2010年05月26日
■波乱の起きない女子バスケ界
日本の女子バスケットボール界はあまり波乱が起きない。Wリーグの優勝チームを見てみても、全11回中7回がJOMO(旧ジャパンエナジー)だ。日本リーグ時代を見ても、シャンソン化粧品が9年連続優勝(Wリーグも含めると10年連続優勝)を飾っている。試合を見る前から勝つチームがわかっているのは、録画したスポーツの試合結果を見る前に知ってしまうぐらいつまらないものだ。
■人気低迷の懸念
アメリカのプロバスケットボールリーグ・最高峰のNBAでは、リーグの下位チームが有能選手をドラフトできるようになっている。また、チームの総年俸(サラリーキャップ)が決まっていて、チーム力が近くなるように戦力均衡を図っている。その結果、接戦(好ゲーム)が多くなり、ファンを増やしている。
ただ良い選手が集まるのは、そのチームに強さや充実した練習環境など魅力がある証拠だ。決して悪いことではない。実際、Wリーグの試合を見ても、JOMOのファンがもっとも多いと感じられる。現WJBL人気を引っ張っているのは間違いなくJOMOであり、人気も高い。
戦力均衡措置を取れと言っているのではない。戦力が均衡しなくても、サッカーのようにファンが増加している競技もあるからだ。しかし、JOMO以外のファンにとって、この状況はおもしろくないだろう。
バスケットボール人気を上げるためには……人気選手が弱いチームに行くか、長身の外国人選手を呼ぶか、現存のチームを強くするか、日本代表が活躍するか……方法はいろいろあるだろう。ただ、経営破綻で来シーズン限りでWJBLを去るチームもある。また、日本の多くのバスケプロチームが赤字という噂もある。暗いニュースが多いバスケ界。とにかくおもしろくて興奮する試合を増やさない限り、バスケットボール人気は落ちていくだろう。
ドラフト制を導入する、海外とリーグ戦で交流する、戦力均衡化を図る……たとえ、それがうまくいかなくてもいい。何か動きださなければ、ファンを維持することもできなくなる。協会やリーグだけでなく、チーム、選手、監督も含め、そういう危機感を持ってほしい。
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2010年05月26日
日本の女子バスケットボールリーグ・最高峰のWJBL(Wリーグ)。その中でも、180cm以上の長身選手は大変貴重だ。まして190cmあれば、多少動きが遅くとも、コートにいるだけで存在価値がある。なぜなら、攻撃では味方を生かす壁(スクリーン)となり、守備では手を上げるだけで相手にプレッシャーをかけ、シュート率を低くすることができるからだ。どれだけシュートの上手い選手、どれだけスピードの速い選手がいたとしても、バスケットボールの中で『高さ』が絶対的な力となることは周知の事実だ。
では、WJBLのチームの中にどれだけ180cm以上の選手がいるだろう。調べてみると、08―09シーズンで総勢27人いた。もっとも多いのはシャンソン化粧品の7人、次にJOMOと富士通が6人と続く。逆にもっとも少ないのはトヨタ自動車とJAL(日本航空)の1人である。
■JOMOというチーム
今年もリーグとオールジャパン(皇后杯)を制し、2年連続2冠を達成したJOMOサンフラワーズはWJBL最強のチームと言っていい。さて、インサイドの選手を見てみよう。インサイドの要として急成長を遂げた諏訪(183cm)、困ったときにアウトサイドからシュートを決めるキャプテンの林(181cm)。この2人が先発メンバーだ。控えには、今シーズンは怪我でほとんど出場できなかったが、存在感は誰にも負けない日本代表センターの山田(192cm)がいる。さらに、東京成徳大付高で大活躍した強心臓ルーキーの間宮(181cm)、順調に成長を遂げている木林(183cm)もいる。さらにここに、日本でナンバーワンの呼び声高いガードの2人、大神と吉田が加わる。
■JOMOを追うトヨタ
トヨタ自動車アンテロープスはベテランの点取り屋・矢野良子の加入により、09―10のレギュラーシーズンでは見事1位を獲得した。プレーオフファイナルではJOMOと対戦し、優勝を争った。外角の3Pが得意なトヨタだったが、高さで勝るJOMOに完全に抑えられてしまった。3勝0敗で優勝を遂げたJOMO。チームの完成度を見ても、両チームの実力差は非常に大きいと言わざるをえない。
■日本の至宝がJOMOへ
10―11シーズンには、日本バスケットボール界の至宝、動けるセンターの渡嘉敷(191cm)がJOMOに加わる。渡嘉敷は高卒ルーキーながら、すでに日本代表に選ばれるほどの実力の持ち主だ。彼女が近い将来、センターでなく、フォワードとしてプレイできるようになったら……。大神(170cm)、吉田(165cm)、渡嘉敷(191cm)、間宮(181cm)、諏訪(183cm)なんていう先発メンバーも夢じゃない。もしベテランのセンターが引退やトレードになったとしても、18歳の渡嘉敷、21歳の間宮、24歳の諏訪がいれば、問題ない。
さらに、2010年に行なわれるコートの変更(ルール改正)も、長身チームに有利に働くことが予想される。そう考えるとこの先、WリーグではJOMO王朝が続く。おそらく5年間、いや下手をするとそれ以上、優勝チームはJOMOだろう。
<JOMO王朝とその懸念(2)へつづく>
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2009年03月11日
第3戦を大差で落とし、JOMO2勝1敗の王手でむかえたこの試合は死闘になった。WJBLファイナル、JOMO対シャンソンの第4戦を簡単に振り返ってみよう。
JOMOはシュートタッチが非常に良く、田中、内海、林と大爆発を見せる。インサイドの山田が良いポジション取りをできなかったが、自分にうまくディフェンスを引きつけ、アウトサイドを生かした。そして全体をうまくまとめたのが吉田だった。インサイドの山田へボールを供給し、苦しいところでは自らドライブし、JOMOを救った。
対するシャンソンは序盤、気合が入りすぎ、空回りだった。力みすぎてシュートミスなどが多く、流れをつかめなかった。だが、相澤が苦しいところでロング3Pやスティールを連発。インサイドの渡辺が外にでて3Pを決め、石川は力強いオフェンスリバウンドから着実に得点を重ねた。
1Q、JOMOに傾いた流れは3Qまで変わらなかった。だが、シャンソンは4ファウルでベンチに下がっていた石川が戻ると、ここから怒涛の攻撃がスタートする。相澤が強引にスティールしたボールをそのまま速攻へ持っていく。故意に4ファウルのJOMO内海にぶつかっていき、バスケットカウントを決める。外のシュートが絶好調だった内海をコートから追い出すと、渡辺は難しい体勢からの3Pを2本決めた。
再びJOMOに流れが傾き始めるが、それを引き戻したのはやはりシャンソンの選手兼アシスタントコーチ・相澤だった。シャンソンボール、残り59.5秒の場面、渡辺の3Pがゴールに届かず、JOMOはインサイドの山田へボールを送る。しかしシャンソンのプレッシャーが山田のドリブルミスを誘い、そのボールを相澤がひとりで持っていく。バックコートからひとりでスルスルと抜けていき、レイアップを決め、JOMO92-91と1点差。絶対決めてやる。そんな気持ちが伝わってきた。すかさずシャンソンはファウルゲームで、JOMOにファウルする。JOMO吉田は冷静にこのフリースローを決め、94-91と3点差に突き放す。
時間は残り7秒、ボールを受けた相澤は右、左とドリブルでディフェンスを振り、そのディフェンスが下がった一瞬を見逃さなかった。相澤から放たれたボールは高い弧を描き、ゴールへと吸い込まれた。残り3.秒、94-94の同点へ追いついた。ゲスト解説の富士通・矢野良子氏は「しびれますね」と、相澤の土壇場の強さに驚愕していた。
試合は結局、OT(延長戦)へもつれこんだが、107ー105でJOMOが2年ぶり11度目のWリーグ優勝を飾った。
シャンソンは非常におしかったが、やはり駒不足は否めない。
JOMOは大黒柱のPG大神欠場はあったが、PG吉田は若いながらベテランのようなゲームメイクと勝負強さを披露した。外からは内海、田中がいる。インサイドには194cmの山田と183cmの諏訪がいる。また良い活躍をするキャプテン林、スピードのある立川などベンチメンバーが充実していた。
それに対し、シャンソンは……。ベテラン相澤、石川、渡辺の力は非常に大きい。だが、それ以外のプレイヤーがコンスタントに活躍できない。第4戦に関しては中川が積極的なプレイを見せ、20得点、5アシストと目立った。しかし……。
日本代表を経験しているベテラン陣とまだ経験のない若手が融合しているこのチームは中間がいない。今、ベテランがしていることを若手に望むのは酷だと思うが、やはり(ファイナルを通じて感じることは)消極的に感じてしまう。自分がなんとかしてやる。私が起爆剤にならなければ。こんな気持ちを持った選手が必要だった気がする。
ただ、このファイナルの経験はシャンソンの若手にとって大きい。シャンソンの梅嵜周毅監督は「自分たちの時間帯(リズム)じゃない時間があれだけ長かったのに、よく追いついた。若い選手にはこれ以上ない経験になる」と語ったそうだ。来シーズンのシャンソンは若手がベテランを引っ張る姿を期待したい。
<参考資料>
●WJBLのHP⇒「http://www.wjbl.org/schedule_result/boxscore_html?sid=2739」
●BS1 WJBL4戦の放送
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2009年03月08日
JOMO1勝でむかえたWJBLファイナル第2戦。先に3勝した方が優勝するこのファイナルを考えれば、シャンソンにとって、この第2戦は絶対に負けられない試合だった。
第1戦目、JOMOの山田にゴール下を支配された。良いポジションを取られ、得意のフックシュートが次々と決まる。この試合の総得点の1/3にあたる24点(10-16)を謙譲した。山田をひとりで守る作戦は山田を抑えられなかったことで崩壊してしまう。それがJOMOのアウトサイドに勢いを与えてしまった。シャンソンはJOMOの攻撃に的を絞ることができなくなってしまった。
試合はシャンソンの仕掛けが成功した。今日は山田に対して、徹底したダブルチーム。山田へのパスが空中にある間に動き出すほど、反応良いフットワークで、山田のインサイドを封じた。JOMOはいつものインサイドに起点がつくれず、外ばかりボールがまわるようになり、良いオフェンスができなかった。最後の最後、JOMOの吉田が意地を見せ、驚異的な3P×3本を含む13点を挙げた。しかしシャンソンがなんとか逃げ切り、74-71で勝利を収めた。
試合のMVPを挙げるなら、それはやはりシャンソンの相澤だろう。数字的に見れば、3P×6本を含む20得点(6-12)は素晴らしい。ガードとして、素早くボールを動かし、苦しい場面でロング3Pを沈めた。またアシスタントコーチを兼任する彼女は、タイムアウト中も積極的に声を出す。チームメイトに今必要なことを伝えようと必死だ。
1Q残り6:48、ボールを持った相澤は山田につっかけファウルを誘った。あのプレイも『山田をコートから追い出そう』という意図が感じられた。また、2Q残り7:14、相澤はルーズボールへ飛び込んだ。JOMOの若い吉田らに負けず、『絶対にボールを渡さない』気持ちが現れていた。放送席の永田睦子氏は「リーグの若い選手や中高生にも(彼女のプレイを)見習ってほしいですね」と、彼女のプレイに敬意を表した。さらに、2Q残り5:04、シャンソンの攻撃リズムが悪い中、強引にロング3Pを打ち、ねじ込んでしまった。「相澤さんでしか打てない(3P)ですね」と放送席の原田裕花氏も苦笑いしながら、驚いていた。
ベテランと呼ばれる35歳だが、カメラマンとぶつかるほどのルーズボールを披露してくれる相澤選手。まだまだ若い選手に負ける気はなさそうだ。コーチとは常に冷静でいなければならない。だが、コートに立っているからこそわかることがある。チームメイトの気持ちであったり、苦しい状況、一緒につかんだ勝利など。そんな熱いアシスタントコーチの活躍に今後も期待しよう。
<参考資料>
●WJBLのHP⇒「http://www.wjbl.org/schedule_result/boxscore_html?sid=2737」
●BS1 WJBL2戦の放送
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2009年03月06日
小田原アリーナで始まった、WJBLプレーオフファイナル初戦はJOMOが73-66でシャンソンを下した。
JOMOはWNBAも経験した大黒柱・大神が2月に左手を骨折し、このファイナルも出場できない。両チームを戦力的に見れば、高さも速さもややJOMOに軍配が上がる。だが、大神がいない状態なら……おもしろい試合になると思われた。
だが、フタを開けれみれば、JOMOの攻撃が大爆発する内容だった。山田のインサイドは絶好調で、ローポストから押し込んでフックシュート。この形が見事に決まった。アウトサイドからは田中と内海のクイックモーションからの3Pがおもしろいように決まり、そこに吉田の驚異的なルーズボールが加わった。吉田は165cmながら誰よりも速くボールへ飛び込み、誰よりも高くジャンプし、リバウンドとスティールで大活躍した。途中、シャンソンも追い上げはしたが、試合後、冷静に考えてみると、やはりJOMOが勝つ試合だった。
「これねー、我慢できないかなー」。放送席からWNBA初の日本人選手・萩原美樹子氏のあきれ声が漏れた。「ここを我慢できないと、勝利には結びつきませんよね」とシャンソンOBの永田睦子氏も厳しいコメント。シャンソンのヘッドコーチ・梅嵜周毅氏も顔をしかめた。
2Q残り3:17で3ファウル。リバウンドを取りにいき、ストップできず、JOMOの吉田に接触した。3Q残り3:17で4ファウル。これもカバーディフェンスにいき、JOMOの内海につい手を出してしまった。シャンソンが追い上げを開始しようとした矢先に、この石川のファウルはJOMOに流れを渡してしまった。たしかに、ファウルを恐れ、消極的になってしまっては彼女の魅力が消えてしまう。それでは意味はないが……。
石川は素晴らしい選手だ。ルーズボール、リバウンドが強く、彼女の負けん気の強さはチームに勢いをもたらしてくれる。アウトサイドはないが、スクリーンで味方をフリーにし、ゴール下へカットする動きは良いスペースを作り出している。JOMOの吉田はルーズボールが非常に強いが、石川だって負けていない。数字には現れないが、石川はシャンソンに絶対に必要な選手だ。4Q残り5:41、石川がベンチからでてくると、相澤がロング3P×2本を決めた。石川がコートにいると、シャンソンの攻撃はスムーズにいく。彼女なしに、JOMOに勝つことは不可能なのだ。
だからこそ、安易なファウルはしてほしくない。今日の試合、石川のファウルは必要なファウルではなかった。ついやってしまった的な、非常につまらないファウルだった。まだ初戦が終わったばかりだ。3年ぶりに手に入れた優勝への切符を簡単に捨ててほしくはない。
<参考資料>
●WJBLのHP⇒「http://www.wjbl.org/schedule_result/boxscore_html?sid=2736」
●BS1 WJBL初戦の放送
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2008年10月04日
2008年10月3日(金) WJBL開幕戦JOMO×富士通 代々木第二体育館
PHOTO BY YANAHI-
これまで激しい戦いを繰り広げてきた両チーム。戦績は過去2年間を見ると、JOMOの7勝12敗。流れとしては06-07年レギュラーシーズン、富士通が全勝した。だが、プレーオフで先に2勝していた富士通はそこから悪夢の3連敗。07-08年レギュラーシーズンは5分で、ファイナルもシーソーゲーム。昨年の雪辱をはらし、富士通が優勝した。JOMOとしてはやや富士通に押され気味で、今年08-09を迎える形となった。
06-07 レギュラーシーズン JOMO 0勝4敗
06-07 プレーオフファイナル JOMO 3勝2敗(JOMO優勝)
07-08 レギュラーシーズン JOMO 2勝2敗
08 オールジャパン決勝 JOMO 1敗(富士通優勝)
07-08 プレーオフファイナル JOMO 2勝3敗(富士通優勝)
試合は終始JOMOペースで進んだ。JOMOは長身の山田(C:192cm)を相手のダブルチームで封じられてしまったが、WNBA帰りの大神(G:170cm)とコートを縦横無尽に走りまくる吉田(G:165cm)のガードコンビが富士通ディフェンスを切り裂いた。二人にディフェンスは引き付けられ、そこからゴール下の諏訪(C:183cm)はゴールを量産。オープンになった内海(G:175cm)も積極的にアウトサイドシュートを放ち、JOMOに勢いをもたらした。
一方、富士通は主力のガードコンビ船引姉妹が怪我で調整遅れ気味。さらにシューターの矢野(F:178cm)はJOMOにぴったりとマークされ、8得点に抑えられた。昨年平均18点以上挙げていた矢野が抑えられ、富士通はこれまで試合経験のなかった若手を積極的に使った。しかし若さがでてしまった。若手は主力選手に遠慮してしまい、ベテランも若手を生かそうとし、何かちぐはぐだった。結果、シュートを打たず、24秒オーバータイムを取られたり、シュートクロックぎりぎりのショットがほとんどだった。攻め気が感じられない。それに尽きる。
試合結果だけ見れば、JOMOの完勝(77-62)だった。しかしJOMOの戦い方に少し不安を感じた。それは、約半年間、WNBAに挑戦していた大神をスタメンで使ったことである。たしかに、大神は素晴らしい選手であり、JOMOになくてはならない存在だ。それは周知の事実だろう。この試合でもドライブからクイックジャンパーを何度も決め、富士通のディフェンスを切り裂いた。そこからアシストも決め、18得点5アシストとMVP級のプレーを披露した。もちろん開幕戦は重要であり、しかも相手が昨年屈辱を味あわされた富士通。『落とせない一戦』という認識がJOMO・内海監督の頭にはあったのかもしれない。
問題なのは、他のプレイヤーの意識である。困ったときはほとんど大神に任せてしまう。吉田はルーズボールに積極的に跳び込み、富士通のパスを何本もスティール(4スティール、10得点7アシスト)。さらに安定したボール運びに、大神にパスが入らないときはスルスルとドライブからレイアップを決めた。はっきりいって文句がつけようのないプレイヤーなのだ。富士通ファンからも「あいつはすごいな!」と拍手が送られる場面も見られたほどである。
私が言いたいのは、約半年間チームの司令塔としてチームを牽引してきた吉田にもっと攻めてもらいたい。吉田は必ず大神を見ている。攻撃の選択肢はまず大神なのだ。吉田から仕掛けるオフェンスは皆無に等しい。自分がまず攻めて、そこから大神を使う。そんなシチュエーションを見たことがない。それが吉田のプレイスタイルだ。そう言われてしまえば何も言えなくなってしまうのだが……。吉田が自分から攻めるようになれば、大神もプレーを読まれにくくなるはずだ。そうなれば、JOMOは富士通を一歩リードするだろう。たとえ、大神が止められても、山田が不調でも、吉田がいる、内海がいる、田中がいる。それができたとしたら、優勝さえ現実味を帯びてくる。もしできなければ、経験を積んだ若手が爆発する富士通に喰われるかもしれない。
<お願い>
ここに掲載している写真・その他の無断、転用・複写は堅くお断りさせていただきます。
<参考資料>
●08-09WJBLパンフレット
●WJBLのHP⇒http://www.wjbl.org/schedule_result/boxscore_html?sid=2569
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2008年09月08日
2008年9月7日(日) 会場:代々木第二体育館
『2008日韓Wリーグチャンピオンシップ 第1戦』
富士通レッドウェーブ(WJBLチャンピオン)VS新韓銀行エスバード(WKBLチャンピオン)
PHOTO BY YANAHI-
その瞬間は1Qの中盤におとずれた。ついに『富士通・鈴木あゆみ』のデビューである。ナンバー『8』をつけた彼女はあの筑波大で大活躍を見せたルーキー。果たしてWJBLで通用するのか。
筑波大は言わずと知れた関東女子大学1部リーグでずっと王者として君臨してきたチームだ。鈴木は1年の頃から試合で活躍を見せ、スーパールーキーとして大注目されてきた。日本一を決めるインカレで、1年生ながらスタメンを務め、決勝・大阪人間科学大戦では14得点とフル回転。この年(2004年)、筑波大はインカレ優勝を成し遂げた。
その後も3年間、インカレで全国3位をキープし続けた。だが、その入学当時のインパクトは徐々に弱まったように感じる。4年の頃の試合を実際目にしたが、リードを奪うと抜群の強さを発揮する筑波大。だが、序盤に先制されてしまうと「あの強さはどこへいったの?」というぐらいの脆さを見せる。鈴木自身もそういう試合でリーダーシップを発揮できなかったように感じられた。
しかしながら随所に見せるダイナミックなプレー。力強いリバウンドや上手さ、威圧感のあるディフェンスは見るものを魅了する。果たしてWJBLというトップリーグで、鈴木は通用するのか。ずっと楽しみにしていた。
PHOTO BY YANAHI-
さて、この日韓Wリーグチャンピオンシップ。富士通レッドウェーブVS新韓銀行エスバード戦。結果から言うと、72-81で富士通(日本)の完敗である。
鈴木の得点は4点(筆者の集計、間違っていたらスミマセン)。出場時間は25~30分ぐらいだと思われる。数字だけ見れば、デビュー戦はふがいない結果だろう。だが、鈴木のドライブは力強く十分通用した。シュートは入らなかったが、WJBLの水に慣れてくれば富士通の武器になることは確実だ。また、ディフェンスも光るものを感じた。個人のディフェンスを見れば、WKBLのチャンピオン相手にルーキーながら良い守りを見せた。パワー負けも見られず、ドライブにもしっかり対応していた。チームディフェンスに関しては意思の疎通が合わないところもあった。だが、まだチームに来て間もない。合わなくて当たり前だ。
筑波大では中心選手だった鈴木。今後は必死に努力しなければ、試合に出られない。そんな環境の中で、もう一度輝く姿を見てみたい。鈴木の潜在能力はまだまだこんなものではないはずだ。
<お願い>
ここに掲載している写真・その他の無断、転用・複写は堅くお断りさせていただきます。
<参考資料>
●08日韓Wリーグチャンピオンシップ パンフレット
●インカレのHP⇒http://college.jabba-net.com/japan/record/icw.php?page=2
●インカレのHP2004⇒http://intercollege.jabba-net.com/2004/box.html?matchno=236
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2008年05月20日
「世界への扉をこじ開けろ!」。2008年5月18日(日)バスケットボール女子日本代表、国際招待試合のパンフレットにはそんな力強いメッセージが書かれていた。
PHOTO BY YANAHI-
代々木第2体育館に来るのはひさびさだったが、バスケットボールの試合でこれほど多くの行列を目にしたことは今までない。会場前には300人ほどが長蛇の列ができ、来場者数は満員御礼(約3000人)だったと思われる。それだけ、女子日本代表に対する周囲の期待は大きいのだ。
さて、この日本代表VSリトアニア代表戦。結果だけ見れば、66-63と日本が勝利を収めた。矢野良子の劇的な3Pで、大逆転劇を演じたのだ。だが、この試合はこれから始まる北京五輪予選(6月スペインで開催されるFIBAオリンピック世界最終予選)の選手選考会も兼ねていた。日本は16人全員を出場させ、プレイングタイムもほぼ平等。つまり試合に勝つための交代が100%行われたわけではないのだ。試合を最後まで見ていればわかるが、あまり良い内容とはお世辞にも言えなかった。
プラス材料としては、『吉田の積極的な守備』と『渡嘉敷の物怖じしないチャレンジ』ぐらいだろう。ただ、どんな内容にしろ、勝ってスペインに行けるのは非常に大きい。試合後、「自分たちの夢であり、みなさんの夢でもある北京オリンピックへの切符を持ち帰りたい」と日本代表・相澤CAPは会場のファンに力強いメッセージを送った。また、「なんとしてでもオリンピックの切符を手に入れたい」と内海ヘッドコーチも断固たる決意を訴えた。矢野や浜口といったベテランが復帰した新生・日本代表の今後に期待したい。
ちなみに残念ながら16歳の渡嘉敷はこのメンバーから外れてしまった。(チームには帯同する予定。)
<お願い>
ここに掲載している写真・その他の無断、転用・複写は堅くお断りさせていただきます。
<参考資料>
●バスケットボール女子日本代表 国際招待試合2008の小冊子
●バスケットボール女子日本代表 国際招待試合2008のHP
⇒http://competitions.jabba-net.com/sw/2008/international/results_all.html
●日本バスケットボール協会のHP⇒http://www.jabba-net.com/
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2008年03月15日
07-08シーズン、富士通の得点源として大活躍を見せたのが、
#12 矢野良子(F:178cm)だった。
レギュラーシーズンの成績を見てみると、
得点17.6(52.2%⇒183/350本) リバウンド5.4(203本)
フリースロー94.6%(70/74本)
(2P53.4%⇒125/234本 3P50.0%⇒58/116本)
素晴らしい成績を収めている。以前は『ムラの多い選手』と認識されていたようだが、このシーズンの彼女の動きを見れば、弱点などもはや見当たらない。
「やっぱり矢野は凄い選手だと思います」。富士通の中川監督も、彼女の実力に太鼓判を押した。得点だけで見れば、06-07シーズンより下がっている。だが、3Pやフリースローの確率はどちらも上がり、今年は3P王にもフリースロー王にも輝いている。
富士通のエースとして、チームを引っ張る矢野。彼女のシュート試投数が14本を越えたとき、それは矢野の大爆発を意味する(35分以上出場した場合)。この時の勝率は10勝2敗(07-08シーズンのオールジャパンまで。ファイナルは除く)。8割以上の確率で富士通に勝利が約束されるのだ。
つまり他チームが富士通に勝つためには……矢野にボールを持たせないこと。これがとても重要になってくる。
さて、08年ファイナルの矢野の成績を見てみよう。
●第1戦 21点( 7/16本) 富士通 ○
●第2戦 26点(10/21本) JOMO ○
●第3戦 28点(10/22本) 富士通 ○
●第4戦 6点( 2/ 8本) JOMO ○
●第5戦 16点( 6/10本) 富士通 ○
第3戦まで矢野にコテンパンにやられてしまったJOMO。第4戦はエースの矢野に対し、林(C/F:181cm)が意地を見せた。まさにすっぽんというぐらい、絶対にボールを持たさないフェイスガード。2戦から林は矢野をマークしていたが、怪我明けということもあり、矢野を止めるまではいかなかった。
前の試合で怪我していた矢野。昨年のファイナルの悪夢(富士通は2連勝してから、同じJOMO相手に3連敗を許し、優勝を逃した)も頭をよぎっただろう。「ここで(4戦目で)決めたい」。そういった思いが矢野を焦らせたにちがいない。
ボールを持てない矢野はフラストレーションがたまっていて、ひさびさにボールを持ってもJOMOの、特に林の執拗なディフェンスに冷静さを保てなかった。外のシュートが打てないので、強引にドライブを試みる。だが、それはJOMOの思うつぼだった。チャージングを連発し、シュート数はわずか8本。得点もわずか6点と、ベンチで苦渋をなめさせられることとなった。
だが、続く第5戦。矢野は変身した姿を見せた。自分にボールが回ってきても、決して無理をしない。常にノーマークの味方を探し、パスに徹していた。アシストという数字には残らなかったが、矢野がJOMOのディフェンスを引き付けたことが、富士通のオフェンスをスムーズにさせた大きな要因である。以前なら自らのシュートで勝負を決めようとしていたが、この試合は違った。
JOMOは矢野を徹底マークする作戦だったので、肩透かしを喰らったように、リズムを崩していった。成績を見てみても、彼女の試投数は14本に満たない10本。だが、その確率は60%という驚異的な数値だった。得点も16点と、大きく勝利に貢献し、第4戦のリベンジを果たす形となった。
漫画『スラムダンク』の山王工業戦で、湘北の大黒柱・赤木の姿と矢野良子の姿が重なった。「自分が得点できなくても、うちには主役になれる選手がたくさんいる」。それに気づいた赤木は味方を信頼し、仲間をノーマークにするため、身体を張るという話だ。
試合後のインタビューで、「第3戦で怪我をして、第4戦は自分が動けませんでした。チームに迷惑をかけてしまったので、今日(第5戦)は足が動かなくなってもがんばろうと思っていました」と語った。エースがまた1つ大きく成長したのを感じた。
<参考資料>
●08オールジャパンのHP⇒http://alljapan.jabba-net.com/2008/
●WJBLのHP⇒http://www.wjbl.org/topics/
posted by yanahi- |01:56 |
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2008年02月29日
負けてしまったJOMOサンフラワーズ。その中で、最後まであきらめず必死に走りまくったのが
#12 吉田亜沙美(G:165cm)だった。
06-07(昨シーズン)、新人王を獲得した吉田。今まで彼女のプレイをしっかり見たことはなかった。じっくり見たのはこのファイナルが初めて。一体、どんなプレイをするのだろうと注目していた。
噂では攻撃的な選手と聞いていたので、そんな先入観があった。だが、実際、プレイを見てみると、こんなにディフェンスに力を注ぐ選手を私は見たことがなかった。
最も印象に残ったのは第5戦の3Q。JOMOの攻撃がうまくいかない中で、ひとりだけオフェンスリバウンドへ何度も何度も飛び込みを見せた。ベンチリポートの大山氏も「(ボールが)落ちてくるところにくるもんね~」と吉田の動きに驚きを隠せなかった。彼女にはボールの落ちる場所を瞬時に察知する能力が抜きん出ている。それは動物的感覚とでもいえばわかりやすいかもしれない。それが苦しいJOMOのオフェンスをつないだ要因となった。
小柄ながら、ひとりで5試合ずっと走り抜いた。JOMOの中心C山田(192cm)の機動力のなさをカバーし、あらゆるところに顔を出し、味方が抜かれた場所へヘルプディフェンス。過呼吸でダウンする場面も見られたが、2年目とは思えぬ度胸と走力に脱帽だった。
ファイナルの個人成績を見てみると、
1試合目→4ST・1BL、
2試合目→3ST、
3試合目→2ST・2BL、
4試合目→4ST、
5試合目→2ST・1BL
(注釈)ST→スティール BL→ブロック
と、やはりディフェンス力が光る内容だった。ファイナルの吉田の平均ST数は3.00。ちなみに現在のNBAでのST王はニューオリンズ・ホーネッツのPGクリス・ポール。平均ST数は2.67である(08/03/01現在)。これも余談だが、昨年のWJBLのST王はデンソーの小畑亜章子。平均ST数は2.68である。この3.00という数字の凄さがおわかりになるだろう。またこの身長でこれだけのブロックをする選手もそういない。自分よりも大きい相手をブロックするというのは、想像以上に難しいものだ。
またオフェンスでは、JOMOの司令塔PG大神(170cm)をサポートするセカンドガードとして、素晴らしい活躍をしていた。自分が中心になれる力はあるのに、脇役に徹していた。常に味方に良いアシストを配給し、チームの調和を大切にしていた。
第5戦、大神が不調だった。そのときは自ら積極的に攻撃をしかけ、3Pも高確率で沈めていた。
「トリッキーな動きとスピードは世界に通用すると思います」。そう、東京成徳高校の下坂監督も語ってくれた。吉田がより攻撃的になれば、JOMOの穴は少なくなるだろう。来シーズンの吉田(3年目)から目が離せなくなりそうだ。
<参考資料>
●NBA.com→http://www.nba.com/statistics/
●WJBLのHP→http://www.wjbl.org/topics/
●08オールジャパンのパンフレット
posted by yanahi- |00:05 |
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