2008年07月17日

万感の想い

20年前は想像できなかった=川淵名誉会長、担当記者と懇談

万感の想い・・・だろう。「20年前には想像できなかった」というのは。本当にそう思う。

僕が一番現役として走り回っていた30年前になるともっともっと考えられなかった。だいたい「自分の目の黒いうちには絶対に日本はW杯には出ることができない!」と、この僕自身も当時は言い切っていたもんで。

例えば30年前、「ジャパンカップ」という大会がありました。当時は日本でも滅多にない代表の国際試合です。相手はシーズンオフの物見遊山に近いヨーロッパのクラブなどに、日本代表(当時は全日本という表現もありました。日本選抜というチームもありました)は事前合宿を1ヶ月も行って、この親善試合に臨んでました。

にもかかわらず、試合結果は0-1(試合内容は0-3)。翌日の新聞での見出しは「日本サッカー、プロ相手に善戦!」「日本サッカー、惜敗!」「日本サッカー、互角の内容」てなもんで、ほとんど「大本営発表」に近い。その試合の写真に写っている国立のスタンドはガラガラ・・・でした。くどいようですが、プロと言っても相手は代表でもなんでもなく、ブンデスやプレミア(当時はイングランドリーグ)の中位クラブなんです。それもシーズンオフでの若手中心。自分達の立ち位置と彼等(世界)の立ち位置との膨大な「距離」に考えただけでも気が遠くなりました。

20年前、Jリーグが出来る前です。「日本にプロサッカーができるらしい」という噂が流れたときにも、「そんなんが出来るわけないやろ?今の日本リーグの観客人数が何人か知ってるか?」と同僚に諭されたときに、根拠のある反論はできんかったです。「いや、サッカーはワールドワイドなスポーツなんや」とか「知ってるか?ワールドカップがあるときには国民はみんな仕事を休んで街はガラガラになるんやで!」とか「野球っていうスポーツは、世界ではどマイナーなんや」って言っても、それが「日本サッカーのプロ化」を正当化する理由にんは何にもなってないわけです。

確かに、「ヤンマーVS三菱」を見ていた私が、当時の「古河VS日立」なんてカードを見て「昔に比べてサッカー自体が面白くない」なんて批評してたぐらいやから。2,000人も入れば「大入り感」があった当時の「日本リーグ」から誰が20年後の今を想像しただろう?「ダイヤモンド・サッカー」の画面に映る緑の芝の鮮やかさと、腹に響くスタンドの歌声。日本のスタンドでチアホーンの音が「プープー」鳴っているのとの対比が印象的でほんと死ぬほど羨ましかったもん。ヨーロッパ人が。

メディアの扱いという意味でもまったく同じ。スペインW杯のアジア予選は代表の試合は放送もありませんでした。今でもはっきり覚えています。「日本サッカー」のW杯予選の結果を知りたくて、NHKのスポーツニュースをずっと見てました。最初はもちろんプロ野球。巨人VS○○の結果を見、「さぁ、次はサッカーの結果かな?」と期待してたら、次はゴルフ。「次か?」と思えば次はバレー。その次・・・その次・・・「え?もうあと3分でニュースの時間が終わるやないか?」と思ったときに、「フリップ」で結果が(確か記憶では2-4で日本の負け)。それも10~15秒ぐらい映っただけ。誰が点を入れたのか、その10秒で確認しないとあとは明日の新聞を見るまでは知ることもできん・・・。当時インターネットがあったら。なんてことを想像する概念自体がありませんでした。


その時代から四半世紀もたたない今、「日本代表のW杯予選の試合が今日TVで放送があるかないか?」なんて心配する人間はもう一人もいないでしょう?でも当時W杯予選でさえ放送がなかったわけで「今日はサッカーが見られる!」と絶対的に保証されてたのは「日韓戦」と「天皇杯決勝」ぐらいかな。その時「さすが天下のNHKやなぁ~損得抜きでマイナースポーツを放送してくれるんは、やっぱりここだけや!」と、変に感心してました。ですんで「日本でW杯をやっても、その時に甲子園で「阪神VS巨人」があったら、みんな(特に民放なんか)そっちに行っちゃうんじゃないのか?」「ブラジルvsイタリアやってても阪神vs巨人を放送するんじゃないのか?」と、本気で心配していたのがウソのようですな。

日韓W杯のロシア戦やチュニジア戦やトルコ戦。の当日、実際サラリーマンは仕事をサボったし、臨時休業をする店は続出したし、午前中で就業終了を堂々と宣言した会社の社長もいたし、それが「ほほえましいニュース」として全国に流れたし、「今日はサッカーを応援する日」というムードが一気に日本に拡がったし。それに、あれほど心配していた「プロ野球」自体が日本戦の日は試合自体を取り止めたし・・・。


そういう時代から・・・何もなかった時代から・・・枯れた茶色い芝しかなかった時代から・・・あるのはサッカーへの熱い思いだけの時代から・・・ワールドカップがただひたすら憧憬であった時代から・・・・・・ガラガラのスタンドで木枯らしに吹かれて選手を見守っていた時代から・・・クロスとセンタリングの区別もつかなかった時代から・・・システム論も戦術論も一部の人間のものでしかなかった時代から・・・

代表のシステムを語る時代へ。代表選手を語る時代へ。世界のサッカーを語る時代へ。世界へ追いつこうとする自分達を知る時代へ。自分達のサッカーを考える時代へ。そしてサッカーが生活の一部になり、サッカーで人生を語り、サッカーで自分の生き方を語り、サッカーで自分を表現する時代へ。

僕達はここまで来たんやねぇ~。そう思うと、万感がさらに胸に迫ってきます。

川淵さん、お疲れ様でした。

在任中は何かとありましたが、我々がこのような至福の時代を生きることができるようになった、その何分の一かは間違いなく貴方の功績によるものです。これからは我々のために、我々の子ども達のために、その子ども達の子ども達のために、日本中を緑の芝生でいっぱいにしてください!

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posted by 読裏クラブ |20:40 | サッカー ヨモヤマ | コメント(1) | トラックバック(0)
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万感の想い

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静岡だと日曜の早朝に放送してたんですよね、ダイヤモンドサッカー。
子供のころ朝起きるとチャンネルを合わせて、サッカーという競技が何なのかも知らないまま、ただあの”ウォー”というどこでも聞いたことない低音の歓声と、人で満ちたスタジアムをに魅了されてた。
今では、心に刻まれた懐かしくて憧れの原風景の記憶となっています。なんか懐かしいんですよね。
比べると日本もまだまだ、と思ってしまうけどやっぱり川淵さんには感謝しなくちゃいけないですね。


posted by くらげ | 2008-07-17 21:24

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