NBAにいる若いスター選手を抑えるにはかなり厳しい気がします。

posted by yorkmilds | 2009-07-05 02:14

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

アリーザ、レイカーズを去るんですか?
ショックです、彼はとても良い選手だと思っていたので、今回のNBA制覇は彼の力も非常に大きかったと感じています。彼をチームに残す事に力を入れてほしかった。

posted by ふぁんた | 2009-07-06 00:04

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

 私もそう思います。彼の貢献は計り知れないものがあったと思うので、残念でしかたありません。

 選手同士のスタッツだけで見ればアーテストはかなり安い買い物ですが…。

 ちなみにアリーザはロケッツと5年で約30億円の契約に合意したそうです。

 契約年数がネックだったのもあるかもしれませんね…

posted by yorkmilds | 2009-07-06 00:32

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

激しく同意です。

彼の成長=ファイナル制覇、といっても過言でないと思っております。
アリーザあってこそのショウタイムバスケット。
来シーズンは観ることができないと思うと残念でなりません。

posted by mikemike | 2009-07-08 16:59

ロン・アーテストが王者・レイカーズへ

コメント投稿者ID :

mikemike さん

貴重なコメント、ありがとうございます。

アリーザ自身もきっと、今シーズンを振り返った時、ようやく安住の地を見つけたと思っていたはずですよね。

それをいとも簡単にこんな結果になってしまうと…。

残念で仕方ありません。

posted by yorkmilds | 2009-07-08 20:53

コメントする

「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。

※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
  例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」

※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
  例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」