2008年01月15日
#12 矢野良子 178cm フォワード(WJBL富士通レッドウェーブ所属)
“3Pが得意で、勝負強いプレイヤー”。それが矢野に対する個人的な印象だった。ただこのゲームを見て、彼女に対する先入観は180度変わったのだ。
今回、1月12日、08オールジャパン女子準決勝 富士通レッドウェーブ(WJBL1位)×シャンソンVマジック(WJBL4位)戦に注目した。今シーズン、リーグではすでに3回対戦しているが、どの試合も2・3点差の大接戦だった。今日も厳しい戦いになりそうだ。
前半はシャンソンペース。富士通は船引まゆみ(G/F:174cm)の1ON1からの攻撃頼み。シャンソンの厳しいマンツーマンディフェンスは富士通を思うようにさせない。矢野もシャンソンの石川に守られる形となり、前半はファウルトラブル(3回)で、ベンチへ下がることも多かった。結局2本しかシュートを打たせてもらえず、無得点。27-23とシャンソンの4点リードで折り返す。
後半から矢野の反撃がスタートする。外からの攻撃は厳しいと見るや、ローポストでの勝負を選択。ディフェンスのうまい石川も必死にポジションを取らせないように踏ん張る。だが石川が前に立てば、裏のポジションをとられ、後に立っても押し込まれ、得点される。ダブルチームをすれば、うまくアシストでかわされてしまう。
矢野のインサイドに対して、シャンソンもゾーンで対抗する。だが当たり始めた矢野は4Q中盤に初の3Pを沈める。シャンソンも相澤(G:166cm)が勝負どころで3Pを連発し、試合は63-63で延長戦へ。
オーバータイムも大接戦。だが最後の最後、富士通の船引かおりのブザービーター(超ロング3P)が決まり、76-73で決勝への切符を手にした。
●矢野のプレイ
彼女の動きをずっと見ていると、本当に「省エネだな」と思ってしまう。オフェンスのときも結構、止まっている。しかし「ここだ!」というタイミングで動き出し、見事に得点を重ねる。ディフェンスのときも、絶妙な距離を保ち、ポイントだけプレッシャーをかけている。だがそれが相手には結構効いていたりする。力の使い方がとてもうまい選手だ。アウトサイドだけでなく、インサイドもすごく強いというのは新発見だった。
省エネというと、「クールなプレイヤーなの?」と思う人がいるかもしれない。だが決してそんなことはない。
オフェンスでうまくいかないとき、仲間を呼んで、的確な指示を与えている彼女をよく目にする。その真剣な眼差しからは「絶対、勝つ!」という強い気持ちが伝わってくる。また4Qに決めた初の3Pとそのすぐあとに決めた3P。両方とも、ボールがリムに何度も跳ねたにもかかわらず、入ってしまった。『シュートタッチは決して良くなかった』と語る矢野だったが、まさに彼女の執念がボールに乗り移ったようだった。
『前半は自分のファウルトラブルでチームに迷惑をかけた』と語る矢野。前半、無得点というふがいなさは相当なものだったのだろう。結局、後半だけでチームトップの23得点(3P3本を含む)を挙げた。
●ちなみに……富士通の強力姉妹×2
富士通には船引姉妹と矢野姉妹がいる。
船引はまゆみ(G/F:174cm)⇒妹、かおり(G:166cm)⇒姉。西岡南小→西岡中→札幌山の手高→愛知学泉大~富士通と、小学校から大学まで全く同じ学校で活躍してきた姉妹である。今は二人とも富士通のスタメンだ。
矢野は良子(F:178cm)⇒妹、優子(G/F:172cm)⇒姉。応神小→応神中→城北高→ジャパンエナジー~富士通と、こちらもほぼ同じ道を歩んできた姉妹。今シーズンは妹・良子の活躍が目立っている。
だが、どちらも富士通になくてはならない存在であり、彼女らの息のあったプレイは必見だ。
<お願い>
ここに掲載している写真・その他の無断、転用・複写は堅くお断りさせていただきます。
<参考資料>
●WJBLのHP⇒http://www.wjbl.org/player/?rs=208&pi=427
●07-08WJBLのリーグ戦パンフレット
●富士通レッドウェーブのHP⇒http://sports.fujitsu.com/redwave/members/index.html#categoryMenuTop
posted by yanahi- |01:14 |
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2008年01月06日
今回はオールジャパン2日目、女子の2回戦。拓殖大学(07インカレ4位)VS三菱電機コアラーズ(WJBL9位)戦に注目した。
実力的には三菱が優勢であり、拓大がチャレンジャー。昨日の桜花学園戦とは逆の立場。しかし気負いは感じられない。いつも通りの気合の入ったアップをこなし、ムードメーカーの2年SG星(165cm)も「がんばろー!」とチームを盛り立てた。ちなみにではあるが、個人的にはオールジャパン最高のカードだ。
PHOTO BY YANAHI-
試合が始まると、三菱が強さを見せる。早いパスワークから確実に外角のシュートを沈めた。拓大は最大12点差をつけられるも、ディフェンスをがんばり、3年SF小川(174cm)や1年生C森(180cm)のスティールから挽回をスタート。さらに2年SG齋藤(168cm)がチャージングを誘い、1Qは拓大16ー22三菱。
2Qは三菱が本気になる。PGの橋本(163cm)が拓大の守備を翻弄し、このクォーターだけで9得点を挙げる。26-40と三菱のリードが広がる。
PHOTO BY YANAHI-
ハーフタイム、拓大はベンチに全員が集まった。監督が指示を与え、選手同士も身振り手振りを交えつつ、真剣に反撃の糸口を捜す。その話し合いはハーフタイムの10分間終わることはなかった。なんと一度もシューティングをしないまま後半のスタートをむかえるほど、熱の入った話し合いだった。
3Qが始まると、拓大の反撃。今までポジションをとらせてもらえなかった4年生Cの趙(190cm)が強引にローポストをとりにいく。オフェンスファウルをコールされることもあったが、その強気なプレイが拓大に勢いをもたらした。ただそれも三菱の冷静な対応で、43-61とさらに広がる。
最終Q。拓大の足が動き始める。得意のゾーンで三菱のミスを誘い、齋藤が勝負強さを見せる。ジャンパーを次々と決めた。だが、三菱は攻撃的PGである松島(160cm)のロング3P2本がとどめをさす形となった。
最終的にフィールドゴールの確率を見てみると、拓大36.2%(25-66)に対し、三菱45.6%(36/79)。やはり学生と実業団のシュート力の差がでたゲームとなった。
PHOTO BY YANAHI-
だが、試合が決まった4Q中盤。ベンチに下がった星も小川も試合をあきらめるようなことはなかった。コートに立つチームメイトを、声をだし、手を叩き、一生懸命応援していた。その賢明な姿は忘れられない。
<お願い>
ここに掲載している写真・その他の無断、転用・複写は堅くお断りさせていただきます。
<参考資料>
●08オールジャパンのHP⇒http://alljapan.jabba-net.com/2008/box.html?matchno=213
●08オールジャパンのパンフレット
●三菱電機コアラーズのHP⇒http://www.mitsubishielectric.co.jp/basket/koalas/contents/player/
posted by yanahi- |02:26 |
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2008年01月04日
PHOTO BY YANAHI-
オールジャパン。サッカーでいう天皇杯のようなものである。高校~大学~クラブチーム~プロ?(JBL/WJBL)が同じ舞台で戦う。普段ではありえない対決が観られるのは、この大会しかない。ちなみにBJリーグは出場資格がまだない。
今回は元日に行われた女子1回戦・桜花学園高校(愛知)VS拓殖大学(関東)に注目した。桜花は07年の夏のインターハイ・国体・ウィンターカップを圧倒的な強さで制し、4年ぶりの3冠を達成した。勢いは抜群だ。それに対し、拓大は関東リーグ2位、07インカレでも4位と得意のゾーンディフェンスで相手を苦しめる。さて試合はどうなるだろう。
拓殖大学(女子)の4番の顔が変わったように感じた。よく見てみると、身長も低くなっているし、プレイスタイルも違う。もしかすると、「新キャプテンの登場……!?」
それはおそらく事実ではない。4番キャプテンの4年生SF林田(174cm)がこのオールジャパンの前に、足を負傷してしまったらしい。その代わりに急遽登録されたのが2年生PG齋藤(168cm)だった。去年のリーグ戦ではほとんど出番のなかった齋藤。代役とはいえ、4番をつけた彼女のプレイに注目したくなった。
試合は序盤、3冠を達成した桜花の勢いが拓大を上回った。常識的に考えれば、拓大が優勢だった。だが、桜花の2年生PG深野(166cm)が暴れまくる。果敢に攻撃をしかけ、ドライブにジャンパー。拓大は深野の1ON1はどうしても止められない。その凄さは会場から何度かどよめきが起こる程だった。前半を終えて、33-33の同点。
しかし後半から拓大の反撃が始まる。まず4年生C趙(190cm)がゴール下で得点を重ねる。桜花にも同じ身長の1年生C渡嘉敷がいるが、趙の経験が上だった。さらに3Q中盤から爆発したのが、前述した齋藤だった。出場時間こそ短かったが、コートへ出ると、積極的にジャンパー、ドライブを試みる。積極性が裏目にでて、4ファウルを犯してしまう場面もあったが、それでもルーズボールに跳び込みを見せるなど、林田不在を感じさせない活躍を見せた。
4Q、拓大の顔となった2年SG星(165cm)がルーズボールに跳び込みを見せる。1回転しても、意地でもボールを離さない執念には、おそらく「キャプテンのためにも勝つ!」という気持ちもあったのだろう。齋藤もルーズに跳びこむ。4Q、チームの気持ちがひとつになったように感じた。「カッティング、どんどんいけ!」と佐藤監督からも動き回るように指示がとび、拓大のコート上の5人は躍動を続けた。結果、拓大が71-58と高校NO.1の桜花学園を退けた。
注目の齋藤は15分にも満たないプレイングタイムに驚異的な確率で16得点(8/10)を上げてみせた。高校は名門の中村学園女子(福岡)。05年のウィンターカップでは優勝を遂げている。今まで出場できなかったうっぷんもあったと思うが、キャプテンの代役を見事にこなす活躍を見せた。
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試合後、会場を松葉杖で歩く林田キャプテンの笑顔がとても印象的だった。
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<参考資料>
●08オールジャパンHP⇒http://alljapan.jabba-net.com/2008/box.html?matchno=205
●08オールジャパンのパンフレット
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