2008年03月15日

エースの成長 矢野良子(ファイナルをふり返って)

07-08シーズン、富士通の得点源として大活躍を見せたのが、
#12 矢野良子(F:178cm)だった。
レギュラーシーズンの成績を見てみると、

得点17.652.2%⇒183/350本) リバウンド5.4(203本) 
フリースロー94.6%(70/74本)
(2P53.4%⇒125/234本  3P50.0%⇒58/116本)

素晴らしい成績を収めている。以前は『ムラの多い選手』と認識されていたようだが、このシーズンの彼女の動きを見れば、弱点などもはや見当たらない。
 「やっぱり矢野は凄い選手だと思います」。富士通の中川監督も、彼女の実力に太鼓判を押した。得点だけで見れば、06-07シーズンより下がっている。だが、3Pやフリースローの確率はどちらも上がり、今年は3P王にもフリースロー王にも輝いている。


 富士通のエースとして、チームを引っ張る矢野。彼女のシュート試投数が14本を越えたとき、それは矢野の大爆発を意味する(35分以上出場した場合)。この時の勝率は10勝2敗(07-08シーズンのオールジャパンまで。ファイナルは除く)。8割以上の確率で富士通に勝利が約束されるのだ。
 つまり他チームが富士通に勝つためには……矢野にボールを持たせないこと。これがとても重要になってくる。


 さて、08年ファイナルの矢野の成績を見てみよう。
 
 ●第1戦 21点( 7/16本) 富士通  ○
 ●第2戦 26点(10/21本) JOMO ○
 ●第3戦 28点(10/22本) 富士通  ○

 ●第4戦  点( 2/ 8本) JOMO ○

 ●第5戦 16点( 6/10本) 富士通  ○


 第3戦まで矢野にコテンパンにやられてしまったJOMO。第4戦はエースの矢野に対し、林(C/F:181cm)が意地を見せた。まさにすっぽんというぐらい、絶対にボールを持たさないフェイスガード。2戦から林は矢野をマークしていたが、怪我明けということもあり、矢野を止めるまではいかなかった。

 前の試合で怪我していた矢野。昨年のファイナルの悪夢(富士通は2連勝してから、同じJOMO相手に3連敗を許し、優勝を逃した)も頭をよぎっただろう。「ここで(4戦目で)決めたい」。そういった思いが矢野を焦らせたにちがいない。
 ボールを持てない矢野はフラストレーションがたまっていて、ひさびさにボールを持ってもJOMOの、特に林の執拗なディフェンスに冷静さを保てなかった。外のシュートが打てないので、強引にドライブを試みる。だが、それはJOMOの思うつぼだった。チャージングを連発し、シュート数はわずか8本。得点もわずか6点と、ベンチで苦渋をなめさせられることとなった。


 だが、続く第5戦。矢野は変身した姿を見せた。自分にボールが回ってきても、決して無理をしない。常にノーマークの味方を探し、パスに徹していた。アシストという数字には残らなかったが、矢野がJOMOのディフェンスを引き付けたことが、富士通のオフェンスをスムーズにさせた大きな要因である。以前なら自らのシュートで勝負を決めようとしていたが、この試合は違った。
 JOMOは矢野を徹底マークする作戦だったので、肩透かしを喰らったように、リズムを崩していった。成績を見てみても、彼女の試投数は14本に満たない10本。だが、その確率は60%という驚異的な数値だった。得点も16点と、大きく勝利に貢献し、第4戦のリベンジを果たす形となった。

 漫画『スラムダンク』の山王工業戦で、湘北の大黒柱・赤木の姿と矢野良子の姿が重なった。「自分が得点できなくても、うちには主役になれる選手がたくさんいる」。それに気づいた赤木は味方を信頼し、仲間をノーマークにするため、身体を張るという話だ。
 試合後のインタビューで、「第3戦で怪我をして、第4戦は自分が動けませんでした。チームに迷惑をかけてしまったので、今日(第5戦)は足が動かなくなってもがんばろうと思っていました」と語った。エースがまた1つ大きく成長したのを感じた。 

<参考資料>
●08オールジャパンのHP⇒http://alljapan.jabba-net.com/2008/
●WJBLのHP⇒http://www.wjbl.org/topics/

posted by yanahi- |01:56 | WJBL | コメント(0) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年02月29日

小さかったら走りまくれ 吉田亜沙美(ファイナルをふり返って)

 負けてしまったJOMOサンフラワーズ。その中で、最後まであきらめず必死に走りまくったのが
 #12 吉田亜沙美(G:165cm)だった。

 06-07(昨シーズン)、新人王を獲得した吉田。今まで彼女のプレイをしっかり見たことはなかった。じっくり見たのはこのファイナルが初めて。一体、どんなプレイをするのだろうと注目していた。
 噂では攻撃的な選手と聞いていたので、そんな先入観があった。だが、実際、プレイを見てみると、こんなにディフェンスに力を注ぐ選手を私は見たことがなかった。

 
 最も印象に残ったのは第5戦の3Q。JOMOの攻撃がうまくいかない中で、ひとりだけオフェンスリバウンドへ何度も何度も飛び込みを見せた。ベンチリポートの大山氏も「(ボールが)落ちてくるところにくるもんね~」と吉田の動きに驚きを隠せなかった。彼女にはボールの落ちる場所を瞬時に察知する能力が抜きん出ている。それは動物的感覚とでもいえばわかりやすいかもしれない。それが苦しいJOMOのオフェンスをつないだ要因となった。
 小柄ながら、ひとりで5試合ずっと走り抜いた。JOMOの中心C山田(192cm)の機動力のなさをカバーし、あらゆるところに顔を出し、味方が抜かれた場所へヘルプディフェンス。過呼吸でダウンする場面も見られたが、2年目とは思えぬ度胸と走力に脱帽だった。

 ファイナルの個人成績を見てみると、
試合目→ST・BL、
試合目→ST、
試合目→ST・BL、
試合目→ST、
試合目→ST・BL
(注釈)ST→スティール BL→ブロック
と、やはりディフェンス力が光る内容だった。ファイナルの吉田の平均ST数は3.00。ちなみに現在のNBAでのST王はニューオリンズ・ホーネッツのPGクリス・ポール。平均ST数は2.67である(08/03/01現在)。これも余談だが、昨年のWJBLのST王はデンソーの小畑亜章子。平均ST数は2.68である。この3.00という数字の凄さがおわかりになるだろう。またこの身長でこれだけのブロックをする選手もそういない。自分よりも大きい相手をブロックするというのは、想像以上に難しいものだ。

 またオフェンスでは、JOMOの司令塔PG大神(170cm)をサポートするセカンドガードとして、素晴らしい活躍をしていた。自分が中心になれる力はあるのに、脇役に徹していた。常に味方に良いアシストを配給し、チームの調和を大切にしていた。
 第5戦、大神が不調だった。そのときは自ら積極的に攻撃をしかけ、3Pも高確率で沈めていた。


 「トリッキーな動きとスピードは世界に通用すると思います」。そう、東京成徳高校の下坂監督も語ってくれた。吉田がより攻撃的になれば、JOMOの穴は少なくなるだろう。来シーズンの吉田(3年目)から目が離せなくなりそうだ。





<参考資料>
●NBA.com→http://www.nba.com/statistics/
●WJBLのHP→http://www.wjbl.org/topics/
●08オールジャパンのパンフレット

posted by yanahi- |00:05 | WJBL | コメント(4) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加