2008年08月12日
2002年世界選手権より、国際大会での優勝から遠ざかっているこのNBA軍団。敗因はいろいろと挙げられている。(代表としての練習期間を取らなかったことで、)国際ルールに適応できなかったとか。(元々NBAはゾーン禁止だったので、)ゾーン対策ができていなかったとか。欧州や南米が力をつけてきているとか。ただ世界最強リーグと謳われているNBAはそろそろ強さを示さなければならない。言い訳ばかりしていてはNO.1の実力に疑問符がついてしまうからだ。
米代表はこの北京五輪に向けて、相当な合宿を積んできたようだ。さらに中心選手にコービ・ブライアント(現ロサンジェルス・レイカーズ)を召集できたことも非常に大きい。コービは07-08シーズン、1試合81得点をたった1人で叩き出したスコアリングマシーンだ。しかも状況判断に優れ、非常に勝負強い。NBAの中でも、もっとも頼りになる男だ。今回が初召集となるコービ。「全力を尽くす」と北京五輪への思いを語った。
さて、開催国・中国との初戦が先日行われた。中国は229cmの姚明(現ヒューストン・ロケッツ)をはじめ、長身選手がずらりとならぶ。対する米代表はキッド(193cm)、コービ(198cm)、レブロン(203cm)、カーメロ(203cm)、ハワード(211cm)とやや小さめ。全メンバーを見てもガードだらけの小さめな布陣だ。
前半、米代表はクイックネスを生かし、フロントコートから積極的にプレスをかけた。だが、中国はガード陣がなんとかボールを運び、アウトサイドシュートへと結びつけた。アウトサイドの入らない米代表に対し、中国は3Pを集中砲火。16-8本(50%)を沈め、49-37と米国の12点リード。中国の大健闘で折り返す。
後半こそ、前線からのプレスが効き始め、スティールからコービやレブロン、ウェイド(193cm)の華麗かつ豪快なダンクが炸裂。ショータイムとなった。中でもコービのディフェンスはしつこく、攻撃的だった。ドライブされても粘り強くあきらめず、その守りはプレーオフ並みの集中力があったように感じた。波に乗った米国は止まらない。最後には余裕のアリウープまでとびだした。
試合が終わってみれば、101-70で米代表の快勝。一見、好調なスタートを切ったように見える。だが、中国のゾーンディフェンスや高い壁に対し、米代表の3Pは3Qまで14-1本(yanahi-集計)。4Q、シューターのレッド(198cm)が意地を見せたが、中国の確率とは天と地の差があった。
米代表の不安要素……それは、アウトサイドシュートではない。センターの代役がいないことだ。ドワイト・ハワードは並外れたパワーとジャンプ力を兼ね備えた、いまやNBA屈指のセンターだ。彼を止めることは不可能だろう。だが、もしファウルトラブルに陥ってしまったら……。代役はカルロス・ブーザー(206cm)という選手がいる。ただハワードのバックアップとしてはいまひとつ物足りない。この2人がゴール下で踏ん張れなければ、米国のアウトサイドは生きてこないだろう。
中国戦は前からのプレスがある程度効いた。だが、もしボールハンドリング能力の高いガードがいるチームと対戦したら……。「スペインやアルゼンチンに勝てるのか」と聞かれたら、この試合から判断するに、答えはNOだろう。
<参考資料>
●スポーツナビ、コービの記事(引用)
⇒http://sportsnavi.yahoo.co.jp/basket/nba/headlines/20080808-00000123-jij-spo.html
●BS1の中国VS米国 北京五輪バスケットボールの試合中継
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2008年07月24日
「モナ降板!」「二岡、ラブホ入って1軍入れず」……そんな皮肉じみたフレーズが各スポーツ新聞を賑あわせている。名前こそ『スポーツ新聞』と謳われているが、スポーツのことは半分ほど。あとは芸能・風俗・社会など、まるでテレビのワイドショーのような内容だ。
「東スポだからあてにならないよ」。こんなあきらめ半分のボヤキも日常生活でよく囁かれる。つまり確信が持てない情報が世の中を飛び交っているということだ。たしかに、インターネットから発信される情報は不特定多数がアクセスするので、その不正確さも理解できる。だが、一般大衆が多く手にする『新聞』の中に、そんな曖昧な情報が掲載されている現状はいかがなものだろうか。
『新聞』。それは、『社会の出来事の報道や論評を、広い読者を対象に伝達するための定期刊行物(YAHOO辞書より)』。『社会のあたらしい出来事を早く伝えるための定期出版物(新選国語辞典第八版 小学館より)』。誤った情報を載せていいものではないはずだ。
王貞治という選手を知らない人はいないだろう。868本塁打の金字塔をうちたて、全世界から『世界の王』と崇められているスーパースターである。現在、ソフトバンクの監督として、日本野球界を引っ張る存在だ。
1979年、王は第1回正力賞を受賞している。正力賞とは、プロ野球の誕生・発展に多大な貢献をした正力松太郎氏のように、プロ野球に感動を与え、多大な貢献をした選手・監督・審判員に与えられるものだ。賞金は500万円と純金のメダルが贈られるだけだが、その名誉はお金で計れない重みがある。
だが、第1回の受賞者は、本当は王ではなかったらしい。正力松太郎氏。彼にその栄光は与えられるはずだった。しかし、過去に政界に入り、戦争に加担したことで、アメリカから『A級戦犯』の烙印を押されてしまった。そのため、正力賞を受賞することは叶わなかったという。
第1回というのはその賞の偉大さを左右する。インパクトのある選手が取らなければ。そんな気持ちが働いていたのかもしれない。あくまで噂の粋をでないことだが、「第1回はスーパースターに取らせたい。だから王に決まっていた」。そんな話もあったりする。
『スポーツ新聞』になぜ風俗欄が必要なのか。それは売れ行きだ。読者層がだいたい30~50代のサラリーマンあたりをターゲットにしているので、エロ本を買いにくくなった夫(中年男性)の欲望にカットインしているのだろう。なぜ不確実な情報も載せてしまうのか。やはり売上至上主義が先行しているとしか思えない。なぜ第1回正力賞は王貞治だったのか。それも新聞の販売数に大きく影響していたにちがいない。
こう考えると、恐ろしく悲しい真実が浮き彫りになる。それは……『スポーツのスーパースターや感動、ドラマは全てマスコミによって造られたもの』。そういった裏の構造が見えてくる。どんなに努力しても日の目を見ることができない選手や競技が生まれてしまう。
実力が多少低くとも、ルックスの良い選手や個性的な選手がクローズアップされる。それはテレビや雑誌でそういう選手の方が受けが良いからだ。視聴率、売り上げ、商品価値。スポーツも今や商売と化してしまっている。たしかに、スポーツにはお金が必要だ。盛り上げるために、マスコミの力は欠かせない。スポンサーの協力も不可欠だ。だがそれでも……
これから始まる北京五輪。放映権料は軒並み上昇を続けている。水泳の水着問題にしても、スポンサーと契約しているからスピード社の水着はNG。その問題もなかなか解決に至らなかった。それも全て金、金、金である。
話は変わるが、先日、ツバルという国がIOC(国際オリンピック委員会)に北京五輪の参加を初めて認められた。日本から飛行機でおよそ40時間。面積は日本の品川区と同じぐらいという、とても小さい孤島の国だ。今、地球温暖化による海面上昇により、消滅の危機に直面している。
北京五輪の出場者は3名。その中の1人が、短距離のアセナテ・マノア(16歳)。ベストタイムは100メートル14秒ジャストだ。決して速いとはいえない。下手をすると、日本の小学生が出せそうな記録だろう。だが、それにはツバルの練習環境を踏まえる必要がある。
整備された競技場はない。グラウンドとは言い難い。天然の、ボウボウと生い茂った芝の上に棒で線を引き、コースを作る。足は裸足。スタート台などあるわけもない。勝てる望みはゼロに等しい。さらにコーチもいなければ、練習相手さえいない。1人だけの孤独な練習だ。それでもインタビュー中、アセナテから笑顔が消えることはなかった。ただ前向きに走ることを楽しんでいる。ツバルの人々の中には、五輪を知らない人も多い。だが皆アセナテを応援している。「私が走っていちばんになると喜んでくれる人たちがいるから。ツバルの人たちのために走るの」とアセナテは微笑みながら語った。
五輪はトップアスリートのためだけにあるのではない。優勝や金メダルもたしかに素晴らしいことだ。だが、私たちはお金儲け以外の面にもっと目を向けていかなければならない。純粋にスポーツを楽しむ。そのためには。見ようによって、綺麗事と言われても仕方がない。ただそれが今後の私たちになければ、純粋なスポーツは消滅するだろう。
走るのが好きなのか?という質問に、「もちろん」と笑顔で答えるアセナテ。記録ではなく、メダルでもなく……なくなってしまうかもしれない母国。その名を世界の人々の記憶の残すため、アセナテは全力で疾走する。
2008年北京五輪。ぜひこのアセナテ選手に注目してもらいたい。『オリンピックは参加することに意義がある』。そんな忘れられた言葉を思い出すような、純粋なスポーツの楽しさを彼女は見せてくれるのではないか。
<参考資料>
●日本テレビ 『さんま&櫻井翔 栄光への道SP』⇒ツバル代表 アセナテ・マノア
posted by yanahi- |21:50 |
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