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17.9.15 多すぎる巡業の弊害では

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 古くから大阪春場所は荒れると言われる。場所の初日はストーブ・ヒーター必須な厳しい寒さではあるが、千秋楽にはぽかぽか陽気で桜の話題が出てくる時期である。ところがここ数年は、場所の初日はクーラーをつけて、千秋楽には徐々に葉が色づき始め、「つるべ落とし」という季語通りに日の落ちるのが早くなるこの時期の「荒れる東京秋場所」となりつつある。  思い越せば二年前は白鵬が横綱昇進後初の休場、昨年は豪栄道が全勝優勝しているのだからそう思っても仕方ないか。というように考えていたのだが、今場所は勝手が違う。今日六日目の取組を見てみると、上位の名前が出てくるのは結び前の豪栄道、そして結びの日馬富士だけである。横綱が四人、大関が三人いる場所としてはかなり異常な事態だ。というか、そうでなくとも異常な事態だ。

 場所前、鶴竜は足の状態が、稀勢の里はかの春場所での肩の状態が回復せずに休場という道を選んだ。鶴竜は次の場所が進退を懸けた場所になるため、賢明な判断である。稀勢の里にしても、まだ今後があるのだから同じく賢明な判断だ。  二人がその判断を下した次の日、白鵬が休場を明らかにした。先場所中に痛めた右足の回復が思うようにいかない中で、巡業では「一人横綱」として休めぬ状況の中、日馬富士の復帰まで一人でずっと地方のファンに横綱を見せたことへはまさに敬意を抱く。その上で、やはりこちらも賢明な判断だったのではないかと思う。  その結果、今場所は肘に不安を抱えた日馬富士が一人横綱となり、大関では高安、そして角番の豪栄道、同じく角番照ノ富士という状況での初日を迎えた。だが、三日目に高安が無念の肉離れで翌日から休場。照ノ富士も五日目の取組で膝を痛めて休場、この結果大関陥落が確定的となった。そうして、結び前にようやく大関が登場して、結びで一人横綱が相撲を取るという異常事態に発展してしまった。

 果たしてその要因は何だろうか。「ガチンコ相撲」が増えたからだという意見もある。力士の巨大化が招いたという意見もある。あるいは四股が足りないのではないかという意見もあるが、私は巡業が多すぎるということに一因があるのではと見ている。  昨年の巡業は75日間にも上った。本場所が15日、6回で90日あるのだから、トータルでは165日である。プロ野球でもシーズン、CS、日本シリーズを合わせても最大156試合であるのだから、それ以上だ。巡業ともなれば毎日移動にもなる。地方のファンの前で手抜きの相撲を見せるわけにもいかない。そう考えるとあまりに多すぎる気がしてならない。  もちろん、巡業だけが原因、ということではないだろう。今の時代、力士の平均身長は185センチ、体重は165キロだという。北の湖の時代や千代の富士の時代とはずいぶんと変わった。その力士が、土俵際で踏ん張れば膝に来るのは想像に難くない。それが本場所の15日間だけではなく、巡業でも続くという二つの要因が複合的に絡み合って今回の時代と招いたのではないか。

 巡業は若手が上位に胸を借りる機会でもあるという意見は十分に理解している。だから0にしろ、というつもりはないが、せめて半減の40日間、あるいは50日ぐらいに減らせないものだろうか。  チケットがすぐに売れる時代になった。本場所を見に来れない人たちに大相撲を身近に感じてもらおうという趣旨は理解できるのだが、テレビに「強い」力士が映らないようでは結局人気は上がらないのではないか。北海道や東北、北陸や中国四国は身近な場所がないのだから巡業する必要がある。だが、埼玉や千葉、神奈川で毎年毎年巡業する必要はあるだろうか。「関東の皆さんはぜひ国技館でご覧ください」ではダメだろうか。何年かでローテーションで回せばいい。あるいは、75日前後で替えない代わりに、巡業の前半と後半で力士を二つの組に分けるというのも一つだろう。  巡業は身近で、また本場所では見られない力士の素顔を見れる貴重な機会である。だが、その本場所に影響してしまうようでは考え物だ。なんとか協会にはそのバランスを取っていただきたい。そう感じたこの上位陣の「集団休場」だ。

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相撲
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白鵬
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