2007年03月06日
粟生隆寛、より高みを目指すために
東の粟生、西の亀田 そう評されてから久しい。時を同じくして現れた東西の新鋭。 西方はメディアを追い風に一気に世界の頂点に駆け上がったのに対し、東方のホープは高校6冠の肩書きからすれば若干の遠回りを余儀なくされた感がある。 粟生隆寛(帝拳)にとってプロ14戦目にして訪れた初めてのタイトル挑戦。30歳のベテラン王者、難敵梅津宏治(ワタナベ)に挑んだ日本フェザー級タイトルマッチでその遠回りとも思えるキャリアが決して無駄ではなかったことを証明した。 序盤はガードを固め体勢を極端に低くし、クロスレンジでのラフ・ファイトを望む王者の土俵で応戦。有効打では粟生が上回っているように見えるが、梅津も急所に被弾しないよう細心の注意を払っている。粟生の左カウンターが的確にヒットするものの致命傷にまでは至らない。 ポイントをリードしているのは粟生であるが試合は梅津の望んだ展開。そんな試合の序盤から中盤だった。特に中盤に入ると粟生の足が止まりリング中央でのインファイトの占める比率が増していった。 だが後半7R、試合に動きがあった。粟生がヒットアンドアウェイに重心を置き、中間距離での展開にシフトしていく。7Rそして8Rと明確に粟生優勢のラウンドだったように見えた。ステップワークでいなしつつも鋭いカウンターで的確にポイントを奪っていく。 アマチュアでの実績、そしてプロでの13戦のキャリア。 とりわけ10回戦での判定勝ちを3試合経験していることも粟生の試合展開を柔軟に、そして冷静にしていたのではないか。 ただ残念だったのはあまりにも粟生の選択がクレバーすぎたことだ。粟生がポイントをリードしていたのは明らかであり、クロスレンジ以外で梅津に突破口がなかったようにも見えた。確実にベルトを腰に巻くためにはヒットアンドアウェイでいなすことがベストであり、事実その選択は功を奏し初挑戦にして日本タイトル奪取に成功した。 その選択の背景には名門帝拳ジムのホープとして負けられない、という精神的なプレッシャーも粟生にはあったのかもしれない。だが、粟生に期待されているのは日本タイトルの防衛を重ねることではなく更なる高みなのではないだろうか。戦前、ダウン経験のない梅津に対しKO宣言したように22歳らしい、そして挑戦者らしい野心を実践して欲しかった。 雑草の如く逞しく この日も後楽園ホールに掲げられていたメッセージ。粟生の座右の銘でもあるこの言葉のように、さらなる高みを目指して逞しく成長して欲しい。
posted by yanoshi |06:17 |
ボクシング |
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