2008年09月01日
現実を受け入れる強さ 横山友美佳
『明日もまた生きていこう(横山友美佳)』 マガジンハウス 「ゆみかには、強く生きるってこと、どんなことがあっても絶対にあきらめないってこと、学びました」 (『明日もまた生きていこう』の中の、木村沙織さんが著者・横山友美佳さんに送った最後の手紙より引用) これは現・日本代表女子バレーボール選手の木村沙織さんが親友の著者に宛てた最後の手紙だそうです。2004年当時、『189cmの17歳』と日本バレーボール界の未来を担うと期待されていた横山さん。私はこの本を読むまでそんな人物がいたことを知りませんでした。先日、初めてテレビで彼女の本が出たことを知り、胸が痛みました。それだけ有望な選手がガンという不治の病で亡くなった。どうしてだろう。無償に彼女の人生を知りたくなり、本屋に走りました。 最初、読んだ印象は「とても弱い人」。そんなイメージでした。中学の頃、憧れていたバレーボールの強い成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)に入学したものの、その厳しい練習に耐え切れず、「逃げ出したい、一般の生徒のようにまっすぐ家に帰りたい」と思っていたそうです。また、春高の決勝戦で、たまたまチームメイトだった木村選手が自分の足を踏んで捻ってしまった場面。横山さんのせいではないのに、「あらゆる人に恨まれてもしょうがない」「正直、あの場から消えてしまいたかった」と弱音を吐きまくっていました。その後、しばらく動揺を隠せず、表情にだしてしまったこと。レベルは違えど、私なら出さないようにして、必死に勝つ術を考えると思いました。 でもそれは大きな間違いでした。「彼女はとても強い人」でした。私もバスケットボール一筋にやってきた人間なので、彼女の気持ちがよくわかりました。もし自分がバスケットボールを取り上げられてしまったら……。今でこそ、バスケ以外の道があると思っていますが、高校生の頃そんなことを言われたらもう生きていく気力が無くなってしまうはず。彼女はさらに全日本に選ばれるほどバレーボール一筋だった人です。私だったら間違いなく路頭に迷います。バレーが唯一輝ける場所なのに、そこを失ったら……。この世を去ってもおかしくないでしょう。 しかし彼女はあきらめませんでした。バレーボールができないとわかっても、現実を受け止め、そこから新しい夢(目標)を自分で見つけました。それがどんなに困難であろうと、決してあきらめません。コツコツこつこつ努力を重ね、それを達成しようとする。それが大学受験でした。 目指したのはあの早稲田大学。推薦試験ではありますが、スポーツ推薦でなく、一般推薦。元気な人でも難しい試験なのに、それをガンの治療を受けながらやる。普通に考えて、不可能です。なぜなら抗がん剤治療の副作用で体調の良い日なんてほとんどないからです。吐き気、頭痛、手足の痺れ。それもおそらく私たちが考えている比の症状ではないはずです。そんな中でも病院の中にある学校に通い、必死に勉強し、夢をつかみとるのです。 彼女の凄さは『現実を素直に受け止められる』ところにあります。突然、ガンと診断されたら誰だってその運命を呪いたくなるはずです。彼女も最初は拒絶しました。でもいろいろな人と出会い、今の自分にできることを精一杯やろうとしました。やり始めました。私は体感したことはないので、抗がん剤治療の痛みや辛さがどれほどのものかわかりません。でも彼女は目の前の治療に全力で向かい合い、それを克服しようと努力し続けます。読んでいるだけでその痛みであったり、辛さがヒシヒシと伝わってきて、もうそれを考えたくありませんでした。そんな状況でも自分の夢を実現しようとする横山さんの強さに、涙が止まらなくなりました。 18歳でガンを宣告されて、亡くなるまでの約3年。闘病生活がほとんどでしたが、彼女は今自分にできる全てをやりつくしたと思います。そして『健康でいられることのありがたみ』を改めて実感しました。健康でおいしいものを食べられること。それは決して当たり前じゃない。そういうことができない人も世界にはたくさんいて、それを求めて努力している人も何万人、何千万人、もっといるかもしれない。じつは私の兄もこの世に生を受けることができませんでした。この事実は二十歳を過ぎて初めて両親に聞かされたました。おそらく兄が生まれていたら、私はこの世に存在していないでしょう。そういう人がいることを私たちは忘れてはなりませんし、だから命を無駄にしてはいけないと思います。 今、集団自殺とか無差別殺人とか簡単に命を奪う事件が当たり前のように起きていますが、それはあってはならないこと。横山さんの死を無駄にしないように、私は一生懸命自分の人生を生きていきます。全力で自分の夢を追いかけます。それが生きている人に与えられた使命だから。
posted by yanahi- |01:23 |
やなひ~つれづれ日記 |
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