2007年08月19日

新黄金世代に期待すること

新黄金世代

小野伸二、稲本潤一、高原直泰ら黄金世代と呼ばれたメンバー以来、12年ぶりにアジアユースを制した現U-17日本代表はそう呼ばれている。J2デビューを果たしている柿谷曜一朗、河野広貴をはじめ、オフェンスに多くのタレントを抱えているU-17日本代表は確かにその可能性を秘めている。

新黄金世代を率いる城福浩監督の志向するサッカーをひとことで表すれば、ハイリスク・ハイリターンのサッカーだ。攻守の切り替えが早く、人もボールもよく動く。ピッチをワイドに使って大きな展開にトライさせ、ダイレクトを織り交ぜたパススピードの速いポゼッションサッカーを狙っている。
練習中、あるいは試合中の指示もダイレクトでのプレーや大きなサイドチェンジを促すものが多い。また、安易に後ろへ下げるプレーも嫌う。あくまでアグレッシブに、そして失敗を恐れず大胆に。

人もボールもよく動けば当然チームのバランスは崩れやすくなり、パススピードを上げればパスミスの可能性も高まる。ただ、よほどの実力差でもない限りリスクを犯さなければチャンスはなかなか訪れない。
リスクを犯すだけの価値と志向するサッカーを実現できる可能性をU-17日本代表のメンバーから感じ取ったからこその城福監督の選択なのであろう。ただ、理想のサッカーが完成するのはもっと先なのかもしれない。

ドイツワールドカップでの惨敗、あるいはアジアカップでの敗退で日本サッカーに足りない物がはっきりした。城福監督はその足りない物を埋めるための種を彼ら新黄金世代のメンバーに蒔いているのではないか。
U-17日本代表のトレーニング、あるいは練習試合でも意図した戦術が機能する場面は少なく、積極性が裏目に出てミスからピンチを招くシーンも目立った。直前の合宿で完成度の低いものが、まもなくはじまる本大会でレベルの高い相手に機能する可能性はそう高いものではないだろう。

ナショナルチームの最終的な目標はワールドカップでの好成績、究極的にはワールドカップを手にすること。そのための第一のステップにすぎないU-17という年代別の大会で完成度を求める必要はない。

自分達には何が出来て、何が足りないのか。

その答えを肌で感じ取るためにも、新黄金世代と呼ばれる彼らには目先の結果に一喜一憂して欲しくはない。結果を意識しミスを恐れるあまり無難な選択をして欲しくない。大人のサッカーはいずれ強いられることになるのだから。

日本サッカーに足りないものは何か。自分達がしなければならないことは何か。新黄金世代に期待することは、U-17ワールドカップという舞台で自らの未来予想図を描いてもらうことである。

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posted by yanoshi |22:35 | サッカー | コメント(7) | トラックバック(0)
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2007年07月04日

U-20日本代表が示した理想像

日本の理想とするサッカー、志向すべきスタイルとはどのようなものだろう?

U-20ワールドカップ初戦で若き日本代表イレブンが見せてくれたサッカーは、その問いに対する答えに近いものではないだろうか。

高いボールポゼッション、人もボールもよく動き、サイドを基点にチャンスを作る。
ディフェンス面では最前線から労を厭わずプレスをかけ、局面ではねばり強く体を張る。

そこまでなら今までの日本代表たちが見せてくれていた。
だが、カナダの地でU-20日本代表はもう少しアクセントをつけた進化版を披露してくれた。

まず1対1の勝負を果敢に挑んでいたということ。
梅崎司をはじめとして局面を打開できるからこそポゼッションに意味が生まれる。
ボールを保持してサイドで基点を作っても、バックパスでは相手ディフェンスは崩れない。
1対1の場面で勝負を挑み、打開できたからこそビックチャンスをつかめた。

さらにはシュートの意識の高さ、特に積極的にミドルシュートを多く放ったということ。
2点目の梅崎は相手のパスミスをカット、3点目の青山隼は相手クリアボールを拾ってのミドルシュートだった。これらの得点シーンだけでなく前半から内田篤人、柏木陽介などが積極的にミドルシュートを狙っていた。

言うまでもなくサッカーは点取りゲームであり、ボール保持が目的ではない。シュートという目的のためのポゼッションであり、フリーランニングである。
だが、理解していても実行することは簡単ではない。彼らは試合を通じてこのタスクを実行し続け、ミドルシュートのほとんどが枠を捉えていた。

吉田靖監督は試合後
「われわれの狙っているものがある程度出せた」と語っている。
この試合内容で「ある程度」だというのだろうか。

大会を通じてチームというのは成長していくものだ。
特に若い世代のチームであればその成長曲線は大きな弧を描く。

コスタリカ、ナイジェリア、そして決勝トーナメントに進めばさらなる強敵が待ち受ける。
その相手にも日本の理想像ともいうべきサッカーを示してくれるのだろうか?

若きイレブンの自己表現を楽しみに見守って行こうと思う。

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posted by yanoshi |00:44 | サッカー | コメント(7) | トラックバック(5)
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2007年07月02日

森島康仁という才能

いよいよ開幕を迎えたU-20ワールドカップ。前回まではワールドユースという名称で開催されてきた大会である。この大会に臨む代表選手の中には、イビチャ・オシム監督率いるA代表へ召集された4人が含まれている。
GK林彰洋、DF内田篤人、そしてMFの柏木陽介と梅崎司である。フランス・グルノーブルへのレンタル移籍を経験した梅崎をはじめ、彼らは海外のクラブからの注目を集めている。

だが5月に行われた千葉合宿を見学した際に、最も興味を惹かれたのは森島康仁だった。
「デカモリシ」の愛称が示すとおり186cmの長身。さらに実際に見ると高さだけではなく横幅、そして体の厚みもあり重厚感たっぷりである。

森島は相手ディフェンスに一瞬で冷汗をかかせるストライカーというよりは、じっとりと脂汗を滲ませるフォワードである。ディフェンダーにとって90分間つねに集中力を切らさずにマークしなければならないというよりは、90分の間じわじわと恐怖心を植え付けられる存在だ。
ボクサーに例えれば一発KOパンチの恐怖はないが、ジャブやボディーブローを無尽蔵に打ち続けるタイプである。

5月の合宿最終日に行われたジェフ千葉との練習試合でも森島はセンタリングにヘディングで飛び込み、左右両足で重いシュートを放ち、ポストプレーに体を張った。左右両足、さらには長身を生かしたヘディング。そのいずれもがキッチリとゴールマウスを捕らえる。
ゴールマウスの隅にコントロールされたものではないが、大きく枠を外れないシュートを放つ印象がある。

ポストに入った際、特に足元に入ったボールへの扱いがやや雑などの課題はあるものの、スケールの大きさを感じさせる森島。ひたむきで感謝を忘れない性格も彼を成長させる大きな要素となるだろう。
セレッソ大阪の下部組織で育った彼はジュニアユースからユースへと昇格することができなかった。「神戸からの交通費もかかるのに親に申し訳なかった」フジテレビの特番でそのように語っていた。神戸の強豪滝川第二高校へ進学後プロとしてセレッソ大阪を選んだのは「見返してやりたかった」のだという。

柏木陽介、梅崎司という世界も注目する才能を輝かせるのは森島康仁という泥臭い男だろう。だが泥臭さ、というのもひとつの才能である。
まずはU-20ワールドカップ日本の初戦、スコットランド戦での屈強なディフェンダーとのバトルを注目して欲しい。

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posted by yanoshi |13:17 | サッカー | コメント(4) | トラックバック(5)
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2007年06月06日

みどころ多き消化試合

自分でもあまのじゃくだな、と思う。
北京オリンピック出場を目指すU-22日本代表。ここまでの戦いぶりはすべてテレビ観戦。
最終予選進出を1位通過で決めたあとの消化試合になって初の現地観戦を決めた。

理由はふたつ。ひとつは日本サッカー協会が入場料の値下げを断行したため。
カテゴリー2(メインスタンドを除くほとんどの部分)が一般千円ならば生で見ておいて損はない。
もうひとつは召集するメンバーを大幅に入れ替えたため。
これまで予選を戦ってきたメンバーでの試合内容に惹きつけられるもの、現地まで足を運ばせる魅力を感じなかったのだが、今回メンバーを入れ替えたことでどのような変化をもたらすか興味を持ったからだ。

杉山浩太(清水エスパルス)や萬代宏樹(ベガルタ仙台)あるいは一柳夢吾(東京ヴェルディ1969)などは個人的に生で見ておきたかった選手である。
特に杉山には注目している。彼のプレーはテレビで、しかも短い時間だけしか見たことがない。それでもインパクトを与えるくらい雰囲気を持ったプレーヤーだった。怪我から復帰後間もなかった彼は途中交代でピッチに立つと独特のリズムでボールをキープし、正確なパスでチームに落ち着きを与えた。U-22の資格を持っていたことを驚くくらい百戦錬磨の雰囲気を漂わせるプレーヤーだった。

このマレーシア戦ではシステムにも注目したい。3バックを基本に戦ってきた五輪代表であるが、マレーシア戦には田中裕介(横浜F・マリノス)や長友佑都(明治大学)などサイドバックを本職としているDFを召集している。
4バックというオプションもテストされるかもしれない。8月からの最終予選、実力の拮抗した様々なタイプのチームと戦う上でシステム的な柔軟さはメリットとなりうる。

早々と最終予選進出を決めたおかげでメンバー、システムなど様々なトライを実践で行うことができる。日程上は消化試合であるが、みどころの多い有意義なものにして欲しい。

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posted by yanoshi |09:44 | サッカー | コメント(0) | トラックバック(2)
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2007年05月07日

多摩川クラシコ

今回から「多摩川クラシコ」と銘打たれて行われた川崎フロンターレ対FC東京。本来なら第1回として数えられるはずの2007年5月6日に行われたマッチは、今までのJリーグでの対戦を尊重し「第11回多摩川クラシコ」として開催された。

多摩川を挟んで向かい合う両都市のクラブが対戦するこのカードを「クラシコ」として盛り上げて行こうという企画なのだが、命名が先に来る伝統の一戦というのも不思議な感じだ。
日本のクラブチームでの伝統の一戦といえば日本リーグ時代では日産対読売、J開幕以降では鹿島アントラーズ対ジュビロ磐田、最近のライバル関係としてはガンバ大阪対浦和レッズといったところだろうか。

基本的には長い歴史があり、重要な場面での対戦が連綿と重なり「伝統の一戦」と呼ばれるようになるのだろうが、先にクラシコと位置付けてしまうのもクラブ運営上の企画としては悪い考えではないだろうと思う。
雨にもかかわらず1万5千人近くの集客に成功したのも、両チームが共同で記者会見を行うなどプロモーション力も影響しているのではないか。

また、リーグ戦を闘う中でダービーやクラシコといったモチベーションの上がる要素が多いことは中位に位置している場合や過密日程、あるいはチーム状態が思わしくない場合など精神的な起爆剤として利用できるのではないか。

今回の対戦は川崎フロンターレが5対2と勝利し、多摩川クラシコ通算成績を3勝5分3敗と五分の成績とした。このマッチアップはゴールが多く生まれる対戦というイメージもある。
2006年のFC東京のホームゲームで5対4という大逆転劇の記憶も新しく、双方が攻撃サッカー志向ということもあって派手な試合になる可能性が高い。大量得点は時に大味な印象を与えるが、やはりゴールはサッカーの華。サッカーファン以外の両ホームタウンの人々がスタジアムに足を運ぶきっかけにもなるのではないか。

試合終了後、TV中継のインタビューに答える関塚監督、大橋選手のコメントからは「クラシコ」という言葉は発せられなかった。新聞その他のメディアにも戦前ほど「クラシコ」の文字を見つけることは出来なかった。
やはり、真の意味での伝統の一戦となるには長い年月が必要なのだろう。長きに渡って繰り広げられるであろうこの対戦を、いち川崎市民として見守っていこうと思う。

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posted by yanoshi |22:42 | サッカー | コメント(3) | トラックバック(0)
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2007年03月18日

なでしこジャパン5大会連続で女子ワールドカップ出場

9月に中国で開催される女子ワールドカップ出場権をかけたメキシコとのプレーオフ。

ホームの第1戦を2対0とアウェーゴールを許さずに完勝したなでしこジャパン。アウェーでの第2戦もメキシコに押し込まれながらもセットプレーから13分に荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)のゴールで先制し、有利な状況の中で試合を進める。

18分にPKから1対1の同点にされるもアウェーゴールがものをいい、メキシコには依然3点が必要な状況。その後もメキシコにポゼッションを許し押し込まれる苦しい展開がつづき、29分にも追加点を奪われ第2戦は1対2と敗れたものの、2戦合計3対2としてプレーオフを制した。

この試合GK福元美穂(岡山湯郷Belle)の落ち着いたプレーが光った。第1戦も素晴らしいセービングでピンチを救った福元だが、この試合ではセービングでの貢献のみならず、バックパスや相手のシュートを足で処理する際わずかな時間を地道に消費しつづけた。
ワンプレーにつきほんの3、4秒だろうか。メキシコのFWがプレッシャーをかけに来るほんの数秒のあいだ時計を進める。こうしたセオリーに忠実なずる賢さがメキシコにはあせりを、味方には落ち着きを与える。

高地、高温の難しい状況であり後半は運動量がかなり落ちてしまったが、点差や条件に応じてクレバーに戦った試合巧者ぶりがこの日のなでしこジャパンには目立った。
試合内容自体は前掛かりにきたメキシコに押し込まれつづけ、前線に楔を打ってもマイボールがキープできない苦しい展開だったが、戦前のプランニングやコンディショニング、ベンチワークを含めたグループとしての総力の差でワールドカップ出場を勝ち取った。

後半、残り時間が少なくなった段階で敵陣コーナーフラッグ付近でマイボールをキープし時計を進めるなど、精神的・肉体的に追い込まれた状況で当たり前のプレーを当たり前にこなせるあたりチームとして戦い方が整理させていることをうかがわせる。

第1回大会から5大会連続での女子ワールドカップ出場となったなでしこジャパン。出場可能なチーム数も少なく(16チーム)アジア勢に強豪チームも多いことから、この連続出場は高く評価されるべきである。

3月16日に新たに発表された女子世界ランキングで史上最高位である9位にランキングを上げたなでしこジャパン。今回のプレーオフにも宇津木瑠美(日テレ・ベレーザ)や永里優季(日テレ・ベレーザ)阪口夢穂(TASAKIペルーレFC)と10代のプレーヤーが3人エントリーされており、伸び盛りのチームでもあり9月の本大会でも注目して欲しい。

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posted by yanoshi |09:57 | サッカー | コメント(0) | トラックバック(6)
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2007年02月27日

貪欲さという武器

ゼロックススーパーカップでのワンシーン。
ガンバ大阪が浦和レッズを2対0とリードして迎えた後半18分の出来事だった。決定機を逸した播戸竜二がピッチに拳を叩きつけて悔しさをあらわにしていた。

昨シーズン途中からレギュラーに定着すると16ゴールを記録し日本代表にも選出された播戸ではあるが、甲府からバレーを獲得するなど競争の激しいガンバ大阪にあってその地位はまだ絶対的なものではない。そしてサッカーにおける2点差はセーフティーなリードとはいえず、このシチュエーションでのシュートミスは痛くはあるが、ここまで悔しさをあらわにするのは播戸ならではであろう。

そして次の瞬間テレビの画面が映し出したものは、指揮官西野朗の播戸以上に悔しさをあらわにした姿だった。播戸と違い西野監督に立場上の不安、すなわち更迭の危機感はない。昨期こそリーグ優勝をレッズに譲ったものの、ガンバをリーグ屈指の強豪に育て上げた手腕に現状で疑問符をつける者はいない。純粋にタイトル、勝利への欲求から出た表現だった。

貪欲さ、というものを絵に描いたような姿だった。生存競争の渦中にあるプレーヤーのみならず、指揮官自らあらわにした貪欲さ。その姿は敵将オジェックが点差の開きゆくなかフリーズしていった様と比較してより鮮明なものとなった。
田中達也、闘莉王、相馬崇人など主力にけが人を多数かかえ、ベンチに手駒がなかったとも言える。しかし、シーズン中にも同じようなシチュエーションが考えられるだけに出場機会の少ないプレーヤーにチャンスを与える必要もあったのではないか。

もしオジェック監督に貪欲に何かを求める姿勢があれば、タイトルかバックアップメンバーの経験値獲得のどちらかを欲したはずだ。西野監督が成長著しい平井将生と新加入の中澤聡太を投入し交代枠を使い切ったのに対し、オジェック監督は後半17分に岡野雅行をピッチに送り出しただけで終了のホイッスルを聞いた。

戦力の豊富さとともに貪欲さがガンバ大阪を支える武器なのではないだろうか。昨シーズン優勝を争いながらも1分け3敗と完敗を喫したライバルを4点差で退け、今シーズン最初のタイトルを手にしたガンバ大阪。彼らの貪欲さ、勝利への欲求は未だ満たされていないのだろうか。答えはまもなく始まる今期のリーグ戦での戦いぶりが示してくれるだろう。

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