2009年06月07日

2009NBA FINAL第1戦と第2戦の展望

 今年のNBAファイナルは、レイカーズの大勝で幕を開けた。
予想以上の圧勝ぶりに、少々拍子抜けしてしまった感もあることだろう。

 レイカーズが圧倒的な強さを見せつけたといいたいが、マジックが自滅し、レイカーズが普段よりちょっといいプレイをしたに過ぎない。

 もちろん、レイカーズやコービーの勝負を決めに来る時の勢いはすばらしかったが。(象徴的なのは第3Qだろう)

 なんといってもコービーは、さすがと唸らせられるようなプレイを連発。昨年の雪辱に燃えるこの男は、自身のファイナル最多得点である40点を含め、8リバウンド、8アシスト、2ブロックに2スティールと、NBAを代表する大エースぶりを世界中に披露。マジックのディフェンス陣を圧倒した。

 そしてガソルとバイナム。

 バイナムは、ハワードの対決で圧倒的不利が予想されていた。しかし蓋を開けてみれば、積極的なオフェンス、リバウンドで奮闘。ハワードのポストプレーには成す術なくファウルする場面もあったが、十分互角といっていいハッスルぶりであった。

 インサイドの相棒、ガソルもハワードから値千金となるオフェンスチャージを2回ももらうなど、攻守ともにインサイドを制圧。さらにはベンチからの出場で、縦横無尽に駆け回るオドムの活躍もあり、ペイントエリアでのポイントは56-22と完全にインサイドを支配し、勝利をもたらしたのであった。



            第2戦のポイントを挙げてみる。

 絶好調であるコービーをどう止めるか。

・コービーを1ON1で止めるのは不可能に近いかもしれない。マジックのディフェンス陣はレブロンのディフェンスには多少なりとも成功した。

解説の塚原氏も言っていたことなのだが…

 レブロンは、まず自分のアドバンテージを生かしたドライブから自分の得意な態勢に持ち込んでシュートというのがパターンだ。つまり自分の武器である「速い、強い、高い」を最大限に生かすシンプルなドライブを好む。なので彼の苦手なゾーンに導く、もしくは予測する、ダブルチームするなどの選択肢が功を奏すことがある。(むしろ、あれだけシンプルなプレイであそこまでの成績を残せるレブロンは尋常ではないし、恐ろしい選手での所以でもあるのだが。)

 だが、コービーは少し違う。
コービーは、どんな状況、態勢からでも自分の得意な形に持っていける選択肢と技術がある。簡単に言ってしまえば、シュートに持っていくまでのムーブが歴代一番といっていいくらい多いのだ。

 スピンターンやターンアラウンド、フェイダウェイにステップバック。ダンクもダブルクラッチもフックシュートも思いのままだ。いつ、どんな場面でそれを選択してくるかは、全く読めるはずもなく、最近ではより多くのパスを回すようになってきているので、ますます予測ができない。

 もちろん、コービー・レブロンにも苦手な選手はいるだろう。

 ただピートラスはコービー相手に善戦するのではないかと感じていただけに驚きの結果となった。(しかし、ピートラスは良いディフェンスをしていた、コービーがすごすぎたというべきだ)

 ひとまず、リーではコービーを抑えられない。
 高さもフィジカルも経験も違いすぎた。コービーのポストプレーにも全く対応できなかったので、ピートラスの出場時間を長くするべきだろう。チームFGが29.7%という、私が見た中で最もひどいファイナルの中で、オフェンスでもそこそこの調子の良さを維持していた。

 あとはコービー絡みの2対2のピック&ロールの対処は絶対にマジックが修正しなければならない点だ。

 第1戦では、コービーにシュートやパスと好き放題やられてしまった。スイッチするのか、ファイトオーバーで防ぐのか、ブリッツするのか。

 個人的には、コービーのテンポをわずかでも狂わせるため、もっとショウディフェンスをするべきかなと思う。全てが半端にディフェンスしたため、わずかな隙間をコービーに良いシュートや良いパスをされたように見える。


・ネルソンとオルストンのPG問題

 これはスタン・バンガンディーが采配ミスを認めているようだが、私もやはりオルストン中心で行くべきかと思っている。

 ネルソンが復帰すると聞いた時、出場するにしても10分から15分くらいだと思っていた。しかし、まさかの約24分とオルストンと変わらぬ出場時間。さらには2Qなどはほぼでずっぱりという変則的な出場であった。

 確かにバンガンディーの気持ちはわからなくもない。ネルソンは今季キャリア最高のシーズンを過ごしていたし、3ポイントに至ってはリーグでトップを争うくらい高確率で決めれるようになった。だが4か月も戦線を離れていたうえに、オルストンはその間、なんとか苦労しながらアジャストしファイナルまでスターターとして導いたのだ。

 せめて今ファイナルだけでも、オルストン中心で戦うべきで、ネルソンはあくまで控えとして扱うべきで期待しすぎるべきではない。

 ただ、実際ネルソンも出場した時はすばらしいプレーを連発し、マジックに貢献した。見事なアシストもいくつかあったが、徐々にシュートセレクションが悪くなっていった。得意の3ポイントを打てる場面でも打とうとしないネルソンは、まだ肩の調子が悪いのかもしれない。

 それでもネルソンを引っ張り続けたバンガンディーはやはり反省するべきであろう。

 オルストンもあまりにFGパーセンテージが良くないので、コーチが悩むのは仕方ないかもしれないが、彼のここまでチームを引率してきた意地とプライドを、ぜひ見せてほしい。


・マジックの両ウィングのプレーヤーが復活なるか

 言うまでもまくルイスとターコルーのことである。
 彼らはハワードが今回のように絶不調だった場合、どうステップアップするのか、そこが最大のポイントだ。今回のような出来ではレイカーズには全く歯が立たない。彼らはハワードなしではなにもできない、そう言われないように今こそ奮闘するべきだ。

 ルイスはガソルへのディフェンスに力を注がなければならない一面もあり、ほとんど点を取れず終まいであったが、フリーでは3ポイントをしっかり決められた。だが、インサイドで全く点数を稼げないのは辛い。持ち味の多彩なオプションで、もっとインサイドでも得点がとれるようにしていきたい。

 ターコルーはファイナルに入って、全く気配がなくなってしまった。アリーザのディフェンスは良いが、それ以外のプレーヤーならもっと本来のプレイをしたいところだが、レイカーズの強力なインサイド陣になかなか良いプレイをさせてもらえなかった。特にネルソンがいるとポイントフォワード的なプレイをする彼の強みは薄れ、シュートを打つのが好きなオルストンの方が、ターコルーのプレイエリアが広がるような印象もうけた。

 そして最後はやはりハワード。

 序盤のオフェンスファウルでリズムや本来の勢いを失い、ディフェンス時にも全くアグッレシブさがなかった。セルティックスとのシリーズのような、鬼神のような姿は影を潜め、オフェンスでも無理を重ね確率が悪かった。レイカーズはリバウンドがリーグ1強いチームであることを考えれば、彼の不調はレイカーズの圧倒的有利を意味する。

 レイカーズに先手を打たれれば、彼らが誇る多彩なオプションに苦しまされ、ルイスなどもディフェンスにばかり注力しなければならない悪循環が起こる。そういうことを考えても、どうしてもハワードはバイナムやガソルを圧倒しなければならない。数でいえば、圧倒的にインサイドのタレントの数はレイカーズに劣る。だからこそハワードは、奇しくもレイカーズ時代のシャックのような、圧倒的な活躍が求められているのだ。皮肉にも、マジック時代ではなく、レイカーズ時代のシャックのような…。


マジックの力はこんなものではない。
マジックはアウェーでも数々の強豪を破ってきたことを忘れてはならない。

巷ではスウィープなんて声も聞かれるが、そう簡単に起こらないものだ。

なにより、ファイナルはまだ始まったばかりである。



ファイナルを盛り上げるためにも、大いにマジックの逆襲を期待しようではないか。

posted by yorkmilds |15:29 | NBAコラム | コメント(0) | トラックバック(0)
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