2006年12月22日

カヌの躍進はポーツマスの躍進

 
 11月、プレミアリーグに所属するポーツマスは今シーズンリーグ3位、また今シーズンから新たに加入したナイジェリア人FWヌワンコ・カヌに至ってはリーグ通算9得点を挙げ得点ランキングで単独トップを走っていた。05年~06年シーズンのリーグ結果は17位だっただけにまさに大健闘、大躍進といえる。しかしそれでも世間の関心は低く、メディア、マスコミはポーツマスやカヌについて大きく取り上げることはなかった。それもそのはずだ。まず、チームにはスターと呼べる選手はいない。スタジアムも2万人ちょっとしか収容できず観客動員数も決して多くない。またタイトルとは50年以上も縁がなく、毎シーズン残留争いを演じてしまっているチームなのだ。故に私は好調なポーツマスについての情報を今この時期に欲していたし、そのように感じている方々もいるのではないかと思っている。しかし残念なことに私がこのコラムを書いている12月20日の時点では、ポーツマスのリーグ成績は6位に落ち込み、さらにチェルシーのドログバが通算10得点目を挙げカヌも得点ランキングトップの座を譲ってしまうなど、ますますポーツマスへの注目度は下がるばかりというのが現状だ。
  よって、私の知っているポーツマスについての情報は多くない。でも“カヌ”は、私が特に愛する選手の一人なので少しはお話できる。私自身カヌが在籍したことによってポーツマスに興味を持ったように、読者にもカヌという選手を知ってもらうことによって、ポーツマスというクラブチームを少しでも興味を持ってもらえたら、と思っている。
 まず、カヌといえばなんといっても197センチもある身長が目に留まる選手だ。しかもその長身では考えれないような高いレベルでのテクニックを持っており、簡単にボールを失うことはない。しなやかで柔らかい長い足を使って独特なリズムを生むカヌのポストプレイは、異次元の空間を作り上げる。
 そんなカヌの絶頂期は96年。その年に開催されたアトランタオリンピックでは、ナイジャリア代表キャプテンを務め見事優勝を飾るなど、世間の注目はカヌに降り注いでいた。そしてその直後、カヌを獲得としようと動いたのがセリエAの強豪クラブ、インテルだった。だが入団の際に行なわれるメディカルチェックで、心臓全膜症という深刻な心臓の病に犯されていることが判明した。手術によってなんとか一命はとり遂げることはできたものの、「リハビリ次第では歩くことはできるだろう。」という医師から宣告された言葉はあまりにも残酷で悲しく、選手生命に終止符を打つ決断を迫れた。だが、カヌは諦めなかった。「もう一度、ピッチに立ちたい」その一心で懸命にリハビリを続けた。そして98年2月9日、フィオレンテイーナ戦の後半40分。カヌは15ヶ月という月日を経て再びピッチに戻ってきたのだ。この奇跡とも言えるカヌの復活劇を人々は心から祝福しスタジアムの大歓声は長く続いた。
 しかし、以前のようなパフォーマンスを再現することは決して簡単なことではない。その後在籍したプレミアリーグのアーセナルではベンチを温める日々が続き、年月はただ流れていく。それでもカヌはただひたすらに練習を積み重ねてきた。と同時に支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを忘れることもなかった。
 そして今、心臓の病から9年が経った。いつでもサッカーを愛してやまないこの男は、あの頃の輝きを取り戻しつつある。その居場所はポーツマスだ。カヌが得点を取り続ける限りポーツマスが残留争いを演じることはないだろう。私はそう信じて疑わない。そしてカヌとポーツマスの躍進に強い感動を覚えた私は、これからも応援し続けるに違いない。   

posted by 安居雄二 |21:01 | 海外 | コメント(4) | トラックバック(1)
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2006年11月24日

U-21日本VS韓国 観戦レポート

【主役は水野】
一度(ひとたび)ボールを受けると聖地国立競技場は沸きあがった。色白でまだ幼さが残るこの青年を誰も止められない。その術を知らない韓国ディフェンスは一人、二人、あるいは三人と寄ってくる。それをあざ笑うかのようなドリブル。きれいな弧を描いたクロスボール。水を得た魚は、右サイドに芸術を生んだ。
 振り返れば、ワールドユースオランダ大会。その大会でも、水野がピッチに立てば正確なパスでチームの起点となっていた。フリーキックではゴールを奪ってみせた。だが、それまでだった。現日本代表のオシム監督からは「フリーキックとロングスローだけでは戦えない」と皮肉られることもあった。調子に波があり、フィジカルも弱い。ベンチを温めることなど珍しいことではなかった。
水到りて魚行く。(学問を続けていれば自然と徳が身に付くという意味)まさにこの言葉通りではないだろうか。負けず嫌いの水野は、所属するジェフユナイテッド市原・千葉で必死に練習を積み重ねてきた。まずは、90分間走れるフィジカルの強化。そして、もともとテクニックのある選手ではあったがそれをどのように試合で活かすか。さらに、今や有名となったオシム監督の「考えて走るサッカー」をどのように表現するか。
そして遂に韓国戦ではやってみせた。オフ・ザ・ボールの動きでフリーとなるポジションを探し続け、逆サイドでボールを惹きつけている家長からのサイドチェンジのボールを何度も受けた。さらに、ディフェンダーが寄ってくると、一度スピードを緩めてから俊敏なドリブル突破で一瞬にして相手を置き去りにするなど、誰もが貫禄を覚えた。A-代表に呼ばれる日も近いはずだ。
 
【連動性】
 そもそも、いくら水野が孤軍奮闘していてもチームとしての連動性がなければそう簡単に試合に勝てるものではない。まだ記憶に新しい06年ワールドカップのオランダのように。優勝候補の一角とされていたオランダは、局面を一人で打開できるロッベンを中心にグループリーグを勝ち抜いた。だが、決勝トーナーメント1戦目のポルトガル戦で、完全にロッベンを封じられてしまい結局ベスト16に終わってしまった。クラブチームでは、セリエAのローマがトッティ頼りの戦い方でその輝かしいチームの歴史とは裏腹に、近年おもうような成績を残せないでいた。しかし最近では、トッティを1トップの中央に配置した布陣にしたことが当たり、中盤からの第二、第三の飛び出しが増えたことによってチームとしての連動性が生まれ好成績を得ている。
 そこで、韓国戦である。チームとしての連動性が試されることになったのが、この日スタメンに名を連ねた左サイドバックの家長のポジションだ。もともと、爆発的な攻撃力に魅力がある選手でサイドバックとなると、守備において少なからず不安がつきまとう。私は日本の3トップの左つまり苔口と、家長が攻撃参加した際のポジションが重なってしまうのではないかと、その結果攻撃と守備で中途半端になってしまい左サイドを韓国に突かれるのではないかと、そう思っていた。それは、A-代表でジーコ監督体制の時にみられた三都主の起用法に似ていたからだ。
 しかし、蓋を開けてみるとどうだろうか。開始早々、家長のドリブルで何度も左サイドを切り裂いていく。その縦への突破はあきらかに韓国ディフェンスを翻弄していた。それには苔口の効果的なフォローがあったからこそ成し得たといっても過言ではない。つまり「今日は完全に左サイドだったのでサイドにスペースを作って家長を上がらせようと思っていた」という試合後のコメント通り、苔口の中央に絞る動きが家長の攻撃力を活かしたのだった。そして左サイドに韓国のマークが集中すると、逆サイドの水野へと大きな展開をみせ、ピッチを広く使うことができていた。心配されたサイドバックの守備は、ボランチの青山(敏)がしっかりとスペースを埋めていた。少なくとも、家長は存分にアピールできたはずだ。
 そもそも家長のポジションは代表の試合になると、この日は太ももの張りを訴え欠場した本田がそのポジションを担うことが多い。家長が積極的なドリブルであれば、本田は正確なパスといったところか。さらに言うと、最近本田はA-代表にも選出されたが家長はまだ選出されていない。そこで二人の共存は有り得るのか、それともライバルとして競うことになるのか。監督としては嬉しい悩みのはずだ。いずれにせよ、チームとしてプラスとして作用するに違いない。

【勝ちきれない】
 この世代の両国の対戦で、日本は一度も勝ち星をあげたことがない。この試合についていえば、韓国は主力メンバーが帯同していないこともあり飛車角落ちのメンバーで来日した。試合結果は1-1のドローであったが試合内容は日本が圧倒していた。徹底したサイド攻撃は機能していながらなぜ勝ちきれなかったのだろうか? 
本調子ではないと囁かれながらフル出場を果たした平山。確かに決定的なチャンスを外しまくっていた。それでも高さやポストプレイではらしさをみせ、徐々にではあるが調子を取り戻しているかのようにみえる。平山の経験地はこの世代の中でズバ抜けておりトップコンディションを取り戻せば必ずチームの武器となる。確かにフォワードといえばゴールを求められる存在ではあるが、この試合についていえば勝ちきれなかった一因ではあるが要因ではない。
私が考える最大の要因は、中盤の選手つまり梶山と増田の飛び出しが少なかったことにある。1トップという布陣で挑むのであれば、中盤からの飛び出しが非常に重要だ。何度サイドからクロスをあげても、ターゲットが平山だけではディフェンスも守りやすい。元に、日本の得点シーンは水野が溜めを作ってからあげたセンタリングに中盤から飛び出してきた増田が頭で押し込んだものだった。この時、ペナルティーエリアには実に4人もの日本人選手がいたのだ。人数がいればいるほど、得点の可能性が増えることなどいうまでもない。ここでいえることは、梶山と増田は、一度足元でキープしてからボールを動かすタイプであり、本来前線に飛び出すようなタイプでないということだ。
そこでこの試合は、谷口や枝村といった人が動くタイプの選手と交代させることが必要だった。谷口が出場したのは84分のことであり、枝村に限っては出場すらしていない。ちなみに谷口はボランチというポジションでありながら、その積極的な飛び出しによりJリーグでは今季12得点をあげている。他に考えていたことがあったのか、それともそのことに気付かなかったのか。交代カードを6枚使えるというこのような試合で、消極的ともとれる監督のこの采配にははっきいって正直疑問符がついた。もし私が記者会見の場にいたらそのことについて尋ねていただろう。非常に楽しみなU-21日本代表なだけに、それだけが心配でしかたがない。

posted by 安居雄二 |16:39 | 日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2006年09月18日

川崎フロンターレ打ち合いに負ける

 みなさん、こんにちわー。サッカーを愛し追いかけ続ける22の男、安居と申します。私は、普段は専門学校に通い、アルバイトで生活をやりくりしている普通の人間でございます(笑)今日は、2006 Jリーグディビジョン1 第23節 等々力競技場で行なわれた川崎フロンターレVSジュビロ磐田 戦の模様をお伝えいたします。とはいっても私は、生まれも育ちも川崎ですから、フロンターレサポーターとして報告いたします。
 対戦相手のジュビロはアジウソン監督が指揮を執ってから、徐々に調子をあげて現在8位。しかも前節は、アルビレックスに7-0と圧勝しており、アジウソン監督のブラジル式ジュビロがチームに浸透しているようです。ちなみに私は先日、静岡まで、ジュビロを取材させていただきまして、その強さは十重分かっておりますし、調査は万全です(笑)
一方、我がフロンターレは、Jリーグ屈指の爆発的な攻撃力を武器に現在2位。首位のガンバとの勝ち点差は2。その上、次節はアウェイでガンバとの対戦が控えているため、こんなところで負ける訳にはいきません!今日はきっと、点の取り合いになりそうです。
 今日は生憎の雨……。いつもなら2時間前に到着すれば簡単に車を駐車場にご案内できるのですが、直前に行なわれていたOBの試合の影響でどこも満車です。やはり、車で来ることはお勧めできません(笑)結局40分くらい探し回ってようやく駐車できる始末。そして、いざ! スタジアムへ! これまた、いつもなら簡単に絶妙な席を確保できるのですが、今日は皆さんお早いようで、もう座るところなんかないんじゃないんすかっ!? 雨に濡れぬよう屋根付きの席を探し回って、何周したことか……。これまでに見たことあるサポーターさんや、お世話になったことのある記者の方々とすれ違い、ようやく見つけたポジションは悲しいことに屋根なし(涙)こうなったら私も気合いを入れて、選手と共に雨と戦います!
 キックオフ!
 フロンターレのスターティングイレブンは、いつもなら名を連ねている中村やマギヌンが今日に限っていません!? 代わりに原田と今野が! なんでだ? 温存か? 戦術か? もしや怪我!? なんだか今日はどこもかしこもいつもと違いますな……。と思考錯誤しているうちにも試合は進みます。2分、5分、6分と立て続けにシュートを放たれ、立ち上がりは完全にジュビロペース。そのジュビロの最終ラインは高く、コンパクトなサッカーを展開しています。その上、両サイドバックが積極的に攻撃に参加するため、フロンターレの森、マルコンのサイドはズルズル下がり、守備に追われ、5バック状態になっています。そして一番厄介なのが、大田と福西の2列目。大田が右へ左へと動き回り、それによって空いたスペースを福西が有効に使い、フロンターレの選手は誰もその動きを捕らえることができません。コラー! つまらん試合するなー! しかし、やはりここはフロンターレのホーム。前半15分、ジュニーニョがボールをキープし粘りますが、ディフェンダーに囲まれボールを失うと、それを拾った今野が再びジュニーニョへ! ジュニーニョからボールを受け取った我那覇が、そのまま豪快にシュート! ヨッシャー! やはり出来る男は違いますな! フフフ(笑) フロンターレが先制します! このゴールで勢いに乗ったフロンターレは……。とはいかず、その後も試合はジュビロペース。フロンターレも、時折みせるジュニーニョのカウンターは脅威を与えますが、周りのフォローが足りません。そして遂に前半36分。福西が右サイドにいた大田へ長いパスを出すと、大田はそのまま中央へクロスボール。ボールに反応したキーパー相澤がはじき、そのボールを走りこんできた福西に押し込まれ、ジュビロに同点ゴールを許してしまいます。まさに、今日のジュビロを象徴するような、流動的なゴールでした。キィー! その後は、両チームに得点は生まれることはなく、前半終了。1-1。
後半。
 後半開始と同時にフロンターレの関塚監督が動きます。今野を下げ、中村を投入します!すると、前半はあまりみられなかった中村の短長のあるパスで、フロンターレにリズムが生まれます。さらに、中村の卓越したボールキープは、ボランチの原田やサイドの森やマルコンなど、周りの選手を活かします。見事な采配です! そして後半6分、右コーナーキックからゴール前の混戦をジュニーニョが押し込み、2-1。フロンターレ、リードします! イェーイ! イケイケー! 後半になってから、突然強くなってしまった雨ももはや全く気になりません! しかし、喜びも束の間……。その6分後、左からのクロスボールにカレンが体を投げ出してシュート。私の座っていた席の角度からでは、何が起こったか分からず、ネットの中にボールを発見した時はすでに、時、遅し……。2-2。ここで、両チームとも選手を次々と入れ代えます。ジュビロはカレン→中山、菊地→茶野、フロンターレは寺田→米山、原田→マギヌン。あれ? フロンターレ、結局いつものメンバーになっとるよ? やっぱ、このメンバーが落ち着きますよね! ところが、全然落ち着きません! まさかこの後に、悪夢が訪れようとは知る由もなく……。後半33分、右サイドからのボール、キーパー相澤がはじいたところを中山が頭で押し込み、中山に今季初ゴールを献上させてあげると、続く42分には、前掛かりになったフロンターレを尻目に、前田のシュートであっさり得点され、まさかの2-4。私はただただ呆然と……。雨に濡れた私の格好は惨めで……。しかーし! フロンターレの選手は諦めていませんでした! 後半ロスタイム、カウンターから谷口のシュート気味のボールを我那覇が詰め、ゴール! ゴール! ぅおー! まーじっすかー! ヨッシャー! あと1点! そしてサポーターからの熱い声援を力にフロンターレは猛攻を仕掛けます! そして遂にその努力が実り、箕輪の渾身のヘッドでネットを揺らします! が……、無情にもオフサイドで、試合終了のホイッスルが空しく響きます……(涙)フロンターレ、とっても痛い敗戦です。3-4。
 この試合を落としてしまったフロンターレは、3位に転落…。首位ガンバとの勝ち点差は5に広がってしまいました。次節のお相手は首位ガンバとあって、難しい試合が予想されますが、しっかり勝って、勝ち点差を縮めたいところ。一方、ジュビロはこの勝利で、7位に浮上。きっと、我がフロンターレに4点も取って勝ったことで、ますます、調子をあげていくのではないでしょうか! 敵ながらあっぱれでした!
 この試合、収穫もありましたが、久々の負けを喫したことで課題が浮き彫りになりました。収穫は、なんといっても中村の存在! 中村が中盤に君臨することで、リズムが生まれ、チームが活性化されます。オシム監督! 是非、日本代表にいかがですか? 我那覇やジュニーニョのようなフォワードの選手が得点できました! これからも得点を量産しちゃってください! しかし、4失点はいただけませんな……。キーパー相澤の中途半端ともとれる飛び出しで失点してしまいました。また、前半は大田と福西を自由にしすぎていました。もし、今日の試合、ジュビロに西が出場していたらもっと失点していたかもしれません。西もとにかく走りまくっちゃう選手ですからね。更に、前半は、中盤から飛び出していく選手が少なかったことで、我那覇が孤立しちゃってましたね。ジュニーニョが下がってきてボールをキープしていましたが、フォローが足りませんでした。そのような状況でしたので、後半の中村の投入という関塚監督の判断は、見事でした。中村が中盤とトップの距離を縮め、攻撃にアクセントが生まれました。例えば中村が先発から外れたことなど、スターティングメンバー入れ代えがあったことで、選手層の薄さが際立ってしまったように思います。残念ながら、中村、マギヌンに代わる選手は、いなかったように感じました。もし、ジュビロのように、チームとして流動的なサッカーが展開できれば、選手層の薄さもさほど目立たなくなるのですが……。
ともあれ! どんなことがあろうと私は川崎フロンターレを応援し続けます! 次節はスタジアムまで足を運ぶことはできませんが、是非、勝ち点を持ち帰ってきてください!

posted by yasui |21:18 | サッカー(Jリーグ) | コメント(1) | トラックバック(0)
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